コンサルタントとしてのキャリアに興味を持ったり、転職を考えたりすると、転職先としてコンサルティングファームが人気であることやその競争率の高さを実感するでしょう。
なぜこんなに人気なのか、他の人は何を期待して転職するのかが気になる、あるいは期待していることが実現されるか不安に感じる方もいるかと思います。
この記事では、
「コンサルティングファームが転職先として人気な理由・背景は?」
「実際に転職した後にメリットを享受できるのか? ミスマッチを感じる場合とは?」
といった疑問に答えていきます。
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戦略系コンサルティングファーム
総合系コンサルティングファーム
未経験から大手総合コンサルティングファームへの転職に成功。その後コンサルティングファームへの転職とポストコンサルの転職を支援するエージェントで勤務した経験を持つ筆者が、コンサル人気のその理由と魅力、実際にメリットを得られるかなどを紹介・解説します。
【目次】
- コンサルが人気な理由、転職先としての魅力
- 人気なコンサル業界への転職を成功させるために 志望理由の代表例
- コンサルは人気だが実際に志望者が期待する通りのメリットを得られるのか
- 人気のコンサル転職の注意点、コンサル志望者が転職後に仕事でミスマッチを感じるケース
コンサルが人気な理由、転職先としての魅力
コンサルティングファームが転職先として人気である理由と、コンサルタントという仕事の魅力やメリット、あわせてコンサルタントという仕事・キャリアが人気になる社会的な背景や実情を説明します。
コンサルタントを経験することで得られるキャリア面の魅力
人気の理由①ポータブル(汎用的な)スキルの向上
コンサルタントを経験することで得られるスキルは数多く、他の業種であっても即戦力として活躍できるポータブルスキルを身に着けられることが、コンサル人気の理由の1つ目です。
ポータブルスキルとは、業界や職務内容にかかわらず、汎用的に活かせる能力のことをさします。
コンサル経験者に期待される代表的なポータブルスキルは、課題解決力・法人折衝力・プロジェクトマネジメント能力があげられます。
人気の理由②若手から実現できる高年収
企業・種類・企業の規模によりかなり差はあるものの、一般的にコンサルタントは高年収と言えることが、コンサル人気の理由の2つ目です。
中途採用として転職する場合、20代から1,000万円プレーヤーになれると言われており、一般的な給与基準よりかなり高い年収が期待できます。
人気の理由③コンサルを経験することで自分の市場価値が上がる
コンサル人気の理由の3つ目は、コンサルティングファームを経験することでご自身の市場価値を上げられることです。
クライアント企業の様々な経営課題に対し、プロジェクトマネジメントをしながら解決策を提案・実施する経験を通して、前述したポータブルスキルが身に着き、市場価値が上がることが期待できます。
市場価値が上がれば、転職を考えた場合に幅広い選択肢からキャリアを選べる結果、1つの企業に依存しない生き方が可能になり、かつ年収を下げずに転職できるのが魅力と言えます。
人気の理由④経営に関わるやりがいのある仕事
コンサルタント業務はクライアント企業の経営課題を解決することであるため、そのインパクトの大きさややりがいを魅力だと感じることがコンサル人気の理由の4つ目です。
クライアント企業の経営層と密に対話をしながら課題を特定しつつ、決まった解決策にとらわれず、クライアントが真に必要とする打開策を提示できます。特定のサービスの営業や導入支援のみを通じてのクライアント支援で歯がゆい思いをしている方には、特に魅力的に映るでしょう。
また最終的に経営課題や業績の改善ができた場合、クライアントから感謝されることで達成感を得られるのはもちろん、契約更新やご自身の昇進に繋がることも期待できます。
人気の理由⑤優秀なメンバーと働くことができる
優秀な上司や同僚に囲まれて働くことで、自己成長につなげられる、刺激がもらえる、といった恵まれた環境が、5つ目のコンサル人気の理由です。
プロジェクトに入ると、メンバーとかなり密度高く業務をすることになり、毎日のようにプロジェクトの上司・先輩から指示やフィードバックを受けながら行動するため、多くの成長機会を期待できます。
コンサルが人気となる社会的な背景や実情
安心の定義が「企業に依存せず、どの業界・企業でも活躍できる汎用スキルの向上」に変化したこと
「大企業に就職できれば安定・安心」という価値観から、リーマン・ショックやリストラ、就職氷河期などを経て、「特定の企業でのみ重宝されるスキルでは潰しが効かず、企業に依存した状態では不安。どんな業界・企業であっても活躍できる汎用的なスキルがあれば安心」といった価値観にシフトしたために、コンサルタントという仕事が魅力ある選択肢になっています。
若いうちに早く成長できる環境でスキルを身に着けておきたい、と考える方が増えるのも自然なことだと言えるでしょう。
コンサルで修業をし、やりたいことや、ゆとりのある生活のステップにしたいという若手の価値観
上記の通り若いうちにコンサルティングファームでスキルを身に着け、その先のやりたいことの実現や、FIREと呼ばれる早期退職のステップにしたいというコンサル転職志望者を、筆者は何人も見てきました。
長期間にわたりコンサルティングファームで働くつもりはなく、ある程度独立できる能力を身に着けてから、起業したり、実現したいテーマの事業に参画したり、早期に資産を築いて退職し、ゆとりのある生活を送ったりすることを目標に、コンサルティングファームを志望される方が一定数います。
総合コンサルティングファームを中心とした採用拡大
コンサルティングファームで働きたい方が増えているだけではなく、働き手への需要が増えていることも、コンサルティングの人気に火が付いた理由です。
特にアクセンチュアをはじめとする総合コンサルティングファームは、経営戦略の立案から、その実行支援のためにITシステム導入・業務変革・組織変革などまで実施し、クライアント企業に常駐することも多いため、人手が必要で採用人数が大幅に増加しました。
近年最先端のテクノロジーやDXを導入したい企業からの依頼が増えており、コンサル未経験者についても大規模に採用をしてきています。
人気なコンサル業界への転職を成功させるために 志望理由の代表例
クライアントの経営課題の解決に貢献したい
頻繁に聞くコンサルタントを志望する理由は、クライアントに対して経営課題の解決という価値を提供し、その成長や利益に貢献したい、というものです。
またそのようなインパクトのある仕事によって、やりがいを感じたいという理由も含まれます。
会社に依存せずに問題解決や戦略に関するスキルを身に着け、キャリアの選択肢を増やしたい
コンサルタントを経験することで、企業の課題について、戦略的なアプローチを取り、解決策を考えられる能力や、プロジェクトマネジメントのスキルなど、会社や業界を選ばずに活かすことができるポータブルスキルを身に着けることができます。
これらのスキルを身につけ、興味のある業界への転職・他のコンサルティングファームへの転職・起業など、様々なキャリアの選択を可能にしたいというのが、多くの人が考える志望理由です。
成長できる環境に身をおきたい
優秀な同僚と切磋琢磨したり、急速に変化するビジネス環境の中で経営課題を抱えるクライアントに対し柔軟かつ効果的な支援を行う能力を身に着けたりと、コンサルティングファームで働くことで得られる成長を目的に志願する方もとても多くいます。
コンサルは人気だが実際に志望者が期待する通りのメリットを得られるのか
ポータブルスキルの向上ができ、転職や独立に必要な能力の基礎が身に着けられる
コンサルに期待されるスキルですが、実際に身に着けることができるポータブルスキルは多くあります。
具体的には、課題解決力・やりきる力・法人折衝力・プロジェクトマネジメント能力・資料作成能力などです。
特にコンサルタントならではの強みである課題解決力とやりきる力について補足します。
コンサルタントの仕事はクライアントの経営課題を分析し、対応策を導き、解決によってクライアントの利益や企業価値を増加させることです。
その過程で、クライアントのディスカッションパートナーとなり、経営課題が何かを特定して解決策を考え、その実行までサポートすることが求められます。
また解決策の実施の際には、若手であってもクライアント企業に入り込み、現場の人々などとも関係を構築しながら、成果につなげなければなりません。
かつそれらのタスクには期限が決まっているため、様々な人を巻き込みながら必死になって期限内に成果を出すという修羅場体験や姿勢は、なかなか事業会社で身に着くものではありません。
一方で、入社すれば自動的に成長ができるということではないのも事実です。
場合によっては、自分の過去の経験やスキルをリセットし、クライアントへの価値を出すため、スピード感を持って成長することが求められます。
新しい技術や業界トレンドを先駆けて学び、クライアントに最適な解決策を提供できるよう、継続的な努力が必要となります。
20代から1,000万円越えなど高収入が可能だが、相応の努力・労働が必要
給与に関しては、種類や企業によってかなり差がありますが、ほとんどの場合は平均給与よりかなり高額な報酬を得ることが可能です。
例えば、20代後半~30代で中途入社する方が就くことが多いコンサルタントという役職の場合、700万円~1,300万円程度を見込むことができます。
かつ20代であってもマネージャーや専門性の高いポジションに就くことができるため、年収が1,000万円を超えるケースもよくあります。
第二新卒や若手の場合にはアナリストという役職になりますが、それでも500~800万円ほどの年収が見込め、一般的な同世代の年収と比べると、恵まれた給与と言えます。
戦略系やM&Aのコンサルティングファームだと年収がさらに高くなったり、まだ設立して間もない小規模のコンサルティングファームだと逆に年収が低かったりと、企業によってかなり差があります。
個人の経験によって提示される役職が異なるため、上記はあくまでも目安としてご覧になっていただき、詳細を知りたい場合は、企業別・役職別の年収を調べるのがおすすめです。
また、年収が高い裏返しではありますが、クライアントや期限のプレッシャーがあり、正解がなく難易度の高い課題に取り組む姿勢が求められます。絶えまない努力・課題解決へのコミットメント・相応の覚悟が必要です。
即戦力として市場価値を上げられ、大企業からベンチャーなど様々な転職の選択肢ができる
以前は転職先に苦労するイメージのコンサル経験者でしたが、現在はその能力の高さや活躍が広く知られるようになり、即戦力として労働市場から評価され、事業会社・スタートアップ・同業の他コンサルティングファームなど幅広いキャリアパスを選ぶことができます。
前述したコンサル経験者のポータブルスキルを期待されて即戦力採用になるため、スタートアップを含む事業会社への転職の場合は、管理職や人によっては経営層に採用されることも増えています。
また同業種である別のコンサルティングファームや、投資ファンドといった転職も可能で、経験によっては年収を上げて転職することもできます。
人気のコンサル転職の注意点、コンサル志望者が転職後に仕事でミスマッチを感じるケース
メリットの多いコンサル転職ですが、期待値が高い分、実際に入社するとミスマッチや期待とのギャップを感じる場合もあります。
コンサル転職を検討する際には、志望するコンサルティングファームについて可能な限り情報収集を行い、機会があれば社員・元従業員にヒアリングを行い、企業や業界について理解を深めることが大切です。
ミスマッチが起こる場合の詳細を説明していきます。
過去の成功体験などをリセットできず、コンサルタントとしての成長が遅い
前述した通り、コンサルティングファームへの転職は成長が期待できる一方で、入社すれば自動的に成長できるわけではありません。
新しい技術や業界トレンドを先駆けて学び、クライアントに最適な解決策を提供できるよう、継続的な努力が必要となります。
特にマネージャー以上のポジションで入社した場合、プロジェクトメンバーのフォローをしながら、何とか期限までにクライアントの期待に応えられる成果物・価値を作り上げることが求められます。
そのため期待されているスピード感で成長できなかった場合、あまりプロジェクトにアサインされなくなるなど、居心地の悪さやミスマッチを感じると思います。
激務やプレッシャーに耐えられない
コンサルタントとしてプロジェクトに入ると、各タスクの締め切りが厳しく、時には高い難易度のものを短期間で仕上げるため、長時間の労働が必要になることもあります。
特に未経験でコンサルタントになった場合、短時間で質の高いアウトプットを作ることは難しく、質を量でカバーするため仕事最優先にせざるを得ない期間が一定発生します。
自分自身のライフスタイルに合わない場合、ストレスを感じたり、耐えられないと感じたりする可能性があります。
対人コミュニケーション能力が求められる
コンサルタントとして成功するには、クライアントの信頼を得て、プロジェクトやチームメンバーと関係構築できることがかなり重要となります。
クライアントの期待に応えることはもちろん、プロジェクトメンバーともかなり長時間・頻繁にコミュニケーションを取ることも大切です。したがって、黙々と課題への対応することを期待していて、対人コミュニケーションに苦手意識があったり、ストレスを感じたりする場合は、ミスマッチとなる可能性があります。
希望していたテーマと異なる案件へアサインされるという「理想と実態」のギャップ
コンサルティングのプロジェクトのテーマや業務は多岐にわたり、またクライアントからの依頼もトレンドによって変化があるため、求人情報や面接時の説明と異なるテーマのプロジェクトにアサインされることが多々あります。
筆者も採用時には、組織変革や制度設計の案件に取り組める可能性が高いと聞いていましたが、実際に入社すると人事関連のシステム導入に1年ほどアサインされたことがありました。
実際の業務が期待と異なる場合、ミスマッチを感じる可能性があります。
従事したいプロジェクトやテーマが明確な場合は、そのテーマのプロジェクトを多く担当するコンサルティングファームや、特化型のコンサルティングファームを選んで、期待とのギャップが生じるリスクを減らしましょう。
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