「究極なる価値と喜びを創造する」。お客様・ビジネスパートナーとコラボレーションで、新しい価値創出に取り組み続けるシグマクシス。
今回はビジネスシェルパのマネージングディレクター 三宅利洋様に、アクシスコンサルティングの伊藤文隆と三石真司がインタビューしました。 文中の情報及びデータ等は2015年11月現在のものです。
文中の情報及びデータ等は2015年11月現在のものです。
まだコンサルタントという職種の知名度が低い時代
三石
三宅様は、新卒から一貫してコンサルティング業界でお仕事されていますね。
三宅様
はい。新卒でアンダーセンコンサルティング。現在のアクセンチュアに1992年に入社して以来、コンサルティング業界一筋です。
伊藤
学生時代は始めからコンサルタントを志望しておられたのでしょうか?
三宅様
途中からですね。当時はまだコンサルタントという職種の知名度が低い時代でした。経済学部の先輩、友人達の就職先は、大手金融機関や日本銀行、大蔵省。そんなところが多かった。
そんな中でたまたま中学時代の同級生のお兄さんがアンダーセンコンサルティングにいて、話を聞かせてもらううちに、なんだか楽しそうにやっているな、と。
元々皆と同じレールは嫌だな、という思いがあり、それでコンサルティングファームに入ることに決めたのです。
伊藤
当時のアンダーセンですと、まだ1000人もいない時期ですよね。
三宅様
当時500人強の会社で、私が入社した時に同期が250人ほどいたので合わせて800人くらいになったところでした。
三石
始めから戦略専門だったのでしょうか?
三宅様
当時はまだ戦略グループがなく、最初の8年間はITを中心にやっていました。それから戦略グループに移り、また8年間で計16年。その後、シグマクシスに移り、引き続き戦略領域を担当して今に至ります。
三石
弊社への相談でもITコンサルタントから戦略コンサルタントへのシフトを希望される方は多くいらっしゃいますが、戦略への異動は、三宅様のご希望だったのでしょうか?
三宅様
いえ。呼ばれた形でした。実は初めは異動には乗り気ではなかったのですけど、今は移って良かったと思っています(笑)。
振り返ってみれば、ITコンサルタントをしていた時も、設計などをしていたのは2年くらいで、残りは実質的には戦略部分に携わっていました。
というのも、当時日本のシステム開発は、国内大手システムインテグレーターの専売領域でしたから、そこに我々が食い込むには、部門戦略や営業改革の構想、あるいはグローバルITをどのように取り入れるか、など、その手前からクライアントに入り込むことが求められていたからです。
三石
コンサルティングファームとしても事業戦略上、システムインテグレーターとの明確な差別化を図っていく必要があったのですね。
パートナーとしてやりたいことをやれ
三石
三宅様はBPOに関しても執筆しておられますね。とても守備範囲が広い。
三宅様
始めから意図していたわけではありません。16年も在籍していると、他のファームやファンドなどからいろいろお声がけを頂き、考える機会もあるわけですが、その度に、まだこの会社でできることはないのか? と自問しました。幸いキャパシティの大きな環境で、社内にもチャンスは転がっていましたので、今ここで去るのは勿体ない、そんな気持ちでいろいろなことに携わっていった結果、領域が広がっていったのです。
伊藤
シグマクシスにはどのような経緯で移られたのでしょうか?
三宅様
前職ではいろいろな事を経験させて頂きましたが、金融以外にも携わりたいというところだけは、どうにも通らなかった。そこで外のキャリアを意識し始めたところ、2008年5月に産声を上げたばかりのシグマクシスから声が掛かり、10月には入社を決断していました。
伊藤
リーマンショックに突入した時期ですね。入社当時はいかがでしたでしょうか?
三宅様
会社としても当初のプラン通りにいかないことがいろいろありましたが、今考えれば逆にそれが良かったのかもしれません。
経営からは、特に細かく指定されず、パートナーとしてやりたいことをやれと言って頂きました。
それで、せっかくここにいるならシグマクシスならではのリソースである商社と一緒にやろうと考えました。三菱商事のメンバーとのコネクションを構築し、ビジネスネットワークを広げ、鉄道、航空、物流などサービス産業で次々に仕事を創っていきました。商社自身の変革をお手伝いする仕事もあり、とてもエキサイティングでしたね。
従来型の戦略コンサルティングには無い付加価値を提供する
三石
商社のネットワークを持つシグマクシスならではのエピソードですね。ところで三宅様が率いるビジネスシェルパは現在どのような構成でしょうか?
三宅様
大きく2つのチームに分かれています。一つは従来のスタンダードな戦略コンサルティングを担うチーム。もう一つはよりビジネス的な機能にフォーカスしたチームです。後者はナレッジやノウハウを活用して、事業スピードを上げ他社との差別化を図ることを考えます。
またヒューリスティックグループと共に、よりトライアルに近い形でのビジネス支援に携わることもあります。従来の戦略コンサルティングは、既存の外資系ファームが強い領域ですから、我々は違う戦い方、付加価値を提供していこうと考えています。
三石
ヒューリスティックグループとは、どのような役割分担になっているのでしょうか?
三宅様
大まかに言うと、「コンサルのフレームワークで分析して、こういう戦略で行くべき」これは従来の戦略コンサルティングでビジネスシェルパが担います。一方、「こういう提携の話が持ち込まれたから、トライ&エラーをしながら新規事業を回してみましょう」これはヒューリスティックグループの柴沼の領域です。
これらをお客様のニーズに応じて使い分けていきますが、実際は両者が一体となって進めていくことも多いですね。私のところで短期間に仮説を立てて、柴沼のところで実行、というように。
従来型の戦略ファームは方法論を売っています。頭の切れる人間がクールに理論武装して数字で示すという世界です。もちろん我々もやっていますが、世の中の変化は激しい。試行錯誤しながらビジネスを進めて行く時代です。我々はそれができるチームを持っています。
三石
御社ならではの強み、ということですね。
三宅様
基本的にコンサルタントは研ぎ澄まされた能力を持っています。ファームの中でしっかり鍛え上げられている。そんな人間たちが一定の共通プロトコルと経験に則って議論し、お客様に提示をしています。
しかし、似た人間が似た方法論で考えても、新しいものは出にくくなっている。だからこそ多様性が必要だというのがシグマクシスの思想です。
その結果、課題の解き方が人によって全然違います。ビジネスシェルパにも戦略ファーム、総合ファーム、ファンド、事業会社の経営企画、など様々なバックグラウンドの人間がいますが、同じマネージャーでも全然アプローチが違う。
それを皆が上手く活用すれば、新しいものを生み出すことができます。あいつとはやり方が違う、で終わらせないことが重要なのです。
自分とは異なる方法論、違うアイデアも尊重する
三石
人材に求めるスキルやマインドはどのようなものになりますでしょうか?
三宅様
本物の戦略コンサルタントは常にゼロから深く考える人間です。ある専門に深いわけではなく、情報はセンスを磨くために使う。ただ、そこまで辿り着いていないのであれば、何か特定の専門性が欲しいですね。この業界については誰よりも詳しいとか、マーケティングのプロフェッショナルであるとか。
マインド面で言うと、先ほどお話ししたように、自分とは違う方法論を持つ人達とチームを組んだ時にそのアイデアを尊重できることです。考えに考えて出てきたアイデアが、自分のそれと違うなら、きちんと受け入れてクライアントに提案できること。それが大切です。そうでないとシグマクシスの強みがネガティブに振れてしまいますから。
伊藤
コンサルタント経験者ではなく、事業会社の方に対する採用意欲はいかがでしょうか?
三宅様
あります。ビジネスシェルパでも事業会社出身でマネージャークラスから入社頂いた方もいます。
当然ながらコンサルタントとしての経験は不足しているので、OJT的に現場に入れて、活躍しているマネージャーの横に付けて、このプロジェクトの期間中にテイクオーバーしてみなさい、と伝えています。
ビジネスパーソンとしては成熟している人間ですから、逆にコンサルタント経験者が学ぶところもあると思います。だから、あえて同じマネージャークラスの人間がいるところにアサインしました。
伊藤
事業会社在籍で具体的に欲しい人材のペルソナを教えて頂けますでしょうか? 例えば経営企画部出身などでしょうか?
三宅様
経営企画は確かにフィットしやすい職種の一つです。ただし、ご経験の中身を良く確認しないといけません。採用面接で話を伺うと、実際は経営管理業務としてルーティンワークを回しているだけ、というケースも多いようです。また社長室という肩書きでも、上から落ちてきた経営課題をとりあえず絵にしてすぐ下に落とす、というような仕事をしている人も難しいでしょう。
きちんと社内プロジェクト化して、人をアサインして、自ら率いて動かしている。そのような本物の経営企画であれば入社後のキャッチアップは早いです。
他には、営業企画部の方も親和性が高そうです。特定の事業部の営業戦略や販売戦略を構築したり、結果として新規事業に携わることが多いので、動きとしては似ています。
新しいコンサルティングを追求する
伊藤
ビジネスシェルパをこんなチームにしていきたい、という想いはありますか?
三宅様
会社の1パーツではなく、全体をデザインできる人になって欲しい。そしてシグマクシスという会社の未来を本気で考え、行動できる、そんな人間をビジネスシェルパから輩出したいと考えています。
恥ずかしながら、私は前職ではそのようなことをあまり意識していませんでした。正直に申し上げて将来のキャリア像も漠然としていました。ただ、従来型のコンサルをずっとやっていていいのか、という気持ちがずっと自分の中にありました。
シグマクシスでは、異なる考え方の人と刺激を与え合い、様々な人の能力を引き出し、最後は俺が責任を取るからやろうよ、と言うことができます。これは従来型のコンサルタントを続けているだけではなかなか身に付かない能力です。
シグマクシスは資本を入れて事業会社を持つこともあり、事業数値に責任を持つ機会もあります。様々なバリエーションがある会社なので、それを活かして、皆で新しいコンサルティングを追求していきたいと考えています。
トライアスロンから学ぶ
三石
最後に三宅様のプライベートについてお聞かせ頂けますでしょうか?
三宅様
この話をすると怒られてしまうかもしれませんが、シグマクシスに移る時に、人生観を変えるいい機会だと考えました。新しい生き方をしよう、と。
それでトライアスロンを始めました。今も週末はほぼトライアスロンのトレーニングに充てていてできる限り仕事をしないようにしています。
三石
実はインタビューの前にお名前を検索させて頂いたのですが、競技参加履歴がたくさん出て来て驚きました。
三宅様
トライアスロン競技者には、様々な業界で活躍している方が多いので、仕事では知り得ない方々とお話できる楽しみもあります。
また最近はランニングをしている経営者も増えてきているので、私の場合はゴルフではなく、もっぱらこちらでビジネスリレーションを繋げています。
三石
コンサルタントは体力も重要ですから一石二鳥ですね。
三宅様
体力は勿論のこと、精神力が鍛えられますね。トライアスロンは苦しくとも自分一人でなんとか最後まで辿り着かなければいけないスポーツですから。
決して諦めないぞと自分に言い聞かせたり、どうにかなるさと楽観的に振る舞ったり。たくさんの事を学べるスポーツですからお勧めですよ。