CFO「年収」の相場【シリーズA~上場後ベンチャー~大手(老舗)】

CFOの年収の相場については、企業の成長ステージや役割によってかなりばらつきがあることが知られています。

スタートアップのシード・アーリークラスにおけるCFOの役割と、プライム上場企業のCFOを単純比較することは難しいでしょう。

そこで今回は、CFOの年収に焦点を当てて、年収に対する基本的な考え方に加え、各企業の成長ステージにおける報酬の考え方をお伝えします。

【目次】

  1. CFOの年収に対する考え方
  2. 企業の成長ステージにおけるCFOの年収相場
  3. 年収を上げるための取り組み

CFOの年収に対する考え方

まずCFOの年収に関する考え方について確認しておきます。

なお年収としての金銭的報酬だけでなく、年収の範疇には入らない可能性もありますが、ストックオプションをはじめとした株式による報酬、さらには大きな概念としては非金銭的な報酬も含まれてくることをご了承ください。

スタートアップ・ベンチャーCFOの報酬

まずは基本的な報酬として、役員報酬や給与と言われるものがあります。

取締役CFOの場合は役員報酬が株主総会にて決定され、年間を通じて月額固定の定期同額給与として渡されることが一般的です。

一方で、執行役員CFOという役職も想定されます。

株主総会の決議までの間に入社した場合や、取締役にはまだ早く、執行役員として配置される場合であり、社員と同様の扱いで通常の給与が渡されます。

株式報酬

スタートアップ・ベンチャーにおいては、将来的な株式上場を見据えて、さらに上場企業においては業績連動型として、ストックオプションが付与される場合もあるでしょう。

赤字が一般的なスタートアップ・ベンチャーにおいては、現金支出が非常に負担となり、また株主からの目も厳しいため、CFOに対する高額報酬を提示することが難しいのが現実です。

そのため、将来的な企業価値向上によるエグジットを見据え、モチベーション向上の観点から、予め役員や社員に付与しておくことが多くなっています。

またオーナー企業においては、オーナーCEOが直接貢献してくれた役員や社員に対して持ち株を譲渡することも場合によってはあるでしょう。

非金銭的報酬

CFOの役割よりもむしろそれ以下の社員に対する報酬として機能する場合が一般的ですが、金銭によらない報酬という考え方もあります。

やる気やモチベーションを上げるための施策として、本人への権限と責任を付与することや、抜擢人事、働きやすい環境整備などが考えられるでしょう。

役員寄りの考えになると、ハイヤーなどの専用車や、広義には役員と社員が使える保養施設や住宅手当などの福利厚生も挙げられます。

その他の報酬

上記に該当しないその他の報酬として、役員が会社から資産を無償もしくは、安く譲り受けることもこの範疇に該当します。

ただし年収のように頻繁に発生するものではない臨時的な報酬のため、このようなものも企業の考え方次第ではあり得るというだけに今回は留めておきます。

企業の成長ステージにおけるCFOの年収相場

次に、各成長ステージにおけるCFOの想定年収を具体的に見ていきます。

場合によっては、シード・アーリーにおいても1,000万円超の報酬を提供していることも考えられますので、おおよその目安となる点についてご了承ください。

シード~シリーズAの場合

この段階のスタートアップ・ベンチャー企業にとっては、事業をしっかりと立ち上げることが一番の重要事項となります。

CEOを含めその他のスタッフも、コストを少しでも抑えるべく薄給で乗り切らなければならないタイミングに該当するでしょう。

したがって、多くのスタートアップにはCFOを採用できる体力はなく、CEOや他のスタッフで兼務しながらシード・アーリーラウンドを乗り切っていると考えられます。

また、仮にCFO候補を採用できたとしても、年収ベースで平均600万~800万円ぐらいが多く、前職のスキルが非常に高い高額のCFO候補を採用することは難しい状況です。

加えて、いつなくなるか分からない会社にリスクをとって入社するCFO候補に対して、ストックオプションの付与は必須になると考えられます。

企業としては株価が比較的低い段階で多めの報酬を渡し、今後の活躍次第では大きくリターンがあることをアピールして、有能なCFO候補を誘ってくるのが一般的でしょう。

多くのスタートアップにおいて、無事にシリーズAラウンドで資金調達後、1,000万円台の報酬を見据えられるぐらいになってくるのではと考えられます。

シリーズB~上場前までの場合

シリーズB以降の資金調達をしながら安定的に成長拡大する中で、上場に向けて管理体制を整えていく段階にあたります。

上場の確度が高くなってきた段階においては、外資系金融や監査法人、ベンチャー企業にてCFOや管理部長経験がある、財務経理分野により強いメンバーが参加し始めることでしょう。

したがって、CFOの報酬もシリーズA以前と比較して上がり、年収ベースで1,000~2,000万円程度になってくると考えられます。

シリーズAまでと同様、多くの企業において迎え入れるCFO候補に対してストックオプションが付与されることも多く、年収では換算できない価値も提供されることとなります。

この段階ではエグジットや資金調達など、CFOの役割がかなり明確になってきていることもあり、さらに難易度が高い役回りを任されることとなります。

一方で、企業の事情としては、売上、利益双方における予算達成という、予実管理の精緻化も求められるフェーズであり、未達にならないようにコストをセーブすることも考えられます。

そのため、CFOの業務における難易度は高いものの、年収がある程度抑えられることも想定しなければなりません。

上場後のベンチャー企業の場合

上場を達成したベンチャー企業は、資金的安定はもとより上場で得られたネームバリューにより、優秀な社員が集まりやすい環境となります。

CFOの役割としては、上場企業として管理体制をしっかり回していくことと、成長に向けての資金調達や、事業推進など攻めの分野の両面を回していくことが期待されるでしょう。

未上場ベンチャーとは違って、上場企業としての責任が大きくのしかかってくることとなります。

そのため年収も、2,000万~3,000万円程度と大きく跳ね上がることが想定されます。

さらに会社の方針によっては、業績連動型のストックオプションが役員に付与されることもあるでしょう。

上方修正するぐらいに業績が予想よりも上回った場合には、賞与という形で特別報酬が大幅に出ることも考えられます。

CFOが会社業績にも影響を及ぼしてくるフェーズになり、その活躍次第では報酬が大きく変動することとなります。

老舗大手企業の場合

老舗の大手企業の場合は、上場、未上場企業で役割が大きく変わってくることもありますが、1,500万~3,000万円、またはそれ以上の報酬を獲得できる場合もありますし、業績が振るわない場合はそれ以下の所もあるでしょう。

上場、未上場企業を問わず会社の戦略によっては、M&Aを主体として企業グループを拡大していく役割も担うこととなりますが、その場合は上限額に近い金額か、それ以上の報酬も期待できます。

上場老舗企業の場合は、大きな成長は見込みにくく、ほぼ横ばいか、黒字を出していれば良いという状態の会社もあるでしょう。

そのような会社でCFOは、管理部長や経理部長のような立ち位置で、手堅く決算を締め、開示すべきタイミングにおいて遅滞なく開示するような業務が重要となります。

さらにベンチャー企業のような、CFOの役割がCEOやCOOに続く重要な位置付けから、他の役員と横並びの同等レベルになることも考えられ、会社によってCFOの役割や給与に大きく幅が出てくることとなるでしょう。

制約が少ない未上場企業の場合は、CFOを設置すること自体があまりなく、加えて資金調達の必要性もデット以外には少ないことから、決算が締まれば関係者に通知するような役割に限定されることもあります。

年収を上げるための取り組み

最後に、年収を上げるためには、CFOにとってどのような取り組みが必要であるのか見ていきます。

資格やスキルの充実

まずはCFOの素養としての資格や基礎スキルの充実が挙げられます。

CFOがどのようなキャリアを歩んできたかにより、CFOになった時の幅が広がっていくことが想定されるためです。

例えば、公認会計士資格を持っているか、監査法人勤務経験があるCFOだと、上場準備フェーズにおける監査や内部統制、さらには内部管理体制の構築に力を発揮できるため、シリーズB以降には特に強みを発揮することとなります。

またMBAホルダーであれば、CFOの領域だけでなく全社戦略や事業戦略、さらにはマーケティングや採用等の機能戦略などの戦略面においても力を発揮することとなり、攻めのCFOの側面を存分に発揮できるかもしれません。

そして、投資銀行業務の経験があるCFOは、資金調達環境やベンチャーの成長環境を熟知していることも考えられるため、適切な資金調達について戦略的に動き回るスキルを発揮することとなるでしょう。

このような尖った得意分野があれば、CFOとしての市場的価値も向上し、採用体力のある有力スタートアップ企業からのオファーが掛かりやすくなります。

失敗と成功の経験

前職での成功や失敗、さらに修羅場を潜った経験は、次の会社で活かせるはずです。

成功よりも失敗の方が、学びが大きいと言われます。失敗は必ず同じ轍を踏まない学びができる点で、逆境にも強くなり、CFOとなった企業において必ず活きてくるでしょう。

特に、まれにいらっしゃる起業経験があるCFOは、CEOの気持ちも分かる立場であるため、CFO兼COOとしてCEOを支えることができます。

また、社外からの採用ではなく社内からの昇格によりCFOを登用する場合においても、同じような経験があればより望ましいです。

成功体験だけでなく失敗も含めて、入社企業にはないノウハウがあれば、報酬交渉の切り札となるでしょう。

業界内外での人的ネットワーク

最後に、業界内外での人的ネットワークの重要性です。

CFOの採用時には、その人の評判や実績を確認することが一般的ですが、エージェントやヘッドハンター経由になると、採用側はCFO候補の人柄をほぼ知らないことも多いため、一から経歴や実績を掘り起こしていくこととなります。

一方で、人的ネットワークを通じた、いわゆるリファラル採用は、第三者のお墨付きで推薦が行われることとなり、人材の定着においても、候補者のスキルの担保においても有効に機能するでしょう。

したがって、転職するにあたっての要望も通りやすく、企業側は前職経験や実績を、入社側は企業の事情を、第三者を通じてより理解しやすい状況となるため、希望の報酬額が通ることも考えられます。

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>CFOへのキャリアに関する記事

ベンチャー・中小企業のCFO就任後、長く活躍するために求められるスキル・経験
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/venture_cfo_skill

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CFO年収の相場は、企業の成長ステージにおいて果たすべき役割が大きく異なることから、非常にばらつきがある点で特殊です。

スタートアップ企業の場合はハイリスクハイリターン傾向にあり、上場ベンチャーや老舗企業の場合は高額報酬が得られるものの、スキルや経験が他に比べて秀でていることも重要です。

スキルや資格、勤務先企業、さらには経験や実績により、どの成長ステージの段階で入社するのが自分にとって特にフィットするのか、報酬とともに考えていきましょう。

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