今まさに黎明期を迎えつつあるコンサルティングファームの「関西拠点」ですが、興味を持ちながらも新しい環境に対して不安を感じられる方が多いのではないでしょうか。今回は、弊社に寄せられるご相談のなかから特に集中する疑問をピックアップし、関西拠点の最新状況についてお伝えします。
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「コンサルファーム「関西拠点」の特徴と得られるスキル・経験」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/kfskill
【目次】
関西拠点だと、未経験で入ってもキャッチアップできないのでは?
未経験の方からよくあるご質問のひとつに「関西支社は立ち上げフェーズなので人数が少なく、未経験で入ってもキャッチアップができないのではないか?」というものがあります。しかしながら、実のところ現在こそ「人数が少ないので、逆に一人ひとりの育成に力を入れているファームが多い」段階と言えます。
ご存知の通り、マッキンゼーなど名だたる大手ファームでも関西に支社を出したのが2018年です。まだまだ人数が少なく、採用に注力しているフェーズです。
心配されている方が多くいらっしゃるものの、むしろ各ファーム人数が少ない分、入ってきた方に対して手厚くフォローアップする体制が整っているなど、採用と育成に対する意識の高いことが大半のようです。
ある外資系ファームでは、
- 1人の新入社員に対し4~5名でフォローアップ体制を組む
- パートナーが直接面倒を見る
など、手厚い育成体制がとられているといいます。
ちなみに、上記のファームは退職率が2~3%と群を抜いて低い数字を残しています。もちろん、人数規模や教育環境についてはファームごとに大きく状況が異なりますので事前に調べておくことをおすすめします。
関西拠点だと、より専門性が求められるのでは?
こちらも多くの方が気にされている点ですが、現在ではスペシャリストよりもジェネラリストが求められているフェーズと言えるようです。
関西オフィスは人数が少ない分、総力戦で案件に取り組みます。そのためファンクションやインダストリーで分かれていない、『ワンプール制』のファームが多くなっています。
もちろん専門性というワンポイントでの採用もありますが、内情としては「ファイナンスの人材がSCMの改革プロジェクトに入る」、「ITの人材がM&A戦略プロジェクトに入る」といった分野縦横型のケースが実際にあるようです。
「これからはクロスインダストリー/クロスファンクションで新しい価値を創造できる人材のニーズが高まっていく。関西は経験の幅を広げられるため、非常に良いフィールドが拡がっている」と語るパートナーの言葉に、関西で働く魅力が集約されているのかもしれません。
関西拠点だと、東京と比べて年収が下がったりしないのか?
拠点に関わらず、転職の際には必ずと言っていいほどポイントになる年収の上下ですが、実態は「東京も大阪も年収体系は同じ」と言えます。むしろ、関西オフィスに行くことでインセンティブを付与するといったファームもあるようです。
ただし、自分自身を評価するパートナークラスが東京などヘッドオフィスにいるファームも多いため、物理的な問題でプロモーションする機会が少なくなる可能性はあります。解決策として、マネージャークラスの場合にはセリングなど「定量的な成績も積極的にアピールする」、また「採用人数、若手の勤続年数などマネジメント面でも結果を残す」といった心掛けが大切になってきます。
※ただし、東京から関西拠点へ行く場合、新しくクライアントを作っていくことが求められる場合もあります。そういったケースでは、拠点の商工会などに積極的に訪れ、なんでも相談しやすい関係を築くリレーションスキルが大切になるようです。
関西拠点だと、クライアントの規模が小さくなるのでは?
「売上クライアントトップ10社の内、3社を大阪オフィスが担当」というファームもあることから、クライアントの規模が下がることはないと言えるでしょう。
近年は関西でもコンサルの認知度が高まり、案件も増えてきている状態です。また、2025年の万博開催決定やIR招致など今後の関西経済にはポジティブな要素が多く存在しています。これに関連して産業・経済が非常に伸びており、「おのずと事業会社も動きビジネスチャンスが広がる」という声が多数派のようです。
一方で、ITで言うと関西では現在「SAP」がホットトピックであるように、東京と比較すると3~5年ビジネスの周期が遅れているという印象を持たれているのではないでしょうか。「セールスフォースが最近出てきた」という声が複数のファームからあがっていることからも、一定のタイムラグがあることは事実のようです。ただ、まさに「成長期」とも言うべき環境で産業の新陳代謝は東京よりも速いため、自ずとその時期を潜り抜けた企業と付き合うこととなり、コンサルティングへの要求水準が高いという声もあります。
最新のナレッジや案件に関わるというよりは、汎用的なデリバリースキルを成長させられる環境という捉え方がより正確と言えるでしょうか。
関西拠点だと、案件も関西地元マーケットに限られるのでは?
クライアントや案件事態が限定されているように思われがちですが、関西には東京よりも海外駐在などグローバル案件に関われるチャンスが多くあります。関西という特性上、クライアントには製薬や製造業が多く、一般的に売り上げの海外比率が6~7割と言われています。そのため、ファームに相談される案件も出張を伴うような海外事業戦略、グローバルでのERP導入案件といったものが多く存在するようです。
基本的にはどのファームでも英語力のある人にはチャンスが広がっていると言えるのではないでしょうか。採用でも英語に対する評価が高く、海外案件に触れて活躍したいという方には挑戦しがいのある環境のようです。
関西からパートナーに上がれるチャンスがあるのか?
関西オフィスは0ベースで組織作りから行っているファームもあり、中には「パートナーの椅子が空いている」というファームもあるといいます。東京のように上にパートナーが詰まっているのでこれ以上昇進ができないという悩みを抱える必要がないという声もあります。一方で、年収を上げる際の注意点と同じく、パートナーなど評価者が東京にいることで自身の積極的なプロモーションが必須となるファームもあるので、事前に組織体制の確認をした方が良いと言えるでしょう。
(ご参考)家族や生活に関する心配は?
ご家族がいらっしゃる場合には、リビングコストや新しい環境での生活に不安を抱える方も多いのではないでしょうか。リビングコストという面では、もちろん地域にもよりますが、東京都心と関西の都市では関西の方がやや安くなる傾向にあります。また、生活費の多くを占める住宅費では、東京と大阪の駅で最も乗降者数の多い地域を比較するとワンルームで1万円以上、1LDKともなると5万円もの開きがあります。東京と比較し、「関西のリビングコストは東京の6-7割程」というパートナーの声もあるようです。
また、小さなお子さまがいらっしゃるご家庭からは子育て面での不安も多く寄せられますが、関西拠点で働く方の生の声として、「保育園も待機待ちが無く、すんなり入れる」とのことです。
住環境を変える場合には事前に全ての不安を払しょくするのは難しいものの、入念に下調べを進めることで確実にプラス要素も見えてきます。現在盛り上がりを見せる関西では「住めば都」となる可能性も大いにあると言えるのかもしれません。
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今回は、コンサルティング「関西拠点」へのよくある不安と回答例をご紹介しました。
キャリアでお悩みの方はぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。