経理から経営企画にステップアップするために必要なスキルとキャッチアップ方法

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経理のキャリアを積んだ後に、経営企画にステップアップすることを検討されている方も多いと思います。

双方とも、事業部門側からすると管理部門やスタッフ部門として括られがちです。

しかしながら、経理は守りの要素が強い管理スタッフに位置づけられるのに対して、経営企画は攻めと守りの両方を上手く使い分ける戦略スタッフとしての位置づけとなります。

今回は経理のキャリアを積んだ方が、経営企画にステップアップする際に備えておきたいスキルや、スキルのキャッチアップ方法についてご紹介します。

【目次】

  1. 経理から経営企画にステップアップするために必要なスキル
  2. 経営企画スキルのおもなキャッチアップ方法

経理から経営企画にステップアップするために必要なスキル

経理出身者であれば、数字に強かったり、中小企業であれば一人で月次決算を締めることができたり、連結決算を熟知していたり、書類のチェックに秀でていることなどのスキルが強みとして挙げられるでしょう。

経理として身に付けたスキルは引き続き強化育成すると経営企画でも重宝されますが、プラスして新たに経営企画部門で必要とされるスキルについて紹介します。

会社の戦略や事業への理解

経理として業務を行う際には、期日までに決算を締めることや、請求書や申請書など、決算や記帳に必要な書類を、期日通りルールを守って提出してもらうように社内に要請するなど、決まったことをやり切ることが重要でした。

一方で、経営企画においては、全社戦略や事業戦略を理解・把握して、社内外に伝えることや、時には戦略を組み立てることが必要となります。

そのため、事業部門がどのような事業を行っているかを理解しておかなければなりません。

また、経理は財務会計分野に精通している必要があるのに対して、経営企画は財務会計の数値を用いて、事業別会計を組み立てていく、いわゆる管理会計分野に精通している必要があります。

事業別会計を組み立てるには、前述した事業に対する理解が必要不可欠であり、理解が不充分であると、管理会計の集計で辻褄が合わなくなり、予実分析も難しくなります。

分析力の向上

経理においても、財務分析を行うこととなりますが、経営企画では全社の財務分析に加え、事業部門別、または事業セグメント別分析を行うことが必要とされます。

事業部門が前期比でどのような成長を遂げているのか、また予算と実績の乖離にはどのような理由があったのか、より事業寄りの分析が必要となってくるでしょう。

さらに、数値分析だけではなく、経営企画としてのキャリアを積んでいく上で重要なのが、市場環境分析や、自社の経営資源分析です。

自社がどのような環境に置かれ、今後どのように進むのが望ましいのか、競合企業はどのような強みを持っているのか、自社に足りないものは何かなど、経営者が意思決定するための材料を揃えなければなりません。

経理ではこのような分析をすることはあまりなかったかもしれませんが、経営企画は社長直属組織であり、トップからの要請への対応が必要なことは容易に想像できることでしょう。

社内におけるコミュニケーション能力

経理部門としては、決算を締めることが業務の中心であり、そのために各部門から必要書類を集めて速やかに処理することが必要となります。

そのため、コミュニケーションにおいては、管理スタッフとして現場のメンバーや部門長に対して、決算のための資料を依頼することや、費用や入金情報を共有することが多いでしょう。

一方の経営企画はどうでしょうか。

事業部門の見込数値や予算案を定期的に出してもらう依頼に加えて、事業部門から事業進捗に関する情報を収集したり、逆に事業部門が欲している管理会計数値を提出したりすることもあるでしょう。

さらに、メンバーや部門長だけではなく、経営スタッフとして各部門の担当役員とのコミュニケーションを日々取る必要があります。

また、社長からの依頼も経営企画に直接くることもあるでしょう。

そのため、社長や各部門の担当役員、事業責任者、マネージャー、さらにメンバー層に至るまで、会社のトップ、ミドル、ロワー層と円滑に話せるコミュニケーション能力が必要になります。

外部取引先やパートナーとの折衝力

経理においては、上場企業であれば監査法人や銀行、未上場企業であれば税理士や税務署などの官公庁に対して業務を提供することが多いかと思います。

子会社や親会社がある場合には、連結決算の関係から、それぞれの会社の経理と連携することもあるでしょう。

一方で経営企画の場合は、担当によっては監査法人や銀行とのやり取りは経理同様発生するかもしれませんが、ほかに証券会社や経営コンサルティング会社、調査会社などが取引先として挙げられます。

場合によっては特命事項として、戦略的提携や資本業務提携のパートナーに対して、さらに上場準備中の会社であれば、証券取引所との折衝も考えられます。

IRや上場準備においては、自社がどのような状態にあるかを的確に書面や口頭で説明する、いわゆるプレゼンテーション力も重要です。

企業それぞれのミッションにもよりますが、経理と経営企画では外部企業との動き方が異なってくるため、新たなスキルを磨いていくこととなるでしょう。

経営企画スキルのおもなキャッチアップ方法

経理キャリアの方が今後経営企画にステップアップするにあたって、キャッチアップしておいた方が良いスキルや、意識にはどういったものがあるのでしょうか。

特に前項の必要なスキルで記載した内容も踏まえながら、確認していきます。

過去だけではなく未来も意識する

経理は決算という過去発生した実績をまとめ、締めることが主業務であるため、事象に対するチェックや、正確性に秀でている方が多いでしょう。

対して、経営企画は過去だけではなく、これから自社に起きうる未来のことにも着眼していかなければなりません。

過去の観点では、決算ののち管理会計実績を算出することや、企業活動の結果分析などが挙げられます。

未来に目を向けると、自社が将来的に影響を受ける事業環境の把握や、成長可能性、それらを踏まえた単年度予算や中期経営計画の作成などがあります。

経理は「過去はこうだった」で終了させることも可能かもしれません。未来に向けては、今後の決算において過去に起きた事例を参考に、同じ過ちを繰り返さないよう新たにインプットしなおすことが考えられます。

対して経営企画は、過去はこうだった、しかしながら、過去から学んで「未来はこのように行動しよう、さらにはこのようになるのではないか」という仮説を、市場とも対話しながら定性、定量両面で考え、未来予想を検証していく必要があるでしょう。

予想が当たるかは別として、将来のための事業計画や事業戦略案を、トップ層や事業部門とともに創り上げていくことが経営企画の醍醐味であるともいえます。

そのため、経理担当である時から将来的な企業の方向性や数字の可能性など、自分なりの考え方を感度高く持っておくと、経営企画にステップアップした際にもスムーズに入っていけるのではないでしょうか。

自社が属する市場環境や競合の事業内容に関心を持つ

経営企画は経理と違い、経営スタッフであることを前述しましたが、経営スタッフである以上は、社長以下、取締役とともに協働していく必要があります。

広くとらえると、経営メンバーの一員であると言えるかもしれません。

会社をマネジメントする経営において重要なこととして、自社の経営資源を明らかにしたうえで強みや弱みを理解し、競合他社が持つ強みや弱みも理解しながら戦略案を考えていくことが挙げられるでしょう。

SWOT分析に代表される分析手法ですが、戦略スタッフである経営企画は、常に自社がどういう状況に置かれているか、経営メンバーやボードメンバーに提示できるようにしておくことが必要です。

そのため、経理担当であっても、経営企画の主業務でもある、経営分析や業界分析など、自社が置かれている環境がどのような状況にあるか、関心、興味を持っていると、経営企画にステップアップした際にスムーズに入っていけるのではないでしょうか。

他部門の部門長やマネージャーとの積極的なコミュニケーション

経理においては、記帳や決算において、提出書類を要請したり、書類の内容を確認したりするなど、各部門のメンバーとコミュニケーションを取ることが多いでしょう。

決算は必ず行わなければならない業務上の要請であり、各部門のメンバーからは「経理から要請があったから」ということで速やかに対応することでしょう。

すなわち、経理側からみると各部門に対して言ったらやってくれる、そのような立場になっている会社も多いのではないでしょうか。

経営企画にステップアップした場合、必ずしもこちらから定型的な業務を要請することばかりではなく、非定型的な依頼をしなければならないこともあります。

具体的には、現在の事業における足元の状況をヒアリングする、または資料を作成してもらう、さらには投資家や業務提携先から聞かれた内容の回答に協力してもらうなど、通常では想定できないような内容にも協力を得る必要があります。

しかも、経理担当だった時は決まった方に聞けば経理にとって必要なアウトプットが出てくることも多かったのが、今後は部門長やマネージャー、メンバーなど様々な層とのコミュニケーションが発生するでしょう。

このように、全社的に分け隔てなくコミュニケーションを取っていく可能性があります。経理担当の段階から話題に事欠かない幅広いコミュニケーションができるようになっておくと、将来的な業務の幅が広がってくるかもしれません。

必要と感じる知識の継続的な吸収

経理キャリアだけでもそれなりの専門性は必ず培えますが、これまで紹介したものを含む「経営企画として必要なスキル」を、経理担当の時から意識して学んでおくと良いでしょう。

例えば、業界分析のスキルが足りずに、業界のことがあまり分かっていない場合には、自社に対する競合がどのような事業を行っているのか、強みはどういう点が挙げられるのかなど、自分なりにまとめておくのも手でしょう。

また、今後の自身のキャリアについて話せるのであれば、社内の経営企画部門のメンバーから、具体的な業務についてヒアリングして、自分にとって足りていないところを自己啓発として補っていくことも考えられます。

これらは勤務時間内では中々難しいため、週末や夜間に取り組んでいく必要があるかもしれません。

継続的に吸収しておくと、経理業務に活用でき、経営企画と連携して効率的に業務を遂行しやすくなります。

そうなると、将来の経営企画へのキャリアステップの可能性が見えてくるでしょう。

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「経理と経営企画の業務性質の違いを明確にしつつ、経理としてどのようにキャッチアップするのが良いか」について紹介しました。

経理と経営企画はコーポレートのスタッフ部門として「管理の人」と一括りにされることが多いものの、各役割は似て非なるものです。

経理から経営企画へステップアップされる方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
経営企画へのキャリアに興味をお持ちの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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