「市場価値」にこだわることの善し悪し

そもそも市場価値とは?

転職を考え始めると、多くの方が「市場価値」という言葉にぶつかると思います。とりわけ、転職エージェントを活用していると、「このキャリアなら市場価値を高められます」といった言葉をよく耳にするのではないでしょうか。

市場価値は高い方がよいのか、と言われれば我々は、口を揃えて「もちろんそうだ」と答えます。担当する候補者が転職してはじめて売り上がるというビジネスモデルではありますが、候補者の市場価値が少しでも高まるキャリアを提案したい、というのがキャリアコンサルタントとしての本音でもあります。

それでは、「市場価値が高い状態」とはどのような状態でしょう。

私は、「職選びにおける選択肢の数」であり、平たく言うならリクルートなどの総合人材サービス会社から提案される「求人の数」がひとつのバロメーターと考えています。

提案される求人数が多い、というのは、少なくとも経歴上はそれだけ多くの企業から必要とされている、ということですから。ちなみに年収が上がるかどうか、というのも市場価値の一要素だと思いますが、業界・業種による影響が大きいため、今回は一旦考えないことにします。

市場価値のみを考えると人生つまらなくなる

日頃「市場価値を高めるため」のアドバイスをしておきながらなんですが、「市場価値」ばかり気にしていても面白い人生にならないのでは、と思うこともよくあります。

基本的には、専門性を高め、世の中でより多くの会社に必要とされる経験を積むことで市場価値は高められます。逆に転職の度に職種を変え、専門性が身についてなかったりすると、市場価値は高まりません。

しかしながら「自分は何をしたいのか?」も間違いなく重要です。では自分のWillが「市場価値」に直結しているのであればよいものの、そうではない場合はどうしましょう。

私事で恐縮ですが、私はNTTデータで公共営業としてのキャリアを積んでまいりました。国内トップクラスのSIerにて、官公庁営業や新規事業開発で培ってきた経験は、自分で言うのもなんですが、決して市場価値の低いキャリアではないと思います。

それが、約8年前に名もなきベンチャー、しかもキャリアチェンジで現職に転職。市場価値という面では「大暴落」です。

客観的にキャリアコンサルタントとして自分の経歴書を見たら「もったいないなぁ、この転職がなければもっと求人たくさん提案できたのに」と思ったことでしょう。

とはいえ当の本人たる私がそれを後悔しているかというと、全くそんなことはありません。

純粋に、今の仕事を楽しんでいますし、副業ながら大学での非常勤講師を担当させていただいたり、自分の目指すキャリアに向けて一歩一歩進んでいることを実感できています。

市場価値云々よりも、自分が好きなことをして飯を食えているのが幸せです。

市場価値とwillが異なる場合は「腹を括れるか」で考える

一般的には市場価値の高まるキャリアを選ぶ方が「無難」です。一方で、一見するとそれが「市場価値の落ちるキャリア」であったとしても、自分のWillに向かってキャリアを作っていくほうが当人にとって幸せであることも少なくありません。

そして本人がWillに向かってがむしゃらに働けば、一度市場価値が落ちたとしても、再度積み上げていくことも可能。

市場価値とは「経歴が外からどんな風に見えるか」に過ぎず、本人の能力を規定するものでも、いわんや本人の価値そのものでもありません。所詮は転職するときに選択肢が多いかどうか、程度のものです。

100社からオファーをもらっても、1社からオファーをもらっても、行くのは1社(もちろん、多数の選択肢から選べた方が良いだろう、とも思いますから、そういう意味では市場価値は大事です)。

明確に自分の進みたい道があり、単なるあこがれや「隣の芝は青い」的な発想ではなく、「腹を括れる」のであれば、市場価値を気にすることなく(市場価値を落とすリスクを承知の上で)突き進むべきだと思います。

逆にリスクをとってでも突き進む、というほどの面白みを感じず、腹を括れないのであれば、恐らく「市場価値の高い」キャリアを選んだほうが無難です。

「市場価値」は間違いなくキャリア形成の重要な要素ですし、我々は市場価値を高めるための提案をおこないます。

しかしながら、それだけに引っ張られずに、しっかりと自分の気持ちに向き合って、時には市場価値を下げてでも本当に「腹を括れる」キャリアに突き進んでいくことも、あってよいのではないでしょうか。

コンサルタントの市場価値と事業会社での市場価値は異なる点に注意

コンサルタントから事業会社、つまり未経験の職種やポジションにチャレンジできるチャンスは、当然ながら年を経るごとに少なくなっていきます。コンサルから事業会社へ転職する際には大幅な年収ダウンが転職に留まる大きな理由となりやすいですが、この理由により、年収が大幅に下がってもキャリアチェンジを決断する方もいらっしゃいます。例:

  • 20代後半の商社トレーダー、年収1,000万 ⇒ 外資系ファームMA部門・コンサルタント、年収800万
  • 30代の外資系ファーム・ITコンサル(シニアコンサルタント)年収900万 ⇒ 外資系ファームMA部門・コンサルタント、年収800万
  • 30代の外資系FAS・シニアマネージャー、年収1,700万 ⇒  事業会社のMA部門・年収1,100万

第一志望先に熱意が持てるのであれば、年収が低くても「その分キャリアチェンジを買ったのだ」とポジティブに捉えるのも一つの考え方と言えます。

【関連記事】

「第一志望の企業からのオファー金額が低い」際に持つべき視点
https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/incomepoint

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今回の記事では、「市場価値」にこだわることの善し悪しについてご紹介しました。

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