転職の面接や筆記テストを無事クリアし、内定を獲得したら、採用条件が明記された内定書(採用通知書)を受け取ります。内定書の内容を確認して最終決断をし、今度は速やかに現在の会社へ退職の手続きをおこないます。
ただし、この退職活動フェーズは意外と注意すべき点が多いものです。中には、現職の会社に「転職先を伝えてしまった」ことで、内定取り消しになったという事例も。
そこで、今回は転職活動から退職までの流れや、退職活動で重要なポイントをお伝えしたいと思います。
- 「退職すると伝えてしまったら後戻りはできない」「転職先を伝えて内定取り消しに」退職前には【転職すること・転職先】を言わないのが鉄則
- 転職・退職の前に、必ず就業規則の確認を。稀に3ヶ月前に報告というケースも。
- 円満退職を意識しすぎるのは「杞憂」か?退職日の延長は転職先の期待を下げてしまうことも
- 中途入社では「いきなり結果が求められることも」退職前に新しい仕事への事前準備を
「退職すると伝えてしまったら後戻りはできない」「転職先を伝えて内定取り消しに」退職前には【転職すること・転職先】を言わないのが鉄則
基本的に「退職する」と伝えた場合、転職活動の状況に関わらず、やめざるを得なくなるのが実情です。また、退職の意志を伝えれば、当然理由を聞かれますが、仮に理由が仕事内容や待遇面、人間関係(まさに目の前の上司)であっても、そのまま退職理由を言うのは得策ではありません。「○○の仕事をしたい」など、前向きで個人的な理由を出しましょう。
また、「転職先の社名をしつこく聞かれたらどうすればよいのか」という質問もよくいただきますが、正直に教える伝必要はありません。むしろライバル企業は当然のことながら、違う業界の企業であったとしても、決して社名を伝えてはいけません。
なかには、転職先を伝えてしまったところ、現職と仕事上で付き合いがあり、転職先に対して 「社員を引き抜かないように」とのクレームを伝えられてしまい、結果内定が白紙になってしまった、というケースもあるほどですので注意が必要です。
会社に辞意を示した後、きっと上司は引き留めの交渉にかかると思います。強い慰留があれば誰もが少しは気持ちがグラつくもの。
しかし、現在辞められたら困るので慰留するわけで、一時的な待遇改善等があったとしても、退職を表明した社員の記憶は、上司や経営幹部から消えることはありません。
また、メンバーが抜ける時は、上司の上司などへの説明責任を負うケースも多く、多少強い圧力をかけてでも引き留めようとします。ただし、それはあなたのためでなく、あくまでも上司自身のための引き留めなので、口先だけで現職に残ったら冷遇されたというケースも山のようにお聞きします。
さらに、「退職というカードを使って自分の評価を上げようとした社員」として、誤解されることさえあります。
「会社を辞めたい」と口に出すのであれば、そこから後戻りはできないと、腹を括り、退職の相談を行う、退職の書類(退職届または退職願)を出す必要があります。
また、上記理由のため、転職先が決まったら退職を伝えるようにしましょう。もし同僚などに転職先を言ってしまった場合も、それ以上は話が広まらないよう、口止めするのが得策です。
もし転職先を何度も聞いてくる同僚がいる場合、競合に転職するのかどうか探るよう上から言われている可能性もあります。単純に好奇心から聞いてくる相手や、噂のネタにしたいだけの人もいるかもしれませんが、それも決して気分は良くありませんから、なるべくなら避けたいもの。
この場合、うまくかわすのがベストです。「まだお伝えできる状況ではありませんが、後ほど詳しくお話ししますね」と軽く受け流し、「ところで、この案件ですが……」などと、現職の仕事に関する話に持っていきましょう。
あくまで「現職のために」、今現在も貢献しようとしている姿勢を見せることで、社内の人は「ここまでしてくれるのだから、競合に移ることはないだろう」と考えるようになり、結果的に転職先に関する質問もフェードアウトする可能性があります。
弊社では転職活動の開始から内定獲得、退職までは少なくとも5ヶ月ほどかかるケースが多い印象です。仮に内定が取れなかった場合、その後数か月の待遇や環境が変化し、「職場にいにくい」といった可能性もございます。
もし、覚悟ができないのであれば、改めて転職そのものを見直すことをおすすめします。
転職・退職の前に、必ず就業規則の確認を。稀に3ヶ月前に報告というケースも。
退職を決断し、初めに意思を告げるのは、基本的に直属の上司ですから、上司のスケジュールを確認して、落ち着いて話せる状況をつくるのがベストです。上司には転職すること、転職先が決まっていること、転職への意志が強いことを伝えます。
転職における退職を伝えるタイミングとしては、法律上は2週間前に退職の意思表示で退職は可能ですが、引継ぎや就業規則のことを考慮し、ご存じの通り1ヶ月前には連絡することをおすすめします。
また、会社によっては退職の場合1か月前ではなく、2ヶ月前~3ヶ月前に報告といったケースもございますので、すぐ退職できない場合も往々にしてあります。いつ上司に退職について伝えるべきなのか、事前の確認が必須でしょうか。
円満退職を意識しすぎるのは「杞憂」か?退職日の延長は転職先の期待を下げてしまうことも
また、転職を決断できない理由の一つとして、「自分が辞めたら職場の仲間や取引先に迷惑をかけてしまう」という思い込みを抱いている方もよく見受けられます。
もちろん、現在抱えている仕事をきちんと整理し、後任に引き継ぎをしてスムーズに会社を去るのが理想です。一方で、転職するという決断をした以上は、今の職場に多少の迷惑がかかることは避けられません。
むしろ、その方が会社にとって重要な存在であればある程、退職後の穴を埋めようとして、逆に周囲が成長し、組織が新たに発展していくこともあるもの。
また、現職での引き継ぎを徹底させるあまり、退職日を遅らせ、転職先の入社時期を延期したいという方もいますが、お互いが合意の上で、一旦了解した退職時期(入社日)の延期は全く不自然です。
大きな期待で新戦力を待ち望んでいる転職先企業では、ガッカリすると同時に契約として入社日を決めているにもかかわらず、毅然と実行できない優柔不断さに評価が下がる事もあり得ますので、上記タイミングなどは注意が必要です。
中途入社では「いきなり結果が求められることも」退職前に新しい仕事への事前準備を
転職先での職種・業種が全く新しい場合は、入社前に準備をしておくのが肝要です。中途で採用された方は、入社した1日目から走り出すことが求められるため入社してからゆっくりと準備していくことが難しい状況です。
このため、専門的な内容でなくとも、業界に関する基礎知識等は下調べとして頭に入れておくと、良いスタートが切れるはずです。できれば、転職先の人事担当者や上司になる方に事前に頭に入れておくべき情報(本やwebサイト等)を相談すると良いかと思います。
また、転職をする際に、引き継ぎと送別会等で休暇をとらず、退職した翌日からそのまま転職先に出社する方もいます。
退職活動は慌ただしく進みますし、また真面目な方ほど、退職直前まで引き継ぎ業務をおこない、会社に迷惑を掛けないようにしようと頑張りがちです。
しかし、転職後はたとえ同じ職務内容であったとしても、ルールや仕事の進め方も違い、肉体的にも精神的にもとても疲れます。
さらに、中途入社してから1週間は非常に重要な時期です。このため、転職前には「必ず」1週間~10日前後のリフレッシュ期間をとるようおすすめしています。
自費で語学研修に行ったり、引っ越しをしたり、家族旅行を楽しんだり、この時期にしか経験できないことをされる方もいます。
新しい職場で元気に活躍頂くためにも、気持ちを切り替えるためにも、ぜひリフレッシュの時間を事前に確保して頂ければと思います。
また、転職活動や入社後で成功を得るためにも、退職後に転職活動を行い、自分に足りないスキルを埋める方もいらっしゃいます。その場合には、転職活動時に先に退職したことを面接官から聞かれるケースが多いため、目的をしっかりもって退職後の自己研鑽に努めることをおすすめいたします。
参考:
「転職先の入社日までの過ごし方」
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/0205/2504.html
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