2015年をピークに減少が続いていたM&A市場ですが、2018年は2011年以降で件数・金額とも最高となりました。また、2019年に関して言えば「事業承継を巡るビジネスは今後10年間は伸びる。2019年も当然活況」という声もあります。
(日本M&Aセンター https://www.nihon-ma.co.jp/page/media/190121nikkeibusiness/)
M&A市場は活況な一方で、コンサルタントが事業会社のM&Aポジションにキャリアチェンジする際には、スキルのミスマッチにより見送られるというケースも多く存在します。そこで、今回は事業会社のM&Aポジションで必要とされるスキルや経験、その他注意点をご紹介します。
【目次】
その事業会社の「M&Aポジション」は、M&Aのどのフェーズから担当するのか?
これはM&Aに限ったことではありませんが、まずはそのポジションで求められている役割を確認することが大切です。ご存知の通りM&Aには、
- 戦略策定
- ターゲット選定
- NDA締結
- 基本合意書締結
- デューデリジェンス
- 最終契約
- PMI(統合後の部分)
といったフェーズがあり、同じM&A担当の募集でも企業毎に「どこを担当するか」「どこに重点をおいているか」は異なります。事業会社側のM&Aフェーズを理解せずに、求められているスキルとアピールポイントとの乖離が生じることで見送られているケースが多くあります。
M&Aの各フェーズで求められるコンサル経験
- M&Aは手段で、戦略策定がメインの場合
なかには、「中期経営計画策定の選択肢」としてM&Aを選択する可能性があります。この場合にはM&Aはあくまでも手段で、戦略策定フェーズから関わるので、戦略コンサルティングファームでの戦略策定経験がそのまま活きると言えます。
- M&Aの前半工程を重視する場合 (Pre Deal、Deal実行)
一般的に、大手になるほど買収先も大きくなる傾向にあります。買収額も莫大になることから、リストアップからデューデリジェンスまで会社としても失敗できない決定となります。よって、投資銀行のM&A部門といった事業内容に親和性の高い経験をしてきた人材をこぞって採用したがるようです。コンサルティングファームや監査法人出身の人材であれば、M&Aアドバイザリー/コンサルティング、FASでの財務モデリング、企業価値産出経験などが必須となります。
- 買収後のPMIを重視する場合 (Post Deal)
こちらの場合も同様に、コンサルティングやアドバイザリーでのPMI関連業務経験を求められることが多いとされます。特に、バックオフィス系(財務、経理、法務、人事制度、IT)の分野に強みがあると有利に働くようです。
ただし、今はコストシナジー、製造、営業等、よりも事業サイドのPMIが注目されているので、上記分野の業務改革コンサルタントなどもチャンスが生まれつつある状況です。大きな理由としては、M&Aの結果、減損やシナジーが出ていないケースが全体の30%にも上ることが判明しており、(CFO協会とのサーベイや座談会等の結果)事業会社もバリューアップやシナジーの出し方に目が行くようになっていることが挙げられます。PMI関連経験のないコンサルタントの方は、監査法人のM&Aアドバイザリー部門などに入社して事業部サイドの分科会で統合支援経験を積み、M&A戦略立案といった上流へとキャリアアップ後、事業会社M&Aポジションへチャレンジする方法もおすすめです。
共通して、事業会社だからこその注意点も押さえておきたい
コンサルタントやアドバイザリーから事業会社M&Aポジションへのキャリアチェンジ後につまずく方に総じて言えることとして
- 絵を描いたような提案にならないよう、実行するのが自分という当事者意識を持つ。
- PMIにおける買収先企業の意識統合など、ロジックでなく、心で人を動かすスキルが求められる。
- また、上司や経営サイドの意思決定が思いのほか遅いケースはよく聞く話。事業会社の意思決定のスタイルを事前に理解しておくこと。
などが挙げられています。
M&Aに限らず事業会社に転職したコンサルタントあるあるですが、事前にこういったよくある注意点を理解しておくと、入社後ミスマッチも少なく、キャッチアップしやすいと言えます。特に多くの思惑が動くこととなるM&A要件では、冷静にポイントを押さえておくことが活躍の条件となるようです。
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今回は、コンサルから事業会社のM&Aポジションを目指す際に求められるスキル・経験と注意点についてご紹介しました。
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