今朝の日経新聞一面は、『「クラウド」普及へ投資』という見出しでした。
富士通や日立など大手ベンダのクラウドへの投資が本格化した、というもの。
この動きは各企業の設備投資の動向に限らず、求人にも現れています。
クラウドの波は確実に訪れていますね。
クラウドコンピューティングを推進するのに必要な人材は、
ズバリ「仮想化」の技術者。
VMWareやXenの経験のある方が垂涎の的となっています。
求人数が多いとまでは言いませんが、技術者の絶対数が少ないこともあり、
同経験の持ち主に対するニーズは非常に高くなっています。
さて、そんな話はさておき。
そもそもクラウドって?
という話は、IT Leader
Bizの特集記事に説明していますので、割愛します。
混乱を来しそうなのが、これまで似たような概念で世に出ていた、
ASP(Application
Service Provider)と
SaaS(Software as a
Service)との違いです。
ちょっと長くなりますが、お付き合い下さい。
どれも
「ネットワークを介してクライアントがシステムの機能を
使うことのできるサービス」
という点で共通しています。
という意味では、少なくともユーザ側にとっては本質的な点において、
「大きな差はない」と言ってしまっても良いでしょう。
「ASP SaaS クラウド 違い」というキーワードでググると分かるように
色々な方々が各々の立場で意見を述べています。
つまり、厳密に「これだ」というような定義もなく、曖昧な感じで
何となく概念として捉えられている、というのが実態です。
業界的に、それぞれの違いがどう捉えられているか、というと、
概ねこんな感じです。
◆SaaS(Software as a
Service)
「マルチテナント・アーキテクチャ」を採用しています。
すなわち複数のユーザが環境を共有しているという点がASPとの大きな違い。
サーバ、DBなどのリソースを共有することでスケールメリットが活かせ、
一層のコスト削減を図ることができるとともに、パートナー企業やユーザーが
拡張機能を開発し、それをコミュニティに寄贈してさらに機能を改善する、
といったWeb2.0的な開発にも期待できます。
なお、SaaSの料金体系はユーザ数に応じて課金されることが多いようです。
すなわち、SaaSが主にアプリケーション層のサービスの
提供であることに対して、クラウドではストレージやサーバ、
ミドルウェアといった領域までサービスとして提供している、
というものです。
PaaS(Platform
as a Service)や
XaaS(X(=everything) as a
Service)
といった概念に近いです。
ITProのこの図が分かりやすいです。
(参考:http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0810/27/news008.html)
ASP、SaaS、クラウドと、キーワードは時代の変遷と共に変わっていますが、
いかに企業の投資コストを削減し、ROIを高めるか、という点では
共通するサービス概念です。
クラウドという言葉もそのうち流行から外れるかも知れませんが、
こうしたサービス形態はまだまだ活況が続きそうですね。