先新のテクノロジーと世界各国で蓄積された知見を駆使し、クライアントを支援し続ける日本IBM。
今回はセキュリティー事業部のアソシエイトパートナー齋藤髙樹様にアクシスコンサルティングの荒木田誠と洲脇豪人がインタビューしました。
文中の情報及びデータ等は2015年12月現在のものです。
開発、業務改革コンサルティングを経験し、セキュリティーへ
洲脇
まずは齋藤様のご経歴からお伺いします。
齋藤様
私は新卒入社で、もう30年以上在籍しています。ハードディスクや半導体の開発を経験した後、アメリカに開発部門が移ったという経緯があり、その時に中小企業診断士の資格も取得していましたので、声をかけてもらい、業務改革コンサルティングを担当したのがコンサルティング業務の最初になります。
荒木田
それはどのくらい前のことでしょうか?
齋藤様
1999年ですから15年以上前ですね。
セキュリティー事業部は今後の成長分野ということで今年独立した事業部になりましたが、私は4年前からセキュリティーを担当しています。
荒木田
業務改革はもともと製造現場におられたということで関連があると思いますが、そこからセキュリティーに移るというのは我々から見るとハードルが高いイメージがありますが、実際移られてみていかがでしたか?
齋藤様
業務改革コンサルティングで大手電機メーカを担当したときに、実はそこでセキュリティーの核になるような部分を突き詰めていく経験をしているので、そこまでギャップは感じませんでした。
その当時から、セキュリティーに対してどのような戦略を持つのかを決める必要がありました。
開発製造の場合には、特許に関わる部分があります。戦略的に新製品の情報が漏れないようにどう守っていくのかを考えます。
ITセキュリティーの分野から言っても、結果としてはどこに重要情報を保持しておくのかというのがポイントです。例えば戦略担当のPCの中に重要情報が入っていた場合どのように守るのかということはまさにITセキュリティーの世界ですね。
最先端の話は何かというと、OT(オペレーションテクノロジー)と呼ばれているものです。制御のITということです。
例えば自動車でも、携帯電話を使ってコミュニケーションさせたり、自動で運転をさせたりするときに、重要情報がある部分にハッキングされたら、大変なことになります。
今までは閉じた世界でしたので大丈夫でしたが、これからは外と繋がりますのでいかに制御するかが重要になります。
荒木田
セキュリティーと開発製造も密接に関わっているのですね。
齋藤様
業務改革コンサルティングの経験もセキュリティー事業部での仕事に非常に役立っています。それは、CEOやCIOに対するアプローチが重要であるためです。セキュリティーに特化したスペシャリストも欠かせませんが、それだけではビジネスとして大きくなりません。
CEOやCIOに対してしっかりアプローチできる、セキュリティーの重要性を示して、ビジネスにできる人とセキュリティーのスペシャリストの両方が一緒にチームを組むことが重要であると考えています。
世界10ヵ所、4000社以上のセキュリティー監視を代行
洲脇
経営者の啓蒙活動もする必要があるということですね。では、齋藤様が所属されているセキュリティー事業部をご紹介いただけますでしょうか?
齋藤様
セキュリティー事業部は今後の成長分野ということで、今年独立した事業部となりました。セキュリティーコンサルティングから運営までEnd-to-endで幅広くお客様の要望に応えられることが一つの大きな強みです。
セキュリティーオペレーションセンターに対するサービスの分野では世界10ヵ所で4000社以上のお客様のセキュリティー監視を代行しており、世界最大の規模を誇っています。
しかし、IBMがセキュリティー事業をおこなっていることを知らない企業もまだまだ多く、こういう話をすると驚かれる方も多いのが現状です。
私はエネルギー&ユーティリティ(電気・ガスなどの公共事業)の分野のセキュリティーを担当しています。コンサルタントと営業が協力しながらお客様にIBMの知見や提案をご紹介し、コンサルティングや実行支援をおこなっています。
この分野においてIBMは圧倒的な知見を持っています。海外で50社以上に対してスマートメーター(電力会社と双方向通信をする電力量計)などのITとOTに対するセキュリティーのEnd-to-endでのサポートをしていますので。
スマートメーターを含むOTセキュリティー分野は日本でこれから発展します。海外での知見を活かしグローバルなチームを組んで取り組んでいるところです。
世界の最先端の知見を日本に取り込む
荒木田
電力は今後自由化になってさらに複雑になっていきますよね。
齋藤様
しかも、来年のサミットの話もありますし、もっと大きいのはやはり2020年東京オリンピックですね。重要インフラに関しては、国からも絶対に問題が起きないようにという話も出ていますので、この分野は今後ますます重要視されていくのではないでしょうか。
スマートメーターは双方向通信をするものなので、その間でハッキングされた場合、最悪は電力を全部止めることも可能であり、海外ではそういう事例も多くあります。
本部には電力計を制御する制御装置があり、スマートメーター関連システムは、OTとITの融合といわれていますが、そこの分野に関する日本の知見はほとんどないといっていいので、先行している世界の知見を日本に取り込むことは非常に重要です。
洲脇
制御のところからネットワークインフラの総合力、グローバルなネットワークというのが御社の強みですね。
齋藤様
一番ポイントとなるのはスマートグリット(電力の需要と供給を常に最適化する次世代の電力網)のセキュリティーに関する世界のガイドラインを弊社の人間が10人くらい入って作っていることです。
セキュリティーの対策は取ろうと思えばいくらでもできますが、無限にできるわけはないので、脅威を想定し、投資最小化で最大の効果を得ることを考えなくてはなりません。
世界で起きていることがわかり想定できるのは世界のネットワークがある弊社だからできること。その知見を我々もシェアできるのは大きいですね。
荒木田
特にエネルギーになると、それこそ悪意があったら日本企業の事業が止められることもありえますよね。
齋藤様
はい。実は原子力の世界についても支援させて頂いていますが、原子力の場合はその影響が更に深刻になると考えられます。
洲脇
齋藤様はセキュリティーを幅広く担当されていると思いますが、セキュリティーという領域に関しての市場の変化は感じていますか?
齋藤様
IoTという名前が先行して何でもネットワークで繋げようという時代になりましたが、どうやって守るのかという話がまだ確立されていません。
国やアメリカの研究機関などと一緒に弊社も入って、新たなるガイドラインを作ろうとしている最中です。逆に言うと何をしていいのかわからないということは、大きなビジネスチャンスでもあります。
グローバルと協業し、ビッグプロジェクトに挑戦できる
荒木田
セキュリティーの領域は世の中が進化すればするほど、伸びていくと思いますが、御社やセキュリティーの職種でのやりがいを伺えますか?
齋藤様
自分が実施したいセキュリティーコンサルティングの案件に関してグローバルの知見を共有でき、一緒に仕事ができることが素晴らしいですね。
弊社には民間のセキュリティー研究機関としては世界最大のエックスフォースがアメリカにあり、また、セキュリティーの分野毎にナレッジを集めグローバルのコンサルタントを支援するグローバル センター・オブ・コンビテンスといったメンバーとリアルタイムでコミュニケーションをとりながら、新規分野やビックプロジェクトに参加する機会があります。
例えば学会誌などにも共著として文献を出したり、今年の国際スマートグリッドでもグローバルと協業した成果について講演させていただく機会もありました。
本当にやるべきことは何かという根本から参加し、そのソリューションに対してもEnd-to-endで関わることができるのは、弊社のような会社だけではないでしょうか。
荒木田
逆に大きな企業や政府からは外資の企業ということで嫌厭されることはありますか?
齋藤様
私はあまり感じたことはないです。日本の中だけで何かやろうという時代はもう終わりつつあると思います。グローバルで経験した事例から生まれたノウハウを共有していく時代になっていると思います。
セキュリティーまたは上位マネジメント、どちらかの経験がある方は歓迎
洲脇
では齋藤様のチームで求める人材はどのような方ですか?
齋藤様
上流から下流まで担当しますので、バラエティに富んだ人材が必要だと思っています。実際に今いるメンバーも皆個性があり、バックグラウンドも違います。
まずは特定分野でいいので、セキュリティーコンサルティングの実績がある方ですね。そういった知識やスキルを持っている方はどうしても必要です。
もう一方ではセキュリティーに限らず、上位マネジメントへのコンサルティングを担当していた方。しっかりプレゼンでき、大きなプロジェクトのマネジメントができる方です。
そのどちらかでセキュリティー分野でぜひ活躍したいという意志を持っている方に来ていただきたいです。両方持っている方というのはほとんどいないと思うので、そのどちらかをお持ちであればいいと思います。
洲脇
どちらかというとチームとして動くことが多いのでしょうか?
齋藤様
四六時中一緒にいるわけではありませんが、それぞれが役割を理解したうえで、定期的に集まって進捗を理解したり、お互いにプロジェクトに対しての意見を一致させたり、また課題をどうやって解いていくのかを検討しています。
洲脇
それぞれがプロフェッショナルの仕事をしているということですね。
齋藤様
はい。プロフェッショナルの集まりと思っていただければいいと思います。その中に新人も入り、彼らはプロの仕事を見たり、一方では教育を受けながら徐々にスキルを身につけていきます。
仕事が面白くないとストレスには耐えられない
荒木田
齋藤様のプライベートの話やストレス解消法についてお伺いできますか?
齋藤様
やはり、仕事が面白くないと駄目ですよね。自分が前向きになれるような仕事を得ないとストレスには耐えられないと思います。
荒木田
この領域に対する興味とかパッションがないとできませんよね。
齋藤様
そうですね。あとゴールを持つことです。例えば学会に我々の成果を出すことでもいいですし、世の中にまだないものを創造することでもいいと思います。何かそういったゴールを持つことが、ストレスに勝つためには必要です。厳しくない仕事はないので。
もう一つは仕事とは全く離れたところで、何か趣味なり、そういうものがあればいいですよね。
研究開発のころは、同じ趣味を持つメンバーで集まってデスクトップミュージックで作曲をしてコンクールに出したりしていました。今はなかなか時間がとれないので、好きな音楽を聴いたり、映画を観たりしています。
あとは食事をするのが好きなので、沖縄から北海道まで行くというコンサルタントのメリットを生かしてその土地のおいしいものを食べたりしています。北陸でのキックオフのミーティングが終わった後、メンバー全員集まって、「じゃあお寿司でも食べようか」と食べに行ったり。そういう楽しみがあるだけでも違いますよね。
また、中小企業診断士の資格を取得したときの仲間とは長く続いていて、集まって勉強会をすることもストレス解消になっています。様々な分野の方がいますので、外の世界を知ることができますし、皆共通した想いを持っているということもあります。
荒木田
休日に新しい領域に関する文献を読むこともありますか?
齋藤様
休日に英語で書かれたガイドラインを理解するということは皆やっていると思います。仕事中に読んでいるわけにはいきませんので。
洲脇
最後に読者へのメッセージをお願いします。
齋藤様
決められたことをするのではなく、新たなビジネスにチャレンジできるところが弊社の魅力だと思います。私自身ハードからサービスに変わっており、まったく違う分野に来ていますので、新たな分野にチャレンジしたいと思う方には必ずチャンスがあります。
あとは、CEOやCIOなどトップマネージメントと話す機会を持つことができるのも弊社のメリットです。
また、グローバルで仕事をしたい方には、非常に多くのチャンスがあります。望まないとできませんが、望めばできる、そういう環境です。
チャンスに備えて学んでいる方が多いので、そういった方々と一緒に働くことですごく楽しい人生が送れるのではないでしょうか。積極的に新たな分野に挑戦したいと考えている方はぜひご応募ください。