【目次】
- 「大手企業は安定している」は疑わしい。2015年以降シャープ、ソニーなどで数千人規模のリストラや早期退職が実施
- 企業の安定(倒産しない)と雇用の安定(終身雇用)は別物
- 雇用の安定性は自ら獲得するもの、マーケットから求め続けられるために必要な3つの視点
- 崩壊しつつある「大手企業=安定」を乗り越えるために今身につけるべきスキルを紹介
「大手企業は安定している」は疑わしい。2015年以降シャープ、ソニーなどで数千人規模のリストラや早期退職が実施
「30代半ばなので、そろそろ安定した企業に行きたいです」
30代半ばでなくても、転職支援をしていると少なからず『安定』を求めて活動される方にお会いします。そして決まって「日系の大手に行きたいです」と言われます。
確かに外資系はなんとなくドライにリストラがおこなわれそうなイメージ。またベンチャーは何かあると倒産しかねない。定年までその企業が生きているのかという心配がありますね。
とはいえ日系大手企業も、最近は数千人規模での早期退職プログラムやリストラも珍しくなく、倒産する企業もあるので、決して安泰ということはないと思いますが。
実際2015年に入ってからだけでも、シャープが3,500名、ソニー2,100名、日本たばこ産業(JT)が1,754名、その他にも東芝、電通、日本コロムビア、アシックス、セガサミーホールディングスなど、多数の大手企業がリストラや早期退職を実施しています。
企業の安定(倒産しない)と雇用の安定(終身雇用)は別物
一言で『安定』と言いますが、企業が安定していることと、雇用が安定していることは別物です。この辺を混同している方も多いのではないでしょうか。
企業の安定とは、文字通り企業が営業し続ける安定性です。雇用の安定とは本人が職にあぶれることなく、雇用され続ける安定性、と私は定義づけています。
確かに大手企業は業績が悪化してもそう簡単に『倒産』までは追い込まれません。数百億円の赤字を出しても、2~3期連続で赤字になっても、生き長らえている企業もありますよね。
中小やベンチャーだとこうはいきません。その点間違いなく大手企業は『企業として安定している』と言えそうです。
しかしながら候補者が求める『安定』は「もう転職は最後にしたい」「定年まで勤めたい」という言葉とセットであることが多く、『終身雇用』を示していることが多いです。
リストラや減給などもなく、問題を起こさなければ定年まで雇用される、そんな安定性を『雇用の安定性』として求めているようです。
私は、企業が安定するためには得てして雇用は不安定になると考えています。大手企業の早期退職やリストラは、企業を潰さないために、企業が安定するためにおこなわれます。
もちろん、企業の安定性がなく倒産してしまっては雇用の安定も何もないわけですが。
雇用の安定性は自ら獲得するもの、マーケットから求め続けられるために必要な3つの視点
雇用を安定させる、すなわち働き続けるためにはどうすればよいのでしょう。安定していそうな企業に入っても、定年まで雇用してくれる保障はどこにもありません。
先ほど雇用の安定とは『雇用され続けること』と定義づけました。それは現在勤めている会社の業績や方針に左右されながら受け身に「雇ってもらう」ことではなく、自社からも転職市場からも必要とされ続けることです。
もちろん簡単な方法はありません。ただ心がけるべきことはあると思います。今回はキャリアコンサルタントとしていくつかキーワードをご紹介したいと思います。
1.自分の職務経歴書を定期的に見直す
取り組んでいる方もいるかも知れませんが、1年に一度、できれば半年に一度、自分の職務経歴書を書き直す機会を作りましょう。
これは現在勤めている会社での自分のパフォーマンスを振り返ることに他なりません。この半年ないし1年間に職務経歴書に書けることを自分はやったのか?胸を張ってYesと言えない人は何かを変える必要があるでしょう。
仕事は短期間で結果が出るものばかりではありません。ただ、その間に自分がどういう思考を経てどういう行動に移したのか。仕事でハイパフォーマンスを出す方は必ずこの点に自覚的です。
職務経歴書を見直しながら、自分を厳しく見つめ直してみてください。
2.人脈(ネットワーク)をつくる
元々日本では、「人脈=コネ」と呼ばれ、あまり肯定的には見られてきませんでした。しかしビジネス経験を積んだ方であれば、本物の人脈の重要性をご理解いただけると思います。
言うまでもなく、ここでいう人脈はちょっと異業種交流会に参加して名刺を配って得られるものではありません。そうではなく、自分が仕事の成果を出すことによってのみ作られると思います。
最近HR業界では「リファラル採用」という言葉が流行しています。社員の紹介によるリクルーティングのことですが、これなどはまさに自分の仕事の結果が生み出すものですね。
3.セルフブランディングをおこなう
2に通じる話ですが、自分の仕事の成果を社内外に自己表現していくことも重要です。特にインターネット時代においては見逃せないポイントではないでしょうか。
人脈と同様、セルフブランディングも多くの日本人が苦手としてきたことですよね。やっかみもあるでしょう。
実名で顔を出し、自分の仕事の評価を他人に委ねる機会を持つことは勇気が必要ですが、それを支持してくれる人は必ずいます。
そして、より重要なのは、否応なしに自分の今の仕事のレベルを高めないといけなくなるということ。看板倒れでは格好悪いですからね。
3点挙げましたが、お気付きの方も多いと思います。結局のところ重要なのは、まず今の仕事に全力投球すること、そして結果を残すことです。ありていかも知れませんがこの点に尽きます。
ソニー創業者の井深大氏の有名な言葉「仕事の報酬は仕事」の通り、仕事で結果を残すと、より面白い仕事、チャレンジングな仕事が回ってきて、それをクリアしていくうちに、高い市場価値がついてくるものです。
そうなると、所属企業からも『辞めてもらっては困る』存在になりますし、他社からのお声掛けも増えてきます。『雇用が安定した』というのはそのような状況を創り出してこそです。
雇用の安定は与えられるものではなく、『自ら創り出し、気がつけばそこにあるもの』なのだと思います。
崩壊しつつある「大手企業=安定」を乗り越えるために今身につけるべきスキルを紹介
「セルフブランディング」というキーワードが出ましたが、シュリンクする業界やスキルをいくら磨いても発揮できる場面は限られてきます。ちなみに、コンサル業界のニーズとしては、
「特に2025年に保守切れとなるSAP領域は採用に苦戦しているケースが目立つ他、継続して先端テクノロジー(IoT、デジタル、ビックデータ、AI、RPA等)領域、ITに起因するサイバーセキュリティー、ITリスク領域も人材が枯渇しています。企業・事業再編に伴うM&A関連のコンサルタントも依然としてニーズが高い状況です。」
参考:日本人材ニュース
一方で、2025年に保守切れになることが原因で現在人材不足となっているSAP領域ですが、2025年以降は案件も少なくなり、当然ながらその領域以外でも活かせるスキルやナレッジを蓄えておくことが必須になっています。
参考:【20代・30代・40代別】SAPコンサルは今、キャリアチェンジすべきか否か?
このように、市場を大局的に俯瞰し、数年後の社会を見通す力も同時に今の我々には求められていると言えるでしょう。特に昨今では新しいデジタルが次々と登場し、Googleが自動車開発に乗り出すなど、インダストリーを越えて新しいプロジェクトが次々と生まれつつあります。
まだ小さなスタートアップ企業の革新的な技術が、数年後には誰でも利用しているサービスに使用されている可能性もあります。大手企業か、中小企業かに関わらず、そのプロダクトや構想に興味を持った企業に自分の未来を賭けてみることも一つの選択肢として頭の中に入れておくこともおすすめします。
参考①:「いきなり役員」でスタートアップ・アーリーベンチャーに入社する際の注意点
参考②:「追加で役員を募集する」アーリーベンチャーのよくある内情と対策
また、どのような企業でも汎用的に求められるスキル、なおかつ希少価値の高いスキルとして「英語」が挙げられます。ご自身の周りに英語を使って仕事をしている方が何人思い浮かぶでしょうか。外資系コンサルティングファームでも英語を使って仕事ができるのは2割という声も実際にあるほど、意外にも話せる人はいません。
参考:「不景気でも」事業会社に歓迎されるコンサルになるための1つの身近なスキル
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今回の記事では、企業が安定していることと、雇用が安定していることは別物であることについてご紹介しました。
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