コンサルに必要な「ヒアリング」のポイントと、できる人の共通点

コンサルの案件推進においては、クライアントとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションの中でもとりわけ重要な意味合いを持つのがヒアリング。プロジェクトの骨格を組み立てるにしても、ゴールや課題を設定するにしても、クライアントへのヒアリングを通じて正確な情報を吸い上げることが重要です。

今回の記事では、コンサルに必要とされる「ヒアリング」のポイントについて紹介していきます。

【目次】

  1. コンサルがヒアリングをおこなう目的
  2. コンサルにおけるヒアリングの5つのプロセス
  3. コンサルのヒアリングで効果的な5つの質問法

コンサルがヒアリングをおこなう目的

方法論に入る前に、コンサルがプロジェクトにおいてヒアリングをおこなう目的について整理しましょう。コンサルプロジェクトが立ち上がる前も立ち上がったのちも、しばしば取り入れられるプロセスであるヒアリング。

おもに、次のような情報を収集する目的で実施されます。

コンサルがヒアリングをおこなう目的①クライアントとの関係深耕

コンサルにおけるクライアントとの折衝は、営業マンの営業活動と同様に、リレーションの深耕が常に必要になってきます。クライアントとタッグを組んでプロジェクトを円滑に進めていくためには、互いをよく知り、信頼し合うことがやはり重要。通常のビジネスでも同じことはいえますが、コンサルでは突然チームアップされたメンバー同士が一定期間協力し合わなければならないため、関係構築はことさらに大切です。

そのため、単純にクライアントの状況把握を目的としてヒアリングをおこなうケースも少なくありません。直接相対するカウンターパーティの人となり、組織構造や性質・特性、案件を進める上でのキーパーソンなどを掴んでいきます。

コンサルがヒアリングをおこなう目的②悩みや課題意識の把握

コンサルプロジェクトが立ち上がるときは、クライアントに何かしらの悩みや課題意識があるはずです。コンサルタントはクライアントが持つ悩みや課題意識を巧みに聞き出していく必要があります。

関係が十分に深ければすぐに聞き出せるかもしれませんが、クライアントによっては警戒して本当のことをなかなか話してくれない人もいるかもしれません。

さらに厄介なことに、時には組織の問題をクライアント自身が明確に掴みきれていない場合も。その場合は巧みにヒアリングの中で、クライアントに組織の真の問題点を「気づかせる」必要もあります。

コンサルがヒアリングをおこなう目的③現状の把握

悩みや課題を解決するためには、まずクライアントの現状を把握しなければなりません。現状の業務プロセス、組織、システムなど、悩みや課題に関連する領域の現状を正確に掴み取ることで、より有効な解決策を構築することが可能です。悩みや課題の性質によって、詳しく把握すべき領域は異なります。

例えば、システムに関する課題であれば、システムの現状について特に詳しく知らなければならないでしょう。より厄介なのは課題や悩みの原因がどこにあるのかわからない場合。「業務の非効率」に課題意識があった場合に、原因がシステムなのか、組織構造なのか、はたまた業務プロセスなのか、すぐには判断できないケースも少なくありません。

優れたコンサルであれば課題・悩みを深く知ることで「どこに原因があるのか」正確にあたりをつけて、現状把握もスムーズにおこなうことができます。この辺りは経験とヒアリング能力がモノをいう部分です。

コンサルがヒアリングをおこなう④解決の期待値

コンサルに課題や悩みを相談しつつも、実は「ゴールに対する期待値」をクライアントがすでに持っているケースは少なくありません。あくまで漠然とゴールのイメージを持っているだけの場合もあれば、やりたいことは決まっているが「第三者(コンサル)に背中を押してもらいたい」といった状況のこともあります。

こうしたクライアントが抱くゴールを把握しておき、ゴールを実現することで課題が解決するなら、そこへ向けて進むだけのことです。一方で、実はクライアントの期待するゴールが誤っていて、別の結末を用意しなければならない場合もあります。その場合はまずクライアントと交渉し、プロジェクトのゴール設定を調整しなければなりません。

いずれも、クライアントが考えるゴールを理解していなければできないことです。

なおヒアリングは、必ずしも1つの目的に特化しておこなわれるわけではなく、紹介した目的のうち複数・時には全ての目的を達成するために実施されます。

コンサルにおけるヒアリングの5つのプロセス

コンサルのヒアリングの手法について、複数の切り口から解説していきます。まずはヒアリングのプロセスです。

実際の会話の流れは千差万別ですが、基本的にはここから紹介する5つのプロセスをイメージしてヒアリングを進めていきます。こちらをもとにクライアントとの関係の深さやプロジェクトにおけるヒアリングの位置付け、ヒアリングの目的などに応じてカスタマイズしていきましょう。

コンサルとしてのヒアリングのゴールを明確にする

まず、ヒアリングを通じて入手しなければならない情報を整理し、ゴールを明確にします。一口にヒアリングといっても、そのとき置かれているコンサルの状況は様々です。

プロジェクトが立ち上がる前のニーズ調査なのか、チームアップ後初めての本格的なミーティングなのか、プロジェクト途中の確認なのか、それぞれによってヒアリングの目的も変わってきます。

ヒアリングを始める前に、しばしば漠然としがちなヒアリングの目的をコンサルチームの中で明確にしておきましょう。

クライアントに自慢してもらう

いざヒアリングを始めたら、まずはクライアントが置かれている状況を整理する必要があります。そのためにはクライアントの現状を話してもらう必要があるのですが、多くの場合、自社の経営上の「悩み」や「課題」といったネガティブな情報を積極的に語ってはくれません。

そこで、まずは顧客のポジティブな情報を引き出すことが重要です。クライアントやカウンターパーティ自身の強みや功績を自慢してもらうところから始めると、スムーズに聞きたい情報を話してくれるようになるでしょう。特にリレーションがまだ浅い場合、広範な現状認識が必要な場合などは、このプロセスが重要となります。

コンサルとコンタクトを取るに至った背景を確認する

ヒアリングがおこなわれるということは、何らかの理由がありコンサルに連絡・接触をおこなっているはずです。まずは、その背景を確認します。

そこからスムーズに課題意識の話につながっていけば良いですし、現場では「シニアのものがオーダーしたが、なぜコンサルが必要かわからない」などと言われるケースも少なくありません。

背景を確認することで、カウンターパーティのコンサルに対する意識や、クライアント内での意識の差などを掴み取ることができるのです。

課題と現在対応していることを聞く

クライアントの中で課題となっていることと、それに対して今取り組んでいることを確認します。ここはヒアリング能力を最も試される部分で、前段で感じ取ったカウンターパーティの意識を踏まえて、臨機応変に対応しなければなりません。

カウンターパーティがすでに課題意識を持っている場合は、その課題意識を深掘りしつつ課題を適切かつ明確にしていく必要があります。カウンターパーティに課題意識があるからといって、油断してはいけません。課題を明確・適切なものに調整する必要があるのです。

現場でしばしば多いケースは「課題意識はなんとなくあるが漠然としている、もしくは課題設定が適切ではない」というパターン。

例えば「システム導入」がうまく進まないことに課題を感じているとヒアリングで明言されたが、よくよく聞いてみると、実は本来の課題は「業務の非効率性」で、かつその解決策は「システム対策」以外にあった、などといったケースです。

また、カウンターパーティ自身に課題意識がない場合は、ストレートなやり取りでは課題が見えてきません。現状の業務状況やプロセスなどを伺いながら、課題を引き出していく必要があります。

ゴールと、ゴール達成に向けた障害を聞く

見出した課題がどのような状態になれば解決するかを明確にします。これも課題と同様に、必ずしもクライアントが答えを持っていない可能性もあるため、ヒアリングを通じてうまく引き出していかなければなりません。

ゴールがうまく整理できたら、この時点で課題、現状の取り組み、ゴールの情報が揃っていることになります。あとは、現状の取り組みによって課題を解決する上で、どのような障害や困りごとが存在するかを整理します。ここまで整理すればコンサル側から「ゴールを達成するために障害を取り除く方法」を提案でき、プロジェクトが理想通りに進んでいくでしょう。

以上はあくまでオーソドックスなプロセスです。現実には一部の情報がすでに手に入っている場合や、逆に通り一遍なヒアリングでは全く情報が得られない場合もあるでしょう。こちらのプロセスを基本としつつ、臨機応変に対応して、うまく必要な情報を引き出すのが、コンサルの腕の見せ所です。

コンサルのヒアリングで効果的な5つの質問法

コンサルに限りませんが、ヒアリングにおいてはプロセスだけでなく、質問の仕方も重要になってきます。世界有数のコンサルファーム「マッキンゼー」の方法論をまとめた書籍「THE McKINSEY EDGE」に5つの質問法がまとめられています。具体的には次のような質問です。

「もし〜だったら」として、理想を想定した質問

現在とは異なる仮定を置く「if」の質問をすることで、クライアントの意見を引き出すことができます。例えば、「もし、業務時間が30%削減できたらどうですか?」とゴールを想起させるような質問をすることで、クライアントのゴールに対する期待値を測ることが可能。

仮説を立てつつ、ゴールを明確にした上で「ではゴールを達成するための方法を考えてみましょう」として、ディスカッションを発展させるのが理想の流れです。

「納得するためには何が必要ですか?」と尋ねる

クライアントが期待するコンサルや、コンサルプロジェクトの結末に対する期待値を明らかにすることができます。プロジェクトにおいてはゴールが見えたとしても、ゴールを達成したと納得するための「条件」を設定しなければ、具体的なアクションに移せません。

例えば「成績の悪い社員の労働生産性が向上したと納得するためには何が必要ですか?」と聞けば、残業時間や売り上げ対比でのコスト、作業ごとの作業時間など、労働生産性の向上において重視している定量数値を整理できます。

「もし〜の立場なら」と他人の立場に立たせる

「もし〜の立場なら」という質問は課題を洗い出すとき、クライアントが抱くゴールを引き出すときなど、幅広い場面で活用できます。

「もしあなたがCEOだったら、どんな改革をしますか?」と聞くと、その人が潜在的に抱いていた(が明確になっていなかった)会社の改革すべきポイント、すなわち課題を引き出すことができるでしょう。

「代替案」を尋ねる質問

「代替案」を尋ねる質問は間違った方向性を正したり、コンチプランを作成してプロジェクトの安定性を高めたりするときに活用できます。

「Aという方法を取ろうとしていますが、他にやり方はありませんか?」と聞けば、代案が出てくるかもしません。時にそれはAよりも優れている可能性だってあるでしょう。なお、こちらから選択肢を与えずに、自由に考えてもらうのがポイントです。

「次のアクション」を尋ねて「潜在的な障害」を引き出す質問

現在取り組んでいること、取り組めることと、逆に課題解決を見据えたときに、どうしても障害になることを整理するための質問です。

「社員を10%配置転換するときの障害はなんですか?」と聞いて、うまく障害を引きだせれば、共に障害を取り除くためのアクションを検討することができます。そのアクションを実現するための取り組みがコンサルプロジェクトとして成立していくのです。

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【実例】コンサル転職後も「順調にプロモーション」するための3つの挙動
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コンサルファームにおいてヒアリングは頻繁に発生するプロセスで、そもそものプロジェクトを生み出すきっかけになることもあれば、プロジェクトの課題及びゴールセッティング、進め方などあらゆる部分でかかわってきます。そのためコンサルタントとして成功するためには高いヒアリング能力が欠かせません。

今回の記事では、コンサルに必要とされる「ヒアリング」のポイントについて紹介しました。コンサルへの転職をお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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