コンサルタントが「高級派遣化」しないためにマネージャーがすべきこと

コンサルタントはクライアントにとって対等な良きパートナーとなり、課題解決・施策立案・実行の支援を行うことがミッションです。一方で耳にすることがあるのが「コンサルタントは高級派遣」という話です。「コンサルタントが派遣業?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。

では、コンサルタントの高級派遣化とはどういうことなのでしょうか。一方で、高級派遣化せずにコンサルタントとしてのミッションを果たさせるために、プロジェクトチームのマネージャーはどのようなことをすべきなのでしょうか。今回の記事では、主なポイントをご紹介します。

【目次】

  1. コンサルタントの高級派遣化とは
  2. コンサルタントの高級派遣化を避ける方法①先見性
  3. コンサルタントの高級派遣化を避ける方法②積極性
  4. コンサルタントの高級派遣化を避ける方法③知的生産性
  5. コンサルタントの高級派遣化を避ける方法④メンバー管理

コンサルタントの高級派遣化とは

まず、コンサルタントの高級派遣化とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
それは、いわゆる一般的な派遣社員と同様の働き方をすること(結果的にそうなってしまうこと)を指します。
具体的には、法律や契約形態に基づく様々なものが関与してくるのですが、ポイントとなるのは、派遣契約とは「派遣会社から紹介された人材と派遣先企業が直接契約を結ぶ」ため、派遣先企業に管理・監督責任が発生することです。そのためコンサルタントは、派遣先企業からの指示・命令に従い、派遣先の社員同様に作業を行います

一方、コンサルタントとしてのあるべき働き方は、主には業務委託契約ですので、支援対象となる業務を完遂し納品することを指します(準委任契約の場合等、成果物の定めが明示されていないケースもあります)。そのため、派遣先企業からの指示・命令・管理は基本的には受けません(厳密に言うと派遣先企業は行うことができません)。
これらの前提のもと、コンサルタントが派遣社員と同様の働き方をするということは、クライアントからの指示を待ち、指示通りに作業を行い、タスクを完了する動きを取ることです。クライアントが勤怠管理等までは行わないものの、受け身の姿勢となり、クライアントの御用聞きとなって作業を行う工数提供スタイルとなってしまっている状態とも言えます。
クライアントは高い金額を支払い、御用聞きのようなサービスを求めているわけではありません。このような「高級派遣化状態」となってしまうことを避け、冒頭に記載している通りクライアントと対等な良きパートナーとなり、課題解決・施策立案・実行の支援を行うというミッションを達成するべきです。ではマネージャーはどのようなことを意識し、メンバーに働きかけていくべきなのでしょうか。

ここからはコンサルタントがミッションを果たすために、マネージャーが重視すべき点は何か、主なポイントをご紹介します。

コンサルタントの高級派遣化を避ける方法①先見性

プロジェクトのゴールの達成(業務の完遂と納品)に向けて、プロジェクトとして何を、いつまでに、どのように遂行していくべきなのかを検討し、プロジェクトチーム内およびステークホルダーとすり合わせる必要があります。これをクライアント主導で行うのではなく、コンサルタントがリードすることによって付加価値を提供します。
たとえ、その流れがクライアント主導だとしても、言われたことを理解する/実行するのに留まらず、建設的なインサイトを提供します。
そのためには、マネージャー自らがプロジェクトのゴールイメージを事前に検討し、クライアントとの想定問答をして、議論の落としどころを思い描いておく必要があります。すなわち、プロジェクトの先行きを見通すための先見性が必要です。この先見性の有無が、プロジェクトが誤った方向へ進まないようにするための防波堤にもなります。
先見性を得るためには、マネージャー自身の経験値が必要となりますし、たとえ自分の経験でなくとも様々な事例を知っていること、そして、知らなくても自ら考えられること、いわば仮説思考がとても大切です。
それらをフル稼働させ、クライアント・自社のプロジェクトチームを目指す方向へ正しく進められるよう導いていくことが、マネージャーのすべきことです。

コンサルタントの高級派遣化を避ける方法②積極性

先見性を活かし、プロジェクトの進むべき方向性を見出せたなら、次は実行に移していきます。その際に求められるのは積極性です。クライアントが気付いて実行するよりも先に、コンサルタントが提言して実行に移していくことが、プロジェクトのスピード感に繋がり、クライアントの満足度向上にも繋がります
足元で必要なアクションを定義し、クライアントとの議論をリードし、議論した結果を資料等にまとめて可視化していきます。
これらのサイクルをプロジェクトデリバリー中は回していき、常にアクション実行面においてもクライアントの先回りをします。マネージャー自身がそうすることも大切ですし、アクション実行面となれば、そのようにプロジェクトチームが動けるようにメンバーへの期待値の伝達・指示出しを行うことがより大切です。

コンサルタントの高級派遣化を避ける方法③知的生産性

上段にて一部触れましたが、コンサルタントがコンサルタントたる所以は、思考・知識の広さと深さにあります。プロジェクトのゴール達成に向けたインサイトをいかに鋭く尖らせ、クライアントへ提供し、議論を建設的なものに仕上げるかが勝負所となります。スピード感を持って積極的に物事を進めていくことで評価をいただけることがありますが、実施している内容が単なる作業であれば、派遣社員の延長線上に留まっているとも言われかねません。クライアントでは考えることが難しいアイディアを捻りだすことが付加価値の提供となります。
そのためにまずは、マネージャーやプロジェクトメンバーの思考/知見をフル活用できるように導きます。プロジェクトチーム内でのブレスト・議論を重ねていくことが必要ですが、その際、マネージャーが適切な論点を設定し、深掘りしていき、その解がクライアントにとって効果がありそうか/実現性がありそうか等を確かめていきます。それらが可能となるよう、日々様々な事柄をインプットし、思考を重ねていくことが大切です。
また、プロジェクトチーム外でも付加価値提供のために必要なことは積極的に行います。例えば、情報収集について、単なるデスクトップリサーチに留まらず、有識者インタビューやアンケートを設計~実行まで行い一次情報を取得することや、本社機能を活かして過去プロジェクトからの学びを提供すること、社内の該当分野のエキスパートを議論に呼ぶこと等、様々な方法を取ることができます。情報を得た後はそれをどのように料理し、クライアントへ提供するのか、すなわち論理的思考を働かせ、情報の整理・構造化を行い、仮説を構築し、仮説の確からしさを検証します。(上記の1つめのチーム内でのブレスト・議論のプロセスに戻ります)
その時々で何が必要か、どうすれば価値のあるインサイト提供ができるかを考え、設計し、メンバーとともに実行に移していくことがマネージャーの大切な仕事です。

コンサルタントの高級派遣化を避ける方法④メンバー管理

プロジェクトメンバーの積極性や知的生産性を担保/向上させるためには、マネージャーのメンバー管理が欠かせません。派遣社員であれば、派遣先企業(クライアント)による管理・監督が必要となりますが、コンサルタントはマネージャーがメンバー管理を行います。
その管理とは、プロジェクトメンバーの作業進捗・品質はもちろん、モチベーション、リソース管理等が対象となります。
作業進捗・品質について、まずはプロジェクトメンバー1人1人の特性を把握することが必要です。各メンバーの習熟度を理解し、それに見合った作業分担・管理を行います。毎日もしくは午前・午後等で小まめな管理が必要な段階のメンバーもいれば、各作業の大切なポイント(マイルストン)のみでレビューするだけでよいメンバーもいます。一律マイクロマネジメントではマネージャー自身も疲弊しますし、メンバーの中にはそれがストレスとなってしまう人もいます。各メンバーに適した管理方法を考えて実行していくことが大切です。
作業進捗・品質管理に加え、メンバーがいかにモチベーション高くアクションを取ってくれるかもマネージャーに依る部分が大きいです。メンバーがプロジェクトを通じて得られる経験・学び、最終的に達成できる目的・目標を明確化することからスタートし、日々のプロジェクトデリバリーの中で、それらに照らし合わせてフィードバックしていくことが重要なポイントの1つです。そこまでしっかりケアができれば、プロジェクトの付加価値を高められる可能性が高まります。
そしてリソース管理について、プロジェクトに必要な工数設計を最初に行い、デリバリー中も都度見直し、クライアントと協議することが大切です。また工数のみならず、メンバーのパフォーマンスがあまり高くなく、クライアントからの評価も芳しくない場合にはメンバー交代等も調整する必要があります。プロジェクトの価値が最大化できるリソースのアサイメントはマネージャーが常日頃から気を配り、考えていくべき大切なものです。

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コンサルタントが高級派遣化しないためには、コンサルタントたる所以を理解しミッション達成のために必要な検討・行動を取っていくことが肝要です。派遣社員ではなくコンサルタントが雇われた背景・目的を理解し、付加価値を提供していくことが高級派遣化を避ける道です。

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