監査法人の面接においては、通常最後に面接官が「何か質問はありますか?」と求職者に訊ねます。
いわゆる逆質問です。
即答できなかったり、聞きたいことをすでに聞いてしまっていたりと、面接での失敗点として逆質問を挙げる方は少なくありません。
しかしこの逆質問によって、面接に合格するかどうかが決まるケースもあります。そのため、プレッシャーを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、逆質問を正しく行う方法を知っていれば、監査法人への求職活動において多くのライバルとの違いをアピールするチャンスをつかめます。
そこで今回の記事では、監査法人の転職面接における逆質問のポイントについて解説します。
【目次】
逆質問が監査法人の面接において設けられている理由とは?
(1)採用側が入所希望者の意欲を知るため
逆質問が監査法人の面接において設けられている最初の理由として、入所希望者がその監査法人を第一志望としているかどうか、その監査法人にて本気で働きたいかどうかを採用側が見極めることが挙げられます。
逆質問を行うには、入所希望者はその監査法人についてある程度知識を仕入れておく必要があります。特にbig4と呼ばれる監査法人の場合、「監査法人ごとの違いが判らない」と言う入所希望者が少なくありません。そこで面接官は逆質問を行うことで、事前にその監査法人のことを調べてきたかどうか、どの程度本気で入所したいのかを推測することが可能です。
(2)監査法人と入所希望者間で相互理解を深めるため
逆質問は、採用側からの質問よりも、入所希望者がその監査法人に何を求めているのかを理解する大きなきっかけになります。例えば、仕事の内容・社風・人間関係等です。採用理由とその監査法人への入所を希望する理由に大きな乖離がある場合、ミスマッチが生まれ、採用しても早期退職に繋がる可能性があります。
例えば、労働時間や残業時間についてばかり逆質問すると、「長時間働くのが嫌であまりやる気がないのでは?」と思われてしまう可能性があります。監査法人の繁忙期はかなりの長時間労働になるのが基本ですので、余り良い印象は残せません。
逆質問を通じて、その監査法人で働きたい理由を上手に伝える意識を持ちましょう。
逆質問を行うメリット
面接を受ける側が逆質問を行うことで何かメリットはあるのでしょうか?
以下で、具体的なメリットについて解説します。
(1)面接を通じてまだアピールできていない長所をアピールできる
面接では、自分の長所をアピールするのに適切な質問がされないケースもありえます。そのようなときは、自分の長所を逆質問に織り交ぜて伝えることで、大きなアピールに繋げることが可能です。例えば、「前職では●●をやっていたので、この分野では大きく貢献できると思いますが、将来的にこの経験を活かせる場面はありますか?」等です。
監査法人の面接の場合、経理関連業務に関する経験は良いアピールへと繋がります。
逆質問を通じて、経験や意欲をアピールすることを心がけましょう。
(2)その監査法人への志望度を伝えられる
選考を受ける監査法人のホームページや資料をしっかりと読み込み理解したことが相手に伝わる逆質問を行えば、志望度の高さをアピールできます。採用担当者はあなたがどれだけしっかりと面接の準備をしてきたか、どの程度この監査法人に入所したがっているかを知りたいため、うまくアピールすれば選考を有利に進めることが可能です。
(3)自分が特に気になっている疑問を払拭できる
逆質問を行うことで不明な点や気になる点を確認し、入所後のミスマッチを回避することができます。自分がその監査法人にて成し遂げたいことをしっかりとイメージし、仕事の内容や将来のキャリアプランが実現できるかどうか、逆質問を通じて明確にしましょう。
監査法人の面接における逆質問で避けたいもの&注意点
監査法人の面接で逆質問を行うときは、事前に内容をよく考えておきましょう。この章では、逆質問としてなるべく避けたいものや注意点を理由とともに挙げます。
逆質問の数に気を配る
逆質問を行う場合、逆質問の数に気をつける必要があります。
まだ選考の途中であるにもかかわらず、あまりに多くの質問をすると、採用担当者が正確に答えられない場面が生じる可能性があります。質問数が多くなればなるほど、細かいところまで掘り下げなければならない状況に陥り、入所希望者にとっても対応が難しい場面が生じてしまうかもしれません。
逆質問は明確に、要点を絞って行うように心がけましょう。
なるべく避けたい逆質問
逆質問に「特にない」と答えること
貴重な質問の機会に対して「特にありません」と答えてしまうと、入社意欲が低いと捉えられてしまい、良い印象を与えることはできません。逆質問の機会が設けられたら、必ず質問し、自分が志望する監査法人への強い興味や関心をアピールしましょう。
その場ですぐに思いつかない場合や雰囲気に合ったものを選択するために、逆質問は5つ程度用意しておくのがおすすめです。
自信のなさをうかがわせる逆質問
監査業務未経験であっても、自信のなさが伝わるのは良くありません。よくある「未経験なので勉強します」という言葉は避けましょう。職場は仕事をするところであって、学ぶところではないためです。
給与・福利厚生に関する逆質問
給与や福利厚生に関する逆質問は避けた方が無難です。逆質問で給与や福利厚生について聞いてしまうと、会社のビジョンや業務内容よりもお金や福利厚生を重視している印象を与えてしまうかもしれないためです。内定後に確認するか、今すぐ知りたいのであればOB訪問をしてみてください。
ウェブサイトに記載されている内容
ホームページ等で事前に調べられることや求人票にすでに書かれていることを質問するのは避けましょう。求人票に記載されている内容について確認する場合は、「職務経歴書にはビジネスレベルの英語力が必須とありますが、海外の方とどの程度コミュニケーションを取る必要があるのでしょうか?」等と踏み込んだ質問をするのがおすすめです。必要な条件をよく理解していることを示した上で、具体的な内容について逆質問を行いましょう。
すでに採用担当者から説明を受けているもの
すでに採用担当者が話しているような質問をすると、相手に良い印象を与えません。ただし、面接で話した内容についてさらに深く突っ込んだ質問をすることは有効です。「以前、仕事内容の○○について触れましたが、具体的にどのような仕事内容ですか?」といった具合です。
採用担当者が把握していないこと
例えば、パートナーが採用担当の場合、会社の将来の方向性や経営理念については理解していても、現場の細かいことは詳しく知らないことがあります。採用担当者が答えられないような質問をすると空気を読んだコミュニケ―ションが取れないと思われてしまうかもしれないため、注意が必要です。
「はい/いいえ」で答えられるような逆質問
「はい/いいえ」で終わる質問はできる限り避けてください。すぐに会話が終わってしまうためです。コミュニケーションが弾むような逆質問を行うことが重要です。
曖昧な逆質問
「御社の社風はどのようなものですか?」という逆質問は、余りにも漠然としたものであり、答えにくいと言えます。このような逆質問は、面接官に「相手の立場に立ったコミュニケーションができない」と思われてしまう可能性があるため注意が必要です。相手が答えやすいように具体的な逆質問を行いましょう。
監査法人の面接で行うべき逆質問の具体例
監査法人の面接で聞くと良い逆質問の例をご紹介します。
逆質問(1):具体的な業務の役割分担について
1つ目は、具体的な業務の分担についてです。同じ業務でもどのように分担して行うのかで、仕事の進め方はかなり変わってきます。自分自身のキャリアパスも変わるでしょう。監査法人における各人の具体的な役割と責任に関するものをしっかり確認するのは有効な手です。
逆質問(2):入所後の研修制度について
いくら別のところで経理等の経験があっても、監査法人のやり方やルールに慣れることが必要です。入社後のOJTがあるか、仕事をしながら学べる環境があるか等を確認するのがおすすめです。これは、あなたの監査法人に対する熱意を示すことにもなります。面接では、スキルに関する逆質問を行い、やる気をアピールする手段があるのです。
実際に内定を得た志望者が行った逆質問
- 筆者は「しっかりと覚悟を持って入所したいので仕事を通じて一番大変だと感じた経験を教えてください」という逆質問を行いました。
- 筆者の友人は「やりがいを特に感じる瞬間を教えてください」という逆質問を行いました。
まとめ
逆質問を成功させるコツは、しっかりとした事前の準備です。監査法人の研究を入念に行い、逆質問を通じてアピールしたいことを明確にしましょう。場面に応じて使い分けられるようにいくつかの質問を用意しておいてください。
ただしどんなに良い質問をしたとしても、採用担当者と適切なやり取りができなければ、効果は半減してしまいます。面接官が質問に答えている間は、しっかりとうなずきつつ、興味を持ちながら話を聞いていることを示すようにしましょう。
話を聞いた後に「はい」「わかりました」「わかりました、ありがとうございます」といったごく簡単なリアクションをするだけでは、採用担当者に「本当は興味がなく、面接用に逆質問を考えただけ」と思われてしまうかもしれません。聞いた答えに対して深く掘り下げられれば、より相手の印象に残ります。深掘りが思いつかなかったとしても、「この会社で働くことが想像できるようになりました」「ますます楽しくなりました」等、ポジティブな感想やお礼を伝えることで、採用担当者に好印象を与えることができるでしょう。
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