キャリア相談の中で「中小企業の支援をしたい」という希望をよく耳にします。そこで、今回は中小企業に強いコンサルティングファームの「働きがい」と「大企業向けのコンサルとの違い」についてお伝えいたします。
参考コラム:代表的な中小企業コンサルティングファーム一覧・サービスの内容など
【目次】
- 大手企業向けコンサルとの違いは「クライアント規模」「担当社数の違い」「課題の広さ」「経営者との関わり方」
- 中小企業向けコンサルだからこそ得られる喜びは、「結果をダイレクトに感じられること」
- 金融営業など、過去「中小企業との折衝経験がある方」も積極的に採用
- 中小企業診断士の資格も有利に働くものの、コンサルティングや折衝経験と併せてアピールするべきか
- 年収はポテンシャル層で400万スタート、マネージャークラスでは1,200万~というケースも
- 中小企業への経営支援経験を活かし、自らベンチャー起業される方も
- (参考)現代の中小企業が抱える課題は「大企業との相互利益の関係が薄れていること」
大手企業向けコンサルとの違いは「クライアント規模」「担当社数の違い」「課題の広さ」「経営者との関わり方」
経営資源である「ヒト・モノ・カネ」。これが潤沢にないのが中小企業です。2015年版中小企業白書によれば、中小企業の経営課題として挙げられている上位には、
- 1.新規顧客・販売先の開拓
- 2.優秀な人材の確保・育成
- 3.既存顧客・販売先の見直し
となっています。
販路開拓でも、新しい事業をするにも、問題を解決できる人材が圧倒的に不足しているため、このリソースを外部によって補いたいというニーズは今後更に強くなっていくと思われます。
中小企業向けの場合、大企業向けのコンサルと比較するとクライアントとの関わり方に大きな違いがあります。
大手企業向けの場合、1社の課題に対して複数名でプロジェクトを組み、解決にあたるスタイルが主流です。しかし、中小企業向けのコンサルタントは、1人あたり5~10社のクライアントを担当し(東京、大阪、福岡を月に何往復もするケースも良くあるようです)、定期的に訪問しながら経営に関するアドバイスをするのが一般的です。
対峙するのはほとんどが経営者。それこそ、営業面の話から事業承継、金融機関との付き合い方などあらゆる経営課題に取り組みます。
日本企業の特徴として、ほとんどが同族企業と言われているので、各社特有の社風や問題があり、社内に流れる空気を敏感に感じながら、文字通り、経営者に寄り添い、中長期的なスパンでフォローしていく力が求められます。
中小企業向けコンサルだからこそ得られる喜びは、「結果をダイレクトに感じられること」
売上が伸び悩む企業の課題を明確にし、解決策を考え、経営者と共に実行していく。その結果、実際にクライアントの売上が伸びる。
苦しい経営状況から脱するために、コスト削減策を実行し、その結果、損益が改善され、資金繰りも安定していく。
このように中小企業向けコンサルのやりがいは、結果をダイレクトに感じられることではないでしょうか。
また、ほとんどの経営者は孤独で、愚痴を言える人も社内にはいません。人としての弱いところも時には見せるかもしれませんが、そのような人間臭さも魅力のひとつのようです。
金融営業など、過去「中小企業との折衝経験がある方」も積極的に採用
中小企業を主なクライアントとするファームのマネージャーにお聞きしたところ、同規模のクライアントへのコンサル経験がある方はもちろんのこと、地銀を含む金融系法人営業の方など、中堅中小企業との折衝経験などのある方への採用ニーズが高いようです。
また、近年では中小企業でもM&Aなどの案件が増えているため、会計士、税理士、経理部、経営企画部、簿記2級以上取得者等、会計・財務知識のある方は採用において有利に働くケースがあります。
中小企業診断士の資格も有利に働くものの、コンサルティングや折衝経験と併せてアピールするべきか
また、採用においては中小企業診断士の資格を持っている方も有利に働くケースが多いようです。
ただし、中規模ファームの採用担当にお聞きしたところ、あくまでも企業経営の経験ではなく「資格」であるので、プラスして先述の経験やスキルをセットでアピールすることが求められます。
参考:コンサルタントの転職やキャリアアップに有利な資格一覧【IT・MBA・英語・公認会計士まで】
年収はポテンシャル層で400万スタート、マネージャークラスでは1,200万~というケースも
また、年収は20代ポテンシャル層では、凡そ400万円スタートといったケースが多いため、ビッグファームと比較すると同じタイトルでも年収で100万以上の差が開くことがありますが、マネージャクラスになれば年収1200万円くらいで、他ファームと比較しても見劣りをせず、事業会社からの転職組も1年半くらいで元の年収水準を取り戻しているケースが多いようです。
中小企業への経営支援経験を活かし、自ら起業される方も
また、その後のキャリアパスとしては、同規模のクライアントを相手にするコンサルティングファームに転職される方、中小企業への経営支援の経験を活かし、自らベンチャー起業する方も中にはいらっしゃいます。
大手ファームに転職される場合は、クライアントの課題を上流から解決するといったコンサルティングの考え方は変わらないものの、クライアントの規模が変わるので、例えば会計の場合は、グループ間の連結会計が分かるかどうかなど、知識面では入社後のキャッチアップが求められるようです。
(参考)現代の中小企業が抱える課題は「大企業との相互利益の関係が薄れていること」
日本の99%が中小企業と言われていますので、コンサルタントとして活躍できるフィールドや市場規模は想像以上に広いと言えそうです。
この99%の課題を一概にまとめることは難しいですが、昨今中小企業の抱える課題の背景として共通する問題として、 中小企業向けコンサルティングファームのマネージャーにお聞きしたところ、以前は大企業と中小企業の間には相互依存関係が存在し、大手企業の業績が拡大することで中小企業もその恩恵を受けることができた一方で、現在はグローバル化の進展を背景に、この相互関係が希薄化してきているため、中小企業が自ら新しい販路や新しい事業を生み出すことが今まで以上に求められているといった状況があるようです。
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今回は、中小企業に強いコンサルティングファームの「働きがい」と「大企業向けのコンサルとの違い」についてお伝えしました。
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