「究極なる価値と喜びを創造する」。お客様・ビジネスパートナーとコラボレーションで、新しい価値創出に取り組み続けるシグマクシス。
今回はシステムシェルパのマネージングディレクター武井秀之様に、アクシスコンサルティングの伊藤文隆と三石真司がインタビューしました。
文中の情報及びデータ等は2015年11月現在のものです。
15社のオファーの中からシグマクシスを選ぶ
三石
武井様のチームはどのような案件が多いのでしょうか?
武井様
多様なプロジェクトがありますが、最近はPMO案件が増えてきています。ますます複雑化するプロジェクトにおいて、ベンダーはお客様の立場でコントロールできませんし、お客様の中にもプロジェクトマネジメントができる人材は少ない。そこで代わりに我々が務めるわけです。
もはやビジネスにおいてITは不可欠であり、CIOの補佐を担える人材の必要性はますます高まってきています。
三石
確かに、事業会社の求人動向を見ても、ITを単なるコストセンターではなく、事業の変革ドライバーとして捉え、投資する企業が増えて来ています。ところで、武井様はシステムインテグレーター(SIer)からキャリアをスタートされたと伺いました。
武井様
はい。2009年にシグマクシスに入社するまで、長い間SIerに在籍していました。
大学卒業後はオリベッティという外資系SIerで金融のシステム開発をしていました。途中でアメリカのワング、さらにその後オランダのジェトロニクスに買収されたのですが、ジェトロニクス・オリベッティの時は常務という立場でNo.2を務めていました。
その後、今度は日本のSIerに買収され、役員として1年間、金融を統括した後に新天地を求めました。外資系企業の自由な風土が恋しくなったことが転職動機の一つでしたが、当時、15社ほど頂いたオファーの中で最終的に日系企業であるシグマクシスを選んだのは、立ち上がったばかりでまだ色がついていなかった点に魅力を感じたからです。
伊藤
15社ものオファーの中からシグマクシス社を選ばれたとは、何か不思議な縁を感じますね。ところでSIerにて役員を歴任されたとはいえ、未経験からファームに転じられたわけですが、武井様からコンサルタントという仕事はどのように見えていますか?
武井様
厳しい世界です。特に新卒社員がいきなりコンサルタントになるのはなかなか難しい。上手く成長曲線に乗れば良いのですが、途中でどうにも無理だと自分から諦めてしまいドロップしてしまう人がSIerの世界から見ると多いと感じます。
例えばSIerであれば、プログラムの基礎を学び、設計の基礎を学び、というようにステップがあります。さらに、一人前のシステムエンジニアになるまでに10年、早い人でも5、6年というようにある程度、中長期の時間軸で自分の成長を考えていくことができます。
一方コンサルタントは相手が経営者ですからギャップを埋めるのは並大抵ではありません。だからこそ、想いと覚悟を持った人に来てほしいと考えています。
ITを理解し、経営視点を持つことができるか?
三石
武井様が率いるシステムシェルパでは、どのような人材を求めているのでしょうか?
武井様
新卒社員はシステムシェルパへの配属を希望していることが絶対条件です。中途社員はSIer出身で、企画・構想段階から手掛けてみたい人は積極的に採用したいと考えています。
伊藤
何年ぐらいの経験が必要でしょうか?
武井様
最低でも10年の経験はほしいですね。この人はできるなと思う方は、20年くらいの経験をお持ちです。そもそもSIerの世界で本当に全体を見られるのは30歳を過ぎてからだと思います。失敗していても構いませんから、ある程度の規模の開発を乗り越えた経験をお持ちの方を歓迎しています。
これからは本当の意味でITを武器にできないとクライアントの期待に応えられません。クライアントは必ずしもITに強いわけではなく、だからこそ外部のプロフェッショナルの存在価値があるわけです。
理想を言えばITと経営の両方がわかる人材がほしいのですが、経営経験とまではいかずとも、例えばSIerで事業部長を務めていたような方も大歓迎です。ラインマネジメントで100~200人程度を管理していたような方です。
三石
プライムSIerにおいて事業部長クラスともなると、年齢は40代あるいは50代が中心かと思いますが?
武井様
年齢はまったく気にしておらず、30代でも40代でも50代でも構いません。先ほど言ったように重要なのはITをきちんと理解し、経営視点を持つことができるかどうかです。
三石
SIerで活躍し出世しながらも、年齢がネックでこれまでファームへの転職を断念されていた方にとってはまたとないチャンスですね。
これからの20年は旧世代と新世代のバランスで過ぎて行く
武井様
ただここからの10年間はまたちょっと変わってくるのではないか、とも感じています。
三石
と言いますと?
武井様
これから10年間の新卒社員は、明らかにパソコンよりもスマートフォンの世代でしょう。彼らの成長は速いと思います。
例えば、彼らは携帯デバイスでアプリを創りたがりますが、その感覚は正しいと思います。IoTやIoEという新しい概念にも違和感がないし、リーン、アジャイルは当然という感覚を持っているのです。
我々のようなウォーターフォールの開発からスタートした人間とは違う、まったく新しい時代を創ることができるかもしれない。そう感じています。
三石
いわゆるデジタルネイティブと呼ばれる世代ですね。では例えば、インターネット業界のエンジニアはいかがでしょうか?
武井様
優秀だと思います。ただ面接を通じて感じることとして、惜しむらくは、クライアントの経営に携わる部分の経験値は不足しているかもしれません。
先ほどと真逆のことを言いますが、すぐにIoT、IoEに切り替わるわけではありません。今でも8割はレガシーが残っているわけです。10年でも6割。ようやく20年で入れ替わるかな、というイメージです。これから20年は旧世代+新世代のバランスで過ぎて行きます。
そういう意味では今30代の人は大変です。新旧の間にいますから。どっぷりと古いシステムを開発した経験が少ない。一方で、(モバイル世代ではなく)パソコン世代なので、新しい感覚についていけない人も多い。かなり頑張る必要があります。
伊藤
武井様のユニットではどのような育成をしているのでしょうか?
武井様
他はわからなくてもこの領域に関しては突出していて誰にも負けない、となるようなジョブアサインをしています。
例えばITILやCOBITに関して、海外に比べて日本は圧倒的に遅れています。これらの先にサービスマネジメントがあって、きちんとしたグローバルスタンダードがあるのに、残念ながら分かっている人がほとんどいない状態です。シグマクシスはこの領域でコンサルティング業界のトップになろうとしています。実際、エキスパート資格を持っている人間は弊社が一番多い。また新入社員にはITILファンデーションという資格を第一ステップとして取得させています。
またセキュリティ領域のニーズが非常に高まっていますが、カバー範囲が広くいきなり全てを覚えることは不可能なので、まず一部を勉強させて自信を付けさせています。セキュリティに強くなれば、ここから5年は食べて行けるでしょう。
その間に部下がついて、他の分野も学び、コンサルタントとして、プロジェクトマネージャーとして一人立ちできるようになる。そのように育ってほしいと考えています。
自由と自律、新卒が4年でマネージャーを目指せる環境
三石
6年在籍されて、改めて感じる御社の魅力はどのようなところでしょうか?
武井様
とにかく自由なところです。どのくらい自由かと言うと、オフィスに来なくていい、と言われるくらい自由です。どこでも同じように仕事ができる環境を整備していますから。そのため、社員には自律が求められます。
三石
権利と責任は一体ということですね。場所に縛られないというのは、自律した社員にとっては非常に働きやすそうですが、やはり武井様もあまりオフィスにはいらっしゃらないのでしょうか?
武井様
はい。ミーティング以外はオフィスにいる必要がありませんし、1対1なら私はほとんどミーティングもしません。
日報、週報、月報。私のところはいずれもありません。だから受動的なスタンスの人ではやっていけませんが、能動的な人にはとてもいい場所です。
メンバーに前職に戻ってもいいと伝えても誰も戻りたがりません。自由で自律的な環境を気に入っているのでしょう。皆本当に仕事をしっかりします。必要なら徹夜もしますが、自身で働き方を設計しているのでメリハリが非常にあります。
例えば日中にワールドカップを放送していたら、やはりテレビを見たいですよね?
三石
隠れてスマートフォンでチェックしている人も多いのではないでしょうか?
武井様
堂々と見ればいいと思います。その分、自分でコントロールすればいいのです。実際、WBCのときはオフィスでテレビを流しました。
三石
その分、自己責任が伴いますね。
武井様
その通り。まだこれから創っていく若い会社ですから、自律的な人間に育ってほしいと思っています。それを実現しやすい会社であることは間違いありません。年功序列や男女差別などとも無縁の会社ですから、上昇志向の人にとっては良い環境です。たとえば新卒から4年でマネージャーになった人間もいますので、我こそは、という方はぜひ門を叩いてほしいですね。
会社のためは胡散臭い、1番に大切にしてほしいのは家族と自分自身
三石
武井様のプライベートについても少しお話を伺えますでしょうか?
武井様
好きなことはお酒、食べ物、ゴルフ、映画ですが、実は仕事とプライベートはあまり分けていません。週末であっても仕事の相談をしてくるメンバーには、相談に乗ってあげたいですから。
ただ1番に大切にしなくてはならないのは家族と自分自身だと決めています。それはメンバー全員に伝えています。そして2番目に大切なのは自分が所属しているチーム。3番目がサービスライン。4番目は会社。このプライオリティは必ず守ってほしいと。
会社のため、武井のため、というのは客観的に聞いても胡散臭いですよね。そうではなくて、自分のため、自分の家族のためになることをしてほしい。
結果として、そしてそれがチームのためになり、サービスラインのためになり、会社のためになる。そのロジックでないと説得力がないといつも言っています。例えば、資格を取るのも自分のため。そのために会社の支援がほしいと言われたらほとんどOKしています。その代わり必ず受かれよ、と。幸いほとんどの人間が合格しています。
三石
自分と家族のために自身を磨いていく、確かにその方が説得力がありますね。
武井様
若手社員はキャリア・デベロップメントを頭で考えがちです。しかしキャリアは仕事をしながら築いて行くものです。
仕事に恵まれるかどうかは多少、運の要素があります。ただ、自分のキャリアに役立つものだと確信しながら、与えられた仕事に取り組んでいくと、どこかで気づく機会があります。もしかしたら自分のやりたいことはこれかもしれない、と。それは20代後半かもしれないし、30代半ばかもしれません。人によっては40代で気づくこともあると思います。自身の天職に気づくタイミングは人それぞれではないでしょうか?
私は去年シグマクシスで定年を迎えましたが、代表の倉重が今年70半ば。副社長の清水が60代半ば。これから世代交代をして新しい時代が来ます。私も含め、身を引く側の人間は次の世代が独り立ちできると思ったらバトンを渡していきます。その日までは、皆が働きやすい場所を創っていきたいと思っています。