コンサルティングサービスとディールアドバイザリーを提供する国内最大規模のコンサルティングファーム、プライスウォーターハウスクーパース株式会社。
今回はPeople & Organization部門を率いるパートナー 作佐部孝哉様にアクシスコンサルティングの伊藤文隆と坂本健太がインタビューしました。
文中の情報及びデータ等は2015年12月現在のものです。
経営で成果を出すための戦略的組織・人事
伊藤
まず作佐部様のご担当領域とチームのご紹介からお願いします。
作佐部様
組織・人事のメンバーは、世界で1万人、日本で100人程度です。その中で私のチームは約40名で、戦略よりの人事・組織のコンサルティングをおこなっています。
他にも、テクノロジー領域に強い部隊や、TAX(税務)のチーム、マーケット側にも組織・人事のメンバーがいますので、PwC Japanトータルで100人ですね。
人事・組織における日本有数のコンサルティングファームだと思います。
伊藤
そんな規模をお持ちだったのですね。他ファームと比較しての違いをもう少し補足いただけますか?
作佐部様
大きく3つあると考えています。
1つめは、組織人事の専門性に加えて、経営やビジネスにも通じていることです。沿革上、プライスウォーターハウスクーパースHRSという専業ファームの知見を取り込んで大きくなっていますので、総合ファームの良さと専業ファームの強さを合わせ持っています。
2つめは、成長途上の組織、良い言い方をすれば、柔軟性の高い組織だという点です。既に組織やサービスができ上がった企業は、なんとなく息苦しく、自分の居場所を見つけづらいことが多いと思います。でも弊社は、顧客はもちろん、会社からも高い期待を受けて、組織やサービスを日々拡大、進化させています。これからUSや中国といった主要国との連携も強化され、その変化や成長はさらに加速するはずです。
こうした成長の波にのって、自分自身を成長させていける点が弊社の良さと自負しています。
3つめは、経営に貢献できるコンサルティング、事業で成果を出すためのコンサルティングに特化していることです。人事部の方のお手伝い的な案件だけでなく、経営者や事業のトップの方が事業をより大きくしていく上での相談にもよく乗らせていただいています。
全員がOutputではなく、Outcome志向
伊藤
人事部向けだけでなく、経営者や事業トップ向けのコンサルティングを重視している理由をお伺いできますか?
作佐部様
グローバル化・デジタル化といった新しい局面でいかに成果を出すか、その悩みを抱えている企業や経営者の方が増えているからです。
求められる対応の時間軸もスピードアップし、短期間でどれだけ成果が上がるのかがシビアに求められています。人事部に課題が落ちてから、人事部の方のお手伝いをするというよりは、経営者や事業トップの方の相談に乗りながら、クライアントの経営企画部や人事部とチームを組んで対応するほうが、早く確実にお役に立てるということです。
そのためにも、私がいつもチームに伝えているのは、Outputではなく、Outcomeを重視しようということ。そのサービスを通じて、どれだけ経営に貢献できたのか、成果は何か、それを考えることが経営や事業を理解することにも繋がります。マーケット側のトレンドや課題を学ぶ場や交流の機会も数多く用意されています。
伊藤
具体的なテーマとしては、どのようなものが多いのでしょうか?
作佐部様
経営や事業からのご依頼が増えているので、テーマの重点もシフトしています。
まずはグローバル化への対応です。特にクライアントが海外への進出を企図して、国内外企業を買収・統合する案件が増えています。具体的には、統合前の組織や人材のデュー・デリジェンス、そして統合後の組織や人材の生産性を上げるための仕組みづくりといった案件です。
2つめは、デジタル化への対応です。デジタル化の中で、企業も従来の事業ポートフォリオやビジネスモデルを大きく変えてきています。
その変化の中で、これからの人・組織はどうあるべきか、今いる人材をどうシフトしていけばいいかとお悩みの企業が増えています。私たちはその戦略立案から実行までのすべての変革を、トランスフォーメーションというサービスでお手伝いしています。
これからは質的なコラボレーションが重要
坂本
グローバル化やデジタル化に対応していくという流れのなかで、貴グループの役割の変化をどう感じていますか?
作佐部様
日々、人材が持つ重要性が高まっているなとは肌で感じています。
仕組みについては、国内外の先進企業のモデルをコピー、追随することもできますが、その仕組みを運用する「人材」だけはコピーできないからです。
極論すれば、人材こそが競争優位性の源泉になるということです。いまシリコンバレーで人材の確保が難しくなっているのも、その兆候ではないでしょうか?
仕事の進め方も変化しています。
前提としてあるのは、これからは、組織・人事の専門家という枠に閉じこもっていては通用しない時代だという点です。経営や事業からの難易度の高い課題に応えていくには、いかに他の領域のプロとつながってサービスを提供できるかが問われています。
地域や国を跨いだグローバル側面でのコラボレーションは当然のことで、そこは差別化のポイントではありません。むしろ、いまは次のステージ、専門性を跨いだ質的なコラボレーションが重要になっています。
人と人、国と国、ノウハウとノウハウの結びつきでクライアントの課題を解決していく事こそ、組織人事コンサルティングの醍醐味だと感じています。
ストラテジックな頭の良さと、人を変えていく人間力が必要
坂本
チームで成果を出す、他の専門家と組んで対応するという話が出ましたが、働いていくメンバーにはどのような能力、人間性の方を求めていますか?
作佐部様
おっしゃる通り、弊社の価値の出し方として、他の専門家と組んでお客様に対応できる方のほうが活躍できると思います。
同僚もライバルというファームもありますが、我々のチームは、お互いをプロとして尊敬しあい、助け合うことを大事にしているので、アットホームな雰囲気です。
チームで成長していける集団、組織力で戦えるチームを目指していますので、エゴの強い人、自分のことしか考えられない人は自然と淘汰されていると思います。
能力面でいえば、自分なりの解を考え抜けるストラテジックな頭の良さと、人を変えていく人間力が必要です。組織・人事を入り口にして、経営・ビジネスを変えることが課題になりますので、変化の中で未来を見通す力と、実際に組織を変えていく力の両方が求められてくるからです。
坂本
グローバル案件も多いと思いますが、語学力についてはいかがですか?
作佐部様
語学力は必須ではありませんが、ある程度、できたほうが仕事はしやすいと思います。
ただ、あまり気にされなくても、入社してから社内の語学研修プログラムを活用したり、海外と連携して仕事を進める中でどんどん磨いてもらえると思います。
一方で、語学が得意な方は、通常のグローバル案件はもちろん、グローバルモビリティという仕組みを活用して、海外で数年プロジェクト経験を積んでもらうことが可能です。
また、もう少し使いやすい仕組みとして、現在USや中国・香港と、3ヶ月程度の短いサイクルで相互に人材を交換・交流させるプログラムも進めています。
東南アジアをはじめとして、日本から人を出してほしい、日本オフィスのサポートがほしいという依頼が正直、応えきれないほど来ていますので、海外に出る機会には事欠きません。
私たち自身がこれからの時代に通用するプロになる
坂本
最後に、貴チームで働くやりがいやメリットはどこにあると考えておられますか?
作佐部様
組織・人事のプロ集団として、クライアントに人材のあり方をアドバイスする以上、まずは我々自身がこれからの時代に通用するプロであるべきというのが基本的な考えです。仕事を通じて、クライアントだけでなく、自らの市場価値を高めていけるというのがメリットではないでしょうか。
ファームの思想としても、勝手に成長してくださいというより、一人ひとりをじっくり、しっかり成長させることを重視しています。
また弊社に入社したメンバーから聞いた話ですが、組織やチームが縦割りでないこともあり、一人ひとりの仕事の幅や選択肢が多く、色々な経験を積んでいける点も他ファームとは差別化できるポイントだと思います。
坂本
お忙しいとは思いますが、作佐部様のプライベートについてもお伺いできますか?
作佐部様
若い頃は、寝食を惜しまずという時もありましたが、今はそういう時代ではないですね。私自身、家族と食事したり、家族と過ごす時間を大切にしています。1年のうち何回かは長い休みをとって、海外にもよく行きます。家族あっての自分ですし、最後に自分自身を評価してくれるのは、会社でも上司でもなく、家族しかいませんから。
実際に、働きやすさという意味では、制度の充実はもちろんですが、チーム内の女性比率が高く、約半分近くいるという結果自体がすべてを物語っていると思います。最近は、組織が成長モードに入っているので忙しさが増してますが、結婚されている方、お子さんをお持ちの方でも、仕事と家庭のバランスをとりながら長く働き続けられる環境が整っています。
伊藤
最後に読者へのメッセージをお願いします。
作佐部様
私個人の想いとしては、日本企業を良くしたい、これからの組織・人事に革命を起こしていこうと想いを持っている方とご一緒したいです。大好きな水滸伝で例えるなら、我々のチームは、組織・人事の梁山泊です。一人ひとりが自分の武器や役割を持ちつつ、お互いに助け合いながら組織として大きく成長していく、そういう考えに共感してくれる方がいれば、ぜひお話をさせてください。
PwCなら、皆さんのポテンシャル(潜在能力)にふさわしい、舞台とプラットフォームを提供できると確信しています。私たちだけでなく、世界のクライアントが皆さんの才能をお待ちしていますので、少しでも興味があれば飛び込んでみてください。