世の中、誰でもコンサルタントになれる
ショーンK氏の経歴詐称騒動は、テレビのワイドショーやネットなどでかなり話題になっていましたよね。
学歴のみならず、ハーフではなかったこと、世界を股にかけた年商30億円の経営者の拠点が雑居ビル、共同経営者の画像も全くの他人の画像を拝借しているなど、あらゆることが詐称だらけ。
過去に芸能人で話題になった、整形、年齢ごまかし、アイドルだけど本当は彼氏彼女がいる、などが可愛く見えるレベルです。
さて、改めて気になったのが、ショーンK氏がコンサルタントだったこと。
コンサルタントという仕事は、許可制・免許制などとは異なり、自らが名乗った瞬間から成り立つ職業です。
そういう意味ではショーンK氏がコンサルタントであったことは事実なのでしょう。彼が優秀なコンサルタントだったかどうかは分かりませんが。
そういえば昔、深夜のアメリカのニュース番組を見ていたところ、車乗り選手権というイベントの映像が流れていました。
一台の車に何人の人間が乗れるのかを競うという、いかにもアメリカらしい競技(笑)。その現場でコメントをしているアメリカ人の肩書が、「車乗りコンサルタント」と書いてありました。
世の中、誰でもコンサルタントになれるのです。
しかし、誰でもなれるがゆえに、問題も数多く見受けられます。
素晴らしい実力と経歴を持ち、極めて高い価値を提供しているコンサルタントが数多くいる一方、実力もないのにコンサルタントを名乗り、適当な仕事をしている人間も数多く存在します。
そういう人間が、コンサルタント全体のイメージ・価値をすり減らしているのです。
また、例えば無職期間があったとしても、職務経歴書に「独立してコンサルタントとして活動」と書いてしまえば、なんとなく見栄えはします。
もちろん、本当に実力があって、独立して活躍しているコンサルタントの皆さんがいることは十分承知していますが、気軽に名乗れてしまうゆえに、悪用されているケースもあります。
こうした数多くの問題が発生することが原因で、コンサルタントが若干インチキくさいというイメージを持たれてしまうのです。
コンサルタントの成果物は外からは分からない
コンサルティング業界の転職サポートを続けていると、悪意を持つ方が経歴詐称しているケースをちらほらと見かけます。
在籍した会社などは最終的には年金手帳や健康保険証で判明します。我々エージェントも公的書類で判明することを伝え、未然に防ぐ努力をしています。
しかし問題なのは、職務経歴書の中身について。基本的にコンサルタントの関わった案件は守秘義務もあり、担当した会社の社名を開示しません。
また、建物や製品のように目に見えるモノを作るわけではないので、こういうプロジェクトをやってきました!と言い切ってしまえば、信じざるを得ないところがあります。
話に深さやリアリティがない場合には我々も見極められますが、しゃべりがうまい方に関しては詐称を簡単に見極めることができません。
ショーンK氏の「F1のマクラーレンのコンサルを担当していた」という発言が嘘でも、世の中の人は普通に信じて聞いてしまっている状況と一緒ですね。
コンサルタントという仕事は、モラルが重要です。
自覚のない詐称
ショーンK氏のように、自覚して詐称しているケースはまずいのですが、転職支援をしている中で、“自覚のない詐称”をしてしまっているケースがあります。
我々は、戦略コンサルタント、経営コンサルタント、ITコンサルタントなどの職種の方々と数多く関わっていますが、そこで使われている言葉が、会社や環境ごとに定義が異なっている場合があるのです。
例えば、プロジェクトマネージャーという用語。
クライアントから直接元請の立場で関わっているコンサルティング会社の場合のプロジェクトマネージャーは、クライアントの責任者と共にプロジェクトを推進し、プロジェクト自体の利益・コスト管理、品質の管理、メンバーの管理、スケジュールの管理など、ある意味小さな会社を運営しているくらいの権限と責任が与えられます。
しかし、2次請けとして参画しているコンサルティング会社のプロジェクトマネージャーは意味が異なります。メンバー数名を引き連れて元請の案件に参画しますが、責任範囲は自社のメンバーのリソースや品質など、ごく限られた範囲です。
職務経歴書上では同じプロジェクトマネージャーですが、立場によって言葉の意味するものにズレが生じます。
2次請けの方が経歴書にプロジェクトマネージャーと記述し、元請のコンサルティング会社へ転職面接する際に問題が明るみになります。
元請の立場の面接官は「それはプロジェクトマネージャーとは言わないよね」と心の中でつぶやき、少し騙された気持ちになってしまうのです。
言葉の定義のズレがこうした事態を生み出してしまうのですが、別に騙して書いているわけではありません。極端に言うと、“自覚のない詐称”とも言えるかもしれません。
企業や業界ごとに、専門用語の概念が異なることは多々あります。採用試験前に、面談やチャットなどで認識のズレを解消しておくと、転職希望者・採用担当者がお互いにミスマッチを防ぎやすいでしょう。
参考:SEとITコンサルが言う『上流工程』の違いと特色【SEの要件定義はITコンサルの課題・計画設計】
私は、キャリアコンサルタントを名乗ってきました。未経験の13年前も、現在も、キャリアコンサルタントであることには変わりありません。しかし、13年前の自分は、経験も実績もない中でキャリアコンサルタントを名乗っていたわけです。
自覚のない詐称に近い状態だったのかもしれません。当時の私は、実力もないのに、キャリアコンサルタントを名乗っている自分のことを、どう思っていたのだろうか? 残念ながら忘れてしまいました。
コンサルタントという職業は、自分がそうだ、と決めた瞬間になれる仕事。だからこそ、モラルがものすごく重要なのです。
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