38歳 男性(既婚<4人家族>)
大手外資系コンサルティングファーム(年収1,250万円)⇒独立系SIer(年収950万円)
パートナーへの昇格は来期。しかし、強みの『CMMI』を活かすために転職を考え始める
私がNさんと初めて出会ったのは、昨年の12月でした。初対面のNさんはとても落ち着いた雰囲気を持っていて懇切丁寧にお話しをされる、まさに”ジェントルマン”という印象がぴったりとはまる方でした。
Nさんは、大学卒業後、大手外資系コンサルティングファームにて主に製造・流通業界の企業向けにITコンサルタントとして数々のプロジェクトに携ってこられ、現在の職位もシニアマネージャーで順調にキャリアアップをされてきた方でした。
田畑:
『素晴らしいご経歴ですね。今の会社でも良いポジションにいらっしゃると思いますが、今回、ご転職を考えられた理由は何でしょうか?』
Nさん:
『はい、正直新卒から今に至るまで、本当に良い経験をしてれたと思っています。
非常に難易度の高いクリティカルな案件にも携ることが出来ましたし、今のコンサルタントとしての基盤を築いてこられたのも今の会社のおかげだと思っています。
仰るとおり、今のポジションにも満足はしています。』
田畑:
『今の職位がシニアマネージャーですから、次は一つ上の職位のいわゆる、”パートナー”にあがる感じですね?』
Nさん:
『そうです。おそらく来期にはパートナーとなる予定です。ただ、パートナーとなると、純粋に現場の仕事以外にも営業というミッションが課せられることになります。
今の会社で昇進していくには、やはり営業というのは避けて通れないとは理解しているのですが、自分としては、もっと自分の強みを活かしていきたいという思いがあります。』
田畑:
『そうですか。やはりコンサルティングファームで昇進するには営業は必要になっていきますからね。
因みに自分の強みを活かしていきたい、とは具体的にはどんな強みでしょうか?』
Nさん:
『はい。私は、流通・小売業界向けのITコンサルティング案件のプロジェクトマネジメントには自信を持っています。
また、これまで自社と、クライアント向けに、CMMI等の開発プロセス改善活動に携わって来たので、そういった求人にも強い関心があります。』
私は事前にNさんの職務経歴書に目を通していた際に、”CMMI”、”開発プロセス改善”の職務内容をチェックしていました。丁度Nさんの経歴・スキルを探している企業が1社あったので、求人票を用意していました。
会社規模・年収は下がるものの、自分が貢献できる可能性を優先し、クローズ間近のベストタイミングでエントリー
田畑:
『Nさん、実は、独立系のSIerにて、丁度Nさんのご経歴・スキルを求めているコンフィデンシャルな求人があるんです。』
私はNさんにその企業(A社)の求人票を見せました。
田畑:
『この会社は、自社のCMMIのレベルを上げるために中心的役割を担ってもらう方を探しています。
リーマンショック前までは、このような求人は結構あったのですが、最近はめっきりと少なくなってしまいました。
恐らく経験・スキルはNさんにマッチすると思います。
しかし、この企業はNさんの企業よりも規模もかなり小さくなりますし、年収も大幅に下がることは確実です。
それでも、チャレンジしたい、という意思があれば、ご提案させて頂きます。』
Nさん:
『是非、受けさせてください。正直、会社規模や、年収が下がることに対して、覚悟は出来ています。
今回の転職活動は自分の納得する仕事内容にこだわりたいと考えています。
求人票を見ると、この会社は中堅規模の独立系SIerでありながら品質向上を目指し、CMMIのレベル4を達成され、これからレベル5を目指している点にとても共感を得ました。
こういった会社さんで、レベル5を達成に向けて自分の経験・知識を活かして貢献したいという気持ちが強いです。』
Nさんの熱い情熱のこもった眼差しに心を惹かれ、私はA社の選考に向けてサポートさせて頂くことになりました。
翌日私は、NさんをA社に正式にご紹介しました。その1時間後、早速先方採用担当者様より電話がありました。
A社採用担当者様:
『ご紹介ありがとうございます!レジュメを拝見しましたが、ご経験的にピッタリな方だと思います。是非お会いしたいと思うのですが、こういった大手外資系企業1社でこられた方が、会社規模が違う弊社へ本当に関心を持っているのでしょうか?また、年収もダウンしますよ?』
私は、昨日Nさんから聞いたお話しを、採用担当者様に伝えました。
A社採用担当者様:
『分かりました。本人がそこまで仰っているのであれば、面接しましょう。
実は中々フィットする候補者が見つからなかったので、この求人をクローズしようと考えていたところだったんです。本当に良いタイミングでご紹介頂けました。』
『自分のやりたいこと』だけで決められない転職先。年収300万円ダウンのオファー後、家族との相談へ
そして翌週、NさんとA社の面接が設定されました。
私は今回の様に、レジュメ上、経験・スキルがマッチしていても、実際面接をしてみると、企業風土の違いや、人物面がフィットしていなかったりで、話しが進まないなどの、過去のよくある事例をを懸念していました。
しかしその懸念は面接後に双方のフィードバックを聞き、あっさりと払拭されました。
Nさん:
『先ほど面接が終わりました。面接を受けて、よりA社に入社したい気持ちが強くなりました!』
田畑:
『本当ですか!具体的にどういったところが良かったですか?』
Nさん:
『会社としてのプロジェクト管理や品質管理への考え、取り組む姿勢、将来的には品質管理のコンサル事業を立ち上げるというお話しもお聞きし、正に私がやりたいこととして語ろうとしていた内容と一致しておりました。』
田畑:
『なるほど。会社のカルチャーなどはどう感じましたか?』
Nさん:
『会社のカルチャーは、非常に実直で、社員の方々のチームワークも良さそうで、私の性格に合うと感じました。
お話しによると、50歳、60歳を超えても現役で活躍されている方が多く、長期間働ける会社と感じました。』
電話の受話器の向こう側でNさんの声が興奮しているのが分かりました。
田畑:
『分かりました。A社にも前向きな旨、伝えますね。A社側からのフィードバックも確認して、ご連絡しますね。』
翌日、A社の採用担当者様から連絡が来ました。
A社採用担当者様:
『昨日はNさんとの面接設定ありがとうございました。Nさんから何かフィードバック来ていますでしょうか?』
私は、Nさんからの前向きなフィードバックを伝えました。
A社採用担当者様:
『本当ですか!?良かったです!弊社も前向きで、是非入社して欲しいと考えています!
但し、やはり提示できる年収は限界がありまして、手当て等込みで約950万円となりそうです。
現年収から約300万円減となりますが大丈夫でしょうか?』
田畑:
『分かりました。Nさんは御社を受ける際に年収が下がる点も理解した上でエントリーをしています。
しかし、実際具体的な年収を提示されると、どのような反応をするかは分かりませんので再度確認する必要があります。
まずは、そちらの金額で正式な内定通知書を作成して頂き、そちらを添えてNさんに伝えたいと思います。』
早速A社に条件面が記載された内定通知書を作成してもらいました。まず、私はNさんに、A社からの内定の旨を伝えました。
Nさん:
『本当ですか!ありがとうございます!!』
その上で、今回の内定通知書をNさんにお渡ししました。
田畑:
『やはり年収面は下がることになりました。実際この年収をご覧になり如何ですか?』
Nさん:
『そうですね。私自身、年収が下がる覚悟は出来ていましたし、想定の範囲内だと思っています。
ですが、私ひとりで決めることは出来ないので、妻と相談したうえで結論を出したいと思います。』
Nさんは奥様と子供2人の4人家族でした。扶養家族がいらっしゃる方は、自分のやりたいことだから、という理由だけでは転職先を決めることは出来ませんし、ご家族と相談することになります。
Nさん:
『週末にじっくりと家族と話す時間を設けるので、週明けの月曜日に回答します。』
そう言って、電話を切りました。
「長期的に腰を据えて働ける」という点から大切な家族の了承を得て、内定を承諾
そして、週末を挟み、月曜日の昼過ぎにNさんからの電話が鳴りました。
Nさん:
『週末、家族と相談しまして、今回はA社に転職することに決めました。』
田畑:
『本当ですか!ご家族の同意を得られたのですね?』
Nさん:
『はい。入社後の年収はさがりますが、A社は長期的な視点で腰を据えて働けるのでその点で家族を安心させることが出来て、納得してもらいました。』
田畑:
『それはよかったです!』
Nさん:
『そして、自分のやりたいことにもチャレンジできる環境があることや、本当に必要と
してくれる会社で働けることはは素晴らしいことだと思うから、私達は応援するよ、と後押ししてもらえたのも大きかったです。』
田畑:
『そうですか。ご家族からの後押しは本当に嬉しいものですね。本当によかったですね!』
私は早速A社にNさんの入社意志を伝えました。
A社採用担当者様:
『ありがとうございます!これで弊社もまた一歩、あらたなステージに行くために必要な優秀な人材を確保することが出来ました。本当にありがとうございます!』
採用担当者様の声は喜びに満ち溢れていました。入社前に、先方の主催での歓迎会を催すなど、Nさんへの大きな期待が表れていました。
そしてNさんは先月A社に入社しました。先方採用担当者様からは、入社初日から非常に精力的にがんばっているとの話しをお伺いしました。
Nさん、これからも常に前向きな気持ちを持ち続け、A社を更なる上のステージへと引っ張っていってください!
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