アカウントベースドマーケティング(ABM)のメリット~仕事内容~必要なスキルについて徹底解説

【目次】

  1. アカウントベースドマーケティング(ABM)のメリットは「短い時間で上質なリードを獲得できる」点
  2. アカウントベースドマーケティング(ABM)が浸透した背景には、SFAやCRM、MAやDMP/CDPといったツールの進化がある
  3. アカウントベースドマーケティング(ABM)の実践プロセス「データクレンジング」から「マーケツールとの統合まで」
  4. アカウントベースドマーケティング(ABM)に必要な6つのスキルセット
  5. アカウントベースドマーケティング(ABM)成功の鍵「デマンドセンター」
  6. アカウントベースドマーケティング(ABM)の課題は、クライアント規模
  7. BtoCに当てはめたマーケティング手法「People based Marketing(PBM)」
  8. まとめ:BtoB業界の営業・マーケティング課題を解決するアカウントベースドマーケティング(ABM)

アカウントベースドマーケティング(ABM)のメリットは「短い時間で上質なリードを獲得できる」点

アカウントベースドマーケティング(以下ABM)とは、ターゲットとなる見込み顧客(アカウント)を明確に定義をし、アカウントの持つ課題や潜在的なニーズに対し、最適なアプローチをするマーケティング手法の事です。

最近になり、欧米、特にアメリカのマーケティング関連では取り上げられる事の多いキーワードの一つです。
「顧客を知る」事が営業の基礎としてある日本においては、親和性も高い手法であり、ABMを導入する企業は増えています。

ターゲットをABMほど細かく定義しない手法のマスマーケティングは上質なリード(見込み顧客)を創出するまでに時間が掛かるのに対し、ABMではターゲットを絞って戦略的なアプローチをする事で短い時間で上質なリードを獲得できるという違いがあります。

アカウントベースドマーケティング(ABM)が浸透した背景には、SFAやCRM、MAやDMP/CDPといったツールの進化がある

ABMがトピックとして挙がる機会が増えている背景としてどのような理由があるのでしょうか。

大きな要因としてツールの進化が挙げられます。
前述の通り、ABMは自社が提案を進めたいアカウントの持つ課題や顕在的・潜在的なニーズに対してアプローチを行う手法です。

その課題やニーズの分析は今までの自社の取引実績や行ってきた営業の分析を行い、仮説立てと検証を繰り返しながら定義をしていきます。

今までの取引データ、営業手法のデータ、成約に至らなかった失注データなど様々なデータを振り返りながらトライアンドエラーを繰り返していくため、顧客情報も含めたデータの統合プラットフォームになるツールが必須となります。

SFAやCRM、MAやDMP/CDPと呼ばれるツール群です。
これらのツールの進化、導入企業の増加に伴い、ABMはトピックとなり得る手法となってきました。

また、ABM自体は新しい考え方というわけではなく、日本においては昔から「顧客をよく知る」事や「お得意様」といった概念があるため、元々が非常に馴染みやすい手法であったと言えます。

ただ、トピックとなっている背景として、上記のツールの進化があり、今までマンパワーで営業が行ってきたタスクをツールの利用で負荷軽減や本来営業がするべき案件クロージング活動に重点を置く事ができるといった利点があります。

営業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)としてABMを導入する企業も少なくありません。

アカウントベースドマーケティング(ABM)の実践プロセス「データクレンジング」から「マーケツールとの統合まで」

ABMの導入に必要な人材のスキルについて、ABMの実践プロセスをご説明しながら解説していきます。

1,社内データのクレンジング・名寄せ作業

まずはターゲットを選定するために自社内のデータをクレンジングする事や名寄せが必要です。自社の営業管理をSFAなどのツールで行っていればそのデータベース内をクレンジングしていきます。これにより、会社の表記間違いや意思決定者が既に変更となっている、などのターゲット選定に重要な情報を精査できます。

2,ターゲットの選定

1でデータベースのクレンジングが完了しましたら、次にターゲットとなるアカウント、意思決定者を選定します。ここで選定するポイントは自社にどれだけ大きな利益をもたらすか、という点を重要視するケースが多いです。売上規模や前年比、前前年比などから成長比率の高いアカウントなのか、自社のサービスやプロダクトがもっと活用されるであろう部署を持つアカウントなのか、ここでは売上や成長率などœ定量的にアカウント分析を行います。

次にアカウントの中の意思決定者、重要人物を定義づけます。自社のサービスやプロダクトを最も使うであろう部門の課長や部長、はたまた代表なのかを定義づけます。
ここで今までの取引実績データなどから企業体質なども分析出来ていれば、そのアカウントがトップダウン体質なのかボトムアップ体質なのかも把握でき、ここでの定義づけにより裏付けされた定義となるでしょう。

3,コンテンツの作成

ターゲットの定義が完了したらそのターゲットに合わせたコンテンツを立案します。ここで言うコンテンツとは、メルマガやSNSでの配信内容に加え、テレフォンアポインターやインサイドセールスが行うマーケティング活動に使うトークスクリプトなども含まれます。ターゲットに合わせたトークスクリプト、セールスシナリオを持つ事でより顧客醸成を活発化させる事ができます。

4,MAやSFA/CRM等との連携

これまでのプロセスの中で行ってきたプロセスを繰り返す事により、活動に対してのリアクションや購入実績などから優良顧客をセグメントする事が出来ます。セグメントした結果からまた次のアカウントを設定、プロセスを繰り返していく事となります。そのプロセス管理の手法として、MAやSFA /CRMとの連携をする事でよりスムーズ、かつ効率的に施策をドリブンできます。

●WEBの来訪者データやメルマガ配信などはMA
●リード創出から商談、成約までの営業管理はSFA
●成約後の満足度やリピート率などの顧客管理はCRM

といった内容でツールを使い分ける事で効率よくABMを実行できる環境が整います。

アカウントベースドマーケティング(ABM)に必要な6つのスキルセット

ABMを導入するに伴い人材のスキルセットも考慮する必要があります。前述の実行プロセスを改めて確認すると、主に以下のようなスキルが必要となります。

●データクレンジング
●データマイニング
●PythonやRなどのプログラミング能力
●企業分析力
●仮説考案・検証
●各ツールの設定・運用

これだけのスキルを持つチームを構築するのは非常に労力も掛かり、人材育成や採用も難しいものです。ただ、これこそがABMを成功させるポイントでもあるデマンドセンターと大きな関わりを持ちます。

アカウントベースドマーケティング(ABM)成功の鍵「デマンドセンター」

デマンドセンターとは「デマンド」アカウントと商談をする機会を創出するセンターです。
ABM実行プロセスの中で定義づけたターゲットとなるアカウントに対し、そのアカウント内の意思決定者と商談をする機会をセールスチームに安定的に供給する機能こそがデマンドセンター、ひいてはABM導入の成功の鍵となります。

このセンターの中には、前述のデータクレンジングを行う担当や各ツールの運用担当は勿論のこと、顧客醸成化を実行するインサイドセールスやWEB運用までが含まれます。

最近ではこのデマンドセンター自体をBPOとして受託する企業も増えており、人材育成や採用活動が困難でデマンドセンターを持てない企業はBPOに委託するケースも増えてきています。

アカウントベースドマーケティング(ABM)の課題は、クライアント規模

ここまでABMの背景から手法、メリットなども記述してきましたが、そんなABMにも有効ではないケースもあります。

そのケースとは、自社のクライアントに大手企業、大組織がいるかどうかにあります。
その理由として、まず通常組織が大きくなるほどにアプローチするべき意思決定者も社内には何人もいることが一般的でしょうか。アカウントをターゲットとし、アカウント内の複数の意思決定者に対し、戦略的にアプローチするABMではこの点が非常に重要です。

対して、例えば自社のクライアントが零細企業や50人以下ほどの中小企業を主にしている場合は、アカウント内の意思決定者も少なく、ツールを使いデマンドセンターを立ち上げるほどのデータ統合は無用となりがちです。

大手企業や大組織がメインクライアントの場合は、アカウントをターゲットとする事で一つのサービスやプロダクトだけでなく、アップセル・クロスセルの提案も可能となります。

これは個人にターゲットを置かずにアカウントをターゲットに置く事で、クライアント企業の組織像まで把握が出来るABMの利点とも言えるでしょう。

零細企業や中小企業がメインクライアントの場合には、アカウントよりも個人をターゲットに置き、リードの数や商談数を増やしていく事が適切なマーケティング手法となるケースが一般的です。

BtoCに当てはめたマーケティング手法「People based Marketing(PBM)」

今までに記述してきたABMの内容はBtoB業界での事ですが、BtoBで生まれたABMの考え方をBtoCに当てはめたマーケティング手法も誕生しています。

People based Marketing(PBM)と呼ばれる手法で、ABMではアカウントをターゲットにしていましたが、PBMでは特定の個人をターゲットに置き、パーソナライズされたコンテンツを提供する事で顧客醸成を図り、購買意欲を刺激する、という手法です。

パーソナライズされたコンテンツ、と書きましたが、これ自体は珍しくもなく、今までのデジタル広告、マスマーケティングでは活用されてきていました。

ただ、今までのパーソナライズされたコンテンツは主にCookieをベースにセグメントされている事が多く、デバイスやブラウザ、アプリの多様化が進んでいる現代においては誤りのあるコンテンツを配信するケースも増えています。

例えば、デスクトップPCとノートPC、スマートフォンでそれぞれ同じECサイトを見ていたユーザーに対し、パーソナライズしたコンテンツを配信しようとしてもCookieに依存したマーケティングでは3台のデバイスが別々の人間と捉えられてしまいます。

また、GDPRやCCPAではCookieが個人情報として扱われる事もCookie依存のマーケティングから逸脱するきっかけとなりました。

PBMはこういった課題に対して、別の方法で個人を特定してパーソナライズする手法です。主にSNSやECサイトのログイン情報や回遊データがその特定方法に使うデータとなります。

FacebookやGoogleがこのようなマーケティングを行ってきましたが、サードパーティデータの利活用が可能なDMP/CDPといったツールの進化に伴い、PBMを導入する企業も増えてきています。

まとめ:BtoB業界の営業・マーケティング課題を解決するアカウントベースドマーケティング(ABM)

ABMは営業リソースのタスク逼迫化の解決、アップセル・クロスセルの提案がしやすくなる事での売上最大化、と多くのBtoB企業が抱える課題を解決する可能性を秘めています。

ただその反面、必要なツールの運用や設定、データベースのクレンジングやデータマイニング、など専門的な知識も多々必要です。

まずはABMや必要なツールを理解し、自社の環境をよく把握した上で導入することが大切でしょうか。

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<マーケティングのキャリアに関する記事>

デジタルマーケをコンサルティングファームでやるメリット
https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/mkconsulmerit

ポストコンサルで事業会社マーケティング部に転職する際の注意点
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/postconsulmarketing

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今回は、アカウントベースドマーケティング(ABM)のメリット~仕事内容~必要なスキルについてご紹介しました。

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