国内AIシステムの市場は毎年大きく成長をしており、IDC Japan株式会社の調査によると、2019年の市場規模が818億4,400万円に対し、2020年には1,172億1,200万円になると予測されています。
AI市場が加熱の一途を辿る中、AIベンチャー企業も増え続けており、機械学習エンジニアやデータサイエンティストが活躍できる場が広がっています。
しかし、当然のことながらAIベンチャーにも伸びる企業と伸びない企業があり、転職前に見抜いておかないと、理想のキャリア形成ができない事態に陥る可能性があります。
そこで、今回は求人に応募する前に、「伸びるAIベンチャー企業を見分ける4つのポイント」を解説します。
【目次】
- 営業力を重視しているAIベンチャーは伸びる可能性が高い
- 技術のアウトプットができているAIベンチャーは伸びる可能性が高い
- 資金調達をしているAIベンチャーは伸びる可能性が高い
- 新卒初任給が高いAIベンチャーは伸びる可能性が高い
営業力を重視しているAIベンチャーは伸びる可能性が高い
AIベンチャー企業と聞くと、どうしても技術力の高さに目が行ってしまいますが、技術力だけに注力している企業はあまり伸びない傾向があります。独自技術や持ち、最先端技術を活用したプロダクトを開発できる企業は、確かに世の中が驚くようなサービスをリリースできるかもしれません。しかし、いくら最先端技術を用いたプロダクトを開発しても、それが売れなければ意味がありません。
自社製品を売るためには、顧客が抱える課題を正確にヒアリングでき、それを解決するためのソリューションの提案ができなければいけません。
つまり、自社製品は高性能ですと伝えるだけでなく、それがなぜ顧客にとって導入するメリットがあるのかを伝えられる必要があります。
したがって、転職先の企業が、提案力を重視しているか、技術一辺倒になっていないかは、伸びる企業を見極めるためには重要です。
実際にあった例として、社員が3人のベンチャー企業で、数百万を投資して開発したプロダクトがありましたが、プロダクトが一つも売れることなく半年で会社を畳んでしまうということがありました。
その理由は、創業者全員が顧客折衝経験が無いエンジニア上がりだったため、提案をしてもほとんど受注に結びつきませんでした。
さらに、売り方を知らないが故に、市場ニーズも的確に把握できず、自分達が作りたいものを作ってしまったばかりに、顧客からは必要とされなかったのです。
このような企業に転職をしてしまわないためにも、「モノの売り方を知っている人」がいるかを確認しなければなりません。
見極め方としては、セールス職の採用に注力をしているか、セールス専任の部署が存在するのかを確認することです。
AIベンチャー企業の中には、創業者が自ら営業を行っているところもあるので、一概にはセールス職を採用していないからと言って提案力が無いとは言えませんが、提案力を重視しているかの一つの指標になるはずです。
「モノの売り方を知っている人」が社内にいないのであれば、外部採用を積極的に行う必要があります。
ただ、タイミング的にセールス職の募集をしていない場合もあるので、組織図に営業に該当する部署が存在するのかを確認したり、創業者や役員の経歴から、営業ノウハウを持っていそうかを確認したりしましょう。
技術のアウトプットができているAIベンチャーは伸びる可能性が高い
伸びているAIベンチャーに共通しているのは、技術者がアウトプットできる場を用意していることです。
なぜアウトプットの場を提供しているAIベンチャーが伸びるのかというと、技術者のスキルアップを会社が支援しているということの裏付けになるからです。
まず、そもそもアウトプットとは何かというと、企業が保有する技術者ブログを執筆することや、社内研究発表会などで発表することなどが挙げられます。
技術者ブログを通して研究成果を外部に発信するということは、他社には真似できないような高い技術力を持っていることの裏付けになるので、業界優位性がある可能性が高いです。
これらの場を通してアウトプットするためには、まずは準備するための時間が必要となります。ブログを執筆するのであれば、タイトルや構成を考え、執筆内容を考え、図や表を作成しなければなりません。
そして、事前準備には、今までの仕事を振り返って整理できるというメリットがあり、技術を定着させるために必要な作業となります。
また、社内研究発表会のように、社員の前で発表する機会があれば、先輩社員や同僚、もしくは代表から意見をもらうことができます。
会社としてこのような機会を設けているところは、技術者がスキルアップできる環境であると言えるため、伸びていくと考えられます。
また、そうすることで、理解が浅いところが明確になったり、新規プロダクト開発に向けての新たなアイデアが出てくることがあるので、アウトプットすることは技術力向上に対して非常に効果的だとも言えます。
ただし、技術者ブログを持っていたり、社内研究発表会を開催していたとしても、その更新頻度や開催頻度が低ければ形式的なものでしかなく、あまり運用されていないので注意が必要です。
例えば、技術者ブログの更新が年間で2〜3回しかなかったり、社内研究発表会が年に一度の開催となれば、あまりアウトプットに力を入れていない可能性があります。
したがって、アウトプットの場がそもそも存在するのかと同時に、実施頻度まで確認した方が良いでしょう。
資金調達をしているAIベンチャーは伸びる可能性が高い
これはAIベンチャーに限りませんが、伸びるベンチャーを見抜く上で欠かせないのは、資金調達ができていることです。
なぜ資金調達できている企業が伸びる可能性が高いのかというと、次の二つの理由が挙げらレます。
- 企業の将来へ投資する価値があると判断されている
- 資金に余裕があるので、事業投資を積極的に行うことができる
AIベンチャー企業が資金調達をする方法として最も有名なのは、VCからの出資です。
VCから出資を受ける際には、事業を成長させるための明確な経営計画を提示し、認められなければなりません。つまり、VCから出資を受けているAIベンチャー企業は、提示した経営計画が実行できれば、将来大きな利益をもたらすと考えられています。
VCからの出資だけでなく、企業からの出資、金融機関からの融資なども同様なことが言えます。
企業からの出資を受ける際も、伸びない企業への出資は数千万円から数億円を失うリスクが大きいので実行しないでしょう。
金融機関においても、綿密な経営計画を確認して、返済が可能であると判断して融資しているために、企業の将来に期待をしていることが分かります。
そして、相応の資金を調達できていれば、事業への投資を積極的に行うことができるようになります。
例えば、他社から優秀な人材を採用したり、サービス展開におけるプロモーション費に充てたりすることができるので、今後伸びていく可能性が高いと考えられます。
また、資金が豊富にあれば、基礎研究する時間を創出することができるので、常に自社プロダクトを進化させていくことができるようになります。
逆に資金調達がほとんどできていない場合は、多額の自己資本があれば問題ないですが、基本的には目先の利益を追うばかりの自転車操業になってしまうリスクが考えられます。
そうなってしまうと、プロダクトが大当たりすれば伸びる可能性もありますが、少しでもうまく行かなかった場合には、経営が一気に傾いてしまうかもしれません。
資金調達をしているかどうかは、会社の資本金を確認し、資本金が億単位であれば調達に成功している可能性が高いです。
もしくは、資金調達に成功した場合は、ニュース記事になっていることが多いので、必ず確認するようにしましょう。
新卒初任給が高いAIベンチャーは伸びる可能性が高い
転職先企業の成長を予測する手段として、新卒採用にどれほど力を入れているのかを見るという方法があります。
一昔前までは、新卒初任給といえば大手企業から中小企業までどれほど差はありませんでした。しかし、現在では海外を中心に、新卒採用で年収1,000万円以上を準備する企業も出て来ています。
特にAI領域においては、今まで年功序列型を取っていた大手企業でさえも、その動きが活発になって来ました。
では、なぜ新卒初任給が高い企業が伸びる可能性があるかというと、次の2点が考えられます。
- 豊富な資金力を有しており、企業の基盤が堅固である
- AI人材の市場価値が理解できており、優秀な人材を確保するための取り組みができている
先ほどもお伝えした通り、AIベンチャー企業で重要なのは資金力です。そして、豊富な資金があれば、優秀な人材を採用するために採用費に予算を割くことができます。
つまり、新卒であっても通常よりも高い初任給を設定している企業は、採用に充てることができる資金が豊富にあるという裏付けにもなります。
そして、もう一つのポイントは、そのような企業はAI人材の市場価値を理解できているので、優秀な人材が集まってくるということです。
AIベンチャー企業が伸びていく要素の一つに、いかに優秀な人材を採用できるかというものがあります。つまり、優秀な人材を確保するための採用戦略が立てられているかが鍵になります。
新卒初任給を高く設定している企業は、相応の年収を提示しなければ、即戦力新卒採用ができないということを知っています。
当然そのような企業には、新卒であっても優秀な人材が集まってくるので、その人材が数年後に企業のコア人材となり、会社を飛躍させていくはずです。
もしAI人材に対しても新卒初任給で差別化をしていない企業であれば、優秀な人材からは見向きされません。仮に内定を出しても、他社に取られてしまいます。
また、AI人材の市場価値を分かっていないと、中途社員に対しても年収を渋る可能性があります。
そうなってしまうと、即戦力人材が採用できず、なかなか成長の軌道に乗れないと考えられます。
したがって、企業がAI人材採用にどれほど注力しているのかは、新卒初任給を見ることでも判断できるため、こちらも必ず確認しておきましょう。
参考:
「コンサル・IT人材」積極採用中のAIメガベンチャー特集(各社特徴~採用ニーズ~転職年収事例)
【インタビュー】コンサルからAIベンチャーを経由しデータミックス社を起業したCEO堅田様の”立ち上げへの想い”や”ソリューションの特徴”
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今回の記事では、伸びるAIベンチャーを見分ける4つのポイントについてご紹介しました。
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