連結会計システム導入実績No.1を誇る、アバントグループの株式会社ディーバ。今回は、取締役執行役員 マネジメントコンサルティング事業部長の森本朋敦様にアクシスコンサルティングの洲脇豪人がインタビューしました。
文中の情報及びデータ等は2016年3月現在のものです。
完成までにお金と時間がかかりすぎる。
その問題を解決するためにディーバへ
洲脇
まずは、森本様のこれまでのご経歴からお伺いします。
森本様
新卒でNTTに入社しましたが、社会人2年目のときにコンサルタントになりたいと思い、会計士の資格を取得しました。
その後、朝日監査法人(現・あずさ監査法人)に入社し、監査の仕事をしていましたが、その間に朝日監査法人とアーサー・アンダーセンが合併してコンサルティング部門を立ち上げることに。
そこでアーサー・アンダーセンのコンサルティング部門に異動し、30歳からコンサルティングの仕事をしています。
6、7年在籍していましたが、外資系のファームだと日本はブランチ的な立場になり、お客様のグローバル案件にも対応しにくい部分があることや、経験のあるコンサルタントの人数が足りないことなどに、ジレンマを感じるようになったのです。
それならば自分たちで会社をつくるしかない、ということで会社仲間と2001年にコンサルティング会社を設立し、管理会計や原価管理など経営管理領域をメインに12年間仕事をしていました。
しかし、なかなか良いソリューションがなく、完成までにお金と時間がかかりすぎるという問題を常に抱えていました。
その頃にディーバでグローバルな管理会計の製品をつくる話があり、私が製品開発のアドバイザーとして関与することに。
これから世の中に出ていく製品という面白さもありましたし、この製品なら自分が抱えていたお金と時間がかかりすぎるという問題もクリアできると考えたため、3年前にディーバに移りました。
立ち上げから9ヵ月。
まだコンペで負けたことがない
洲脇
御社の事業内容とマネジメントコンサルティング事業部の業務内容についてお聞かせください。
森本様
ディーバは1997年に連結決算パッケージの開発および導入保守からスタートし、2000年の会計ビッグバンの時流にも乗りながら成長してきました。
お客様が急速にグローバル化してきている背景もあり、管理会計、KPIマネジメント、原価管理などの経営管理の領域にニーズが広がっています。その一環として連結管理会計パッケージの開発があり、そのニーズに対応できるよう製品ラインナップを広げてきました。
経営管理領域というのは、お客様にとって初めての取り組みというケースが多く、単に製品を提供するだけではお客様のニーズを満たせません。
上流コンサルティングや業務ルール、業務プロセスの改革というような業務コンサルティングを提供しなければ、お客様の本当の期待には応えられない。そこで去年の7月にこのマネジメントコンサルティング事業部を立ち上げました。
洲脇
御社は大きく言うとITの会社というイメージがあると思いますが、マネジメントコンサルティング事業部は今までのシステム導入部隊とどのように関わっているのでしょうか。
森本様
まず、現状の課題の洗い出し、最終的にどのような姿を目指すべきか、あるいは実現性を考えた時にどの辺が狙い所になるか、という業務およびシステム構想とそれを実行するための実行計画づくりが最初の基本構想フェーズとなります。
そこから必要なシステムの導入に関しては従来の導入部門が担当し、業務ルールや業務プロセスのコンサルタントは私の部門で支援します。
洲脇
マネジメントコンサルティング事業部が立ち上がる前はどのようにフォローしていたのでしょうか?
森本様
私自身は導入部門の責任者を担当していた時期もあり、業務ルールの部分も他の業務と並行して細々とおこなっていました。しかし業務ルールを作るにはかなり労力がかかることもあり、他の業務にも支障が出ないように事業部として独立させました。
独立させたことで、私の部門がどのようなバリューを提供するのかが、お客様側からもわかりやすくなったと感じています。立ち上げから9ヵ月ほど経過し、役割分担も定着してきました。
洲脇
経営管理、連結管理に特化している会社はあまりないと思いますが、その領域に絞ったからこそ発揮できるバリューはどのようなことがありますか。
森本様
弊社が連結会計の会社だということは多くのお客様に認知されていますので、連結の部分で提供できる価値が大きいことも理解されています。
メンバーからすると連結に絞っているため、どのような専門性を磨いていけば良いのかもクリアになっていると思います。逆にそこに魅力を感じない人もいるかもしれませんが、興味や成長機会を求めている方にとっては、そこを深掘りしていけば良いため、キャリア形成上もわかりやすいのではないでしょうか。
洲脇
総合デパートを目指すか、専門店を目指すか、ですね。
森本様
ちなみに、立ち上げて9ヵ月ですが、コンペでまだ負けたことがありません。
お客様からするとコンサルティングはどの会社に頼むかより、誰に頼むか、という要素のほうが強いです。そういう意味では、専門性があって経験も豊富なことは一定の評価をいただいているところだと思います。
お客様のところにお邪魔すると「やっぱり安心だね」と言っていただける確率も高いですね。
仕組みを作るだけでなく、
成果を上げるところまで支援しないと意味がない
洲脇
市場やお客様からの要望の変化は感じていらっしゃいますか?
森本様
経営管理に関するコンサルティングのニーズは高まる一方で、マーケットはまだ成長しています。
お客様からのさらなる期待はやはりグローバル化に伴う海外子会社への対応ですね。海外子会社の情報を正確に早く出す部分を現地で支援してほしいというお話もあります。
まだ弊社は海外にそういった部隊がありませんので、これが次の大きなチャンスです。海外の拠点展開は当然必要だと考えていますので、そこを担ってくれる方は非常にウエルカム。ぜひ来ていただきたいです。
経営管理はあくまで業績を上げるためのツールに過ぎません。仕組みを作るだけではなく、業績向上を支援していくコンサルティングをおこなわなければ意味がないと思っています。
洲脇
成果を上げるところまで支援していくということですね。業績向上を支援するというのは、具体的にどういった切り口のコンサルティングになるのでしょうか。
森本様
例えば、原価計算の仕組みを作ることが第1歩目。そこで出た原価情報を使って生産現場の改善を進めて行くのが第2歩目です。第3歩目に儲かっている領域と儲かっていない領域の選択と集中をおこなうという流れになります。
捨てるものを選択して残すものを伸ばすために何をすべきかを考えることは、原価情報、収益情報で分析できるのです。
とあるお客様の例では、分析の結果、医療機器ベンチャー企業の設計段階に踏み込むことが最重要という結論になり、それをもとに全国の医療ベンチャーに営業をかけました。すると受注が取れて売り上げが伸びたのです。原価管理改革は営業改革に必ず行き着きます。
このような営業改革まで切り込んでいくコンサルティングをして欲しいという要望をお客様からいただいていますが、メンバーが足りないため、お待ちいただいている状態です。
コンサルティングの経験がある方はもちろん、経験はなくてもコンサルティングをやりたい方、コンサルティングビジネスをつくっていきたいという方も大歓迎ですね。
要は何でもあり。
そこからビジネスプランの精度を上げていく
洲脇
マネジメントコンサルティング事業部にいる方のバックグラウンドやチームの雰囲気を教えてください。
森本様
メンバーの大部分は会計系の人材です。しかし、ビジネスがわからないと管理会計もわかりませんので、生産管理や販売管理の領域経験者も採用しています。
領域的には会計系のウエイトが今後も高いでしょう。そこの専門性がなくなると、会社として何ができるのかわからなくなってしまいますので。
立ち上げが好きなメンバーが集まっているということもあり、和気藹々と楽しくやっていると思います。
洲脇
立ち上げ期の難しさや面白さは感じていらっしゃいますか?
森本様
立ち上げたばかりですから、要は何でもありです。多少テーマがずれていてもお客様からのご要望があれば、まずは取り組んでみることがあったり、やってみるとかえってそれが面白かったり。右往左往、紆余曲折、試行錯誤です。
その中から自分たち自身のイメージを固めていき、ビジネスプランの精度を上げていくのが楽しいところです。
私も経験がありますが、大手の場合は扱う数字も大きく、ストレッチ目標も高いため、体力作業になりがちです。お客様にバリューを出せない人材を投入するケースもあるかもしれません。
しかし、弊社の場合は小さいからこそ専門性を持っている方に絞って採用ができますので、お客様にも「少数精鋭でいいですね」と言っていただけているのだと思います。
採用に関しても、少なくともお客様から十分なフィーをいただくに価する人材とこれから育成していくべき人材との比率を、1対1より大きくはしないということをポリシーにしています。弊社の場合は専門性を売りにしていますので、質を落とすことは絶対にやってはいけないこと。
経営管理はトップの仕事になりますので当然シビアですよね。駄目だと思ったら一発でアウトですから、品質にこだわっていきたいと思います。
ビジネスをリードしていきたい人には、
いくらでも活躍の場がある
洲脇
改めて御社で働くことのメリットをお聞かせください。
森本様
コンサルタントが弊社で働くメリットは3つあると思っています。ひとつは昨年末の時点で879社という顧客基盤があるということです。もちろん新規の提案活動もしますが、879社のお客様からいただくニーズだけでも様々な提案ができます。
また、弊社のお客様はほぼ連結のお客様です。大手で子会社をお持ちのお客様が多く、他社に先駆けて新しいことに取り組めるチャンスがあるため、常に最先端にいられます。
2つ目は私の部門に関してですが、できたばかりの部門ですので、先ほども申し上げましたが良い意味で何でもあり。コンサルティングビジネスを立ち上げてほしい、あるいは英語が得意であれば海外拠点を立ち上げてほしい、というくらいです。
単にコンサルティングをするよりビジネスそのものをリードしていきたい方にとってはいくらでも活躍の場があるのではないかと思います。
3つ目は、逆にプロジェクトでしっかり成果を出していきたい人は、コストエフェクティブなソリューションがないときに、ニーズに対するソリューションを作っていくことも可能である点です。
お客様の期待にコンサルタントとして応える、さらにそれをソリューションにすることでよりお客様の役に立つと思ったときに、ソリューション化する部隊があるところは大きなメリットだと感じています。
経営管理は意外と裾野が広いもの。例えば、グループ会社の決算業務や会計システムの見直しなど、子会社各社の基幹システムの見直しが伴ってきます。
あるいはグローバルな原価管理では、原価情報の元になるのは生産管理ですので、各グループ会社の生産管理システムの見直しなど、IoTで生産現場から直接データを取ることも必要になってきます。様々な領域に触れることもできるのです。
上司として思うのは、
「もっと人生を豊かにしろ!」ということ
洲脇
森本様のプライベートについても教えていただけますでしょうか?
森本様
私は大学時代に1年間休学して海外放浪をしていました。それもあり、今でも海外旅行をするのが好きです。集中して仕事をして集中して休むというのが性に合っているので、年に1、2回、一週間ぐらいはどこかに行きます。
もう一つの趣味は登山で、月に2、3回は登っています。 私に限らず社長の森川もトレイルランニングをしていますし、オン・オフ工夫しながら楽しんでいる人が多い印象です。オフは体を動かすことが好きな人が多い会社かもしれませんね。
洲脇
体を動かしてリフレッシュして仕事に還元するということですね。それは、会社として推奨していることなのでしょうか。
森本様
弊社は一週間連続で休むことが奨励されている会社なので、皆さん仕事を調整して一週間〜10日休んでそれぞれ好きなことをしていますね。
私の理想は年に1回は2週間連続で休めるようにすることです。2週間あると相当面白いことができると思います。人生を豊かにするためには、感動的なものを見たり、非日常を経験したりする必要があり、年に1回くらいはそういう機会がなければならないと考えています。
また、それが高いパフィーマンスを上げてお客様に喜んでいただくことにもつながるのではないでしょうか。
とにかく上司として思うのは「もっと人生を豊かにしろ!」ということ。そのためにもまとまった休みは必要だと思います。
洲脇
では最後に読者に向けて改めてメッセージをお願いします。
森本様
コンサルティングの仕事は心の持ちようや仕事の仕方によって、お客様に提供できるサービスの質も変わる自分次第の要素が強い仕事だと思います。
お客様とポジティブに向き合い、一人ひとりのお客様が、自分自身の人生を豊かにするための出会いだと思って仕事に取り組んでいただけるときっと楽しいのではないでしょうか。
弊社に来ていただいた方には、私がそういった向き合い方を約束する立場になりますので、その約束を守れるように私自身も頑張っていきたいと思っています。