「監査法人で働くならどこがいい?」決め方から大手と中小の違いまで

公認会計士試験に受かり、就職もしくは転職するという際、先ずは監査法人で監査の経験を積みたいと考える方はたくさんいらっしゃるかと思います。しかし、監査法人ごとの違いが分からず、具体的にはどこがいいのか分からないという方も少なくないのではないでしょうか。

監査法人のどこがいいのか・自分に合っているのかを見つける際は大手監査法人と中小監査法人とを比較ながら見つけていくのが王道です。そこで、今回は監査法人の選び方について説明していきます。4大監査法人(Big4)それぞれの違いや、大手監査法人と中小監査法人の違いについて触れていきますので、是非、ご参考になさってください。

【目次】

  1. 大手監査法人と中小監査法人とを比較する
  2. 大手監査法人とは(4大監査法人)
  3. 中小監査法人とは
  4. 大手監査法人と中小監査法人の違い
  5. 一番大切なのは自分がどういったキャリアを描きたいか

大手監査法人と中小監査法人とを比較する

監査法人にはいわゆるbig4と呼ばれる大手監査法人とそれ以外の中小監査法人があります。これらには規模などによる大きな違いがありますので、大手監査法人か中小監査法人かで比較を行い、自分にはどちらが合うのか選ぶのが求職活動の王道です。

大手監査法人と中小監査法人にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。そのため、自分がどういったキャリアを描きたいかを考えた上で、自分が重きを置きたい要素に優先順位をつけて選んでいくとよいでしょう。全て理想通りの監査法人を見つけるのは、難しい場合もあります。

また、監査法人は「業務及び財産の状況に関する説明書類」を出していますので、監査法人ごとの研究を行う際、目を通すことをおススメします。求職者でも意外と目を通していない方もいるので、「業務及び財産の状況に関する説明書類」からしっかりと情報を得られれば、監査法人を選ぶ際の指針にもなりますし、求職活動でライバルに差をつけることができます。「業務及び財産の状況に関する説明書類」では、その監査法人について正確な情報を知ることができます。

大手監査法人とは(4大監査法人)

いわゆるbig4と呼ばれる大手監査法人は、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人の4つです。

「業務及び財産の状況に関する説明書類」によると、公認会計士および公認会計士でない人を合わせて、EY新日本有限責任監査法人:5,554人、有限責任監査法人トーマツ:6,753人、あずさ監査法人:6,268人、PwCあらた有限責任監査法人:3,060人います。規模的にも中小監査法人と比較してダントツ大きいのが特徴です。

大手監査法人について大雑把に説明すると、監査法人自体の規模が大きい、クライアントも規模が大きいところが多い、監査チームが大所帯になることも多い、知名度が高い、給料が高い、専門的な経験が積みやすい、海外赴任を希望できる、などです。

big4の中で選ぶとした際に、各監査法人の特徴について実際に働かれている方々の声なども参考にすると、以下のようになります。(あくまでも弊社での分析です)

・EY新日本有限責任監査法人・・・監査業務に強い
・有限責任監査法人トーマツ・・・非監査業務に強い
・あずさ監査法人・・・バランスが良い
・PwCあらた有限責任監査法人・・・監査法人自体が外資系的な体質。big4の中では規模は一つだけ小さい。

中小監査法人とは

中小監査法人に、明確に定義はありませんが、大手監査法人以外の監査法人を中小監査法人と呼ぶことが多いです。中小監査法人には太陽有限責任監査法人、東陽監査法人、PwC京都監査法人、仰星監査法人、三優監査法人などがあります。

ただ一口に中小監査法人と言っても、公認会計士が数百人いるようなところもあれば数人しかいないところまで様々です。逆に言うと様々な特徴をもっている監査法人があるため、自分に合う監査法人は中小監査法人の中からの方が見つけやすいと言えるかもしれません。また監査法人に所属する人数が多くないため、じっくりと上司や同僚と向き合いながら仕事をしたいという方には良いかもしれません。

中小監査法人の多くは大手出身の公認会計士が立ち上げています。

中小監査法人について大雑把に説明すると、クライアントは中小規模の企業であることが多い、監査チームは5~7人位の場合が多い、監査以外もバランスよく経験を積みやすい、海外赴任のチャンスはごく一部を除いてない、などです。

大手監査法人と中小監査法人の違い

a.監査業務について

監査業務は大手監査法人においても・中小監査法人においても、あくまで監査業務なので、それ自体には本質的な違いはないと言えるでしょう。ただし、受け持つクライアントには大きな違いがあります。

例えば、中小監査法人で受け持つメインクライントであれば、連結財務諸表を作成していない、企業結合なども行わない、在外事業体がない、仕事で英語を使う機会がないなどの可能性もあります。大手監査法人で受け持つメインクライントであれば、上記の条件に全て当てはまるというケースは、基本的には、ないでしょう。そういった意味では、より専門的な会計知識を用いて監査業務を行いたい場合は、大手監査法人の方が望む経験を得られやすいと言えます。

ただし、大きなクライアントは、公認会計士に関わらず、利害関係者の人数も非常に多いことや取引の金額が大きいことにより、特に新人の頃は、自分がそのクライアントにしっかりと関わっているという実感が得られにくいことや企業グループについて本質的な理解をしにくいことなど、デメリットとも言える面があります。一方、中小監査法人が受け持つ中小規模のクライアントは、自分がその企業に関わって二人三脚でやっているという実感も湧きやすいと言えるかもしれません。また監査の面でも、より早い時期に主査を経験しやすい、監査チームで上司や先輩から直接じっくりとOJTを受けやすいなどのメリットもあります。

b.知名度

知名度で選ぶのも一つの手です。もちろんこの場合、大手監査法人の知名度の方が高いため、大手監査法人を選ぶことになるかと思います。知名度が高い方が公認会計士以外の人とも仕事に関する話題が通じやすい、社会的な信頼を得られる機会があるなどのメリットがあります。ただし、〇〇監査法人の公認会計士は態度があまり良くない、など自分以外の公認会計士がつけたネガティブイメージで一つ括りにして語られてしまう機会が増えるなどのデメリットもないわけではありません。

c.給料

給料は仕事においてもちろん大切な要素です。給料は基本的に大手の方が高いです。ただし、大手監査法人か中小監査法人のどちらが自分に合っていて将来的に出世できるかという観点も忘れないように持ちましょう。個々人の価値観にもよりますが、目先の給料の高さ低さで選ぶべきではなく、あくまでも生涯賃金で考えることをおススメします。

d.経験の幅

大手監査法人で超大企業を受け持つ場合、いわゆる1社張り付きと言われるような、ほぼ1社の仕事だけを行うというケースもあります。一方、中小監査法人だとそういったことはなく、数社を受け持つことになるでしょう。また、人員の状況によっては非監査業務も積極的に行うことになるでしょう。ただし、大手監査法人でも若い年次からコンサルティングなどに関われる機会もきちんとあります。

e.ワークライフバランス

繁忙期については大手監査法人も中小監査法人も激務であることは変わりません。ただし、大手監査法人に関しては繁忙期でない時期も忙しいのが基本です。一方、中小監査法人の中には繁忙期でない時期は残業もほとんどないようなところもあります。

f.海外勤務

大手監査法人には海外派遣のチャンスがあります。中小監査法人だとそういったことはないケースも多いでしょう。

大手監査法人にはマネジャーとして海外赴任するプログラムや、シニアで英語圏へ派遣されるプログラムなどがあります。シニア派遣プログラムの場合は、現地で監査業務に従事することになります。その場合、現地採用の公認会計士とチームを組んで監査業務を提供することになります。監査チームが多国籍になる場合もありえます。

海外赴任を希望する場合は、基本的には、大手監査法人を選ぶべきと言えるでしょう。

g.監査法人後のキャリア

大手監査法人を選んでも、中小監査法人を選んでも、そこに残るのであれば、パートナーを目指すことになるかと思いますが、実際のところ監査法人を辞めて別のキャリアをめざすという方も多くいます。コンサルティングを極めるためコンサルティングファームに行く、公正取引委員会など公的な機関に行く、一般企業で経理や内部監査を行う、税務を極めるため税理士法人に行く、独立・起業する、などです。

転職するのであれば基本的には大手監査法人から転職するのが有利ではありますが、中小規模のクライアントを専門に見ていたことを強みとして感じてもらえる中小企業などもありますので、一概には言えません。

一番大切なのは自分がどういったキャリアを描きたいか

ここまで、監査法人はどこがいいのか決める上で大手監査法人と中小監査法人とを比較して決める方法について論じて来ました。大手監査法人だからできること、中小監査法人だからこそできること、そして自分に合っているかという点についてイメージできたという方もいらっしゃることでしょう。大手監査法人・中小監査法人それぞれにメリット・デメリットがあり、じっくりと比較して考えてみることをおススメします。

大手監査法人は人数が多い分、杓子定規的な面があると指摘する方がいらっしゃいます。一方、中小監査法人は人数が少ない分、小回りは利きやすいが、もし自分と合わない体制のところに入ってしまうと転職以外の方法では環境を変えられないというような意見もあります。

どちらを選ぶにしろ自分のキャリアプランをしっかりと描き、それに合った道を歩むことが重要です。

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>監査法人へのキャリアに関する記事

コンサルファームから監査法人アドバイザリーへの転職時によくある質問と回答例
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/firmtoadvisoryqa

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今回は監査法人の選び方について、4大監査法人(Big4)それぞれの違いや、大手監査法人と中小監査法人の違いも含めてご説明しました。

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