業務推進部とは?【仕事内容・役割・必要なスキル/英語力】を解説

業務推進部と聞いて、明確にその部門の組織機能を思い描ける方は少数派ではないでしょうか。具体的に思い描ける方であっても、ご自身がで経験された企業での業務推進部の印象が強いと思いますが、広く見渡すと業務推進部の特徴は企業によって大きく2つのタイプがあります。

営業支援的なセクションである場合と、改善改革をリードする部門の場合です。
同じ業務推進部でも、性格的に2つはかなり異なるため、求人への応募を検討する際にも詳細の確認が必要です。

営業支援や営業企画的な役割を担う後方支援的な業務推進部については、積極的に考慮する転職先のターゲットとしては今回スコープから外します。

一方、経営層に近い直轄部門で、経営課題や事業課題に取り組む業務推進部について深掘りを進めていきます。このミッションの業務推進部は、経営企画部や情報システム部とは違ったアプローチで改善改革やシステム導入を進めています。加えて、部門間の特徴の違いや部門メンバーに求められるスキルについても、明らかにしていきます。

【目次】

  1. 業務推進部の役割(ミッション)は「時々に直面する企業の経営課題解決に向けて改善改革を推進すること」
  2. 業務推進部の仕事内容(部長クラス、課長クラス、リーダー~中堅クラス)
  3. 業務推進部において求められる経験・スキル・資格・英語力
  4. 業務推進部の年収レンジ(メンバー~マネージャー)と求人例

業務推進部の役割(ミッション)は「時々に直面する企業の経営課題解決に向けて改善改革を推進すること」

業務推進部の主な役割機能についてですが、明確に何か決まった権限や責任を持って、何かを所轄する主管部署として企業内で立つ場合は多くありません。大半の場合、業務推進部は時限的なミッション、経営課題解決に向けたプロジェクトを社内コンサルティング集団としてリードするのが仕事です。システム導入にあたっての構想化や要件定義、機能定義までを現場の業務設計と共に進めたり、システムベンダーを取り纏めてPMまでハンズオンでこなす場合もあります。

時々に直面する企業の経営課題解決に向けて改善改革を推進する部門、と纏めることが出来ます。経営管理部門や経営企画部ほど高所見地に立って経営トップ同様に俯瞰するというよりはむしろ、事業の現場に寄り添って現場メンバーと同じ目線で改善改革を企画し推し進める意味合いが「業務」というネーミングに込められています。数値の結果指標のみで後出しジャンケン的に語るのではなく、利益改善に向けたKPIを設計し、改善活動が実際に利益増に結びつく方向で進捗しているのかを業務現場と一緒に背負って向き合うというスタンスです。

一方で、現場の営業部門にほぼ近いスタッフセクションである営業企画部や営業推進部のように、部門の具体的な売上計画の達成を背負ってライン的な活動をするまでには踏み込みません。業務推進部はあくまでも業務プロセスの改善や検証、課題整理から業務改善、業務精度向上へのアクションの初期仮説立案に敢えて留めます。なぜならば、その特定の部門の改善のみに留まることを良しとせず、その成功事例を持って他部門に横展開、波及させることで全社規模でのレバレッジを効かせ、より部門としての利益貢献を増大させるためです。

しかしながら、再生に向け入り込んだ事業部門やプロジェクトとして手掛けた新業態開発を任せる事業責任者ポジションに適正な人材がいない場合などが往々にありますが、そういった場合に業務推進部の中堅メンバーが着任したり、次期後継者候補として現場配置することも起こります。M&Aで自社グループに加わった事業会社のPMIを担う際にも、同様にそのまま次の事業部長として業務推進部のマネージャーから着任する場合もあります。このように、事業現場のマネジメント人材を輩出する部門となっていく流れもあり、業務推進部が次世代のマネジメントレイヤーの人材育成部門を兼ねる場合もあります。

コンサルファーム経験者が事業会社の経営トップや執行役などにキャリアチェンジすることも散見されますが、同様に社内の事業部門のマネジメント人材やキーマン候補の異動元部署に業務推進部がなることも多いです。現場事業に根差した社内コンサルティング集団という意味合いも、よりご理解いただけるかと思います。

業務推進部の仕事内容(部長クラス、課長クラス、リーダー~中堅クラス)

より具体的に業務推進部の仕事を紹介していきます。業務推進部の具体的な仕事をご紹介する上でここでは仮に、本社やホールディングスの企画部門に業務推進部が組織されていると仮定して、ポストやキャリアによっての仕事内容がどう異なるかを見ていきましょう。特にキャリアのターゲットとなる部長クラスの仕事について詳細に述べたいと思います。

1.部長以上
2.課長クラス
3.リーダーから中堅クラス

業務推進部の「部長以上」の仕事内容

業務推進部の「部長以上」は、経営トップ層の特命を直接受けて動くポジションです。部門横断の社長直轄プロジェクトの責任者などにも任命を受けるレイヤーです。重要な経営課題のなかでも事業部の利益改善に向けた収益性の改善や成長性の強化など事業に近いテーマを担当するのが業務推進部の特徴です。全社横断での改善改革のリーダーとして業務推進部の部長レイヤーは活動貢献を期待されます。

業務改善や業務改革が活動の軸の為、市場シェア獲得などの売上拡大、トップラインを押し上げる活動よりは、収益性の改善に寄与するテーマへの取り組みが多いです。売上拡大であれば、事業部の最前線に任せたり、マーケティング部や販売促進部などの部門の出番も多いですが、成熟した市場環境の中で確実に利益増を狙っていくには売上総利益、粗利額の改善がインパクトを持ちます。目先の販管費削減には経理部門での細やかな出費抑制管理で一定の効果を得ますが、管理の行き届いた企業ではある程度、既に削減済みであり更なる効果を見込みにくいのが現実です。

そこで期待されるのが業務精度の改善や業務改革による粗利改善です。売上高総利益率、粗利率は現場業務の精度向上がマストです。仕入原価抑制に向けては生産調達手法の改善、いわゆるサプライチェーンの業務改善改革が必須です。為替や関税の問題、調達ルートやロジスティックスの改善改革も課題です。また販売原価抑制に向けては売り方の改善、適正なプライシングや値引き、バックリベートといった既存の商取引慣習に手を入れることも必要です。エンドユーザー向けの商品やサービスで在庫リスクを取る必要がある事業であれば、適時適量な在庫量コントロールによる販売機会ロスや値引きロス、廃棄ロスの抑制も効果を持ちます。またAIや数理最適化パッケージの導入によるダイナミックプライシングの実現なども粗利改善に効果をもたらすでしょう。

このように部門横断的にバリューチェーンを俯瞰しどこに利益の源泉となる業務効率化余地があるのかを特定した上で改善改革プランを企画立案します。経営上の重要課題として設定し、会社全体を動かしていくダイナミックさを楽しめるポジションです。経営トップとコミットしながら事業部長を巻き込んで動かし、現場のキーマンを押さえて戦略戦術を実行に移していく、このような裁量や企画の自由度を持てる仕事は魅力的です。

業務推進部が担うことの多い収益性の改善プログラムの特徴として、その成功事例は一定範囲に横展開可能という点がメリットとして挙げられます。売上改善プログラムは製品やターゲットとする市場特性、顧客のタイプによって効果の有無が左右されてしまう一方で、粗利改善プログラムは、市場特性や業態を越えた部分、業務の改善改革という点で、少々異なる市場に向けた複数の事業でも一定の共通項があります。それは複数の事業領域の別の事業にも展開可能ということを示しています。つまり、業務軸の粗利改善プログラムは、同じ企業内での複数領域の事業部門に展開できるというレバレッジを活用できること意味します。同じ成功事例を横展開することで事業部門の数だけ、利益改善効果を刈り取れるという醍醐味が収益性改善プログラムにはあります。

業務推進部の部長は、全社の業務改善プログラムに対してアイデアや創造性を自由に発揮できる、ある意味大きな裁量権があるポジションです。

裁量権という意味で言えば、特命を受けたプロジェクトやタスクフォースのチームメンバー組成には一定の人事権も与えられます。経営トップのミッションの錦の御旗のもとに、社内の優秀な人材を集めることが一定程度可能です。また外部ベンダーの選定における推薦の言葉も重みを持って尊重されます。自身の関わるプロジェクトだけでなく、現場の業務に通じていると同義で社内人材にも通じていることを重用され、重要な人事の決定に意見を求められる場合もあります。

以上のように、業務推進部の部長ポストは、常に経営トップ層にコミットしながら、全社の各事業部門の事業部長と共に利益改善に向けた業務改善改革をハンズオンで進めるポジションです。処遇や待遇も企業によっては執行役員級で一定レベルの事業部長と同等レベルの企業もあります。また同じ部長クラスであっても上位の待遇や処遇を受けます。

業務推進部の「課長クラス」の仕事内容

業務推進部の課長クラスの仕事において、部長と共に同じプロジェクトで動く場合は、プロジェクト事務局の実務リーダーとなったり、同じプロジェクトに参画する事業部長の支援スタッフとして機能する場合が多いです。経営直轄で動く部門からの事業部門へのお目付け的な役割の意味合いも持つこともありますが、事業部門と苦楽を共にする場面が多いです。事業側からキーマン候補として人材リクエストを受けることが多いのも、この課長レイヤーの特徴です。また中小規模のシステム導入案件をシステム部門と協働で担当することもありますが、その場合は業務側のPMとして立つ場合が多いです。

また一方で、業務推進部が全社の業務検証機能を担っている場合がありますが、検証資料の作成配信や可視化の企画実働部門として検証チームを課レベルで持つ場合があります。業務指標の体系化や新たな見える化ニーズに対する帳票開発などに責任を持ち具現化します。

課長レイヤーでは積極的に社外からのキャリア採用やヘッドハンティングで即戦力人材を補充、陣容厚くすることも視野に入ってきます。

業務推進部の「リーダー〜中堅クラス」の仕事内容

事業部のキーパーソンのカウンターとなり実務支援を担う場合が多いです。実際は資料作成や会議サポートといった部分が多いですが、事業部の事業部長や部長レベルからの支援依頼に応えていく中で指導を受け、自身のスキルを磨き上げていくレイヤーです。若手ながらも、中小規模のプロジェクトに参画する機会が増え、キャリアの方向性が見え始める人材も散見されます。より事業現場でリーダーシップを発揮する方向に特性がある場合や、要件整理や業務整理に向いていることでシステム部門へのキャリアチェンジもあります。また数値管理に長ける場合にはそのスペシャリティを活かすキャリアパスに進む場合もあります。
社内人材では幹部候補のキャリア方向性見極め期間という位置づけでもあり、社外からの戦力人材採用においては、社内の人脈構築時期でもあります。

業務推進部において求められる経験・スキル・資格・英語力

求められるスキルとして最低限必要なものは、ExcelやPowerPointの使い手であることが重要です。BIツールが普及しつつありますが、Accessなどデータベースの基礎知識も身につけ、一定レベルの操作経験があればなおベターです。

システム構築の経験も歓迎されます。ウォーターフォール型の開発でのプロジェクトの一連の流れや手順が身についていると実務上非常に役立ちます。スケジュールをたてWBSに落とし込みそのタスクの進捗管理ができる、といったスキルがあればマネジメントの強い武器になります。

一方で早期に身につけておきたい、訓練すべきスキルとしてはロジカルシンキングがあります。要件整理や会議をリードし、論点をまとめ時間を効率的に使えるようになることは非常に重要です。実践的に日常的に活用できるまで徹底的に訓練したいところです。その論理的思考を補強するにも有効なのが英語力や語学力です。TOEICも750点を下限に800点レベルはゴールとして目指しておきたいです。

業務推進部の年収レンジ(メンバー~マネージャー)と求人例

最後にその報酬レベルですが、部門長マネージャークラスで1,300万円~2,000万円、メンバーレベルで~800万円のレンジが想定されます。

また、ご参考として業務推進部の求人例をご紹介します。

①人材系ベンチャー/業務推進部

■仕事内容

事業責任者など様々ステークホルダーを巻き込んで新規事業の新しいオペレーションを設計、BPRチームと連携し業務を効率化するなど、多岐にわたる業務をお任せします。
・業務プロセスを再設計し、自動化・省力化
・取引先審査体制の改善
・新規事業や新規サービスにおけるオペレーション設計
・組織のマネジメント(ご経験やスキルに応じて)

■求めるスキル・経験

必須:
以下いずれかのご経験がある方
・業務フローを構築した経験(企画、CSなど)
・管理部門(経理、法務など)での業務経験
・コンサルティングファームでのご経験

求める人物像:
・変化を厭わず、当事者意識をもって課題解決にあたれる方
・発生する事象に対してあらゆる可能性を想定し、柔軟に対応ができる方

■弊社からの転職事例

30歳前半 大手外資系ファーム/シニアコンサルタント(年収900万円):新規事業立上げ 組織再編 BPR デジタルトランスフォーメーション
⇒同社へ年収850万円にて転職

②ヘルスケア系ベンチャー/業務推進部

■仕事内容

・健康保険組合向けサービスにおける案件獲得後の業務推進
– ユーザーへの初期案内やサービス導入支援
– 健康保険組合への請求
– 業務フローの整理と改善点の洗い出しやツール選定・導入
– 新規オペレーション導入に伴うマニュアル作成
– その他上記に付随する業務

■求めるスキル・経験

MUSTスキル:
・業務フロー作成やツールを活用した業務改善の経験をお持ちの方(直接的に設計経験がなくても、構造的に業務整理でき、複数の選択肢から改善幅が大きいものを選択して実装できるスキルがある方でも可です)
・エクセル(vlook,ifなどの関数に加え、ピポットなども利用できる)
・既存システム(kintone、backlogなど)を活用できるITリテラシーがある

WANTスキル:
・ExcelやGoogleSpreadSheetでifやcountifなどの関数を使って簡単なダッシュボードを作れるスキル
・ヘルスケア事業における同様の経験
・サポート業務にやりがいを感じられる方

■弊社からの転職事例

20代中盤 大手SIer(年収500万円):受発注システム開発、新規サービスを企画
⇒同社へ年収650万円にて転職

=======

<事業会社の企画系ポジションに関するコラム>

【インタビュー】元コンサルタントから見た「リクルートライフスタイル」と、同社がコンサル出身者に求める「スキル・感覚」とは?
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/Recruitlifestylebeauty

【転職事例から見る】営業企画から「事業企画」へのキャリアパス
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/salesplanningcareer

“カスタマーサクセス”への転職に必要なスキルとは?【企業フェーズ毎】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/CS-SKILL

=================

今回の記事では、業務推進部の仕事内容・役割・必要なスキル/英語力ついてご紹介しました。

キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×