山下さまは大学卒業後、都市銀行系シンクタンク経営コンサルティング部門に入社。その後、外資系コンサルティングファームでは最年少でのシニアマネージャーに昇格。
一貫してマネジメントコンサルティングに取り組み、組織・人事エリアにスペシャリティを持ち、大手から中堅、国内外様々な業種・企業へコンサルテーションする中、株式会社オプティムに参画した。
今回のインタビューでは、最年少シニマネなどコンサル業界で結果を残し続ける中、事業会社の経営企画にキャリアチェンジした背景や、現職で求められるビジネススキル・マインドについて伺った。
2社での全く異なったコンサルファームでの経験によってコンサルタントとしての土台がつくられる
―山下様は新卒で日系のシンクタンクに就職されています。学生時代から振り返り、コンサルタントになるきっかけや就職の経緯について教えてください。
大学時代に、地元のショッピングセンター内に出店している実家の靴小売店がコンサルタントに指導を受けるタイミングがありました。そこでコンサルティングという仕事の存在を知りました。
コンサルタントからの報告書を見て、「これは面白い職業だな」と思いコンサルタントとして働く意欲が高まったことを覚えています。ですので、大学2年から第二種情報処理、簿記2級、さらに中小企業診断士の勉強などをし、管理会計のゼミに入るなど、コンサルタントに必要な知識を備える準備をしていました。
当時は就職氷河期ということもありましたが、最終的には銀行内にあった経営コンサルティング機能を独立させたシンクタンクに入社しました。銀行系ということもあり、いわゆる組織、人事、ファイナンスなどのテーマが多かったです。また、クライアントも中堅企業が中心になるので、経営全般が見られる、社長と対峙できるという貴重な環境の中で約2年半コンサルタントとして働きました。
―その後、大手の総合系コンサルティングファームから声がかかり転職されています。どのような経緯だったのでしょうか。
ちょうど、会社が合併するタイミングで一度コンサルタントとしてのキャリアを見直してみようと思い、転職を意識しはじめました。
ある監査法人系ファームの戦略コンサルティングの部門で、組織・人事コンサルティングチームを立ち上げる話があり、組織・人事コンサルティングの担当者としてデリバリーできる人材がいないということで声をかけていただきました。
―前職のシンクタンクとの違いはどの点にありましたか。
クライアントの規模が大手になり、ナレッジ・リソースが充実した組織だったコンサルティングが行われていましたね。また、戦略コンサルティングの部門のメンバーのほとんどがMBAを持ち、戦略ファーム出身のコンサルタントも多く、そういった方たちと共に動くことで体系化されたコンサルティングスキルや経営知識に触れることができました。
また、組織・人事コンサルティングのチームとはいえ、戦略コンサルティング部門に籍があったので、組織・人事だけでなく、業績管理やIT・BPRなど幅広いテーマに対応する必要がありました。そのため、戦略的でロジカルな考え方を求められると同時に、様々な業界・案件対応力を求められましたね。
業務範囲でも違いがありました。前職の銀行系シンクタンクでは、銀行の取引先がほとんどでしたので、実質的な営業活動は銀行が担ってくれていました。一方で、総合系ファームでは、ファーストコンタクト、案件創造から自分たちコンサルタントが全て行うという部分は大きな違いでした。
―シンクタンクで得たスキルを活かせる機会はありましたか。
シンクタンクに比べ、文字通りコンサルテーションが多く、現場レベルの所謂運用まで入り込むことはめったにありませんでした。シンクタンク時代には、運用・フォローまで徹底するよう指導されてきましたので、人事関連の案件については業務レベルまでかなり深く理解していました。この理解が、地に足の着いた検討や運用段階まで見越したコンサルテーションとなり、クライアントはもちろんファームにも重宝されました。
―2社での全く異なったコンサルティングファームでの経験によって山下様のコンサルタントとしての土台がつくられたということでしょうか。
そうですね、総合系コンサルティングファームでは自分の強みを確認しつつも、前職にはなかった領域の案件やレベルの方々と働くことで足りないものを補充できたので、まさにこの2社での経験が私のベースを作っていると思います。
史上最年少でのシニアマネージャーに昇格
―それから3社目では人事系の大手ブティックファームに転職されます。転職されたきっかけを教えてください。
3社目は、組織人事コンサルティングでは世界的に有名なコンサルティングファームでした。当時の状況としては、企業における人事部門への期待値が人事のプロから経営・事業のパートナーへと昇華するなかで、人事へのコンサルティングを行っていたのでは十分な価値が提供できず、いかに戦略や経営と人事を結びつけた領域に入っていくかが課題となっていました。
2社目の総合ファームでの経験は人事を軸に多方面の案件に取り組んでいましたので、人事と事業や経営両方がわかるコンサルタントとして、その経験を買われ、お声かけいただきました。
自分自身も「人事のための人事コンサルをやっていたのではコンサルタントとしての成長に限界があるな」と思い始めていたこともあり、転職を決意しました。
―年収面では転職して変わられましたか。
1社目から2社目は上がりました。2社目から3社目は、ほぼスライドですね。
―お金ではなく、仕事の中身で転職を決意されてきたと感じておりますが、その理由を教えてください。
コンサルティングファームであれば、絶対値として給料が低いということはないと思います。人によって相対の対象が異なるので高低はでるとは思いますが、人事のコンサルタントをやっていた身からすれば、不自由なく、それなりの贅沢もできる水準だと思いますよね。
―他の業界に比べるとやっぱり水準は高いですからね。
それよりも、関わるテーマや、仕事が面白いかどうかが大切です。あとは、コンサルタントとしての成長が自分にとっての1番のやりがいで、お金が上がるか、上がらないかよりも大事だと思います。
―こちらのコンサルティングファームには何年ぐらいいらっしゃったのですか。
5年です。前職ではマネージャーとしてプロマネが中心でしたが、転職先では32歳で史上最年少でのシニアコンサルタント、他ファームで言えばいわゆるシニアマネージャーに昇格しています。
―マネージャーからシニアマネージャーにという立場になって変化されたことはありますか。
「この案件を取る」というところから始まるのがマネージャーですが、シニアマネージャーになると、そもそも案件自体を発掘しないといけないんです。提案書を書くだけでなく、クライアントへのファーストビジットから案件を取りにゆく挙動が求められます。組織としての数値も背負いますので、目標も大きく変わります。数億という金額で受注しないとメンバーに給料を払ってあげられないので、その責任感はマネージャーの時とは格段に違います。
―前職の経験が活かせたところはどのようなところでしょうか。
クライアント、特に経営層から信頼を得るには組織・人事だけでなく、業界やITなど広い知識や視野が求められます。これは、次の案件を獲得するための営業活動という意味でも必要です。シンクタンク、総合ファーム両社での経営と対峙した経験、幅広い業界・テーマの案件に関わった経験が活きたと思います。
―その後、事業会社への転職も視野に入れたとのことですが、結果的には2社目とは別の総合系ファームに転職されています。その経緯についてお聞かせください。
再度別の総合系ファームに転職を決めた理由は、組織・人事チームの立ち上げに関われるという理由ですね。振り返れば、その時の役割(役職)は違えど、転職の理由はすべて“立ち上げ”ですね。
当時、このファームではIT導入後の教育などトレーニング系の案件が中心で、組織・人事のコンサルティング案件は非常に稀である状況で、当然それができるリソースも限られおりました。ですので、入社段階で、明確に「組織人事チームの立ち上げとメンバーの育成をしてほしい」というミッションをいただきました。
―立ち上げと育成というマネジメント業務がメインでの採用ですが、コンサルタントとしてのキャリアという意味で後退するという不安はなかったのでしょうか。
全くなかったですね。並行して事業会社への転職を検討していたような状況でしたので、自分なりにコンサルタントとしてのキャリアに終止符を打つ整理はできていました。もちろん、漠然とパートナーになりたいという憧れはありましたが、やりたいこと、やってて楽しいことがすでに事業推進やマネジメントに向いていましたので、自分の気持ちに従った感じです。一人のコンサルタントとしてガリガリ仕事を進め、自分で成果を出し、評価される楽しさは体に染みついている部分もありましたけど、課されたミッションに対する拒絶反応は全くなかったです。どちらかというと、コンサルティングファームという慣れ親しんだ世界で、新しいチャレンジができるという喜びの方を強く感じていました。
―ここでの学びとはどのようなものでしょうか。
最大の学びは、自分が成果をあげるのではなく、自分を超える人材を作った方が投資対効果的にはるかに高いという考え方を身につけられたことですね。そういった考えもあり、全ての案件で自社の人材育成ができる案件の取り方・体制の組み方をしました。
「テクノロジーが戦略を定義する」時代の流れを感じ取りオプティムへキャリアチェンジ
―コンサルタントとして組織・人事の分野で数々の功績を残された後、現職の事業会社へとキャリアチェンジされた経緯について教えてください。
コンサルティングを行う中で、多くの企業がさらなる成長に向け「イノベーション」に取り組んでおられました。しかしながら、新事業・新ビジネスモデルの創出など、結果を残せているケースはなかなか少なかったように思います。私もコンサルタントとして、その苦しみをクライアント企業様と一緒に体験してきました。そんな中、AI・IoT・ロボットなど新しいテクノロジーが登場し、「戦略をテクノロジーが支える」から「テクノロジーが戦略を定義する」変化を感じ、まさにそれに取り組んでいるオプティムに出会いました。
AI・IoT・ロボット、さらにはビッグデータによって産業を再構築するというチャレンジは、非常に惹かれるテーマであり、もんもんとしていたイノベーションの実現に、光明が差した気がしました。
最先端のテクノロジーを事業化させ、新しい産業を生み出そうとするオプティムの事業方針の中で、組織・人事のコンサルタントとしての経験を活かし貢献したい!さらなる自分自身の成長を遂げたい!という思いを持ち、飛び込むことにしました。
―現在、山下様が携わっている経営企画の職務内容について教えてください。
経営企画に所属し、広い視野で「オプティムを成長させるために必要なこと」を実行する役割を果たしています。いわば、各事業部のメンバーが効果的にビジネスをプロデュースをしてゆくために何が必要なのかを考える仕事です。そのためには、バックオフィス機能の充実も当てはまりますし、事業側がやろうとしていることを実現させるために多様な人的リソースをいかにして集めるかなどといった人事の仕事も当然行います。領域は定義しにくいのですが、会社を成長させるために必要なことは、あらゆることをやっていいというポジションですね。
また、コンサルタントからしてみればすごく幸せな仕事でもあります。「提案書を書かずに、自分がやるべきだと思うことをやっていい」って言われているようなものですので。
―もちろんビジネスを進める手順はある中で、会社が成長できるものであれば前のめりで実行できるということですよね。
その通りです。組織・人事を含め、組織そのものの質を高める役割を、コンサルタントとは異なり、事業そのものの中で実行することが求められています。
―実際に事業会社で働かれてみて、コンサルティングファームと事業会社の仕事の違いについてはどのように考えていますか。
コンサルティングファームでの仕事というのは、例えば、川底を補修するというミッションがあったとすれば、誰かが水をせき止めてくれるんです。その間に川底をきちんと整え、「後で水を流してください」と伝えたところで仕事が終わります。一方で事業会社は、水が流れたまま川底を補修しないといけません。水を流し続けるリソースを確保し、水の流れが途絶えることなく川底を整える。この二つを並行する難しさを感じています。
―入口から最後まで責任をとりながら動けるのが事業会社の醍醐味という話をよく伺います。
実際に転職の相談でも達成感や充実感を求めて事業会社への転職を考えるコンサルタントが多いですが、その点についてはどう感じていますか。
コンサルタント時代はあくまでも<他人の家の話>で、クライアントを成功に導いても「良かったですね」で終わってしまうのですが、事業会社では提供する人とそれを受け取る人の利益が一つに重なるので、自分が関わったことに対する達成感のリターンが全然違いますね。
―コンサルタント時代では得られなかった成長の環境についてはいかがでしょうか。
現職では新しくプロダクトを生み出し、それを実際に導入・運用することで新しい課題に立ち向かうことができます。誰も手がけていない未知の領域に自分を置くことで、今まで得たことを活かしながらも新しい自分の能力に出会うことができます。また、特にオプティムでは新しいプロダクトもそうですが、それを取り囲む新しい産業までも生み出せる可能性に面白味を感じています。
―今後の現職での展望について教えていただけますでしょうか。
当社は数年前にAI・IoT・Robotへと大きく舵を切りました。会社としても投資を寄せており、事業を軌道にのせるために、現場は毎日頑張っています。この領域は、どこが結果をだすか?という段階に来ています。今やらなかったら意味がないという勝負の時に差し掛かっており、ここでやるべきことをやり切れるかどうかが、このマーケットで勝ち残れるかどうかを決めると思っています。非常にスピードの速い世界なので、日々刻々と事業の状況が変わります。その中で、経営企画として、その実現に向け必要な体制をいかに組んでいくか考え、しなやかに実行するよう心掛けています。
事業成長のフェーズは、どうしても事業(関連)投資に目が行きがちですが、そこで頑張ってくれているスタッフ、これから一緒に頑張ってくれるスタッフが思いっきり活躍できる組織・制度設計を行う、この両方の視点を持つこと、戦略的にバランスさせることが重要だと思っています。会社が、個々のスタッフが、取り組んでいるこの大仕事を成功できる体制をいかにスピーディにつくりあげるかが、今後の展望であり、ずっと取り組み続けるテーマですね。
―ありがとうございます、最後に転職を考える方に向けてメッセージをお願いします。
2020年までに全ての企業がソフトウェアの会社になり、今までの産業分類では分類しきれない企業がたくさん生まれてくると思っています。オプティムは既存の分類ではITサービス業ですが、今ではお米を売り、医療機器も売ります。このような世界の中で、今までの延長線であり続ける仕事はもう存在しえないと思っています。数か月で大きく産業構造が変わる時代であり、自社のみを見ていたのでは世の中の流れに置いて行かれるリスクがあります。是非、様々な企業の事業と人材ニーズの変化をウオッチし、キャリアを自分事として一緒に考えてくれる信頼できるプロエージェントを見つけ、定期的にコミュニケーションをとることをオススメします。
そして、世の中にはもう「安定している会社」というものは存在しないと思っています。不安定な田んぼでしっかり歩くために大事なのは自分の足腰。どうやって偉くなるかとか、どうやったら給料が上がるかとか、そういう表面的な話ではなくて、ビジネスマンとして、そして人として足腰を鍛える必要があり、それができれば自ずと偉くもなるし給料も上がると思います。ビジネスマンとして、そして人として足腰を鍛えるにはどのような会社に入れば良いのか、そして自分の生きた証として何を残してゆくのか、ということをぜひとも考えてほしいと思います。
※山下様への会社紹介インタビューも併せてご覧ください。
「株式会社オプティム/我々はAI・IoTを用いた「新しい産業のかたち」を生み出し、社会課題を解決したい!」
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/optimintv
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