CFOに必要な資格・経験とそのレベル感<公認会計士からコンサルまで>

将来的な株式上場などのエグジットを目指すスタートアップやベンチャー企業を中心に、CFOの新規採用が多く見られます。

しかしCFOの募集要項の中には、公認会計士資格があることや、過去CFOを経験して上場準備や上場達成の経験があることなど、かなりハードルの高い条件が記載されていることが多いです。

果たしてこれらの経験がCFOになるためには必要なのか、また資格以外にどのようなレベルの経験値が必要なのかを見ていきます。

【目次】

  1. CFOになるために資格は必須ではない
  2. CFOになるためのスキルや経験、レベル
  3. 積極性を持って経営へ関与することが重要

CFOになるために資格は必須ではない

CFOになるためには、資格が必要なのでしょうか。

IPOを目指す企業のCFOの求人募集文には、「公認会計士資格や監査法人勤務経験、投資銀行での業務経験があれば尚可」と書かれていることが比較的多いです。

公認会計士ホルダーであれば、確かに「ベースのスキルを持っている証左では」とはなりますが、そのような方ばかりではないのが現実でしょう。

資格保有は必須ではない

IPO達成会社におけるインタビュー記事やセミナーには、よくCFOが参加していて、IPOまでの苦労話をしているのを見かけることがあります。

中でも、会計士出身やMBA卒のCFOに加え、投資銀行や外資系証券会社、ベンチャーキャピタルをバックグラウンドとして、M&Aや資本政策の業務経験者が登場することも多い印象があります。

しかしながら、明らかにこれらの経験がないCFOの方もいらっしゃるので、必須条件であるとは考えにくいです。

内部昇格者の場合は必ずしも資格を持っている訳ではない

とりわけ社歴がある企業や、大企業の中の事業を子会社化して上場を目指す企業は、プロパー社員が中心となって活躍されているケースも多くあります。

そのような会社では、極論を言えば新卒で入った方が、財務経理を中心とした管理系業務の経験を経て、上場準備室に配属される可能性も考えられるのです。

したがって、ベンチャー企業であっても、創業当初に社長の右腕として尽力してきたメンバーが、バックオフィス業務に注力すべくCFOとして就任することもあるでしょう。

そのようなケースを考えると、とりわけ内部昇格や必要に応じてアサインされた形のCFOは、資格や経験がない可能性の方が高いのではないでしょうか。

CFOになるためのスキルや経験、レベル

一方で、CFO就任時にあるに越したことはない、スキルや経験にはどういったものが考えられるのか、レベル感も含めて確認していきます。
なお以下の情報は企業がCFOを採用する際にチェックする点も含まれるため、採用側が見ているポイントを把握するためにもぜひご参考になさってください。

公認会計士資格保有者や監査法人出身者

前述の通り、公認会計士資格保有者や監査法人出身者の公認会計士は、財務や経理、監査の一定のスキルを持っていると考えられます。

また、上場企業や上場準備企業の監査経験がある場合は、上場準備においてどこがチェックされるかのポイントを把握しているため、課題について勘所が分かっているともいえます。

しかしながら、公認会計士資格を持っていても、試験合格後の実務経験に乏しい場合はCFO業務の対応が難しいかもしれません。

監査のアシスタントではなく、監査担当者や責任者の経験が必要です。

さらに、監査法人出身者でも監査する側が中心で、具体的に指摘を受けて対応を行った経験がない場合や、監査のスキルだけはあるものの資金調達や上場準備経験全般がない場合も考えられます。

監査スキルはあるとはいえ、CFOとして必要な現場対応力には欠けるという点では、すぐに課題対応できないかもしれません。

そして、財務経理分野以外を含めた、経営企画や採用労務、法務など、管理部門全般を管掌する役割となった場合であっても、キャッチアップまでにある程度時間を要することも考えられます。

投資銀行出身者

投資銀行出身者は、M&Aやデューデリジェンスを中心とした非常にハードな業務の中で、数多くの企業のバリュエーション算定や企業戦略、競合状況の把握をしてきているバックボーンがあります。

とりわけ外資系投資銀行出身者の場合、日本企業だけではなく、海外のスタートアップ企業や大企業など、様々なステージにある企業を多く見てきています。

そのため、戦略面において会社が成長するキーポイントも把握していることが強みでしょう。

さらに、幅広い業界も見てきていることから、自社が属する業界や近隣業界の市場環境、成長性なども把握しています。

そして、ハードワーカーである経験は、場合によっては同様の働き方が必要とされるスタートアップ・ベンチャーとの親和性も高いでしょう。

専門分野外の業務であっても、持ち前のバイタリティで乗り切っていくことも可能かもしれません。

投資銀行出身者は、CEOの重要な右腕となるべきバックボーンを持っている可能性があります。

しかしながら、人材も非常に限られ、高額の報酬で迎えなければならないなど、スタートアップにとっては手が出ない存在であるのも事実です。

MBAホルダー・コンサルティング会社出身

MBAホルダーやコンサルティング会社の経験がある方は、CFOが主戦場の財務経理分野だけではなく、ベンチャー企業の経営を全般的にキャッチアップできるスキルにも長けていることがあります。

経営全般に加え、マーケティングやオペレーション戦略、人材、資金調達、研究開発など、幅広い分野において少なからず知見を持っていることが考えられるでしょう。

一方で、とりわけコンサルティング会社出身者は、事業会社に対するコンサルティング・助言が中心となり、実際の課題を動かしていくところまで経験していないことが一般的です。

そのため、監査法人と同様の観点ではありますが、指摘された側の立場で仕事をこなせるかは未知数でしょう。

またCFOでは物足りず、自らCEOとして起業される方も比較的多いのが、この分野や外銀出身者の特徴でもあります。

事業会社の財務や経理、経営企画出身

本人の今後のキャリアプランとして、内部昇格や今後のCFO候補としてのポテンシャルを見ての採用に至る場合も考えられます。

これらの分野においては、バックオフィス業務経験者であることに加え、少なからず数値に対する感度が高ければ候補となる可能性が高いです。

一方で、財務や経理、経営企画の職能の分野から脱却できずに、管理部門の一機能に留まる場合も考えられます。

特に外部から採用する場合には、実際に本来こなしてほしい役割に対するミスマッチが発生して早期離脱もあるでしょう。

対象者がどのような経験をしてきたか、また今後の成長に向けての課題に対処できる人材としてマッチするかの見極めが重要になってくるかもしれません。

スタートアップやベンチャーでのCFO就任経験

CFO候補としての前職のキャリアとして望ましい最後の職種ですが、一番は何といってもスタートアップやベンチャー企業でのCFO経験者でしょう。

CFO経験者は、過去どのような企業に在籍して、そこでどのような実績があるかが明確なためです。

この立場にある人は、どのシリーズでいくらの資金調達をしたのか、上場準備においてどのような役割を果たしたのか、経営課題で何を解決してきたのかなどが明確であるとも言えます。

一方で、一概にCFOといっても、既に上場したベンチャー企業のCFO経験が中心の方と、上場前のベンチャー企業での経験が中心の方とでは、スキルが全く違う点に注意が必要です。

積極性を持って経営へ関与することが重要

採用を考えているCFOについて、資格や経験などの一般的に通用するスキルはあると確認できました。

それを前提に、さらに考えるべきことは何かを、経営への関与という点から確認します。

スキルや経験をベースとした経営へのコミット

CFOとして大事な点は、スキルや経験を持っていることだけではなく、それを活用してどれだけ経営に関与できるかでしょう。

CFOはCEOをはじめ、他のCXOとともに、会社を成長させていく経営陣です。

財務担当としての役割は担っているものの、経営課題となるとあらゆる分野に首を突っ込んで、CEO、CXOとともに問題解決を図っていく必要があります。

そのため、自分の得意分野は勿論のこと、それ以外の分野にも積極的に関与し、CXOを盛り上げていかなければなりません。

その気概ややる気があるかどうかは、CFOにとってスキル、経験以上に大切なところとなります。

CEOや他のCXOとの相性

前述の通り、CFOは経営陣の一員であるため、CEOをはじめとしたCXOと成長にコミットしなければなりません。

チームとしてお互いに尊重し合いつつ、時には役員としての牽制機能を発揮し、さらには管理部門担当として他のCXOをサポートしていかなければならないという、非常に幅広い役割が要請されます。

そのため、CFOとCEOや他のCXOとの相性も一つの重要なポイントでしょう。

良い関係値を持ちながら業務を遂行しないことには、お互いの足の引っ張り合いとなってしまい、成長に対するコミットができないためです。

CFOとして採用された当初はお互いに理解が不充分な点はあるかもしれません。連携してやっていく上で、継続的に改善していく必要がある自分自身の人格や人間性が明確になるでしょう。

ベンチャー・スタートアップが持つ独自カルチャーとの親和性

リーダーシップをとるCEOや他のCXOのビジョン・価値観、仕事のスタイルなどをベースに、その会社のカルチャーや雰囲気ができ上がってくることが一般的です。

また、スキルや経験があっても、会社のカルチャーや方針に馴染めず、本来やるべき業務や優先すべき業務を差し置いて、他の業務を優先してしまうこともあります。

したがって、CFOの採用においては、CEOや他のCXOとの相性とともに、カルチャーマッチングが非常に重要視されているのです。

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>CFOへのキャリアに関する記事

CFOとしてベンチャーに「採用」されるためのステップ・方法
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/cfoventure_recruit

ベンチャーCFOがCEOとの関係性を上手く築くための鉄則
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/cfo_ceo_venture

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今回の記事では、CFOに必要な資格や経験とそのレベルについてお伝えしました。

繰り返しになりますが、公認会計士やMBA資格はベースとしてのスキルの裏付けとなるものであり、大切なのはそのスキルを活用しながら経営への関与をどれぐらい行えるかという観点です。

さらに、CFOという立場になると、資格や経験だけではなく、場合によっては人間性の深みや人格形成も行っていくことが大切になってくるのでしょう。

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