先新のテクノロジーと世界各国で蓄積された知見を駆使し、クライアントを支援し続ける日本IBM。 今回はグローバル・ビジネス・サービス事業 IoTサービス担当 パートナー 寺門 正人 様にアクシスコンサルティングの荒木田誠と洲脇豪人がインタビューしました。 文中の情報及びデータ等は2017年10月現在のものです。
一貫した製造業とサプライチェーンに寄り添ったキャリア
荒木田
まずは、寺門様のご経歴をお伺いしたいと思います。
寺門様は新卒から御社なのですか?
寺門様
元々は旧プライスウォーターハウスの流れから、IBMに入社しました。
荒木田
新卒のときは、どのような部署からキャリアをスタートされたのですか?
寺門様
最初からサプライチェーンですね。新卒のときは、PwCがサプライチェーンの部隊を立ち上げた最初の年で、新人が多く集められて部署が作られました。
荒木田
当時だと、SAPなどもやられていたのですか?
寺門様
いえ、SAPはやっておらず、某外資系ベンダー企業の日本法人を立ち上げるというのが最初の仕事でした。アメリカに行って研修を受けてきて、最初はトレーニングのビジネスを提供したり、同社で日本で一番最初のプロジェクトに入ってデリバリーをしたりしていました。
荒木田
では、PwCとして同社に社員としてアサインされ、立ち上げを本当にやられていたのですね。
旧IBCSになってからは、役割としては引き続きサプライチェーンだったのですか?
寺門様
そうですね。
荒木田
では、90年代から一貫して製造業とサプライチェーンに寄り添ったキャリアを積まれているのですね。
守備範囲の広いBusiness Transformation
洲脇
GBSの中でのIoT Transformationチームについてお聞かせいただけますか?
寺門様
私がIoTのチームを担当したのが去年の4月からになります。10年くらい前からサプライチェーンのチームを担当していて、昨年4月から両方見ることとなったのですが、今年の1月にその二つのチームを統合して、IoT & Business Transformationという組織になりました。
洲脇
IoTというのは、なんとなく言葉として理解できるのですが、Business Transformationというのもとても広い定義だと思うのですが、実際にも幅広く取り組まれているのですか?
寺門様
もちろん若干の温度差はありますが、かなり幅広くやっています。
サプライチェーンは当然取り組んでいるのと、例えば自動運転に絡ませて自動車メーカーの新サービスを創出するというのも、サプライチェーンとは違う意味でのBusiness Transformationとして取り組んでいます。
荒木田
伝統的な業務改革から、IoTを活用して新サービスの支援をしたりと、守備範囲としてはかなり広いですね。
寺門様
そうですね。業務コンサルや戦略コンサルから携わっているのは、プロジェクト内容によって温度差はあります。プロジェクトによってはテクノロジー部分を中心に支援することもあります。
IBMならではの強み
荒木田
大きな話になりますが、ここ数年の市場の変化を特に感じるところはありますか?
寺門様
例えば製造業ですと、4年位前からIndustrie4.0という第四次産業革命が起こるとドイツが言い始め、どこの企業様もそのために何をすればいいのかという話になっています。
洲脇
クライアントがIBMを選ぶポイントはどのようなところなのでしょうか。
寺門様
BPRはリクワイヤメントベースだったり“会社の市場におけるポジションがどうなっているか”というのを基軸にやるのですが、今の構想策定はテクノロジーベースも見なければいけなく、「こんなテクノロジーが生まれるから、今まで思いもしなかったこんなBPRができるようになるんです」というアプローチと、一方でテクノロジーが強すぎるとプロダクトアウトが強くなりすぎてしまい、テクノロジーを適応させること自体が目的になってしまう可能性があります。
この両者の接点をうまくバランスをとるというのが、ここ2~3年で一番難しいところだと感じています。そのバランスをうまくとるためのリソースが、IBMの中にはバランスよくあるというのが、お選びいただくポイントだと思います。
例えば、所謂コンサルタント出身者だけでなく、テクノロジーに知見がある元研究所のメンバーも数年前からコンサルティング部門に異動してきていたりもします。
荒木田
ちなみに、研究所でやられていた方々がGBSにきて、どのような役割をされているのですか?
寺門様
一番多いのが、データサイエンティストとして、お客様側でアナリティクスのモデルを作るときに統計解析の式を作ったりとか、研究所が持っている独自のアルゴリズムを適応したりというのがあります。彼らだと様々なテクノロジーの知見を持っているので、どのようなテクノロジーを適応したらBPRがテクノロジードリブンで実現できるか、というのを考えてくれています。
荒木田
あまりにもWatsonばかりだとプロダクトアウトになってしまうのを、それをどう活かすかというあたりを研究者出身の方とバランスをとって導入するというのは、他社にはない明確な強みですね。
研究者の方がいるのもそうですし、実際にサービスを持たれていますし、やはりIBM様ならではのサービス・プロダクトの質があるのですね。
製造業としてのIBM
荒木田
IBM様としての製造業への強いこだわりはあったりするのですか?
寺門様
それはありますね。現在組織には、元々IBMの半導体工場で生産管理や設計をしていたメンバーも多く在籍しています。
あと、元研究所メンバーや元PwCメンバーなど、かなり多様なバックグラウンドの方がいて、その中でも生産現場を知っているメンバーというのはクライアントの現場メンバーと話す際の肌感覚含めて、非常に大事にしているところです。
荒木田
そうですよね。特に生産の現場をわかっている方は、今どの業界でもなかなかいなくて困っていると聞きます。IBM様は幅広い意味で製造業ですしね。
購買調達のあたりだと、IBM様自身が共同購買や集中購買しているので、そのノウハウはそのまま活かせると伺ったのですが。
寺門様
生産現場でIoTを活用した故障・不具合検知というのは何年も前からIBMが取り組んでいます。そこで適応していた独自の故障率のアルゴリズムがあるのですが、それを外販していたりもします。
洲脇
自社としての事例を活用できるのは、このチームの明確な魅力ですね。
寺門様
そうですね。調達のプロジェクトとかですと、IBMで調達購買をやっているメンバーに入ってもらうケースもあったりします。
荒木田
そのような場合は、製造業やIT業界のクライアントが多くなるのですか?
寺門様
そうですね。調達購買にも直接材と関節材というのがありまして、私のチームは直接材(製品を作るための部品)が担当なんです。なので、製造業のお客様の直接材領域が多いです。
荒木田
そういったテーマを、最近競合他社でもよく聞くようになったのですが、競合との差別化はどのようにはかっているのですか?
寺門様
自社事例の話と、Watsonを適応した調達購買も注目頂いております。
例えば、部品を買うときの必要項目のチェックをWatsonで自動化したり、様々なテクノロジー動向を論文やニュースからWatsonが考察し、今後出てくるテクノロジーを基にして「こういった技術が使われている部品を買った方がいい」というレコメンドをしたりというのもあります。
そういう世界感は、なかなか他社では提示できないかと思います。
良い意味で“カオス”なチーム
洲脇
チームの雰囲気といったところをお伺いしたいのですが、働くメンバーの特徴というのは何か感じられますか?
寺門様
バリエーションといいますか、多様なキャラクターが集まっていて良い意味でカオスですね。
PwC時代はみんなスマートで「かっこいい」感じの似たようなキャラクターの人が多かった印象ですが、IBMだと様々なキャラクターの人も多く、仕事とは関係のない雑談や昔の製造現場の泥臭い話をしたりしてお客様の心を掴んだり、理路整然でしゃべるのはそんなに得意ではないけど、解析させたらものすごい結果を出すメンバーとかもいます。
スキル面だけなく、キャラクターも千差万別で、同じチームだけど異業種交流会みたいな感じです。私の立場ですと、均一的なメンバーではないからこそ、多様な組み合わせで化学反応を起こせる楽しさはあります。
洲脇
確かに、同業他社と比較しても受け入れる人物像・スキルが御社は幅広い印象があります。これから御社を受ける方に向けて、御社の魅力ややりがいをどのようにお伝えしますか?
寺門様
バリエーションが多くあり、自分がコンサルテーションする上での、引き出しが数多くあるというのは、大きなメリットだと思います。
キャリアパスの面ですと、コンサルティング部門から研究所にいったメンバーもいますし、SEからコンサルになったメンバーも多いですし。最近ですとIoTのソリューションセールスになったメンバーもいます。
荒木田
プライベートでは、なにか取り組まれていることはあったりするのですか?
寺門様
子供が三人いますので子供と遊んでいますね。一緒に釣りにいったりしています。あとはボクシングや合気道をやっていたので、格闘技観戦も好きです。実はバラの栽培が趣味なので、苗を植えたり土づくりをしたりしています。
自身の強みを活かせるフィールドがある
荒木田
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
寺門様
客観的にみて、IBMはお客様と近いと思います。
あまり仕事の線引きを引かないので、お客さんから見ても「取りあえず相談してみよう」となりやすいです。
他社だと綺麗な絵をかいて自社が持つソリューションマップに基づいてマッピングをしていくことが多いですが、IBMだとそういった型がなく、深くいくところは現場で生産管理をしていたおっちゃんがメンバーにいるからそこだけ深くやったり、テクノロジーにものすごく深くささっていけたりもします。
そうすることで、お客様の本当の課題に行きついたり、心の距離が近づいたりする実感がある。社内的なところだと、多様なメンバーがいるからこそ、スタンスに壁を作らずにどんどん飛び込もうというカルチャーはある。
どんな方にも活躍できる広いフィールドがあります。