コンサルマネジャーからスタートアップ・ベンチャーへの転職で活かせるスキル<創業期、成長期、安定期、メガベンチャー>

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ポストコンサルの選択肢として、スタートアップ・ベンチャーへの転職はかなりメジャーなものになってきた印象があります。
この傾向はマネジャー以上でも同様で、事業を自分の手でドライブする経験を得るのと同時に、企業運営により深く携わる機会を得やすいところが魅力的なようです。

コンサルでマネジャー以上を経験した上でスタートアップ・ベンチャーに転職する際は、いきなり部長クラス以上のポジションに就くこともあります。
マネジャー以上の経験者として、業界知見の深さや経験の多様さを武器にスタートアップ・ベンチャーへ転職を試みる方も多いかもしれません。もちろん、それらは大いに役に立ちますが、実は、スタートアップのフェーズによって求められるスキルが大きく異なることをご存じでしょうか。

今回の記事では、コンサルのマネジャー以上経験者がスタートアップ・ベンチャーに転職する場合、どのようなスキルを求められるのかを、フェーズごとに解説します。また、一言に「スタートアップ」「ベンチャー」といえども、企業のフェーズや大きさによって求められるスキルや環境は異なるので、あくまで一例としてご覧ください。

【目次】

  1. 創業期のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと①エグゼキューションスキル
  2. 成長期のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと②チームマネジメントスキル
  3. 安定期のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと③予算策定・予実分析スキル
  4. IPO後のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと④組織マネジメントスキル
  5. コンサルからスタートアップ・ベンチャーへの転職に関するインタビュー

創業期のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと①エグゼキューションスキル

いわゆるシードやアーリーなど、プロダクトやサービスの開発途上にある、あるいは小規模な展開をしているタイミングが創業期になります。アイデアや課題感に基づき、プロダクトやサービスが先行している状態で、まずはプロダクトやサービスの市場化をめがけて活動している時期です。

資金を獲得する活動も行ってはいるものの、潤沢な投資を受けているスタートアップ・ベンチャーは少なく、メンバーも少数精鋭で取り組んでいるところがほとんどです。故に、組織も組成されておらず、個がそれぞれ動いているという印象を持たれやすいかもしれません。

そのような状況下では、役職の上下関係なく、とにかく目先の業務をやり切ることが求められます。
部長職以上で参画したので部下のマネジメントだけを、という姿勢ではうまくいきません。
創業期のスタートアップ・ベンチャーにおいて、人的リソースに余裕はないためです。
自身がスタッフだった頃を思い出し、細々とした仕事を含め積極的に遂行してください。
また、さまざまな業務が次々と発生するからこそ、ポテンヒットも発生し結果的に業務が滞ってしまう場合も多々見られます。マネジャー以上の経験者こそ、自身が新米のアナリストの気持ちで全てのボールを拾う覚悟が必要です。

成長期のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと②チームマネジメントスキル

成長期のスタートアップ・ベンチャーでは、プロダクトやサービスを本格的に市場に投入するための活動が進められていきます。事業のブラッシュアップのため、あるいは市場への本格展開に向けて採用活動を行い、新たな仲間を多く迎え入れるフェーズになります。

組織体制としても、細部までしっかりとした定義がされるには時期尚早ですが、企業運営に必要な部門が組成され、各部門の役割や業務がある程度明確化されるタイミングです。部門内でも、人数の増加に伴い、改めてチーム作りが行われ、各人の業務を整理しなおすスタートアップも多いでしょう。
この時期にCHROなど人事専門の役職が設置され、部門横断的な施策が展開されることもあります。ただし、事業部の特異的な事情を鑑みた取り組みや、日常的なチーム運営は、各部門の部長職以上に裁量を委ねられるところです。

この段階で求められてくるのは、チームメンバーをマネジメントするスキルです。組織をマネジメントするというよりは、部門内のチームレベルでのマネジメントです。チームの生産性を最大化するためには、チームメンバーのマネジメントが必須です。まだ社員数と業務量の兼ね合いから、一人一人の希望を全てかなえた配置や業務の割り振りは難しい状況ですが、メンバーの働きやすさを最大限にまで高めていきましょう。ここでの環境づくりは、スタートアップ・ベンチャーのカルチャー醸成にも大きな影響を与えますし、後続のIPOに向けても重要です。
マネジャー以上を経験している方は、プロマネとしてチームマネジメントの経験がありますし、場合によってはユニットのタレント育成に関与した方もいらっしゃるかもしれません。それらの経験・スキルが活きてくるのがこのタイミングです。

安定期のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと③予算策定・予実分析スキル

安定期とはIPOが近づいてきており、業績もある程度安定的に見通せる状況です。会社の中心に位置する事業運営と並行して、業務や組織などの管理体制を整備していく段階になります。

この段階で求められることは、予算策定・予実分析スキルです。
IPOの成否を分けるファクターの一つとして、安定した業績や、今後の成長可能性の提示があります。
当たり前ですが、革新的なプロダクトを保有していたとしても、業績が乱高下していては市場からの信頼は得られません。自社が立てた予算計画に対し大幅なズレが生じていた場合も、立てた計画を遂行できない姿勢・体制は市場の不信感につながります。

そこで、「市場の状況や自社リソースを踏まえて実現可能性の高い予算案を策定する」「期中で大幅なズレが生じた場合に、そのズレを分析して軌道修正のための施策を打ち出せる」といったスキルが求められます。経営コンサルタント経験者には、さまざまなプロジェクト経験を経てそのスキルがあると考えているスタートアップ・ベンチャーは多くあります。経営管理、ポートフォリオ分析に関連するプロジェクトに参画する機会があれば、ぜひ経験を積んでいただければと思います。経営管理系が未経験のマネジャー以上の場合、プロマネとして参画するのは多少のリスクにもなりますので、自社や自ユニットの予算管理策定プロセスに参加し、要諦をつかんでおくのもおすすめです。

安定期になると、CFOが設置されて事業横断で予算策定、予実管理を実行する体制を整えるスタートアップ・ベンチャーもあります。ただ、CFOが判断材料とする情報は各事業から提出される分析結果になりますので、全社の経営管理のためにも自事業の業績を継続的に分析できる仕組みは整えておきましょう。

IPO後のスタートアップ転職のために身につけておくべきこと④組織マネジメントスキル

IPOが完了すると企業の知名度や信用度も上がり、上場により資金が確保できることから、多少安定的な経営が期待できます。
スタートアップは既存事業の強化の他、新たな収益源を模索して組織体制の整備や採用活動を加速させます。組織改編が行われたり、新たな仲間が多数加わったりと、環境がリフレッシュされると感じることもあるかもしれません。

ここまでくると、「とにかくエグゼキュージョンするという」環境ではなく、「ヒト」「モノ」「カネ」がある程度そろった状態で、どのような事業展開していくかという戦略が重視されることから、CSO(Chief Strategy Officer)のように経営戦略に特化されたポジションが設置され、コンサル時代に培った「論点整理」や「市場環境把握~事業立案」といった戦略的なスキルが入社後に生きる状況になるようです。
「M&A戦略の立案・実行~PMI」「事業投資(マイノリティー出資)の締結支援」といったM&Aに関するスキルも社内に必要になることから、この領域に専門性を持つコンサルタントはこの時期のスタートアップに入社するとスキルの横移動がしやすいと言えます。

また、たとえば、組織マネジメントを例にすると、これまでは、小規模なチームが複数組成され、職務ランクも少ない状況でした。ですが、ここからは、新たな組織が構成される、人事制度が充実して明確なランクが生じるなどある意味大企業のような制度を取り入れていくようになります。
そして、事業を鑑みた時に、
・どのような組織が必要か?
・メンバーの働きやすさやモチベーションを向上させるためにはどのような施策が望ましいか?
という、大上段に立って組織のあるべき姿を議論・整理する必要が生まれます。実際に、「グループ組織再編の方針検討」といった経営視点での組織再編に関するスキル・経験が問われるようになります。この領域は組織人事コンサル経験者の得意技でしょうか。マネジャー以上の経験者であれば、かつてプロジェクトで相対してきた経営陣がどのような視座で何を論点としているかを理解しているはずです。そのような経験値を活かすことで、会社経営のさらなる成長を後押しできます。

また、マネジャー以上の経験者であれば、構想の議論に加え、実際にその制度に従ってメンバーをケアすることも求められます。多くのマネジャー以上の経験者は、自社あるいは自組織内でプロジェクトメンバーや新入社メンバーのケアをしてきたはずです。マクロ・ミクロ両方の視点を活用したより良い組織作りができるでしょうか。

コンサルからスタートアップ・ベンチャーへの転職に関するインタビュー

弊社では過去にコンサルからベンチャー・スタートアップに転職された方々のインタビューを行ってきました。ぜひご自身のキャリアの参考にしてみてください。

株式会社アカツキ 事業企画部門Think@ (シンカ)山村龍太様インタビュー/元戦略コンサルタントから見た「ゲームビジネスの魅力」とは?
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/akatsuki_thinka

株式会社メドレー インタビュー/コンサル出身の役員が率いるコーポレートITの特徴と、求める人物像に迫る
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/medley_corporateit

大手コンサルファームからビザスクへ入社後、チームリーダーへ昇格。元コンサルが同社で活躍できる理由とは?
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/visasq_interview

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スタートアップ・ベンチャーへの転職を目指す場合、その会社がどのフェーズにあるのかによって、求められるスキルが大きく変わります。業務やポジションなどの確認はもちろんですが、会社のフェーズについてもご自身の志向に沿っているかを確認してください。

多くの方がイメージする高度な業界知識や業務経験というのは、会社のフェーズによらず必要なスキルですが、特にIPO以前のフェーズにあるスタートアップ・ベンチャーの場合、細々とした仕事も含め多大な業務が目の前にあります。その目先の業務を自身で、あるいはチームでいかに効率的に、着実に遂行できるか、ある種「地味な」スキルが重要視されます。
自身が保有するスキルを正しく分析できていたとしても、イメージと入社後に求められるスキルのギャップが大きいと、双方に不満が生じ退職などのトラブルが発生しかねません。

スタートアップ・ベンチャーへの転職をお考えの方は、企業とのカジュアル面談を行う、その企業をよく知る転職エージェントを活用するなどして、求人票からは得られないリアルな情報を手に入れ、ギャップのない転職を目指してください。

今回の記事では、コンサルのマネジャー以上経験者がスタートアップ・ベンチャーに転職する場合、どのようなスキルを求められるのかについて、フェーズごとにお伝えしました。キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

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