アセマネでのキャリアに役立つ資格まとめ【生の声】

アセットマネジメント(資産運用会社)業界に勤める社員のほとんどはサラリーマンなので、いわゆる弁護士など士業と異なり「絶対に必要な資格」はありません。しかし、アセマネ業界は金融関連などを中心に高い専門性が必要であるため、そうした専門性を培う上で役立つ資格はいくつかあります。

今回の記事では、実際に資格を取得されアセマネで働く方々からの生の声を参考に、社内での印象や評価面でもポジティブに働きやすい資格をご紹介します。アセマネでの長期的なキャリア形成を検討している方は、ぜひご参考ください。

【目次】

  1. 日本の証券アナリスト
  2. TOEIC800点後半あればベスト(日系アセマネの場合)
  3. CFA(米国証券アナリスト)
  4. 海外大学のMBA

日本の証券アナリスト

「難易度と取得者数、実用性の全ての面から見て最も効果的」という声が多いのは、日本の証券アナリストでしょうか。「日本の」と敢えてつけているのは、米国証券アナリストに当たるCFAもご紹介するためです。(これ以降は日本の証券アナリストを「証券アナリスト」、米国証券アナリストを「CFA」と表現します)

日本の証券アナリストは、非金融の方からすると専門性が高く、難易度が高いように見えますが、アセマネをはじめ金融の専門職で働く上では基本的な知識になります。全問完璧に解くのは難しくとも、合格するレベルまで持っていくのはアセマネで働いていればそう困難なことではないでしょうか。

証券アナリストは、アセマネで働く上で役に立つ知識を包括的に習得可能です。特に株式・債券など有価証券の投資パフォーマンスの計算や、ポートフォリオ構築の基礎が学べる証券分析の科目は、アセマネで働いていく上で重要な知識が網羅されており、経済の科目で学べるマクロ経済論なども、提案内容を精査する際のバックグラウンドの把握や、クライアントへの情報提供の場面で活用できるため、「アセマネ関連の業務を進める上で非常に役立つ」という声をよくお聞きします。

「基本」というと、アセマネの社員の皆が証券アナリストを保有していそうなものですが、実態は決してそんなことはないようです。アセマネ社員の中で証券アナリストを取得している社員は半分程度のようです。

証券アナリストは1次・2次最低二回の受験が必要ですが、日々仕事をしながら試験対策を約2年間にわたり行うのは容易ではありません、実態としては、取得せずに働きながら実践の中で専門性を磨いて対応している方も意外に多い印象です。取得している社員が少ないからこそ、証券分析を網羅的に理解していることの証明になる証券アナリストの取得は、評価面でもポジティブに働くと言えます。

以上のことから、金融専門職に勤めていれば極端に難易度が高くない一方、習得者数が意外に少なく、有用性も高いという3つの利点から、証券アナリストはアセマネでのキャリアアップに特に役立つ資格であるといえそうです。

TOEIC800点後半あればベスト(日系アセマネの場合)

TOEICの点数自体が評価されてキャリアアップに繋がる、ということは決して多くありませんが、一定レベルの英語力を培うためにも、受検して一定の点数を確保しておくことをおすすめします。

アセマネ業界は投資銀行などと比較すると極端に高い英語力が必要な業種というわけではありませんが、やはり英文ベースでの資料を読んだり、カンファレンスに参加したりという場面は決して少なくないでしょうか。英語が読めないばかりに得られる情報が限定されては、後々の個人成績に影響が出てしまいますので、やはり長期的なキャリア形成を念頭に置くなら一定程度の英語力はつけておくことが望ましいと言えそうです。

日系企業で働くのであれば、英文の読解がある程度進められる600点台もあれば仕事で不利になることはないという意見が多い一方で、「英語ができる社員」として評価上ポジティブに作用させるためには800点台以上が必須。できれば800点台後半が欲しいという意見も多いです。

ちなみに外資系アセマネの場合は、TOEICは意外と話題にならないようです。TOEICでは測れないほど英語が堪能な方が多数在籍し、スピーキングも含めて自然に英語でコミュニケーションが取れるメンバーが中心となっており、英語はできて当然なので、逆に意識されることがないようです。

したがってTOEICの点数が出世のアピールになることは少ないですが、もし外資系アセマネへの転職を検討しているが、英語がそこまで得意でないという場合には、英語力を事前に鍛えておくことは、働いていく上で必須要件のようです。そのためには、やはりTOEICの点数を一つの指標として英語学習を進めるのが良いでしょうか。

CFA(米国証券アナリスト)

CFAは証券アナリストの米国版で、投資銀行よりもアセマネ業界の方がキャリアアップにつながる資格であるといえます。英語で試験が実施されることや、日本の証券アナリストより科目が多いため、実際に取得された方に伺うと、日本の証券アナリストより難易度が高いという意見が多いです。

しかし、アセマネの実務面でCFAは非常に有力な資格です。知識面でも非常に役立つ知識を多く取得できますし、投資銀行より取得者多いとはいえ、アセマネ社員全体を見渡せば保有している方は少数派なので、キャリアアップ上もポジティブに働きます。

実務面では計量分析、株式分析、債券分析、デリバティブ、経済と言った科目はアセマネで実際にビジネスを行う上で重要な知識です。これは証券アナリストで補える知識もありますが、CFAの方がより深く、また重要性の高い知識をいくつかの点でつけることができます。

一つは計量分析が独立した科目として設定されている点です。アセマネでファンドのパフォーマンスを分析したり、さまざまな経済環境や市場環境を踏まえて最適な投資先を評価したりと、さまざまな局面で統計的な知見の活用余地があります。一方で、日本では統計の専門知識を有している社員は現役の社員でも決して多くないので、CFAで計量分析の基本スキルを培っておくことはアセマネのキャリアにおいて有用です。

もう一つは、株・債券について、米国を中心にグローバルな有価証券の知見が深まることでしょうか。CFAの試験内容は米国の証券を軸にグローバルな有価証券への投資を念頭に構成されています。アセマネ各社は大抵世界中の有価証券に投資を行なっているので、海外資産も含むグローバルな有価証券への知見が必須になります。

証券アナリストでも一定程度はグローバルな知見を踏まえたコンテンツが構成されていますが、やはりCFAで米国を中心としたグローバルな有価証券への知識を深めた方が、アセマネでのキャリアアップには役立つといえます。

最後にデリバティブの知見の深掘りです。証券アナリストでも証券分析の中でデリバティブを扱いますが、CFAではデリバティブが個別科目となっていて、より先進的で、ハイレベルな知識を培うことができます。デリバティブは現代では資産運用の世界では欠かすことのできない存在で、アセマネの運用の中でも様々なデリバティブを活用しています。デリバティブの知見があればアセマネの運用資産や投資先をより深く理解することが可能です。したがって、提案活動や、クライアントへの情報提供、ファンド管理など様々な局面でデリバティブの知見が役立ちます。

CFAは日本での取得者が1500人未満と少ないため、日系で働く場合はキャリア上非常にポジティブです。外資系でも決して多くの社員が取得している訳ではないですし、実務面で役に立つ資格でもあるので、やはり長期的なキャリア形成には役立つでしょうか。

海外大学のMBA

MBAですが、アセマネ業界では投資銀行と比較すると取得者は少ない傾向にあります。特に日系のアセマネで働かれている方の中で、MBA保有者は少数派でしょうか。一方で、外資系になると、シニアマネジメントクラスの多くがMBAを取得している印象です。外資系のアセマネでトップクラスまでキャリアアップすることを目指している方の場合は、取得しておくことをおすすめします。

ちなみにMBAの知見は証券系の資格ほどアセマネの業務に直結しないという意見をお聞きするケースが多いです。例えば新規顧客の取り込みや、新しい運用手法の開発においては、開拓手法を検討する上で一般的なビジネスフレームワークを活用する場合もありますが、これはアセマネ業務に限った優位性ではないという考え方です。

MBAの本分は「経営者」としてのスキルや知識を培うところにあるでしょうか。アセマネ業界ではシニア層までキャリアアップした際の経営手法として役立つシーンが最も多い印象です。ただし、外資系ではネームバリューのあるMBA取得者は「出世候補」としてみなされやすいため、評価上はプラスに働くケースが多いようです。

尚、MBAといっても外資系でキャリアアップ上優位性を持つのは海外の有名大学やビジネススクールのMBAに限られるという声もあります。日本の各大学でもMBA取得は可能ですが、「たとえ難関大学だとしても日本のMBAではキャリアアップ上高い効果がなかった」という声もあるため、学校選びには注意が必要です。

まとめ

ここまでいくつか資格について紹介しましたが、あくまでアセマネでの業務に役立つという程度で、決して必須ではないのが実情でしょうか。明確な必須資格がないのはアセマネ業界の大きな特徴と言えます。

ただし、専門性が高くないかというとむしろその逆で、アセマネ業界の専門性は「アセマネ業界で働くこと」でしか培うことができない部分が多いです。従って、特定の保有資格などでは差がつきにくいという特徴があります。先に挙げたいくつかの資格は確かに仕事を行う上でサポートにはなりますが、アセマネでのキャリアアップを実現するには、資格などでは培うことのできないアセマネ固有の専門性を磨くことが第一です。

=================

>アセットマネジメントへのキャリアに関する記事

資産運用会社(アセマネ)の日系・外資系の違いとは【事例】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/assetmanagementjfd

投資銀行(IBD)と資産運用会社(アセマネ)の違い【両セクターの経験者に訊く】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/investmentbankassetmanagement

=================

今回の記事では、実際に資格を取得されアセマネで働く方々からの声を参考に、社内での印象や評価面でもポジティブに働きやすい資格をご紹介しました。

アセットマネジメント(資産運用会社)の求人をご希望の方、キャリアを考えている方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×