コンサルタントのなり方となるために必要な資格・能力などを解説

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コンサルタントになりたい・転職したいと考えるようになると、まず気になるのが「どのようにコンサルになれるのか」というコンサルタントへのなり方だと思います。
実力主義で狭き門と言われるコンサルティングファームに、未経験で転職することを目指す場合、
「コンサルタントになるために必要な能力・スキルは何か?」
「それらの能力を、どのように身に着けることができるのか? どう対策すればいいのか?」
「具体的なコンサル採用のプロセスはどのようなものか?」
といった疑問を抱くのではないでしょうか。

自らも未経験から大手総合コンサルティングファームへ転職。その後、コンサルティングファームへの転職とポストコンサルの転職を支援するエージェントで勤務した経験を持つ筆者が、コンサルタントへのなり方を解説します。

【目次】

  1. 前提:コンサルタントの種類
  2. コンサルタントになるために必要な能力・スキルセットや有効な資格
  3. コンサルタントになるために必要な転職対策
  4. コンサルタント採用のプロセス

前提:コンサルタントの種類

ひとことでコンサルタントと言っても、世の中には様々なコンサルタントが存在します。
本記事で対象とするコンサルタントは、コンサルティングファームという企業に所属しながら、企業の経営課題の明確化と、その解決のための対策や戦略を提案・実行することで、企業の成長や成功を支援するプロを指します。
そのコンサルティングファームの種類によって、戦略・IT・組織人事・財務会計など専門領域や扱うソリューションの種類が異なります。

コンサルタントになるために必要な能力・スキルセットや有効な資格

全コンサルタントに必要な3つの基礎能力・スキルセット

コンサルタントの未経験採用を行う場合、各社はそれぞれの志望者のコンサルタントとしてのポテンシャルを見て採用します。
コンサルタントの業務は、クライアントの経営課題の解決を通じて収益・企業価値の向上に貢献することですので、そのために必要な能力の素養があるかを、経歴・適性試験・面接などで確認をしていきます。
コンサルタントの種類によっては、業界知識・資格・経験などが必要な場合もありますが、多くの場合は下記3つのポテンシャルを重要視されます。

クリティカルシンキング能力

コンサルタントの業務フローは、顧客から課題のヒアリングを行い、課題やその解決策の仮説を立て提案し、同意された解決策を実行することです。
特に戦略系コンサルティングファームにおいては、業界や領域を特定せず問題解決を行うため、問題解決の専門家としての素養が必要になります。
例えば、50年後のクライアント業界のビジネス環境がどのように変化しており、その対応のためにどのような長期戦略や事業転換を検討すべきか、など答えがなく抽象度の高い問いに対して、検討すべき論点を整理し、仮説を立て、リサーチをし、クライアントが望む形でアウトプットを出すことが求められます。
クリティカルシンキングは、その全ての過程で必要とされる最も重要なコンサルタントの基本スキルです。

コミュニケーション能力

上記で述べた業務フローを遂行する中でポイントになってくるのが、コミュニケーションスキルです。
顧客との信頼関係を築き、クライアントの立場・心境まで理解した上で、本質的な経営課題についてヒアリングができるか、対話を通して課題に関する具体的な事象や課題解決につながるエッセンスを集めることができるかによって、最終的なアウトプット・提案する打ち手の質に大きな影響が出ます。
また作成したアウトプットを、クライアントが納得する形で伝えることができるか、時にはクライアントにとって耳が痛い話を、いかに気分を害さずに伝えることができるかなど、クライアントも人間であるからこそ、その心情に配慮したコミュニケーションが必要とされます。
このコンサルタントの言うことなら聞いてみよう、とクライアントに思ってもらえるようなコミュニケーション能力や人間性も、コンサルタントには必要なのです。
またプロジェクトによってはクライアント先に常駐するため、クライアントとの良好な関係性を作れることも重要です。

周囲を巻き込み期限までにやり切る力

最近のコンサルティングファームの多くは、戦略の提案だけでなく実行支援まで踏み込んだ施策を行い、クライアントへ具体的な成果をもたらすことを重視しています。
そのため、コンサルタントになると、クライアントや社内関連部署、場合によってはそれ以外のステークホルダーまで巻き込み、施策推進やプロジェクトマネジメントを行う場合が多々あります。
細かくタスクを区切り、そのほとんどに期限が設定されるため、その期限内に成果物を完成させる必要があります。
近年ではグリットと言われるような、困難があってもやり切る力が、コンサルタントの素養として評価されやすいです。

コンサルタントの種類別の必要な能力・スキルセット

戦略コンサルタントに必要な能力・スキルセット

前述のとおり、戦略系のコンサルタントは、業界やサービスを特定せずに戦略策定・課題解決を行うことを期待され、特に基礎能力・ポテンシャルが重要です。
中にはクリティカルシンキングややり切る力の象徴として、厳しく学歴の基準を設けている企業や、英語力があることを必須条件としている企業もあります。
ポテンシャル以外に評価される過去の業務経験としては、社内外の経営層に提案をしたり、経営の一部機能を担ったりといった、経営層の近くで仕事をした経験が挙げられます。
加えて、中小企業診断士・MBA・公認会計士・税理士の資格がプラスになる可能性はありますが、資格を理由に採用されることはありません。

ITコンサルタントに必要な能力・スキルセット

ITコンサルタントの業務は、クライアントが抱える経営課題をITによって解決することです。
そのため、ITや個別のサービスを通して「何ができて、何ができないのか」「どのくらいの費用や日数がかかるのか」「どのようなケースには有効でどのようなケースでは機能しにくいのか」「どのようなハードルやリスクがあるのか」などを理解していることと、IT技術に関する広範囲な知識が必要で、かつクライアントにフィットするものを提案できる能力が必要とされます。
また、提案したITシステム導入後に、どのような流れで構築されていくのか、要件定義から開発、運用に至るまでの工程とそれぞれでのポイントを理解していることも求められます。
ITに関する知識を証明するための資格は複数あるため、未経験の場合は資格を取得することも有効です。
代表的な「ITストラテジスト」は、企業の経営戦略に合わせてITシステムを使用するための知識を体系的に学ぶことができます。

組織・人事コンサルタントに必要な能力・スキルセット

組織・人事コンサルタントの業務は幅が広く、制度設計や人材育成と言ったソリューションに留まらず、企業のパーパス策定・組織風土改革など、顧客の経営課題に応じて幅広く対応します。
そのため前述した基礎能力・ポテンシャルが重要視されますが、特にコミュニケーション力が重視される場合が多くあります。
人と組織に関するセンシティブな経営課題に関して、経営層から現場レベルの方まで、様々なレイヤーの方と信頼関係を作った上で、本音をヒアリングできるかがその後の施策に関わってくることもあるためです。
必要な資格は特にありませんが、何かしらの人事業務に携わった経験があるとクライアントの抱える課題を解像度高く理解できるでしょう。

財務・会計コンサルタントに必要な能力・スキルセット

財務・会計コンサルタントの仕事内容は、名前の通りですが、財務・会計分野の知識を活用しクライアントの経営課題解決のサポートを行うことです。
財務分野の業務としては、クライアントの財務状況改善・成長投資の提案が挙げられます。
その中にはM&A・資金調達に関する提言だけでなく、業務プロセスの改善・投資戦略の立案と言ったものも含まれます。
会計分野の業務は、会計業務の最適化や法令への適合対応に関するサポートなどです。
会計処理のプロセスにおけるコスト・業務などの削減を通じて収益改善につなげることが中心ですが、会計業務に関する法令の改正などを把握し、適応していくためのサポートをすることもあります。

専門知識の取得に役立つ、あるいは知識を証明する資格として、3つの資格をおすすめします。

  ・公認会計士・税理士
  ・中小企業診断士
  ・経営財務コンサルティング

ただし業務の特性上、何よりも専門領域に関する知識・経験があることが求められます。

中小企業支援のコンサルタントに必要な能力・スキルセット

中小企業支援を行う国内独立系とも言われるコンサルティングファームでは、中小企業に関するあらゆる経営課題、例えば経営そのもの、業務フローや営業フロー、人事や組織改革、マーケティング、物流や製造などの幅広いテーマに対し、コンサルティングを行います。
近年では、企業のグローバル進出に関する支援なども行っています。
その他のファームと異なり、チームを構成せずに個々のコンサルタントが複数のクライアントを担当し、かつ幅広いコンサルティングを行うことが求められます。
経営層のパートナーとして、様々な分野・業務の御用聞きをする場面も多いため、特定の領域の専門性というよりは、総合的な知見や柔軟性、コミュニケーションスキル(経営層の懐に入り信頼関係を構築し、説得できる力)が重視されます。
また、様々な情報にアンテナを張れる知的好奇心や、クライアント企業の改善に達成感を感じられる方が向いているとも言えます。
必要な資格は特にありませんが、経営層に対する顧問・パートナーになるという特性上、公認会計士や税理士の資格、企業の経営状態を分析し経営アドバイスを行う能力があることを証明する国家資格である中小企業診断士が、多少有利になることもあります。
中小企業診断士と類似した民間資格としては、「経営士」という資格もあります。

企業・事業再生コンサルタントに必要な能力・スキルセット

企業・事業再生コンサルタントの業務は、経営破綻した企業や資金不足などに直面している企業に対して、再生に向けたサポートを行うことです。
危機的状況の企業の再生のための包括的な支援を行うという業務特性上、あまりポテンシャル採用は行わず、財務・会計コンサルタントを経験した方や、会計士の有資格者の採用が中心となっている企業が多くあります。
企業・事業再生コンサルタントに求められる能力・基準は非常に高く、多くの場合は経営戦略・業務改善に関するコンサルティングを経験した方や、融資に関する業務を金融業界で経験した方が、その次に選ぶキャリアパスという位置づけです。
その業務で必要とされる能力は多岐にわたり、財務会計に関する専門性・事業や戦略に関する知識・クリティカルシンキング・経営層やステークホルダーとの高度なコミュニケーションを行える能力・関係者を巻き込んで推進するリーダーシップ、ハンズオン支援がある場合は情熱・体力・ストレス耐性を含めて揃っている必要があります。
必要な資格は特にありませんが、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、中小企業診断士が関連する資格で、MBAホルダーも多少有利になることがあります。

コンサルタントになるために必要な転職対策

ここまでコンサルタントに必要な能力・スキルを見てきましたが、それらを獲得するため、あるいは獲得していると採用時に証明するためにどのような対策が必要かを解説していきます。

勉強や日常生活の中でクリティカルシンキングを鍛える

前述のとおり、コンサルタントになるためには、クリティカルシンキングやその前提となるロジカルシンキングがあるかどうかを、採用面接の場で確認されます。
特にケース面接と呼ばれる、面接官から提示される課題に対し、分析のプロセスや解決策を提案する面接は対策が必須です。

クリティカルシンキングやケース面接に関する教科書で勉強したり、その勉強で学んだクリティカルシンキングを日常生活の中で練習したりして、思考力を鍛えましょう。
例えば新聞や広告を見て、「それは本当にそう言えるのか? なぜ言えるのか?」「どうテーマや課題を分解できるのか?」を考えるだけでも、練習になります。

参考記事:MECEを具体例で学ぶ!コンサルでの仕事に欠かせないMECEとは?

【ケース面接対策】代表的な4パターンと例題・解答まで【戦略コンサル転職希望者の方向け】

求められている能力・スキルに沿った形で経験の棚卸を行い、職務経歴書と面接の対策を行う

ご自身が目指しているコンサルタントになるために必要な能力・スキルセットを特定し、それぞれの能力を証明できる経験がないか、棚卸を行います。
採用の場面においては、ご自身が本音で強みだと思うことよりも、企業の求めていることに沿った形で強み・活かせる経験を棚卸していくことをお勧めします。

例えばコンサルタントに必須な能力であるクリティカルシンキングについて考えてみましょう。
業務を行うなかで発見した課題について問題提起を行い、解決策を考えて、解決に向けて実行した経験があれば、どのような成果が出たかを含めて言語化していきます。
クリティカルシンキング能力・コミュニケーション能力・やり切る力や推進力・目指すコンサルタントに関連した経験を棚卸し、職務経歴書や面接の対策をしていきます。
この中で、ご自身の過去の経験では十分ではないと感じた場合は、後述のことに取り組んでみましょう。

必要な能力につながる経験に現職で取り組む

ご自身の経験を振り返って、コンサルタントにつながる経験が少ないと感じたならば、今からでも遅くはありません。
現職において、必要な能力につながる業務に取り組むことをお勧めします。
例えばクリティカルシンキングにつながる業務が少ない、かつ課題解決に関連するような業務を行っていない場合でも、対策を行うことは可能です。
ご自身の業務や部署の現状を分析し、何かしら課題を抽出し、自分の立場でできることを考えます。それを所属部門に提案し、その改善のために主体的に行動を起こすことができれば、十分に職務経歴書に書くに値する経験になります。

有利な資格を取得する

目指すコンサルタントの種類が決まっており、かつ資格の取得が優位に働くようであれば、意欲やポテンシャルを示すために資格を取得するのもおすすめです。

コンサルタント採用のプロセス

書類選考
企業への申し込みのときに、必要書類を提出します。
必要な書類は、履歴書・職務経歴書である場合がほとんどですが、志望動機書の提出が必要な企業もあります。
また外資企業で、英文履歴書やカバーレターを求める場合もあります。
特に職務履歴書やCVはしっかりと準備・対策することが必要です。

適性試験
コンサル未経験者に対して、多くのコンサルティングファームが適性試験を行います。
SPIやGAB、TG-WEB、判断推理などの独自テストが代表例です。
SPIなどの能力検査では論理的思考などを評価し、性格検査では対象者の特性を評価します。
特に能力検査は、事前に勉強して対策を行わなければ、通過は難しいでしょう。

面接
ここまで通過すると、面接が始まります。
大半のコンサルティングファームで2~3回面接が実施されますが、戦略コンサルティングファームにおいては5回前後、面接が実施される場合があります。
面接には2種類あり、志望理由・経験・強みなどを話す通常の面接と、面接官から提示されるテーマに対し、考えるプロセス・解決策を提案するケース面接があります。
特に戦略コンサルティングファームでは、ケース面接が複数回にわたって行われることがあります。
通常面接においては、予想される質問への回答を準備しておくといいでしょう。
ケース面接については、フェルミ推定などを教科書などで勉強し、企業別の想定問答集で練習をしてから、本番を迎えることをお勧めします。

オファー面談
最終面接を通過した内定者には、給与やタイトルなどの労働条件と業務内容を確認するオファー面談が行われます。
その場で入社の合意は行わず、1週間程度の検討期間を設定し、回答期限までに受諾か辞退を選択します。
オファーを受諾した場合は、退職交渉を開始し、同意した入社日に入社できるよう調整しましょう。

未経験から難易度の高いコンサル転職に挑む方は、スタート地点に立てる可能性を高め、入社日もうまく調整するため、プロの転職エージェントに相談してみてください。

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>コンサルタントへのキャリアに関する記事

コンサルタントの転職やキャリアアップに有利な資格一覧【IT・MBA・英語・公認会計士まで】
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/0713/2644.html

コンサルタントに学歴はやはり不可欠? 学歴フィルターの「中途」「新卒」「戦略系」「総合系」での違い
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/1008/2709.html

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今回の記事では、コンサルタントのなり方となるために必要な資格・能力などをお伝えしました。

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