ベンチャーCFOがCEOとの関係性を上手く築くための鉄則

ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)は、業務上近い役員であるCEO(最高経営責任者)との関係性が円滑でないと、企業成長の足かせになってしまいます。

このような状況が続く場合、他のCXO役員はもとより、社員に至るまで全社に影響することとなるため、お互いにとって良いことではありません。

例えば、関係性が円滑化していない原因を分析したところ、コミュニケーションの機会が少なく、役割が重複していてどちらがリーダーシップを発揮する場面なのか不明確、というケースがあったとします。

その場合は、お互いのコミュニケーションの機会をさらに増やすことや、責任範囲を改めて明確化することで、解消を図らなければなりません。

CEOとCFOの1ON1を仕組み化したり、責任範囲が崩れていないか四半期毎にチェックしたりするのが良いでしょう。

お互いに良好な関係性を維持することが、企業成長にとって非常に重要なこととなります。

ベンチャーCFOがCEOとの関係性をより良く構築するために、CFO側の立場から必要なことを考えていきます。

【目次】

  1. CFOがCEOとの関係性構築のことを考える前に
  2. CEOとのコミュニケーション
  3. CEOから信頼を得るために

CFOがCEOとの関係性構築のことを考える前に

お互いの関係性を長期継続的に良くしていくことが当面の目標ですが、その前にお互いを知っておくことが非常に重要です。

CEOだけではなく、CFO自身も含めて分析することが必要となるでしょう。

CEOのタイプを熟知する

CFOもしくはCFO候補の方にとって、CEOがどのようなタイプの人か、入社前に確認しておきたいところです。

社員もしくは役員として入社する前に、業務委託でまずはテストオーダーを受ける場合も、同様の解釈が必要となります。

リーダーシップを発揮するタイプであるのか、開発者やクリエイター向きなのか、営業向きなのかなどにより、CFOのフォローすべき役割が大きく変わってくることが想定されるためです。

逆にCEOは当然ですが、採用にあたって、CFOとして入ってくる方がどのようなタイプか徹底的に見ているでしょう。

CEOの得意分野はどういう所で、CFOとしてフォローしてほしい分野はどこかなど、聞いておくことも有効です。

「経理財務はもちろん任せるが、採用はCEO自ら動くことが大切だと考えているので、私に実施させてほしい」という回答があれば、管理部門内でもCEOが管掌する役割が発生し、連携が必要となります。

CEOが感じている課題を確認する

CEOが現時点で何に課題を感じているのか、また入ってくるCFOに対してどのように課題を解消してほしいのかを知っておく必要があります。

CEOに対して率直に、「現時点の課題はなんでしょう?」と聞いてみましょう。

CEOが、「現在の課題は費用管理ができておらず、CXOでさえも予算を超過して費用を支出してしまう」という認識を持っていたら、予実管理の強化が直近の課題であることが想定できます。

入社後に新たに知り得ることもあるかもしれませんが、予め課題を知ることで、自分自身がこれまで培ったノウハウを用いてこの会社で活躍できるのか判断もしやすいです。

さらに、入社した暁にはすぐに課題に着手でき、CEOの課題感に対して早速信頼を得られるかもしれません。

CFO自身のタイプを分析する

そして、自分自身のことも分析しておく必要があります。

すなわち、自分自身の強みはどこにあり弱みは何か、新しい環境に入って強みがより発揮できて、弱みを克服できるのかの基本分析です。

SWOT分析のように自分自身のマトリックスを作って、考えてみるのも一つの方法。

自分自身の強みを用いて、入社企業の強みやCEOの強みがさらに強化できないか、弱みを克服できないかなどを考えていくことができます。

具体的に象限【A】や【C】【D】を掛け合わせて挙げていくことで、自らが対応すべき課題も見えてくるかもしれません。

例えば、CEOはビジョンを投資家や顧客に伝え、新製品開発を行いながら将来を構想していくのは得意ですが、既存事業はCOOに任せている場合があるとします。

CFOは事業進捗については決算を締める段階で熟知しているため、COOの代理として既存事業の説明はCEOをカバーできる状態になっている場合もあるでしょう。

採用面談の段階において、上記のマトリックス全体を共有するかは別として、弱みも明確にしておくことが大切です。

そうすることで、フォローしてもらえる分野が明らかになることも考えられます。

CEOとのコミュニケーション

晴れてCEOと一緒に仕事をやることとなった場合には、コミュニケーションを頻繁に取ることになります。

関係構築には、お互いのコミュニケーションの充実は必要不可欠であるため、その点について確認しましょう。

ビジョンやミッションを徹底的に理解する

CEOが考えているビジョンやミッションは、明文化されていることがほとんどでしょう。

特にスタートアップ・ベンチャー企業であれば、事あるごとにCEOや役員はもとより全社員に対して、理念を伝えていくことが多いと考えられます。

CEOが伝える時に理念を理解し、吸収していくことは勿論ですが、CEOと個別にコミュニケーションを取って、考えていることに対して徹底的に理解することが必要です。

CFO自身が理解できない点に対する質問や疑問を率直に聞いて、理解していく努力が求められるでしょう。

CFOはVCや銀行などと対外的にコミュニケーションを取ることが多いですが、会社の方針やCEOの考え方を代弁して語ることも非常に多いです。

そのためには、ビジョンやミッションの徹底理解を行い、CEOとシンクロできる動きが必要となります。

CEOと定期的に対話する

通常の会議以外に、CFOはCEOと定期的に対話する機会を設けておくことが必要です。

リモートワークが一般的となり、対面で顔を合わせる機会が少なくなっている傾向があるかもしれません。リモートワークでもWEB会議システムを使った定期的な面談が望まれます。

出社の際には対面で話をして、密なコミュニケーションを取ることでお互いの理解度にずれがないようにしておくことが大切です。

チャットやメールは便利で気軽に連絡できるため、ツールで済まそうとする人が多い傾向にありますが、これらは表現の中で誤解を生むこともあり、ニュアンスが中々伝わりにくいという欠点もあります。

可能であれば1週間に1度など、定期的に1ON1の機会を設け、課題のすり合わせをするのがベストでしょう。

また、他の役員を交えた会議や飲み会、合宿なども意識のすり合わせに有効な機会です。

カルチャーによっては、四半期や半期のタイミングで定期的な役員合宿を実施し、課題のすり合わせを行って、将来に備える会社も多く見られます。

集中した課題解決の討議は、管理部門を担当するCFOが主体となって進めることも多いでしょう。

紹介した以外にも、有意義なコミュニケーション機会を常に考えて、新たに提案しながら取り入れていくことが望まれます。

非公式コミュニケーションを心掛ける

業務外の会話として、CEOとの対話の中に非公式なコミュニケーションを取り入れることも有効でしょう。

業務の話だけをしていて、お互いの人となりが分からない状態では、常日頃からギスギスしてしまいます。

1ON1の中や定期的な会議の中、さらに会社で少し顔を合わせる際にでも、ちょっとした会話が大切な可能性があるのです。

非公式なコミュニケーションは日頃から心掛けておくことで、気軽に話せるオープンな関係値を築けるでしょう。

CEOから信頼を得るために

CEOの要望にCFOなりの付加価値を付ける

CFOは、CEOはもとより他の役員にとっての右腕的な存在として機能することが重要です。

CEOをはじめ他の役員からの課題や要請に対して、迅速かつ的確に対応しなければなりません。

また、要望にそのまま対応するのではなく、CFOにしかできないことがあるか考え、他の役員の視点では見つからない点を付加価値として提供していくことに存在意義があると考えられます。

CFO自身がこれらを実践していく中で、逆に他の役員に対して課題や要請を提示する場合も、お互いの機能が発揮されるでしょう。

CEOにとって耳の痛いことも伝達する

特にオーナーCEOに対しては、CFOや他の役員が言いづらい話も出て来るでしょう。

例えば、CEOが担当する事業における改善策や新規事業の構想、さらにそこに関連する組織編制案などがある場合です。

オーナーCEOは、自ら事業を推進し会社を成長させてきたことを考えると、事業に対して絶対的な自信を持っていることがあります。

そのため、他の役員からの発言に耳を貸さないこともあるでしょう。

結果的にCXOをはじめとしたボードメンバーがイエスマンばかりとなってしまい、客観的な牽制が働きにくい構造も考えられます。

その場合、仮に明らかに大丈夫と思えるような事業計画案であっても、頓挫してしまうこともあり得るでしょう。

事業を側面から客観的に見ることができるのはまさにCFOであり、事業上のリスクが資金的または法的な観点から果たして適切なものであるのか、チェックしていくことは非常に重要な役割です。

この点は必ず客観視したうえで、CEOに提言していかなければなりません。

他のCXO役員や社員からの信頼を勝ち得る

CFOはCEOからの信頼を勝ち得るだけではなく、他の役員や社員からの信頼を得ていく必要があります。

他の役員については、上述した通り、事業上の課題に対して適切なアドバイスが行える良き相談相手として機能する必要があるでしょう。

また社員に対しては、管理部門の責任者としての役割を果たす必要があります。社員は事業上の相談は上長である他の役員や部門長にすることが一般的です。

しかしながら、事業に直接関係しない労務関連やモチベーション、自身のキャリアについては、管理部門に内密に相談を持ちかけてくるケースが非常に多く見受けられます。

これらは自分の上長が判断しづらい、または上長に相談しづらいという理由から、管理部門やCFOに相談が来るのです。

対応次第では社員への大きな影響が発生するため、適切に向き合う必要がありますが、結果次第でCFOは社員からの信頼も得られるでしょう。

CEO以外のメンバーからの信頼が向上することにより、CEOとしてもCFOに対する絶大な安心感が生まれ、会社の安定感が増すことにもなります。

結果的に、CEOとの関係性も良くなることは明らかでしょう。

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>CFOへのキャリアに関する記事

ベンチャーCFOの「よくある悩み」と「解決策」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/cfo_venture_troubles

コンサルからベンチャーCFOへ。よくある見送り理由とその対策
https://www.axc.ne.jp/column/media/change-jobs-knowhow/ctcfo

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CFOがCEOとより良い関係性を築いていくためには、コミュニケーションを円滑にして、信頼感を勝ち取っていくことが大切となります。

そのためには、CEOの性格や会社として成し遂げたいビジョンを戦略から理解しつつ、CFO自身のことも分析して、期待に応える姿勢が必要でしょう。

手を打ってもすぐには結果が出ないこともありますし、またCEOとの性格上の相性により変化もありますが、関係性構築のためにCFO自身の考え方をしっかり固めて取り組んでいくことが重要です。

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