コンサルタントにチームワークは必要なのか?必要とされる場面や具体的なファームごとの風土の違いを解説

team work

コンサルティングファームやコンサルタントの仕事に興味を持ったり、転職したいと考えたりした場合も、なかなか人間関係や企業風土、働き方を知ることができず、かつ個人主義・実力主義で殺伐としたイメージがあり、不安に思う方も多いと思います。

そこで今回は、
「個人主義・成果主義で、チームワークや助け合いのない環境ではないか?」
「ソロプレーヤーとして働けるコンサルティングファームもあるのか?」
「コンサルティングファームと言っても多種多様であるはず。具体的なコンサルファームごとの風土の違いは?」
といった疑問にお答えしていきます。

自らも未経験から大手総合コンサルティングファームへ転職。
コンサルティングファームへの転職とポストコンサルの転職を支援したエージェント経験を持つ筆者が、コンサルティングファームで必要とされるチームワークについて解説します。さらに具体的なコンサルティングファームを紹介しながら、風土の違いについてもご説明します。

【目次】

  1. コンサルタントにチームワークは必要
  2. コンサルティングファーム内での典型的な人間関係
  3. コンサルティングファームごとの風土の特徴

コンサルタントにチームワークは必要

UP OR LEAVEや完全実力主義など、殺伐としたイメージのあるコンサルティングファームにおいて、チームワークはあまり必要なく、むしろ個人でハイパフォーマンスをあげられるソロプレーヤーの方が活躍できそうなイメージがあるかと思います。
しかし、実際のコンサルティングファームにおける業務に着目すると、チームでプロジェクトや案件を進めていることが見えてきます。
具体的にどのような場面でチームワークが発揮されるのか、見ていきましょう。

コンサルタントにチームワークが必要な背景

プロジェクトワークでの協力体制
コンサルティングファームにはあらゆる種類の案件が存在しますが、そのほとんどがプロジェクトワークで、その過程のいたるところで、チームワークは必要となります。

具体的に解説すると、プロジェクトでは、クライアントの経営課題の解決という目的の達成のため、その遂行に適当な複数のメンバーがアサインされ、特定の期間一緒にプロジェクトマネジメントやタスク遂行を行います。
クライアントの状況や課題のヒアリング、解決策の提案、提案資料の作成など、プロジェクトを進める上で必要な業務について、プロジェクトメンバーで常に相談をし、役割分担をしながら業務にあたります。

特にクライアントから求められるアウトプットを期日までに作成している時は、お互いの考えを出し合い、話し合いながら乗り越えていくため、いわば「戦友」のような関係性になります。
クライアント先に常駐するプロジェクトであれば、朝から晩まで行動をともにしながら、業務に取り組みます。

また自社のプロジェクトメンバーだけでなく、クライアント内の現場メンバーや、他企業のベンダーなどを巻き込み、タスクを進める場合も多々あります。
そのため、クライアントや他企業のメンバーも携わっているプロジェクト全体が円滑に進むよう、頻繁にコミュニケーションを取り、自分自身の役割を考え、協力しながらタスクを進めることが成功の鍵です。
最近ではグローバルなプロジェクトも多く存在するため、異なる背景や価値観を持つメンバーを受け入れ、巻き込みながら、チームとして協力体制を作るリーダーシップも求められます。

チーム内におけるトレーニングやサービス開発
意外に感じるかもしれませんが、若手社員を先輩社員が育成するカルチャー・仕組みがあるコンサルティングファームが、多く存在します。
例えば所属チームメンバーの能力の底上げのため、クリティカルシンキングや、プロジェクトマネジメントのコツなどコンサルタントに必要な基本スキルに関するトレーニングコンテンツを、ManagerやSenior Managerなどのベテランコンサルタントが作成し、チームの若手メンバーに実施するといった取り組みです。

上位職者になるほど、他のコンサルタントやマネジメント層と協力して、このような人材育成の取り組みをチームで推進することが期待されます。
またチームの有志メンバーで、クライアントに提供できるサービス開発を行う場合もあり、役職やコンサルタント歴に関係なく、所属先のメンバーと協力して、サービス開発・提案に取り組むこともあります。

どのようなチームワークがコンサルティングファームで求められるのか?

当事者意識・主体性
コンサルティングファームで働くと、新人・ベテランに関わらず、会議の場やチームに対し、バリューを出すことを求められます。
例えば社内会議で顧客への提案内容をディスカッションしている際に黙っていると、「バリューを出せているか?」とプロジェクトの上司から指摘されることが頻繁にあります。

チームでディスカッションをしている際に、質問をして論点を明確にしたり、意見を出して示唆を出したりすることで、チームに貢献でき、コンサルタントとして認められるようになっていきます。
コンサルティングファームでは、「誰が正しいか」ではなく「何が正しいか」を考える傾向が強いため、新人であっても自分なりの意見を出すことは歓迎されますが、容赦なく否定されること、または相手にされないことも多々あります。

ベテランコンサルタントの引き出しの多さや、示唆の鋭さ・深さは、一朝一夕で身につくものではないからです。
それでも誰かが正解を出すのを待つことなく、自分で考えて仮説を持ったり、またはチームの状況やクライアントとの話し合いの後に主体的にタスクを拾ったりすることで、チームに貢献することが重要です。

基本的な役割分担と柔軟な協力体制
1つのプロジェクトに入ると、プロジェクトのリードをするマネージャーやシニアマネージャー、場合によってはパートナーなどの上位役職者と協働して働くことになります。
また他の部門からエンジニアなど異なる専門性を持つメンバーがチームに入る場合もあります。

そのため、プロジェクトの目標・到達すべきアウトプットから逆算し、どのようなタスクが発生する可能性があり、それをどのようにあらかじめ分担するかがとても重要です。
例えば、クライアントとのディスカッション資料の作成をするのは誰で、当日のファシリテーターは誰で、議事録をまとめ社内外に共有するのは誰、などです。

役職の低いリサーチャーやコンサルタントは、責任の重い業務は少なく、クライアントやチームメンバーからの信用を獲得すると、クライアントと対峙するファシリテーターや資料作成のタスクを持てるようになります。
タスクに取り組む際に、認識の齟齬がないようにプロジェクトメンバーに相談する・話し合うことは頻繁にあるため、細かい役割分担がありつつも、メンバー同士や報告・連絡・相談の報連相や助け合いは常に必要になります。

場合によっては、あらかじめ決めておいた役割分担から外れるタスクが発生することがありますが、
「タスクが発生する可能性があること」
「余力・能力的に自分で対応できるのであれば自分自身で実施したいこと」
を申し出ると、クライアントやプロジェクトメンバーから信頼されていきます。

体育会系的な上下関係を意識したコミュニケーションも時には必要
前述の通り、「誰が正しいか」より「何が正しいか」を追求する傾向の強いコンサルティングファームですが、稀に自分自身の考えを飲み込み上位職者の方針に従わなければならない場面、言わば体育会系的な上下関係を意識したコミュニケーションが必要な場面もあります。

例えば、パートナーとの関係性が深いクライアントへの提案活動・資料作成を任された場合、状況のヒアリングを行った上で、最適な解決策を考えて提案書にすることがよくありますが、元々自分で考えた解決策の方針ではなく、パートナーが考える最適解に方針を変更する、といったようなケースです。
例え外資のコンサルティングファームであっても、パートナーは事業の責任者であり、クライアントとの交渉の顔でもあるため、指示に従うべき場面は発生します。

チームワークが必要とされない場面・コンサルティングファームもあるか?

基本的にはプロジェクトワークを行うという観点から、チームワークが必要となりますが、圧倒的な専門性・スキルを持っている場合は例外となり得ます。

例えばAIやデータサイエンスに関する専門知識・スキルを持っているなど、コンサルティングファームにおいて必要とされる圧倒的な知見・スキルを持っている場合は、その専門家として様々なプロジェクトのアドバイザーポジションで活躍でき、チームで仕事をする必要はありません。
筆者の実体験では、脳科学や最先端ロボティクスの研究者がコンサルティングファームのアドバイザーに採用され、ソロプレーヤーとして活躍していました。

コンサルティングファーム内での典型的な人間関係

プロジェクトメンバーとの関係性

共通の困難に必死で取り組む仲間意識
前述の通り、同じプロジェクトに専属でアサインされた場合は、1日に複数回ミーティングで顔を合わせたり、常駐プロジェクトであれば朝から晩まで一緒に働いたり、食事や休憩を一緒に取ることになります。
またクライアントから無理難題を言われたり、遅延やトラブルが起きたりしたときも、真っ先に相談してどのように乗り越えるか話すのは、同じプロジェクトのメンバーです。

そのため、共通の目標や、立ちはだかる困難を一緒に乗り越えていく、いわば「戦友」のような関係性になることが多くあります。
コンサルティングファームでは完全実力主義・個人プレーで働き、お互いの足を引っ張るようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そのような場面はほとんど見られません。

なぜなら、一筋縄では解決できないクライアントの経営課題の解決のために、必死で戦略を考えてタスクをこなしているため、お互いの揚げ足取りをしている余裕はなく、チームメンバーの失敗が自分の責任になる可能性もあるからです。
まさしくクライアントの成功のため、一丸となって取り組んでいると言っても過言ではありません。

一時的なチームであるため、ドライな関係であることも
これだけ濃密に同じ時間を過ごしても、プロジェクトが終了し解散すると、また違うプロジェクトが始まり、他のメンバーと同じような働き方をする、というのがコンサルティングファームにおけるプロジェクトの特徴です。
一時的に長時間一緒にはいますが、長期的に一緒に働くチームメンバーではないため、プロジェクトが解散すると、当然顔を合わせる頻度は激減します。

そのようなプロジェクトワークに慣れると、同じプロジェクトに入っている期間はメンバーたちと友好な関係を作りつつ、深入りはしないという、少しドライなコミュニケーションを取る人も出てきます。
またアサインされたプロジェクトが、いわゆる炎上している状態で、チームメンバーが次々と休職したり、プロジェクトを離れたりするような状況下では、上記のような協力体制を作ることが難しい場合もあります。

所属チームメンバーとの関係性

長期の関係性を前提とした、所謂同僚のような関係
プロジェクトメンバーと異なり、所属するチームは長期で同僚となります。
それぞれのプロジェクトで経験したことやクライアント・他部門についての情報を共有したり、必要な資料や知見がある際に、助けを求めたりできる関係になれることが大半です。
また期の始まりに所属チームでキックオフをしたり、トレーニングを企画したり、前述の通り新しいサービス開発の取り組みを行ったりすることもあります。

同じプロジェクトにアサインされることが多くなくても、同じチームに所属している場合は、クライアントワーク以外の形で協働する機会があるため、フラットに話せる同僚と言った関係性が築けます。
またコンサルティングファームによっては、同じ所属チームの先輩にあたる社員がメンターになることもあるため、長期のキャリアプランを相談する、あるいは困ったことがあったらチーム内のメンターに聞けるという仕組み・カルチャーが作られています。

知見・情報共有で助け合う仲間
例えば事例が見つからないなど、困ったことがあった場合に、まず所属チームに聞いたり、いい取り組みがあった場合に知見をチーム内で共有したりといったチーム内情報共有は、多くのコンサルティングファームで実施されています。
特に専門分野が近しいメンバーが集まっている部門(例えばDX・人材組織・ヘルスケアなど)に所属している場合は、アサインされているプロジェクト同士の抱えている課題が似ている場合もあり、所属チームメンバーに相談することで解決する問題もあります。

コンサルティングファームごとの風土の特徴

チームワークを重視するコンサルティングファーム

アクセンチュア株式会社

アクセンチュアは総合系コンサルティングファームの最大手の1つで、あらゆる業界にサービスを提供しています。
コンサルタント未経験で中途入社する社員が多いため、所属チームの中で自発的な勉強会や基本スキルのトレーニングがあったり、プロジェクトの中でも若手や新人を育成してくれるマネジメントが多かったりと、頻繁にアドバイスやサポートをもらいながらプロジェクトを進めることができます。

ナレッジトランスファーと呼ばれる知識移転が頻繁に行われており、助け合いの風土があります。
例えばあるクライアントを担当することになったコンサルタントが、そのクライアントに常駐経験のある他コンサルタントに連絡を取り、クライアントの状況や特徴などを聞いたり、業務やプロジェクト内容についての詳細を聞いたりということが、国内外を含めてあらゆるところで起こっています。

株式会社ベイカレント・コンサルティング

他コンサルティングファームに比べても高額年収であるベイカレントですが、意外にもコンプライアンスや労務管理を重視し、働きやすい環境だと述べる現役コンサルタントの方が多くいます。
また年上の社員にも気を遣わずに議論ができ、やりたいと声を上げればチャレンジをさせてもらえる風通しの良さもあり、チームワークを重視する環境のようです。
一方で現在は業績拡大に向け、大量にコンサルタントを採用していることもあり、平均勤続年数が短い傾向があります。

アビームコンサルティング株式会社

日系コンサルティングファームであるアビームコンサルティングは、日本的な文化を持ち、人を育てるカルチャーがあり、チームで成果を出すことを重要視しています。
NECの子会社であり、年収・福利厚生が整っているため、長く安心して働きたい人に適したコンサルティングファームです。

相対的にソロプレーヤーが多いコンサルティングファーム

A.T. カーニー株式会社

クライアントの力になる・社会にインパクトを与えるといった信念は共通しつつ、A.T. カーニーは尖った個性を持つプロフェッショナルの集団です。
それぞれの違いを認め、尊重し合うという風土があったうえで、他ファームと比較するとソロプレーヤーが多いコンサルティングファームと言えます。

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>コンサルタントへのキャリアに関する記事

【未経験からコンサルタントへの転職】年収は上がるのか?ファームの年収・給与体系と未経験からの転職事例
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/consul/money.html

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今回は、コンサルタントに求められるチームワークについてお伝えしました。

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平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

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