コンサルタントは、やり方次第で少ない初期投資で開業できるうえ、高い知識や専門性を持っていれば高収入も目指せます。コンサル経験者や金融出身で特定領域に専門性を有する人を中心に、多くの人がコンサルでの起業・独立にチャレンジしています。
しかし、実際にはコンサルタントの起業・独立はそう簡単なものではなく、失敗してしまう人が少なくありません。今回は、よくある失敗パターンを基にコンサル起業を軌道に乗せるための対策を紹介します。これからコンサルでの起業・独立を検討している人は、ぜひ参考になさってください。
【目次】
- 失敗パターン①コンサル自身が営業をしなければならない点が盲点に
- 失敗パターン②大手コンサルのやり方が中小のクライアントに合わない
- 失敗パターン③案件探しを退職後に始めて苦戦
- 失敗パターン④ナレッジ不足で競争劣位に置かれる
- 失敗パターンと対策を活かしてコンサル起業を軌道に乗せよう
失敗パターン①コンサル自身が営業をしなければならない点が盲点に
コンサル経験者でありながら、コンサル起業に失敗するパターンとして、まず思い浮かぶ典型的なケースを解説します。
例えば大手コンサルファーム出身者が、自分の専門性で仕事を切り拓いていけると感じて独立したとします。所属していたコンサルファームはクライアントも大企業で、さすがに独立するからといって付いてくるようなことはなく、自力で営業活動を始めることになりました。
コンサルファームの場合、案件獲得はパートナーなどシニアメンバーが進めるケースが多いため、コンサル案件を獲得するための営業活動は初めての経験です。
自分のコンサルビジネスのターゲットなどが不明確で営業の進め方もわからず、当初は相当に苦労することになります。また「コンサルなのになぜ営業活動をしなければならないのか」と疑問に思う部分もあり、積極的な営業活動ができないままになってしまうでしょう。
対策:マーケティングと営業の基本をおさえて、営業マインドを持って独立すべき
独立する前にマーケティングと営業の基本的なノウハウを習得し、顧客ターゲットの選定、情報発信方法、営業アプローチ方法を整理してから独立に動き出すのが定石です。
多くのコンサルファームの場合、若手~中堅では営業の最前線に立つ機会がありません。厄介なのは、プロジェクトのなかで「クライアントと交渉・調整する」機会は豊富にあるため、土台となるコミュニケーション能力は備わっているがゆえに「営業能力がある」と誤認する方が多いことです。
起業時には単なる調整・交渉ではなく、新規開拓や案件獲得を実現するマーケティングや営業能力が必要です。コンサル時代に、与えられたプロジェクトのもとで顧客とコミュニケーションを取るのとは大きく違います。
独立する前にマーケティングの基本を学び、そのうえで自分の専門性を役立てられるコンサルビジネスのターゲットを明確にしましょう。ターゲットに対してアピールできる自身の強みや専門性を整理したうえで、営業用の資料や情報発信コンテンツに落とし込んでいきます。
営業においては積極性も重要です。一人や少数で起業するなら、当面は営業もコンサルも全部自分で進めなければなりません。マーケティングの結果見込み顧客が獲得できたら、多くの顧客と商談を取り付けて交渉する積極性が重要です。
大手コンサルのやり方が中小のクライアントに合わない
高学歴者が多く集まる大手ファームから独立してコンサルタントになった場合、中小企業の経営コンサル案件を取ることで、失敗する可能性があります。
クライアントから以下のようなクレームを受けるケースがあるためです。
・大手企業用の事例は参考にならない
・専門用語が多くて理解できない
・文字ばかりで図表がないと理解しにくく、主張も理屈っぽい
自身も大手ファームに勤務し、担当していたクライアントもどれも一流の大手企業の場合に陥りやすいケースです。フリーコンサルになった場合、これまでやり取りした経験のない中小企業にも寄り添う必要が生じるでしょう。これまでのやり方が全くマッチせず、やり方を見直す必要が出てくることは覚悟しておくことが大切です。
対策:中小企業の支援方法を理解してコンサルスタイルをアジャストしていく。案件を絞るのもコツ
ほとんどのコンサル起業においては、はじめは中小企業を相手にすることになります。したがって、中小企業のコンサルのやり方、自分がターゲットとするゾーンのコンサルのやり方を理解して、自分のコンサルスタイルをアジャストしていく必要があります。
具体的な対応方法はケースバイケースですが、次のような点に留意すべきです。
・現場目線で「できること」から始める
・杓子定規に経営や管理のフレームワークに当てはめようとしない
・平易で誰でもわかる言葉で説明・サポートする
・丁寧に資料を準備する
また、独立した当初は気合を入れて営業する人も多いと思いますが、いきなり何件も受注しようとするのは危険かもしれません。リソースが限られていることを前提に、まずは1案件において、クライアントが満足する形で丁寧に支援するのが適切でしょう。そうすれば、ミーティングや現場での指導だけでなく資料作成にも適切なリソースを割けるようになります。
失敗パターン③案件探しを退職後に始めて苦戦
大手や有名なコンサルファームから起業・独立した人が陥りやすいケースです。所属していたコンサルファームのネームバリューもあり、一先ずはフリーコンサルタントとしてマッチングサービスなどを利用すれば案件獲得は簡単にできると考える人は多いものです。そうすると、多くの人は具体的な案件探しをすることなく先に退職してしまいます。
収入を途絶えさせないことを優先して、市場価値と比べ大幅に安い案件に飛び込めば、収入の減少に苦しむことになります。
対策:計画を立てて早めに動き出すのが鉄則
ファームでのアサインと異なり、フリーコンサルではその都度他社と契約を締結しなければなりません。マッチングサービスを利用していればその運営会社が契約に関わることになります。スムーズに案件が見つかる方でも実際に収入が発生するまで時間がかかる可能性が高く、退職前から早めに動き出すのが肝心です。
高いスキルがある場合はまだ恵まれている方で、いざ独立してみたら市場にニーズがなく、そもそもコンサル案件をなかなか取れない、という事態も想定されます。独立後に自分が強みとする専門領域やターゲットを明確にしたうえで、マッチする案件の獲得に向けて退職前から準備を進めてください。
失敗パターン④ナレッジ不足で競争劣位に置かれる
大手の総合コンサルファームに所属していると、フルラインナップでコンサル支援を提供しているため、さまざまな業種、ソリューションの専門チームが存在するはずです。
例えばもともとIT関連のチームで働いていて、複数の案件実績がある人の場合、その経験を強みにコンサルとして独立するケースがあるでしょう。最初の2~3件は規模こそ違えども、知見のあるIT業の支援だったため、うまくクローズできたとします。
しかし、最初のクライアントだったIT業のつてでアパレル業界のコンサル支援を任された場合、苦戦することになります。アパレル業界そのものに加え、支援方法にも知見がなく、結局充分な対応ができないまま失敗するでしょう。
ファームに所属していれば、自分がわからない領域でも、知見のあるスタッフをプロジェクトチームに引き入れたり、専門家に支援を仰いだりして対応できます。独立コンサルの状態ではそのようなアクションも取れません。
対策法:支援領域の確立とナレッジの共有・ブラッシュアップを積極的に
どのように対策しても、個人のコンサルタントが総合コンサルのように全方位的な支援を行うことは不可能です。守備範囲がかなり狭まることを受け入れて、自分が強みを発揮できる領域を明確にしておきましょう。また、その領域に充分なニーズが見込めることも確認したうえで、起業に踏み出してください。
とはいえ、いまの自分自身のナレッジだけで支援できる領域のみで勝負しても事業拡大につながりませんし、次第に時代遅れの知識となって競争力が低下するおそれもあります。
例えば、同じ独立系コンサルの人脈を形成して、他の専門性を持つ方に気軽に相談できる体制を整えておきましょう。業界・産業関連のさまざまなイベントへの出席、専門書や雑誌の購読を通じて、常にナレッジをブラッシュアップしていくことも大切です。
失敗パターンと対策を活かしてコンサル起業を軌道に乗せよう
コンサル起業では、多くの場合コンサルファームと同じやり方が通用しない部分に失敗の原因があります。基本的にファーム時代とは全く異なる仕事の進め方や取り組み方が求められると覚悟したうえで、事前に準備を進めていくことが大切です。
今回の記事では、コンサル起業に踏み出したばかりの失敗、事業を継続していくうえでの失敗、そして事業拡大するうえでの失敗のすべてに対応するためのポイントをまとめました。対策方法を参考にしたうえで、自身のコンサルビジネスをスムーズに成長させましょう。
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>コンサルへのキャリアに関する記事
インタビュー:大手コンサルティングファームからスタートアップに参画後、兼業でフリーランスコンサルタント、そして独立のうえ法人設立へ。
https://www.axc.ne.jp/media/career-change-case/lanceconsulting
「ファーム在籍」から「フリーコンサルとしてのday01」を迎えるまでの具体的な推奨手順とタイムライン
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/freeday01
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