今回はプライベートエクイティファンド(PEファンド)に転職する際、エージェントやリファラル採用を使う場合の注意点、また実際に、どのように入社している人が多いのかをお伝えします。
【目次】
- PEファンドに入社する方法
- 転職エージェントを使う場合
- リファラル採用の場合
- その他、PEファンドに直接応募する方法
- (参考)PEファンドに無事内定するタイプの人
- (参考)PEファンドに入社する人のバックグラウンド
- まとめ
PEファンドに入社する方法
PEファンドに入社するほとんどの人は、転職エージェントやヘッドハンターを経由しています。中には直接応募する人もいますが、稀です。また、内部の社員のリファラルで採用されるケースもあります。
リファラル採用は、企業が在籍している社員の過去の同僚や、親しいプロフェッショナル人材に対して直接声をかけて採用を行うというものです。
人材の質の確保やレピュテーションという点では、リファラル採用が信頼のおける方法ですが、ジュニアのメンバーで採用されることを狙う場合は、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントを使う場合
転職エージェントの利用は、PEファンドへの入社の一般的な入社方法です。多くの転職エージェントがありますが、金融専門職に強いエージェントや、PEファンドへの転職実績が豊富なところを中心に相談することをおすすめします。
特に以下で説明するような転職時のスキルチェックをクリアできるように、ある程度の対策が可能なエージェントを探すのが望ましいです。
入社前の試験ではLBOモデルや財務3表モデルの作成に関する課題が出題されます。投資検討の際や、投資後のモニタリングも含めて作成が必須であるためです。投資銀行時代にLBOモデルの作成経験や、アドバイザリー業務の経験があれば、入社後も投資対象企業の財務分析と併せて、投資して儲かるかどうかを分析する際にスキルをすぐに活かせます。
そのため実務経験のある投資銀行出身者に関しては、財務モデリングのスキルはシビアに判定されます。戦略コンサルティングファームや総合商社出身者はテストにパスできるよう、自身でトレーニングする必要があります。
日系のPEファンドでは、ハードスキルの要求水準がそこまで高くないこともありますが、入社後のことを考えてできるようにしておくべきでしょう。
PEファンドでは、投資プロフェッショナルに対して、比較的中長期にわたりコミットメントを求めます。したがって投資銀行やコンサルから移る際にはある程度覚悟が求められるため転職エージェントに相談しつつ慎重に活動することが大切です。
特に、PEファンドは外資系投資銀行などに比べて解雇の数やリスクは高くありません。しかし外資系のPEファンドが日本に進出したものの、投資実行ができずに数年経って日本撤退をしたケースもあり、投資実行やバリューアップでの経験が積めずに年数が経過してしまいキャリア上のマイナスになるというリスクもある点は頭に入れておきましょう。
リファラル採用の場合
PEファンドでは、投資プロフェッショナルは自社で採用しますが、転職エージェントを利用すると多くの応募者がいる割に理想の人材がなかなか見つからなかったり、コストがかかるなどのデメリットもあります。
そこで投資銀行をはじめとして、多くの企業が導入しているのがリファラル採用です。
リファラル採用のメリットは、現在社員として在籍している人材が推奨する候補者であれば人間性やスキル、経歴に関して、一定以上の水準が担保されている安心感がある点。
したがって、外資系を中心によく採用されている方法であり、近年ではLinkedInなどのプロフェッショナル向けのSNSもあります。その他のネットワーキングイベントなどで知り合った人、大学やMBAの同窓生などのネットワークを通じてPEファンドに勤務している人と知り合い、業界調査やリファラル採用につながるようなこともあり得ます。人脈構築をする能力は、今後PEファンドに入社して案件をオリジネーションする際にも活かせるソフトスキルでもあります。
その他、PEファンドに直接応募する方法
転職エージェントを利用する場合やリファラル採用に比べるとそこまで一般的ではありませんが、特定のファンドにどうしても行きたい場合は直接応募することも考えられます。
PEファンドは新規ファンドでなければ、会社のウェブサイトを持っていることが多いため、そちらを経由して応募するか、LinkedInなどで自分が応募したいファンドに勤務している方に直接コンタクトを取る方法もあります。
ただし、後者の方法は無視されるリスクもあるため、慎重に行いましょう。
(参考)PEファンドに無事内定するタイプの人
PEファンドに入社後まず担当するアソシエイト(ファンドによってはアナリスト)は、基本的に投資銀行のM&Aアドバイザリーや、戦略コンサルティングファームにおいて3年以上の経験を積んでおり、社内で昇進している方が採用対象です。
したがって、若い人を採用ターゲットにしている場合を除いて、アナリストの段階で応募するよりはアソシエイト以上の職階に上がってから転職を検討して、無事に内定している方が多いです。
またソフトスキル面では、投資先の経営陣とうまくコミュニケーションを取れて、ストレス耐性がある人が好まれます。
したがってハードスキル以上に、人間性や人当たりの良さが求められると理解しておきましょう。
ただし、外資系投資銀行や戦略コンサルティングファームと同様に社員のレベルは総じて高いため、パフォーマンスの評価も優秀な人同士での競争となります。
周りに劣らないよう常に努力する必要があるため、PEファンドに転職後も評価が下がらないようにする必要があります。
(参考)PEファンドに入社する人のバックグラウンド
PEファンドは投資銀行やコンサルティングファーム出身の人材が採用されることがほとんどです。非常に少人数の組織であり、マネジングディレクターやパートナーといった社内の幹部と言われる人間に好かれるかも重要となります。一般的にはマネジングディレクターを含めシニアの社員と似たバックグラウンドの人が集まります。
外資系投資銀行出身の社員がいれば、外資系投資銀行で評価される人材が評価されますし、戦略コンサルティングファーム出身者が多いなら、自然と面接での評価基準は戦略コンサルティングファーム寄りになることが想定されます。
PEファンドでは、ファイナンススキルも大事ですが、投資仮説の作成では戦略コンサルティングファーム並みに事業に対する理解、仮説設定が求められるため両者のスキルをバランスよく兼ね備える必要があります。
アソシエイト、シニアアソシエイトといった若手のうちは、前職で培ったスキルも大事ですが、足りないところを入社後にキャッチアップできるかが重要。企業は候補者の覚悟を見極めるため厳しい選考を行い、メンバー全員を面接に参加させるのです。
まとめ
PEファンドは人気がある転職先ですが、投資後からエグジットまでの期間が長く、中小規模のPEファンドではそこまでディール数がなく投資経験が数年積めないデメリットもあります。
したがって、転職する際には情報を多く持っている転職エージェントを活用したり、すでにPEファンドに知り合いがいる場合には、内部情報を教えてもらったりと、人脈の開拓も行いましょう。
またPEファンドでは中小規模の企業がクライアントとなる場合も多いです。外資系の投資銀行出身者であれば、大規模案件やクロスボーダー案件で、日本を代表する企業をクライアントとしていた時の楽しさを味わえなくなってしまいます。
コミュニケーションの取り方を意識し、上から目線にならないよう気を付けつつ、自分に向いている職場かエージェントなどからよく情報を仕入れて確認しましょう。
キャリアとしてPEファンドを選ぶ際には、投資実績やメンバー構成、後悔しない待遇かどうかを考える必要があるため、直接応募を行うよりは、実績のある転職エージェントを選んで応募、戦略的に転職活動を進めていきましょう。
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>PEファンドへのキャリアに関する記事
PEファンド未経験からの転職(コンサル・FAS・投資銀行の方向け)で採用時に求められるスキルと対策
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/pefund_skillandpreparation
PEファンド投資検討時に必要なスキル・経験【コンサルタントの方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consulting_pe_investment
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今回はプライベートエクイティファンド(PEファンド)に転職する際に、エージェントやリファラル採用を使う際の注意点、また実際には、どのように入社している人が多いのかについてお伝えしました。
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