転職エージェントのキャリアアドバイザーをしていると、初めて転職された方などから、
「転職に失敗してしまいました……」
とよくご相談をいただきます。
転職後に「すぐ辞めたくなった」「前職の方が良かった」と考える方は、多くの場合スキルが足りないわけではありません。
自分の今までの成功体験や価値観を崩せずに、新しい職場でパフォーマンスが出せず苦労している方が多い印象があります。
今回は、転職後に失敗したと感じた場合の対処法を解説します。
【目次】
転職に失敗した場合の対処法
「転職に失敗した」と感じた場合、2つの対処法が考えられます。1つ目→2つ目の順に、落ち着いて対処していきましょう。
期間を決めて転職先でスキルと経験を積む
まだもう少し働けるようであれば、
「あと3か月だけやってみる」などと期間を決めて、スキルと経験を少しでも積んでみてください。
短期間で転職してしまうとキャリアに傷がつきますし、逃げ癖がついて転職をくり返してしまう可能性もあります。1人でも良いので、信頼できる相談相手を作ることで、悩みが解決する場合もあるため焦りは禁物。
部署異動や指導してくれる味方の確保により、問題が解決しそうであれば、今の職場に残った方が得策です。
そもそも、転職したのにまた転職したくなる代表的な理由は以下です。
・前職より残業が多く忙しくて体調を崩してしまった
・職場の社風が合わず人間関係もうまくいかない
・入社前に想定していた部署とは違う部署に配属されやりたい仕事ができない
・業務内容が想像していたよりハードでついていかれない
・自腹のものが多く想像していたより待遇が悪い
上記はいずれも社内での対応で解決できる可能性もあります。これらの理由で再転職を検討している方は、いったん立ち止まって、今の職場で仕事を続けることはできそうか冷静に考えましょう。
一定期間つらい状況が続くのであれば再転職を検討する
ご自身の心身を第一に考えることは重要です。どうしても心身に不調をきたし、仕事が手につかない状況になった場合は、やむを得ませんので再転職を検討しましょう。
体調を崩してうつ病になり休職することになっては元も子もありません。ただし再転職後も同じ状況に陥らないよう、次に紹介する注意点を押さえたうえで行動してみてください。
転職に失敗した原因を把握して次の失敗を防ぐ
転職に失敗した原因をしっかり分析して把握することで、次の失敗を確実に防ぐようにしましょう。
ミスマッチが原因であれば、次の転職先を探す段階で社風や残業時間、ノルマの有無などを把握することが大切です。もちろんストレートに企業に確認するのは難しい点ですので、口コミサイトや転職エージェントからリアルな情報を得ることをおすすめします。
また軸を持ち、自分の数年先のキャリアを思い描いて、それが実現できる職場を目指すことが重要です。軸がないまま転職してしまうと、入社後に「やりたい仕事じゃない」と感じて辞めたくなってしまうためです。
ご自身の市場価値を把握することで、目標に向かって現在やるべきことが明確になります。まずはキャリアを棚卸しして、市場価値を知ったうえで、今の実力で入れる会社の中でもっとも夢の実現に近い環境を探しましょう。
前職にそこまで不満がなく、円満退社できたのであれば、前の会社に戻ることも検討してみてください。前の会社の人々はあなたの人柄や実績を知っているため、未知の新人を採用するよりも安心して採用してくれる可能性があるのです。
「出戻り」という言葉に良いイメージはないかもしれませんが、生存戦略の1つとして最近では多くの人が行っています。
一度退職した職場に戻ることも考えつつ、自身のキャリアビジョンを明確化。目標から逆算して市場価値に合った職場を探すことで、活躍できる環境を見つけやすいはずです。
もったいない転職を避けるために。実際のエピソード
ここまでお読みになった方の中には、再転職に踏み切ろうとしている方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、1つの事例を紹介しますので、こちらもチェックしたうえで検討してみてください。実際にキャリアアドバイザーとして出会った方のエピソードからは、もったいない転職を避けることの大切さがにじみ出ているためです。
4年ほど前の話ですが、過去にサポートさせていただいた方からの紹介で、Aさんという方とお会いしました。
Aさんは国内系のIT企業から3か月前に外資へ転職されたばかり。入社したものの、会社に馴染めず早くも転職を検討されていました。
私「現職では何に一番苦労されていらっしゃいますか?」
Aさん「会社の雰囲気です。人間関係が希薄ですね。それから数字へのコミットメントが厳しいです。ある程度想像はしていましたが」
私「そうですか。でも外資はどこもそんなものですから、転職されてもまた同じ気持ちになってしまうかもしれません。もう半年だけ頑張ってみてはいかがでしょうか?」
Aさん「そうですか。何か求人を紹介いただけないですか?」
私「もちろん求人のご紹介は可能です。ただ、Aさんの実力を考えると現職でも十分にやっていけると思いますよ。
それから個人的な感想ですが、現在お勤めの会社は優秀な方が多いですから、キャリアにとってプラスになる面は多いでしょう。
試しに3か月後にもう一度お会いして、転職するか決めてみませんか」
約束通り3か月後、Aさんから連絡をいただきました。
Aさん「実は先月、MVPになり表彰されました」
私「それは凄いですね。どうされたのですか?」
Aさん「社内の様子が分かってきました。人間関係が希薄なのではなく、皆集中して仕事していたんですね。業務時間内の無駄口はほとんどないので、冷たい人たちだと思っていました。
あれから少し後に飲みに行ったのですが、実は良い人たちばかりでしたよ。
相変わらず数字へのコミットメントは厳しいですが(笑)。仕事は皆でワイワイやるもんだと思っていましたが、考え方が変わりました。プロ意識の高い人が多いので、色々学ぶことで、数字についてもなんとかなりそうです」
あれから4年後、Aさんは上場企業の本部長のポジションへ転職されました。
「あの時、安易に転職しなくて本当に良かったです。ありがとうございました」
Aさんの言葉から、もったいない転職を減らすという使命を改めて認識できました。
何より重要なのは、「現職を前職と比べて落ち込むというその姿勢が、周りの人からどのように見られているのか?」という点です。
能力があるのに実力が出せない。認めてもらえない。
その原因の多くは自分の意識にあると思った方が良いかもしれません。
「あぁ、この転職は失敗だったのか」と思い、再転職に踏み切る前に。
自分の価値観を見直してみてからでも遅くはありませんよ。
どうしても悩みから抜け出せない方や、転職後のミスマッチを避けたい方は、お気軽にご相談ください。
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>転職に関する記事
コンサル転職のよくある失敗例【バリューを出せない理由とその対策】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consulcareer_failure-example
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今回は転職に失敗した場合の対処法と実際のエピソードをお伝えしました。
キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。
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