「究極なる価値と喜びを創造する」。お客様・ビジネスパートナーとコラボレーションで、新しい価値創出に取り組み続けるシグマクシス。
今回はP2シェルパのマネージングディレクター大賀憲様に、アクシスコンサルティングの山尾康久と三石真司がインタビューしました。
コンサルティングの常識を変えていく
山尾
はじめに大賀様のバックグラウンドをお聞かせ頂けますでしょうか?
大賀様
社会人のスタートは専門商社でした。情報システム部門に配属されて運用保守を担当し、基礎からしっかりと経験を積んでいきましたが、徐々にシステムに対する興味よりも、事業そのものに貢献したいという気持ちが強くなっていきました。
年功序列もありましたが、生意気だと言われながらも自分なりに考え、発言をしていきました。「今後、事業はこのように展開していく。すると業務はこう変わるはずだからシステムはこうあるべきだ」と言った具合です。次々と改善提案を出し、上司を巻き込み動かしていく経験を2年目くらいから経験させて頂きました。
またその頃に大前研一氏の書籍でコンサルタントという職種の存在を知り、プロフェッショナルとして評価されるところに魅力を感じたのを覚えています。
山尾
若くして社内の課題解決に精力的に取り組んでこられたわけですね。コンサルティング業界に辿り着いたことはある意味必然だったのかもしれませんね。
大賀様
前職は非常に安定した企業でしたから、一生勤め上げる事ももちろん可能でした。ただ、会社に居続けた場合の未来の姿を想像すると、それは自分の望むものではなく、意を決してコンサルティング業界に飛び込んだのです。2社目の外資系コンサルティングファームでは約11年在籍しました。
山尾
未経験からコンサルティングファームに移られて立ち上がりはいかがでしたでしょうか?
大賀様
比較的順調だったと思います。携わったプロジェクトはこれまで一度も途中で抜けたことはなく、最後まで任され完遂してきました。ひとえにお客様と信頼関係を築くことができた結果だと考えています。
シニアマネージャーまで昇進し、コンサルタントとして生きていける自信もついた頃、一度違う環境に身を置いてみようかと考え始めました。そして、時を同じくして立ち上がったシグマクシスに興味を惹かれたのです。
山尾
2008年のことですね。やはり新しい会社の立ち上げに関わるという部分に魅力を感じられたのでしょうか?
大賀様
ゼロから立ち上げていくことにワクワクしましたね。あとは資本が興味深かったですね。自身が商社出身であることから不思議な縁を感じましたし、総合商社である三菱商事と組むことでグローバルな事業に直接携わる機会がある。これも大きな決め手となりました。
グローバルファームに負けないブランドを創る
三石
ただでさえ設立当初の大変な時期にリーマンショックが重なっていますよね。立ち上げは一筋縄では行かなかったかと思いますが、振り返っていかがでしょうか?
大賀様
おっしゃる通り、ちょうどリーマンショックと重なった時期で、最初の2年間は非常に厳しい立ち上がりでしたが、不思議と不安はなかったですね。もとよりゼロベースの立ち上げでしたから、あとは上がって行くだけだと腹が据わりました。そして2010年くらいから安定軌道に乗り始めました。
三石
お話を伺い、苦境を悲観せず楽しめることも、リーダーにとって必要な素養の1つではないかと感じました。ところで大賀様は前職の外資系コンサルティングファームではシニアマネージャーとして活躍されていたとのことですが、シグマクシス社に合流された際にはどのようなポジションでご入社されたのでしょう?
大賀様
シニアマネージャーからのスタートです。下駄は履かせて頂けませんでした(笑)。その2年後にアソシエイトパートナーに、さらにその2年後にパートナーに昇進させて頂きました。
三石
新しい環境で、紛れもなく実力で勝ち取ってこられたわけですね。パートナーまでの道のりをご自身で振り返って、どのような部分で評価されてきたと感じられますか?
大賀様
なかなか自分で答えるもの難しいのですが、一つ言えることは組織への貢献でしょうか。しっかり仕事を取って来ることと、若手のメンバーの育成には力を入れました。あとはアッパーマネジメントとのコミュニケーションが比較的得意かもしれません。物事を動かすときには組織の上層部や周囲の力を借りることは不可欠なものですからね。
三石
コンサルティングファームに在籍する人にとって、パートナーは一つの到達点かと思います。実際にパートナーになられて変化はございますか?
大賀様
一番は視座がより高くなったことです。一緒にお仕事をさせて頂くカウンターパートもより上席の方になりました。クライアントの経営層、CxOを務める方々とは、今まで以上にリレーションを深めていく必要があると感じています。
少し話は逸れますが、ファームのブランドは、いい仕事をしてクライアントに評価されることによって育つと考えています。グローバルファームでは100年を掛けてブランドの蓄積がなされているわけですが、創業8年の我々はそこに追いついていかなければなりません。
一つのマイルストーンとして、まずはあと2年、創業10年でマーケットにきちんと評価される状況に持っていきたいとリーダーの一人として考えています。
「プログラム」とはお客様の経営課題の単位
山尾
大賀様が率いているP2シェルパについてお聞かせ頂けますでしょうか?
大賀様
「P2」は、「プログラム」と「プロジェクト」の略です。ここでいう「プログラム」とは、お客様の経営課題の単位を指しています。
例えばアジア進出という経営課題があったとします。当然その下には複数のプロジェクトが立ち上がりますよね。販路を広げるための営業のプロジェクトもあるし、そこに適切な商品を投下するための企画も必要になるでしょう。
これらのプロジェクトをまとめたプログラムが、50億円、100億円という規模になると、お客様の中だけで解決するのは難しくなります。また外部に入ってもらうにしても、担当領域をどのように定めるかという課題があります。
山尾
責任の所在も明確にしなければいけませんね。
大賀様
プロジェクト同士の関係性を大局的に見て、ボトルネックが発生しないように組み立てていく必要があります。ところが、多くの日本企業はラインマネジメントを縦割りで動かしている実情があるので、大きなプログラムになると失敗しやすいのです。
山尾
成功させるための請負人を求めており、それが大賀様のチームだということですね。
大賀様
はい。もう一つ別の視点を挙げると、今から10年くらい前までは企業がリソース・プラニングのためにERPを導入するというところで市場が成り立っていました。会計からスタートして、サプライチェーンや生産工程といった領域に広がっていったわけですが、当時は単一の製品を導入することでカバーできていました。
ところが、現在は様相が変わりました。例えばiPadのようなBtoC向けの製品が、当然のように業務システムの一部として活用されています。企業が使えるテクノロジーが非常に多岐に渡るようになったので、一つの企業に丸投げして解決することはできません。マルチベンダーで対応するのが当たり前の時代になっているのです。しかし、そうなるとクライアント視点でプロジェクトを推進する人間が必ず必要です。この領域はあのベンダーに任せて大丈夫、こちらは別のところに、という具合です。
山尾
広範囲に及ぶ知識と高度なマネジメント力が要求される難しい仕事ですね。
大賀様
これができる人間はそれほど多くはありません。私も含め、今チームにいる人間は、20年近く前から自分で業務設計をして、成功だけではなく失敗も経験しています。だから難しい判断もできますし、お客様からの信頼も得ることができるのです。
もちろんベンダー側から見ても、当然失敗はしたくないわけですから、我々と利害関係は一致します。競合するのではなく、きちんとした棲み分けの中で、協力、共闘するわけです。
縦割りの弊害とは無縁、組織の枠を超えた社内の高密度な連携
三石
P2シェルパの組織体制と各プロジェクトの規模感についてお聞かせ頂けますでしょうか?
大賀様
全体で70人弱のチームですが、少なくとも20以上の案件に分かれています。一つひとつのプロジェクトの大きさは様々ですが、大きいものは400億円ぐらいの案件の全体を仕切っています。
三石
転職マーケットでもPMO人材の採用ニーズが増えてきていますが、お話を伺う限り、御社はかなり経営・ビジネスレイヤーまで踏み込んでいるように感じますね。
大賀様
PMOにもいくつかのパターンがありますが、我々が志向しているのは実践型です。プロジェクトの状況を定められた方法で可視化するだけの、いわゆる事務局型ではありません。自ら現場を仕切りもするし、経営の目線で参謀になる場合もあります。
そのような役目を務めるためには、お客様の業界、製品、組織、利害関係、これら全てを理解していないといけません。クライアントマネジメントも重要です。役員でも賛否が分かれる中で調整し推進して行く。求められる能力は多岐に渡ります。
山尾
相当の経験を積まなければ難しい仕事ですね。
大賀様
さすがにこのレベルを担えるには熟練が必要ですが、メンバーには、まずは業務から入り業界を知り、鍛えることでいずれ到達してほしいと考えています。
三石
業務から入る、とは例えばERPなどでしょうか?
大賀様
例えばそうです。ただし、私達は特定の製品に縛られないので、SAPを知っている、ではなく、業務を知っている、ということが重要です。製品は必要に応じて何でも扱いますから常に新しいことを学ぶ姿勢が求められます。楽をしたい人には向かないかもしれませんね。
三石
他社との差別化についてはどのようにお考えでしょうか?
大賀様
組織の枠を超えた社内の高密度な連携が強みであり、差別化に繋がっていると考えています。例えば、提案フェーズにおいても、戦略チームが検討したモデルを私のチームがプロセスに落としていく。あるいは最新のテクノロジーを追いかけているチームと一緒に、プロセス設計の中でデジタルを組み込んでいく、などシームレスな繋がりにはかなり自信を持っています。
山尾
確かに他社ファームですと、提案は単体の組織でという話も聞きますね。
大賀様
シグマクシスは縦割り組織の弊害とは無縁です。よく提案書が面白いと評価されるのですが、それは複数のチームが一緒に作り上げているからだと思います。
三石
戦略、ビジネス、IT、デジタル、イノベーション等、強みが異なる多様な人材によるハイブリッドなチームがこれまでにないシナジーを生み出しているのですね。
一人称で自立的に動ける組織
山尾
大賀様のチームはどのようなカルチャーでしょうか?
大賀様
一言で言えば大人な組織です。我々はお客様に価値を提供して、その対価を頂いています。汗をかいて実績を出すことがお客様のためになり、結果として自分のスキルが磨かれる。単純ですが、この構造をきちんと理解し、物事を自分事として一人称で考え、自立して動けるメンバーが多いと感じます。
山尾
P2シェルパのメンバーのバックグラウンドをお聞かせ頂けますでしょうか?併せてどのような方に参画してほしいかお聞かせ下さい。
大賀様
バックグラウンドとしては、新卒入社が約20人。残りが中途入社でファーム出身者が多いですね。ただ大手ファームと同じことをしようとしているわけではありませんので、新しいことをしたいという想いを持っている人、多様性を楽しめる人に加わって頂きたいですね。
シグマクシスのような比較的コンパクトな組織だと、社内で全く違う方法論を持つ人と一緒に仕事をすることになり、私自身とても刺激を受けています。組織に新たな刺激を提供してくれる方は大歓迎です。
改善ではなく改革 ―日本の未来に貢献したい―
山尾
大賀様のプライベートについてお伺いしても宜しいでしょうか?
大賀様
古い車を自分でメンテナンスするのが好きで、週末は車をいじっているか、どこかを走り回っていることが多いですね。たまにレース用のタイヤを積んで、富士スピードウェイに行くこともあります。他には渓流釣りやゴルフも好きですね。
山尾
休日はアクティブに外へ出て行かれるのですね。仕事とプライベートの切り分けについてはどのようにお考えですか?
大賀様
以前は週末も仕事をしていましたが、最近ではメールも見ないようにしています。オンとオフを上手く切り替えるようにしていますね。
三石
最後に読者に向けてメッセージを頂けますでしょうか?
大賀様
このままだと日本が沈んでいく、という危機感を私は持っています。規定路線の延長線上に残念ながら輝かしい未来はありません。
ただし悲観しているわけでもありません。異なる発想を組み合わせることで、足し算ではなく、掛け算の結果が生まれます。改善ではなく、改革ができるのです。青臭いと思われるかもしれませんが、日本の未来に少しでも貢献したい。我々は本気でそのように考えているのです。同じような気持ちを持った方はぜひ一緒に仕事をしましょう。