【転職事例】商社から外資系ファームへ転職後、メガバンクへ。元コンサルだからこそ「無双状態になれた」その真意に迫る。

専門商社では海外営業としてインド市場を開拓、高いパフォーマンスを残したのちに外資系コンサルティングファームへ転職。その後、社会に与える影響の大きさに魅力を感じメガバンクへキャリアチェンジを果たす。
事業会社からコンサル、そして再び事業会社へと戻ったからこそ分かる、コンサルと事業会社で求められるアウトプットの違いや、コンサル経験者だからこそ事業会社で発揮できるバリューについて伺った。

商社ではコンサルで発揮される「対人能力」を徹底的に鍛えられる

―新卒で商社へ就職されています。まず就職活動のお話から教えてください。

就職活動の際は、「売った買った」といった実商売に近い仕事内容を求め、投資管理などバックオフィス系の仕事も多くなってしまうというリスクを抱える大手商社ではなく、鉄鋼業に強い独立系の専門商社を選びました。

―商社ではどのような経験をされ、どのような学びがありましたか。

1年目からトレードに関わりましたが、想像以上にトレードというものが原始的でしたね。原始的だからこそ人間としての強みが生きるので、最初は飲み会や朝の挨拶といったお作法の指導から始まりました。ただ、今思うと商社での経験がとても役立っていると感じています。前職のコンサルも結局は「人と人の勝負」であり、クライアントに気に入られて”なんぼ”ですので、そういう意味では商社で培った「対人能力」は非常に役立ちましたね。

―そのほかに、商社時代を振り返ってみて今役立っていることはありますか。

空気を読まずものを売りにいく姿勢ですね。インド市場の新規参入営業を担当していましたが、見ず知らずの土地の会社でも気にせず訪問販売していたので度胸がついて、どんなことがあっても物怖じしないようになりました。

―そういった中、2年目で転職を決意された胸中や、その経緯について教えていただけますか。

トレードは社会的な規制や国際的なルールにがんじがらめになっており、自由が利かない領域だったこともあり、「自由度の高い仕事がしたい」「逆にルールを作る側の仕事を経験したい」と思ったことが理由です。 最初は規制をつくる側である国連に興味を持ちました。そのために様々なセミナーに出入りする中で、偶然にも元国連のデロイト トーマツ コンサルティングの方と出会い、その方に誘っていただき転職したという経緯です。

事業会社とコンサルの違い、それは一人一人の出す成果の完成度の違い

―事業会社からコンサルティングファームへ転職されていますが、「コンサル」の仕事とはどのようなものでした。

事業会社からコンサルに転職し、その後コンサルから事業会社へ戻ってきたことであらためて気づいたこととして、事業会社の仕事1つ1つを、徹底的に考えつくし、実行するのがコンサルの仕事だと思います。事業会社では一人一人が60点の回答を持ち、それをみんなで持ち寄りコンセンサスを取って進めてゆくのに対して、コンサルは一人一人が100点の答えを出していくことが求められます。

―なるほど、ただ未経験の方がいきなり100点の回答を求められるとなると入社後のキャッチアップが大変だと思います。入社後すぐキャッチアップするために入社前にできることなどあったら教えていただきたいのですが。

私は入社前に知人から「自分の会社にコンサルとして売り込むなら、君はどうする?」と聞かれましたが、その問いに対する回答は用意した方が良いと思います。たとえば、自分の会社の業務課題・ITの課題を自分で考え、課題を特定し、それに対してソリューション案を持つということが、コンサルに入社後すぐに活躍するための助走になるかと思います。 実際、商社では課題を痛感に感じており、コンサルタントになってから前職へその課題に対するソリューションを提案したところ実際にプロジェクトになりました。

また、最初は特に会話ができないことが1番大変なので、ある程度「ロジックツリー」など、そういったコンサルで使われるフレームワークなどの本は読んでおいた方が良いかと思います。基本的な理論が理解できないと、そもそも会話にならないんですよね。例えば「MECE(ミーシー)」という概念が分かってないと、みんなが「おかしい」と思っていることに対して何がおかしいかも分からないので、「あ、そうか。この人ミーシーという概念があるから、これとこれがおかしいと言っているんだな」というのが分かると大分助かると思います。

―商社から前職のコンサルティングファームに転職した際にアクシスコンサルティングと出会ったとのことですが、その時感じた弊社の印象を教えていただけますか。

私はできるだけお声かけいただいたエージェントと話をしていますが、9割のエージェントは営利目的で話をしてきます。大手の有名企業など、よくある求人を薦め、そこに対して興味がなければ「さようなら」といったパターンが多かったです。 一方で、アクシスコンサルティングと出会った際にはすでに前職のファームへの転職がほぼ決定しており、それでも相談に乗っていただけたので、「本当に信用できるな」と思った記憶があります。また知人の紹介で前職のファームへ転職しましたが、御社を経由した転職ではないのにも関わらずコンサル業界について幅広く情報をいただけたのはとても助かりました。

「自分が働いた数カ月に何千万の価値があるのかを常に意識することで成長を果たせた」

―ありがとうございます。次は、前職でのご経験をお伺いしたいと思います。プロジェクトの内容について教えていただけますでしょうか。

インダストリー軸に所属し、鉄鋼業のプロジェクト全般に関わっていました。BPRが中心ですが、その中でも調査から戦略立案、PMIまで4年弱で13プロジェクトと様々な経験ができました。

―コンサルになったばかりの「立ち上がりの時期」に苦労されたことはありますか。

タイムラインの違いですね。コンサルではタイムラインが明確に定められており、「毎週アウトプットを出し続けないといけない」環境は大変でした。 商社という仕事特有かもしれませんが、事業会社の仕事はやらなければ自分たちが困るだけですが、コンサルではやらないと自分たちが困るだけでなく、クライアントも困るというところが明確に違ったと思います。

―ありがとうございます。コンサルタントとして1番経験しておいて良かったと思ったプロジェクトはありますか。

最後の1年半ずっと一人で関わっていたプロジェクトですかね。下にもメンバーがいましたが、自分で裁量を持つことがどれだけ大変なのか分かりました。 コンサルは月に数百万をクライアントからからいただいています。自分の1日の働きに目の前のクライアントが10万円払っていただいている。その分、死ぬ気になってやっていかなきゃいけないというプレッシャーもありつつ、それでも継続して案件をいただける点はモチベーションになりましたね。自分が中心にいたプロジェクトでしたので、自分が働いた数カ月に何千万の価値があるのかを常に意識する機会が多く、成長できた経験です。

「結局アドバイザリーサービスからは抜け出せない」という思いから転職を決意

―高いモチベーションがありながらも、前職から転職しようと思ったきっかけを教えてください。

コンサルティングファームで4年弱働き続けてきたものの、「結局アドバイザリーサービスからは抜け出せない」という思いがありました。自分が主体的に何かするというよりも、クライアントが何かするお手伝いから抜け出せないことが1番のフラストレーションでした。コンサルの仕事はとても好きで今後も続けたい気持ちはありましたが、もう1回自分がコンサルに対するクライアント側、実ビジネスに主体的にチャレンジしたいと思いました。 また、コンサル業界は出戻りも歓迎しているところがあり、30歳という年齢から他業界に挑戦するのは最後のタイミングだと思ったことも大きな理由ですね。

―主体的にできないという思いから転職を決意されたとのことですが、主体的に仕事ができてないという感覚はどのような時に感じられますか。

最も感じたのが最後のプロジェクトですね。大手のクライアントでしたが、その部署が社内で表彰された際に、十中八九このプロジェクトは自分が手掛けた自負があるのに、結局はクライアントだけが社内で評価されていました。 確かに、コンサルは選択肢を示し、レコメンデーションすることが仕事です。また、ファームにRFP(提案依頼書)を出したのもクライアントですし、発想は全部クライアントが起因ですが、自分が全部方針を決めて、そのための話を進めたのに、黒子にしかなれないところに少し違和感を覚えました。承認欲求が満たされなかったとも言い換えられるかもしれません。

―例えば表彰の場で「今回一緒にプロジェクト進めてくれたのはHさんです」と紹介があった時はその気持ちが変化するのでしょうか。

ただ、仮にそう言われたとしても、コンサルタントはプロとして「いえ、違います」と答えないといけないと思います。

―コンサルのプロフェッショナルリズムを維持しようとすると、必然的に主体にはなれず、黒子になり続けないといけないということですね。

仰る通りです。

―次の転職先としてメガバンクに入社を決められたポイントについて教えていただけますか。

商社から前職のファームに転職する時も同じですが、社会に大きなインパクトを与えたいと思っており、確かに銀行は「斜陽産業」と揶揄されてはいますが、それでも社会に与える影響の大きさは変わらないところに魅力を感じたことが理由ですね。

―コンサルティングファーム、そしてメガバンクとも紹介という方法で転職されていますが、人との付き合い方で特に心がけていることはありますか。

具体的な話になってしまいますが、飲み会は基本断らないですね。また人を選ばずに話をしています。全く知らない人と話したり、飲みに行くことは億劫に感じることもありますが、関係を築いた先のことを常に考えて接しています。正直なところメリットしかないと思います。

「業界の10年後」を商売関係なく俯瞰して提案できるところが銀行の魅力

―あらためて今のお仕事の概要を教えていただけますでしょうか。

メガバンクは「総合金融業」で、銀行、証券、信託と大体この3つで一つのグループになっているのですが、そのグループ内に何かしら仕事が起きるようクライアントに提案を行っています。結果的にM&Aであれば証券が動きますし、新しい工場を立てるのであれば信託が動きます。増資をするのであれば銀行がお金を貸します。クライアントの1番近くにいて、そこで提案し、グループ内に仕事を生み出すことが今の仕事です。もう少し簡単に説明すると「クライアントの1番の相談相手として動き続ける」ということでしょうか。

―前職で主体性が欠けてしまうと仰っていましたが、その点についてはファームと比較していかがでしょうか。

銀行の場合、「この会社買ったほうがいいですよ」「この戦略を取ったほうがいいですよ」というコンサルティングにプラスアルファで、出資やFAといった付随取引もあり、もう一歩踏み込んで話ができるところが違いますね。

―ありがとうございます。話は変わりますが、事業会社、コンサル、事業会社というキャリアを描く中で感じる事業会社で働くメリット・デメリットについてはいかがでしょうか。

精神的プレッシャーはコンサルに比べると少ないと感じています。もちろん企業や部署にもよりますが、「座っていれば給料が出る」という安心感はコンサルと比較するとありますね。ただ、逆に自分の成長に対する危機感が少ないという意味ではデメリットです。
また、現在の部署特有かもしれませんが、「いくら物を売れば良いのか?」といったKPIがコンサルほど明確にはならないので、白黒はっきりしていたコンサル時代のほうが、私の場合は気持ち的に楽です。

一方で、銀行とコンサルを比較すると、コンサルも銀行も業界全体を見渡して将来像を描きますが、コンサルの場合は直近で商売になることしか提案しない側面があります。一方で、銀行は「この業界10年後にどうなっていくのか」というところを商売関係なく俯瞰して提案できるので、その点はコンサルにはない銀行の魅力だと思います。

―コンサルも10年後の目線は持っているものの「結果、今どうするの?」という短期目線なのに対して、メガバンクでは「10年後の業界どうしていこうか」というところに対して、アクションも長期目線で取れるということでしょうか。

そうですね。マネタイズできなくても動けるのが銀行だと思います。儲け方も全く異なり、コンサルは1プロジェクトで数千万というレベルで動いていますが、銀行の場合はビックディールだと数百億という規模で動きます。10年後に元が取れれば万々歳というタイムラインで動いているので、腰を据えて大きな案件を追えるという楽しさはありますね。

―入社されて3か月とのことですが、「このスキルが伸びている」「このナレッジが貯まっている」と感じるものはありますか。

財務会計や株関連の知見が増えているという感覚はあります。私は鉄鋼業に強い商社にいたのですが、この業界は市況連動性で株価が動かない領域でもありました。今まで株の動きに注目してこなかったところもあり、株の動きの仕組みについて学ぶことが多いですね。

100点を求め続けられるコンサルの環境でいたからこそ、いまでは「無双状態」になることができた

―コンサルを経験していて良かったと感じられる場面はありますか。

そうですね、先ほどの話に戻りますが、コンサルはクライアントである事業会社の社員が60点の答えを出し続ける中でも短期間で100点を求められる仕事なので、エグジットした今も1つ1つの仕事で劣ることがないです。いわば「無双状態」といいますか、アウトプットの早さ、クオリティ、量も含め、クライアントやメンバーが想定している120%で回答できています。そういった点で「コンサルを経験していて良かった」と思っています。 また、そうやってパフォーマンスを高めるとM&Aなど大きな話も依頼されますし、新しいチャレンジの機会も増えていきますね。

―逆に物足りなさを感じることもあるのでしょうか。

物足りなさも感じるところはあります。大手の銀行は付き合いがない会社がないぐらいの顧客接点を持っているはずなのに、そこが十分に活かせてないと感じる機会が多いです。コンサルはA社から話を聞いて競合のB社にその情報を売りに行くぐらいのことをしてお金を稼ぎますが、銀行はA社もB社も皆さんクライアントで、全員と仲良くしないといけないので情報を100%出しきれないのです。全員に良い顔をしないといけないので、ナレッジを共有できないところに難しさといいますか、物足りなさを感じることはありますね。

―情報を柔軟に使えるようになると、H様が活躍できる機会も広がっていきそうですね。

そもそも銀行の場合は明確なタイムラインが決められてないので、どのタイミングで銀行が情報提供してバリューを発揮するのか難しい面はあります。コンサルの場合は常に提案し続けないと売上が発生しないので、「情報を提供し続けないといけない」という圧倒的な危機感がありますね。

―今後のキャリアの話をさせていただければと思います。5年10年後を考えた時に、コンサルまた戻ろうと考えているのでしょうか。それとも、メガバンクに残り続けるのか、それ以外の選択肢も頭の中にはあるのでしょうか。

今の転職市場の状況を踏まえるとコンサル業界は戻りやすいと思いますので、そこまで出戻ろうと思ってはいません。今後は、銀行を含め、ファンドなど金融やお金というソリューションを利用したコンサルの領域をさらに突き詰めたいと思っています。

―ありがとうございます。最後に、転職を考えてる人にメッセージをいただければと思います。

私も色々な人から転職の相談を受けるのですが、その際に伝えていることは、「やりたいことが見つからない」ことで心配する必要はないということです。 正直なところ現代では明確にやりたいことに気付けている人は1%もいないのではないでしょうか。実際私も明確なビジョンを持って行動してきたわけではなく、その時々で「楽しそう」と考えたことに夢中になってきました。 無理に転職を決断するのではなく、自分のキャリアを見つめる機会を少しでも持ち、そこで考えた結果が今の会社にいることなら、無理に転職する必要はないと思います。だからこそ、「無理して転職する必要はない」とちゃんと言っていただいた御社は本当にありがたい存在だと思います。転職させようと思えば、いくらでもホラーストーリーを言って転職させられますからね。

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