マイクロソフト社製ERP(Dynamics)の導入に特化した強みを活かし、日系企業の発展に国内外で貢献するパシフィックビジネスコンサルティング。 今回は、同社のビジネスソリューション事業部で活躍されている岡村宗一郎様に、アクシスコンサルティングの田畑孝と福原大基がインタビューしました。 文中の情報及びデータ等は2015年10月現在のものです。
未経験からコンサルタントに挑戦
福原
まずは岡村様のご経歴をお教え頂けますでしょうか。
岡村様
前職は小さなソフトウェア会社でウェブデザインやネットワークのエンジニアとして働いていました。パシフィックビジネスコンサルティングに入社して8年目です。
福原
キャリアを大きく変えて現職に入社されていますが、現職のようなキャリアはもともと志向されていたのでしょうか?
岡村様
元々はありませんでした。転職サイトでスカウトが届いて興味を持ち、面接へ行ったのがきっかけです。職場を見学して「楽しそう」という印象を持ち、入社を決めました。ERPパッケージについては入社後に勉強しました。
入社した時は28歳で、大きな決断でしたが、前職の経験を活かせると思いコンサルタントに挑戦しようと思いました。
国際色豊かな人材で海外展開をサポート
田畑
現在はセミナー講師などでも活躍されていますが、現職での仕事についてお聞かせください。
岡村様
弊社はマイクロソフトのDynamics製品を中心に取り扱っている、独立系のSIerです。メインの事業はNAVとAXというERP製品の導入支援。その他、Dynamics CRM、セキュリティーシステムのAquaGuardといった製品も取り扱っています。
会社自体はAXチーム、NAVチーム、保守運用サービスのサポートチームと3チーム構成になっています。
強みはDynamicsへの特化に加え、中国やベトナム、インド、マレーシア人など多国籍なメンバーが在籍しているので、海外展開のお手伝いができる点。それと保守まで一気通貫で支援できる点も他のERP導入会社とは差別化できるポイントです。
NAV導入の局面としては、日系中堅企業の海外支社展開が多く、期間は半年~1年。海外子会社への展開は子会社の数に応じてプロジェクトが長くなるので、今のプロジェクトは3年目に突入しました。おそらく4~5年かかるプロジェクトです。
プロジェクトの内容・やり方は、要件定義→システムの構築(標準パッケージにはない機能の実装)→受け入れテスト→本番稼動という流れですね。
田畑
ERPのNAVのキャッチアップには、どれくらいの時間がかかりましたか?
岡村様
お客様のところへ行って導入までできるようになるまでに、2年ぐらいはかかりました。最初はサポートチームに所属して、導入を終えたお客様から運用上の問い合わせを受けて回答する保守業務からスタートし、2年ほど経験しました。この2年間で、ERPとは何か、NAVという製品についての理解を深めました。
その後導入チームに移って、導入プロジェクトに携わるようになりました。個人的には、この保守から導入支援と経験を積むキャリアパスが今の自分の成長を支えていると感じています。
マイクロソフトのNAVだからこその魅力
福原
入社8年経っての、市場の変化、Dynamicsの普及率などを受けて、御社の役割がどう変わっているか、今後どう変わっていくかについてお聞かせ下さい。
岡村様
ERPの市場は大きく変わってはいませんが、ある一定レベルで推移しています。Microsoft Dynamicsを取り扱っている弊社の場合は、経済状況に応じて案件の増減はあります。低コストで導入できる製品なので、景気が悪くなった後のほうが増加しますね。
会社としての変化は、ここ5年くらいで日系企業との取引が増えたことです。入社当初は外資系の日本支社にNAV導入のお手伝いをすることが多かったのですが、日系企業の海外の支社への導入が増えています。
田畑
ERPのパッケージは他にも沢山ありますが、クライアントがマイクロソフトのNAVを選ぶ背景はどこにあるとお考えですか?
岡村様
グローバルでマイクロソフトとして力を入れている製品であり、長期的にロードマップが敷かれているということは大きいです。
安心感や完成度で評価が高いのではないでしょうか。マイクロソフトの掲げるクラウド戦略と親和性が高く、ERP単体だけでなくOffice365やAzureといったクラウドサービスとの抱き合わせもできる点も要因だと思います。
田畑
日本の大手企業の8~9割はマイクロソフトのWindowsが入っているので、そことの連携ができるのは大きなメリットですよね。
岡村様
OSレベルというよりは、Office365やAzureなどのクラウドサービスの注目度、期待感が高まっており、グローバルレベルでこれらクラウドサービスと一緒にNAVを導入するメリットが訴求できていると感じています。
さらにNAVに関しては、全世界でパートナーがいるため、海外展開にあたってパートナーシップを組みやすい。展開力があり、低コストで導入できるのもお客様に評価していただいている点です。
裁量が大きく、自由度が高い
福原
御社の雰囲気や社風についてお伺いします。外国籍の方が多く、多様な文化が受け入れられる雰囲気がある、というイメージですがいかがですか?
岡村様
入社した人の感想は、「自由度が高い」というものが多いです。規模の拡大で就業規則は細かくなっていますが、IT企業と比べると裁量が大きく、働き方の幅が広いですね。
田畑
残業は比較的少ないと伺っていますが、ワークライフバランスについてはいかがですか?
岡村様
平均的な残業量で収まっているのではないでしょうか。仕事のアサインもマネージャー陣が全体最適を目指して配置を月ベースでおこなっているので、一人の人が辛い状況になる、ということはありません。
自由度が高いことで例を挙げると、プロジェクトベースで動いているので、顧客先のオフィスへの直行直帰を自由に認めています。仕事のやり方が身に付くと、休みも取りやすくなりますし、スケジュールも立てやすくなります。
田畑
効率的に仕事ができるのであればそれを尊重するということでしょうか?
岡村様
はい。基本的にOJTなので、一定期間を過ぎれば一緒に仕事をしていくというスタイルになります。
NAVの場合ITコンサルタントのキャリアとして特定の分野に制限されません。ジェネラリストとして会計・サプライチェーン・製造・パッケージの知識が必要になってきます。
パッケージとして扱いやすいので、いろんな知識が身に付きやすく、2~3年経つと一通りのモジュールが導入できるようになります。
世界一周規模の出張
田畑
海外展開もあると英語を使う機会もあると思いますが元々英語は堪能でいらしたのでしょうか?
岡村様
スムーズに会話ができるレベルではなかったのですが、必要に駆られ英語のコミュニケーションにチャレンジした結果、今ではアメリカ人ともなんとか意思疎通できるようになってきました。なかなか自己研鑽の時間を持てないので、必要最低限のフレーズを叩き込んでいます。
田畑
社内の公用語は日本語ですか?
岡村様
日本で働いている以上、外国出身でも日本語ができないと仕事にならないのであえて日本語にしています。メールもそうです。
田畑
海外出張は頻繁にありますか?
岡村様
私自身多いときは月に1回1週間以上あります。先月も世界一周というレベルの出張に行ってきました(笑)。
しかし会社のルールで長くても2週間という限度があります。既婚者でも、家族は安心できるのではないでしょうか。
そういった配慮は会社としても働いていますし、製品自体も長期間出張すればいいという性質のものではありません。短期間でも成果が上げられる製品なので、短期出張でも十分回せます。
いろんな方と仕事をすることが成長速度を速める
福原
クライアント側のカウンターパートとなるのはどのような方ですか?
岡村様
NAVを扱っていて一番大変なのは、お客様側は業務ごとに担当が変わるところです。経理だけでなくロジスティクス系や営業、アシスタントの方の場合もあります。
BIのツールを併せて販売することもあるのでマネジメント層の方が出てくることも。幅広く対応できる力が必要です。
NAVだといろんな部署の方と仕事をするので、成長速度が速くなると思います。
先輩からも「普通に仕事をしていたら絶対会う機会がないような地位の人と会える。これは貴重な経験」と言われたことがあります。幅広い経験をして、フロントに立ちたいという方にとっては、いいですね。
求めるのは自立心があり、ITへの興味関心が高い方
田畑
今後、どのような人材に参画してほしいとお考えですか?
岡村様
抽象的には、自立心がある方。NAVに限ると、少人数でプロジェクトを回すため、十分なバックアップ要員が足りない状態です。体調・家族との調整などを自分でコントロールできないと長続きしません。
スキル面では、ITの全般的な知識。サーバー、ネットワーク、クラウド、モバイルデバイスなど基本的・全般的な知識と興味がある方がいいです。最近は特にNAV単体で販売することはあまりないので提案の幅が狭くなってしまいます。
経験面では、ERPを何かしら経験された方が有利だと思います。でも開発系の人でも業務知識にこだわってきた方・上流工程の開発に携わってきた方も向いています。
コンサルタントというと上流のイメージが強いですが、最小構成で行くとなると開発の素養がある方のアドバンテージも大きいです。
NAV自体がカスタマイズしやすいことを売りにしているので、自分で要件定義→開発→納品ができると非常に効率が良い。海外のNAVコンサルタントだとそういう人も多いです。
常に先駆者でいたい
田畑
プライベートについてもお伺いしたいのですが、休日はどのようにお過ごしですか?
岡村様
子どもが2人いるので、週末は子どもと過ごします。海外出張の時はできませんが、日本にいるときは保育園の送りは私の担当です。
あと、趣味ということでいえば、東京マラソンには今までに2回出場していて2回とも完走しています。
田畑
今後のキャリアへの想いはいかがですか?
岡村様
ここ数年はプロジェクトマネージャーとしての役割がメインになると思います。NAVは毎年新しいバージョンが出るので、新しい技術が出てきたときは知識・技術の習得をして、常に先駆者でいたいですね。