自分の「雇用コスト」はいくら?【年収600万円の正社員の事例付き】

こんにちは。キャリアコンサルタントの最上裕司です。皆さんは自分の給与がいくらだかご存知ですか?

ご存知ですよね。

では、会社は皆さんを「正社員」として雇用するのにいくら払っているか知っていますか?
「給与分では?」とお答えする方も時にはいらっしゃいます。

正解は、ざっくり言うと、

給与+社会保険料+設備費(光熱費、建物賃料、備品…etc)

です。

【目次】

  1. 「正社員」として雇用する際のコストは、「給与+社会保険料+設備費(光熱費、建物賃料、備品…etc)」
  2. 月収50万円の人を雇うために、会社は57万円を支払っている
  3. 実質的な年収600万円の方の雇用コストは、800万~900万位

「正社員」として雇用する際のコストは、「給与+社会保険料+設備費(光熱費、建物賃料、備品…etc)」

税率が上がり、手取り額が減り続ける状況に、「こんな安月給ではやっていけない……」と気が滅入っている方もいらっしゃるでしょう。

ただ、視点を変えて、会社側がどれくらい自分のために負担してくれているかを考えると、少し違う気持ちになるかもしれません。

改めてお伝えすると、会社が1人の人間を正社員として雇用する場合、会社は以下の費用を雇った人物に支払います。

給与+社会保険料+設備費(光熱費、建物賃料、備品…etc)

具体的な年収額を当てはめて考えてみましょう。

月収50万円の人を雇うために、会社は57万円を支払っている

仮に年収600万円の人がいたとします。賞与なし、月収50万×12ヶ月という単純計算で考えますね。

年金保険は全国健康保険協会(協会けんぽ)で、扶養家族は1名にしておきましょう。

(本当は住民税とか介護保険料とかもありますが一旦そこは考えない)

・給料額面 ……500,000円
(以下控除額)
・健康保険料……39,260円(会社と折半)
・年金保険料……40,145円(会社と折半)
・雇用保険料…… 3,000円(会社は額面の9.5/1000の負担)
・源泉所得税……14,440円(個人負担)
———————————————————–
・給料手取額……403,155円

税率が随時上がっている可能性がありますが、大きな違いはないという考えで計算したのでご了承ください。

さて、社会保険として自らも控除されていますが、健康保険料、年金保険料は会社も同額を負担しています。

雇用保険料は被保険者料率が6/1000に対し、会社は9.5/1000を負担。

会社がこの人に払う金額は

・給与手取額……403,155円
・健康保険料……78,520円(うち半分の39,260円は従業員負担)
・年金保険料……80,290円(うち半分の40,145円は従業員負担)
・雇用保険料…… 7,750円(うち3,000円は従業員負担)
・児童手当拠出金… 650円(100%会社負担)※子ども有無関係なく発生
・労災保険料…… 1,500円(100%会社負担)※業種により料率異なる
———————————————————–
合計  571,865円 (×12=年額6,862,380円)

となるわけです。

年収600万円の人を採用し、雇用し続けることにより発生する、会社としての出費は年額686万円強となるわけです。

実質的な年収600万円の方の雇用コストは、800万~900万位

交通費支給の会社も多いので、ここに交通費が加わり、福利厚生で住宅補助や食事補助が付与される場合であれば、それも雇用コストに加わります。

そして、個人に紐付く費用ではありませんが、オフィスの一定のスペースを使うことになるので、ビル賃借料や、光熱費、パソコン等の備品、携帯電話支給があれば通信費、コピー紙などの消耗品等々、そんなコストが加算されることになります。

これらのコストは会社としてかかるコストを社員数で頭割りすることになりますし、福利厚生も会社によりまちまちなので何とも言えませんが、年収600万円の方の雇用コストは、800万~900万位にはなっているはずです。

転職において、会社に直接利益をもたらす「プロフィットセンター」ではなく、「コストセンター」系ポジションを志望される方も少なくありません。

社内SEや経営企画、社内業務改善等々。

その際、自分にかかる雇用コストは誰が稼いでくれているのか。

あるいはその雇用コストを捻出するような改善(コスト削減)が出来ているのか。

単に「年収は○○万円以上」と希望をいうのではなく、「自分にかかるコスト」といった情報もしっかり把握しておくことも、大事なことではないでしょうか。

企業側=自分を雇ってくれる側の目線で、負担額を知っておくと、会社のありがたみが増しますよね。結果的に、採用担当者を思いやった発言が自然にできて、転職活動が有利に進むかもしれません。
入社後も雇い主の恩に報いるため、モチベーション高く働いて、実績をあげられると理想的です。

参考:「第一志望の企業からのオファー金額が低い」際に持つべき視点
https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/incomepoint

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今回の記事では、自分の「雇用コスト」についてご紹介しました。

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