こんにちは。 アクシスコンサルティングの大津です。
システムエンジニア(以下、SEと表記)の方とご面談する時、「SEからコンサルを目指したい」というご相談をいただきます。
転職市場ではシステム開発経験のある方のニーズが高まっています。それはコンサルティングファームも例外ではありません。
今回は、”SEの転職先としてのコンサルティングファームとして、採用動向~選考対策~キャリアップの注意点までまとめました。
【目次】
- コンサルティングファームにおけるSE採用ニーズは高まっている
- 直近、SE経験者が特に求められているコンサルのポジション・役割
- SEからコンサルに転職する3つのメリット
- 【年齢別】SEからコンサルタントになるために必要な経験・スキル
- SEの方特有の、採用選考時のよくある落とし穴
- エンジニア出身コンサルタントのキャリアアップ時の注意点
- (ご参考)エンジニア出身コンサルタントのキャリア事例
コンサルティングファームにおけるSE採用ニーズは高まっている
現在、コンサルティングファームではSEの採用ニーズが高まっています。 AI、IoT、ビッグデータなどの先端テクノロジーが台頭し、企業の成長戦略とITが切り離せなくなったことで、外資・戦略系問わず、ITを絡めた顧客の成長戦略・課題解決を提案するシーンが増えており、それに伴い採用が加速しています。
従来は大手SIerでPMを経験している人材が採用ターゲットでしたが、現在は実際に手を動かしシステムを開発するSEも採用ターゲットに入るようになりました。
外資総合系ファームには、技術ベースのITコンサルティング&ディベロップメントといったエンジニアのスキルを最大限生かせるチームで50歳までの積極採用を行っているチームもあります。
参考:「「二次受けSIer・40代エンジニア」のコンサル転職事情について」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/40sier
特に、最先端のテクノロジー領域では、即戦力の採用はもちろん、多くのコンサルティングファームでは【SEを採用後に社内で先端テクノロジー領域に強いコンサルタントを育成する】方法に切り替え始めています。市場が成熟する前のここ数年が新しい領域に飛び込むチャンスかもしれません。
先端テクノロジー領域以外でも様々なキャリアパスがあります。コンサルティングファームはインダストリー(業界)とソリューション(サービス)、2つの軸がマトリクス状になり組織が構成されています。特にSEはソリューション軸との親和性が高く、IT戦略ポジションの他にもCRM・SCM・HCT・BIなど、スキルに合わせて様々なソリューションからコンサルティングファームへチャレンジすることができます。
直近、SE経験者が特に求められているコンサルのポジション・役割
直近では、大手コンサルティングファーム、大手戦略系ファームを中心に、SEを採用し、デジタルの構想策定から導入までワンストップで支援するためのチーム・組織作りが率先して行われています。
■デジタルトランスフォーメーション(DX)職
現在は事業会社のデジタルトランスフォーメーション推進案件があらゆるインダストリーで増えており、「ITに強い人材」としてSEの方が採用されるケースが増えています。
たとえば、外資系総合ファームのリスク領域や内部統制に関わるチームでも、グローバル化やクラウド、RPAやAI等の先端テクノロジー利用に伴い、あらゆる業界のガバナンスやビジネスリスクが変革期にあるため、クライアントの課題を見極め、課題解決に向けての「ITガバナンス態勢や新しいシステムを用いた内部監査支援が必須」とのことで、パートナーにお聞きしたところ、「従来の内部監査やリスク領域のご経験者以外に、IT領域のご経験をお持ちの方を積極的に採用します。」との回答をいただきました。
SE出身の方には、「データ分析、人工知能といった最新テクノロジーを活用した内部監査の実施」など、テクノロジーを用いた効率的なルール違反や不正の精査、人的ミスの排除など、テクノロジーが進化する過程の現在、まさにそのテクノロジーを用いて業界を変革する大きな役割が求められているようです。
キャリアとしては、まずはシステムの知見を活かして活躍が期待される一方で、あくまでもコンサルタントであるため、ゆくゆくはIT以外の経営に近い立場でのパフォーマンスが求められることも多くあります。
■データサイエンティスト職
また、データ分析のニーズが高まる中、コンサルティングファームでも積極的にデータサイエンティストの採用を行っております。
特にエンジニア寄りのデータサイエンティストとしてキャリアを歩んできた方には、「顧客の課題解決に直接かかわりたい」と考えている方もいらっしゃると思います。
外資系ファームのパートナーにお聞きしたところ、コンサルのデータサイエンティストに求められるのは、「既存事業×ビッグデータの組み合わせによる新規ビジネス創出や、これまで成しえなかったクライアントにとっての大きな経営判断支援など、データをどう有効活用するのか、データをもとにどうクライアントを動かしていく」といった役割であり、あくまでもデータ分析に強いコンサルタントとして、インダストリー側と協業しクライアントの根本的な課題解決や、そこからさらに新規事業の立案に積極的に関わることができることが多いようです。
参考:「コンサルファームの「データサイエンティスト職」へのよくある質問・不安と回答例」
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/DS
SEからコンサルに転職する3つのメリット
ご存知の点も多いかと思いますが、SEが上記のようなコンサルタントになるメリットを3つご紹介します。
1.より上流から顧客と関わることができる
企業にもよりますがSEの仕事は、すでにシステム化が決まっている状態で仕事がはじまります。受注したシステムを開発するためにどのような技術を使うか検討し、実際にシステムを構築していきます。
一方でITコンサルタントは顧客の経営課題をまず確認します。システムの要件定義や設計に入る前段階で、顧客の課題を見極め、システム化する部分としない部分を判断し、システム化する部分の構想を練ることが仕事です。ただし、応募の時点で業務内容・ビジネスフローの確認をおすすめいたします。
参考:「コンサルファームのエンジニアは結局社内下請けになってしまうのか?」
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/Engineertoc
2.キャリアの選択肢が広がる
コンサルタントになることで様々なキャリアパスが選択できるようになることも大きな魅力です。
実際にITコンサルタントから戦略コンサルタントや人事コンサルタント、あるいはセキュリティーのプロフェッショナルや事業会社のIT戦略室はたまたCIOへとキャリアをアップデートされている方も多数います。
3.年収がアップする
コンサルティングファームに転職すると年収が大幅アップするケースが大半です。例えば、35歳で連結会計システム導入をしていた方は年収700万円から大手総合系コンサルティングファームの商社チームに転職し、年収が250万円アップしました。
また、大手製造メーカーの28歳SEの方は年収600万から戦略コンサルティングファームへ転職し年収が100万円アップしています。
キャリアの可能性が広がるだけでなく、年収アップできる点もコンサルティングファームへ転職する魅力ではないでしょうか。
参考:【未経験からコンサルタントへの転職】年収は上がるのか?ファームの年収・給与体系と未経験からの転職事
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/consul/money.html
【年齢別】SEからコンサルタントになるために必要な経験・スキル
SEからコンサルタントになるためには、年齢によって求められるスキルが異なります。
※ただし、明確な年齢の区切りはないため、参考値としてご覧ください。
・20代の方
20代の方の多くは、コンサルタント~シニアコンサルタントの職位での採用となります。(20代前半の場合はアナリストでの採用も)少なくとも3年程度のシステム開発経験とSIプロジェクトで要件定義・運用に参画した経験が求められます。
20代はポテンシャルの割合が高いため、システム開発の経験にプラスして英語スキルなどがあれば、同じテクノロジー領域でもサイバーセキュリティやAI、IoTなどの先端テクノロジー領域にもキャリアの可能性が広がります。
・30代前半の方
ご経験にもよりますが、大体はシニアコンサルタントの職位で採用となります。30代前半は20代に求められるスキルだけでなくプロジェクトにおけるPLの経験やクライアント折衝の経験が求められます。ソリューションだけでなく、業界知識の専門性もあるといいでしょう。
また、コンサルティングファームに転職すると同年代の方や自身より年下のコンサルタントが上司になることも珍しくありません。素直さや適応力も面接でチェックされるポイントになります。
・35代後半~40代前半の方
コンサルティングファームでは35歳までにマネージャーになることをキャリアにおける1つのマイルストーンとして置いています。
最近はコンサルティングファームでもエキスパート職(技術職)のキャリアパスが整備され始めていますが、35歳以上でコンサルティングファームへの転職を検討されている方はマネージャーのスキルを指標として捉えるといいでしょう。
そのため、
- 大規模プロジェクトのPM
- クライアントリレーション、ベンダー管理の経験
- 課題解決/提案能力
などのスキルが求められます。
全体的な対策としてコンサルタントと親和性の高い業務に携わっていると選考の際に加点要素となります。企業全体のIT戦略策定を経験していたり、SEとしてのスキルだけでなく、顧客折衝に関する経験・スキルがある場合は職務経歴書に明記するといいでしょう。
年齢が上がるにつれて求められるスキルや転職ハードルも上がってきますので、コンサルタントのキャリアを検討されている方は早めに行動に移した方がキャリアの可能性が広がります。
SEの方特有の、採用選考時のよくある落とし穴
コンサルの採用においてSEを含めたエンジニアの方によくある落とし穴についてご紹介します。
■職務経歴書の書き方
職務経歴書の書き方のよくある間違いとしては、プロジェクト内容を説明書のごとくあらゆることを上から順に書き並べてしまう点です。
職務経歴書は自身のキャリアの棚卸しという点でも重要ですが、あくまでもそれを見るのは応募先企業の人事担当者や現場の方です。
見る側からするとその人のこれまでの経験や強みを確認するための書類なので、そのような視点で作られているかどうかがポイントです。
PM経験、クライアント折衝、ニューテクのナレッジ、また業界で希少価値の高いSAPの開発・導入スキルなど、入社後に求められるスキルと親和性が高いものをアピールするようにしましょう。
参考:「コンサルタントへ転職するための志望動機の作り方」
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/0713/2648.html
参考:「受かる職務経歴書の書き方。提出先企業によって内容を変えるべき?」
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/1006/2699.html
■面接時のコミュニケーション
エンジニアの方によくある面接の見送り理由として、コミュニケーションスキルが挙げられます。
コンサルティングファームにおけるキャリアアップは、タイトルが上がれば上がるほどコンサルタントのKPIはいかにクライアントから案件を受託できるか、つまりセリングスキルにかかっており、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が問われてきます。
勿論エンジニアに限りませんが、手を動かすことが多く、ビジネス上でコミュニケーションの機会が少ない場合、事前に面接対策をした方が結果的に上手くゆくケースが多いです。
「結論から話す」「端的に話す」「相手の目を見る」といった基本的なスキルを事前に抑えておくだけでも印象、結果が変わってきます。
参考:「面接での印象を良くするたった3つの方法」
https://www.axc.ne.jp/column/2015/0621/2623.html
上記2点に関しては、弊社でも入念な対策を行っておりますので、ぜひご相談くださいませ。
エンジニア出身コンサルタントのキャリアアップ時の注意点
最後に、SE含めたエンジニアの方がコンサルティングファームに入社後、キャリアアップするための注意点についてお伝えいたします。
■「上流工程」の違い
SEの方がコンサルティングファームに転職した際に驚くこと、そしてハードルとなるポイントは、SEとコンサルの「上流工程」の違いでしょうか。
SEのスキルをそのまま生かす組織やポジションでも、コンサルティングファームではあくまでもPJごとの内容に合わせて機能的で詳細なシステム方式設計を実施することが求められており、同じ「システム開発」でもファームの場合は契約内容にとらわれない仕事を推奨するチームが多いです。
外資系ファームのリスク部門でも、SEの上流経験がある方を積極採用していますが、入社当初はシステムの知見を活かしながらも、「クライアントの組織やビジネスを理解した上で全社的なリスクマネジメント態勢構築を行うことがミッション」とのことで、いずれはIT以外の領域にチャレンジしたり、経営に近い位置でパフォーマンスを残すことが求められてきます。
参考:「SEとITコンサルが言う『上流工程』の違いと特色」
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/se_cous/02.html
■自分の「担当範囲」を越えられるか
また、エンジニア出身のコンサルタントには、チームの領域や契約にこだわって「範囲を決めてしまいがち」というパートナーの声もあります。
先日お会いした外資系ファーム・M&Aチームのパートナー曰く、自身がエンジニアだった過去も踏まえて、「エンジニア出身のコンサルタントにありがちなのは「私の担当する領域はここだから」と領域を切ってしまうケースですね。確かに契約上そう書いてありますが、クライアントの課題がどうやらそこではないと気づいた際には、決められた領域にこだわることが必ずしも正ではないと思います。」と語っています。
また、エンジニア出身からパートナーに昇格できた理由としては、「ITに関わらず、クライアントから相談されたことはどんなことでも返答するようにしており、亜流かなと思うテーマでも、一旦は受けて、何かしらレスポンスすることで信頼が生まれ、次の仕事が生まれてゆきます。私自身そういう仕事の広げ方をしてきたからこそ、今のポジションにいると思います」と語っています。
■「最後の最後でシステムが残れば良い」という考え方を捨てられるか
また、他のパートナーはコンサルの仕事は最終的にクライアントから「ありがとう」と言っていただくことであり、必然的にソリューションはテクノロジーである必要性がないと語っています。
エンジニアからコンサルタントとしてキャリアアップを目指す方は、領域や契約に捉われず、クライアントの課題解決の「手段」としてITのという意識が大切なようです。
参考:「「戦略ファームの役員になれる」ITコンサル、「システム屋で終わる」ITコンサル」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/itconsultantst
(ご参考)エンジニア出身コンサルタントのキャリア事例
最後に、SE出身のコンサルタントのキャリア事例およびインタビューをご紹介します。
・「金融営業からベンチャーSE、SIerを経て国内大手コンサルティング会社のマネージャーに」
https://www.axc.ne.jp/column/consultant-next-career/09.html
・「中堅SIerのSEから大手外資コンサルファームのシニアマネージャーまで昇進した事例。キャリアアップの過程で何を意識してきたのか?」
https://www.axc.ne.jp/column/career-change-case/consultant-next-career/04.html
・「大手SIerからベンチャーを経て大手外資コンサルに転身した事例。大手ベンチャー両方を経験して感じたこととは?」
https://www.axc.ne.jp/column/career-change-case/consultant-next-career/03.html
・「28歳大手メーカーSEから戦略コンサルタントへ〈転職のきっかけ、面接対策、現職の課題について〉」
https://www.axc.ne.jp/column/career-change-case/consultant-next-career/02.html
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今回はSEの転職先としてのコンサルティングファームについてお伝えしました。
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