マネジャー以上のコンサルが、フリーランスに「転身前」に身につけるべきスキル・経験

現在の待遇に満足されているマネジャー以上のコンサルタントの方も、長期的なキャリアを考える中で「成長環境」を求め、フリーランスを検討されるケースが増えています。

マネジャーは月額平均単価が高いため、フリーランスコンサルタントとしてコンスタントに成果を出した場合、ファーム在籍時よりも年収が上がる可能性があります。経費計上で可処分所得を増やすこともでき、魅力的なキャリアと言えるでしょう。

エンジニアの世界では、正社員として入社後、直ちに離職するとキャリアに傷がついてしまうため、一度フリーランスとして複数の企業のプロジェクトに携わり、理想の企業を見つけたらそこに入社するという手段を取る方もいらっしゃいます。

同様のやり方は、コンサルタントでも可能だと思いますので、短期離職のリスクを避けるためにフリーランスを選ばれるポストコンサル人材もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしフリーランスになる上では、事前に気をつけておくべき点がいくつかあります。そこで、今回は実際にコンサルティングファームから副業・兼業でフリーランスコンサルタントになり、独立された方の声も参考にしながら、マネジャー以上のコンサルが、フリーランスに転身前に身につけるべきスキル・経験をご紹介します。

【目次】

  1. 身につけるべきこと①稼働開始直後に仕事に困らないだけの人脈
  2. 身につけるべきこと②コンサル時代以上の高いマネジメントスキル
  3. 身につけるべきこと③法務・新法に関する高い感度
  4. コンサルからフリーランスへの転身に関するインタビュー

身につけるべきこと①稼働開始直後に仕事に困らないだけの人脈

ファームを退職後、案件がなく収入を得られない状況に陥らないよう、独立前から営業活動を始めておくことが不可欠です。ファーム在籍中に築いた人脈を活かして、「〇月頃にフリーランスになることを計画している。企業課題の分析や戦略策定、100人規模の組織のマネジメントができるので、困り事があればお声がけいただきたい」など、マネジャーとしてのスキルでできることを、簡単にでもアピールしておきます。単にアピールするのではなく、クライアントになり得る相手のニーズをくみ取った提案をすることが必須です。

コンサルタントの方は、一般的にファーム在籍中からつながりのあったクライアント先にジョインするケースがあります。すでにお互いの人柄やパフォーマンスについて熟知しており、信頼し合っている関係性であれば、一から関係を構築する負担がなく、独立後スムーズに実際の業務に移れるためです。

フリーランスになる場合、雇用保険や福利厚生がなくなり、不安定な働き方に変化することは避けられません。業務上の不安材料は少ないに越したことはなく、可能な限りコンサルタント時代の人脈を活かして、稼働開始直後に一から営業をかける手間を省き、収入源も確保しておくことが大切です。

注意点としては、フリーランスの案件には契約確定から実際の稼働開始まで数週間しかないケースもあるため、在籍中に契約確定した場合、慌ただしく退職の準備をすることになります。マネジャー以上の方は引き留めにあうケースが想定でき、退職が決まったとしても重要な業務を引き継ぐための十分な時間も必要です。

プロジェクトやフェーズの切れ目で退職の意思を伝えた上で、まとめて有給を消化しながらフリーランスとしての案件を確約させることが現実的でしょうか。いずれにせよクライアントに「この人のためなら、多少のスケジュール調整はしよう」と思わせられるほどの人望を備え、なるべく多くの人脈を確保しておくことが理想的と言えます。

身につけるべきこと②コンサル時代以上の高いマネジメントスキル

いくら人脈を活かした仕事ができる方でも、フリーランスとして活動していくうちに、新規のクライアントと一から関係を構築する必要が出てくることが予想されます。そうなると、プロジェクトメンバーの人柄やパフォーマンス、仕事のスタイルなどを把握できない状況で、プロジェクトを進めなければなりません。

マネジャー以上の方が独立した場合、案件にもよりますがプロジェクトの責任者として、外部の人材でありながらチーム全体、場合によっては複数チームのメンバーをまとめ上げる必要があります。各チーム・各メンバーの状況を把握するには相当な時間が必要です。コンサルタント時代よりも高いマネジメントスキルがなければ、的確な指示を出せず、プロジェクトの頓挫につながるリスクが高いです。

高いマネジメントスキルが備わっているはずのマネジャー経験者の方も、マネジメントのスタイルが大きく変化することに不安を感じられるかもしれません。特にコンサルティングファームから案件を受ける場合は、コンサルティングファームのメンバーと仕事をするため、別ファームといえどもプロジェクトの進め方などにキャッチアップできる可能性は高いですが、事業会社から案件を受ける場合は事業会社のメンバーとの接点が多くなるため、業務や事業会社特有の社内関係・職種ごとの考え方といった組織力学へのキャッチアップが追い付かない可能性があります。このように、フリーランスとして一から複雑なチームマネジメントを行うことに抵抗がある場合、事業会社へ転職してからフリーランスになる手もあります。事業会社の経営企画部や事業企画部などに所属すれば、経営層・マーケティング担当・エンジニアなど、各関係者の思惑を把握し、全体を統括するスキルが鍛えられるためです。結果的に、現場で求められるオペレーションスキルが鍛えられ、クライアントのニーズや現場の内情などへの感度が高まり、彼らに対する想像力が高まる可能性があります。

総合コンサルティングファームからITベンチャーの事業開発マネジャー職に転職後、フリーコンサルタントとなった方は、事業会社でキャリアを積んだことで「クライアントに対する想像力が高まった」とおっしゃっていました。目の前にいるクライアントの裏側には、現場で汗水流しているオペレーション担当者が大勢いることに思いを至らせられるようになり、クライアントへのリスペクトの精神も高まって、良好なコミュニケーションを取れるようになったそうです。「新規クライアントに好かれる」という大きな課題をクリアするために、事業会社で学べることは多いと言えます。

参考:コンサルが独立する上で事業会社を挟むメリットとは?【体験談】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/freeconsultantmerittoc

身につけるべきこと③法務・新法に関する高い感度

当然ではありますが、フリーランスは契約書作成や確定申告、トラブル時の対応などを、すべて自身で担うため、基本的な法律の知識が求められます。またクライアント企業の法務面の問題に関わる可能性があるため、法務について詳しくなることも重要です。

コンサルティングファームは法務部門があるため、取引時にもめ事が起こるケースはほぼなかったのではないでしょうか。しかし個人が契約する場合は、業務量・秘密保持・反社条項といった決め事を、漏れなく自らチェックして契約書を作成しなければなりません。自分の身は自分で守りつつ、クライアントに期待値以上の価値を提供するにはどうすべきか、契約のたびに慎重に考える必要があるのです。

大手コンサルティングファームでご活躍後、スタートアップへ転身し、副業・兼業でフリーコンサルタントとなった方も、敏腕でありながら独立後の法務に対する認識が抜けていて、大変苦労されたとのことでした。

また法律は生き物のようなものであり、常に改正されています。電子帳簿保存法・インボイス制度・フリーランス新法など、新しい法律には常に気を配り、最低でも基礎知識を常時インプットしていかなければなりません。

内閣官房 新しい資本主義実現会議事務局が2,119名中のフリーランスの回答をまとめた「令和4年度フリーランス実態調査結果」(p.48)によると、発注先から「納得できない行為」があったというフリーランスは「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」方が11.8%、「報酬を減額された」方が8.5%、「発注者都合の追加作業の費用が支払われなかった」方が6.3%などという割合でした。

法律の保護対象になりにくいフリーランスだからこそ、法律の知識を盾にして自衛する意識を持つことが重要です。目の前のプロジェクトに集中して法律の学びをおろそかにするのではなく、既存の法律に関する知識はもちろん、法改正にも目を光らせて学び続ける必要があります。

マネジャー以上であれば、クライアント企業へ法務面の最新知識を活かした提言ができれば、信頼の獲得につながるでしょう。

参考:フリーコンサル「初回の」単価(ギャラ)交渉・契約時における注意点
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/freeconsultantnegotiation

コンサルからフリーランスへの転身に関するインタビュー

【転職・独立事例】大手コンサルティングファームからスタートアップに参画後、兼業でフリーランスコンサルタント、そして独立のうえ法人設立へ。
これまでのキャリアチェンジの背景や意思決定のリアルに迫る
https://www.axc.ne.jp/media/career-change-case/lanceconsulting

大手日系ファームの執行役員プリンシパルから独立、ベンチャーファームを設立へ。独立に至った心境の変化や、起業準備の裏側に迫る【キャリアインタビュー】
https://www.axc.ne.jp/media/career-change-case/executivetoestablish

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今回の記事では、コンサルのマネジャー以上がフリーランスに転身前に身につけるべきスキルについてお伝えしました。キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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