コンサルタントの転職活動では、ジュニアの役職であれば、未経験でもポテンシャル採用で入社できる可能性があります。
一方で、マネージャー以上となると、多くのコンサルティングファームにおいて仕事をスムーズに進める即戦力が求められます。
この場合、厳密にはポテンシャル採用とはいえませんが、即戦力となる強みをアピールすることで、やはりコンサル未経験でも転職することは可能です。
今回はコンサルティングファームのポテンシャル採用に受かる年齢や役職、内定を得る上でプラスに働く条件などを紹介していきます。
【目次】
- コンサルタントはポテンシャル採用の余地が大きい業界
- コンサルタントのポテンシャル採用で内定を得られる役職や年齢は?
- コンサルタントのポテンシャル採用で重視されるポイント(若手編)
- 30代以上のコンサルタント未経験者の採用を進める上でのポイント
- コンサルタントはポテンシャル採用・未経験での採用のチャンスが大きい
コンサルタントはポテンシャル採用の余地が大きい業界
コンサルファームというと難易度の高い転職先のイメージを持たれがちですが、特にジュニアポジションではポテンシャル採用の余地が充分にある業界です。
まずは、コンサルのポテンシャル採用の現状についておさえておきましょう。
人材の流動性が高いため旺盛な採用ニーズを持つ
コンサルファームは特に大手ファームともなると多くのコンサル案件を常に抱えています。一人のコンサルタントに長時間労働を強いるのが困難な時代になったこともあり、そもそも人材不足に悩まされがちな傾向にあります。
一方で、コンサルには難関大学卒でビジネス遂行能力も高い優秀な人材が多く在籍しています。留学経験者や帰国子女など外国語に堪能な人も少なくありません。
これらの人材は転職市場においても付加価値が高く、積極的にキャリアアップを追求する人が多いため、優秀な人材はすぐに他社に移ってしまいます。
そのため、多くのコンサルファームでは積極的に中途採用を行っています。
すぐにプロジェクトで活躍できる即戦力人材だけでは充分な人材を確保するのが困難なので、ポテンシャル採用で若手の増員も積極的に行っているのです。
コンサル業界以外で得られる知見をもつ人を求めている
コンサルファームから寄せられる支援ニーズについて、コンサルスキルだけで対応できるとは限りません。
特定の業界や市場に対する専門性、ITやファイナンス、マーケティングなど特定の専門性を持っている人がチームにいた方が、案件がスムーズに進捗することが多いと言えるでしょう。
コンサルファームでは、コンサル以外で培える知見をもつ人を積極的に採用することで、組織全体で幅広い領域の課題に対応できる状態を維持しています。
そのため、コンサルとしてのスキルは入社後にキャッチアップするものとして、コンサル未経験者の専門性に期待して採用する場合も少なくありません。
ビジネスパーソンとしての基本スキルが揃っていてキャッチアップできる人材を厳選
基本的なスキルが揃っている優秀な人材であれば、ジュニアのうちはコンサルプロジェクトを経験する中でキャッチアップが可能と考えているファームが少なくありません。
現役のコンサルタントも、毎回プロジェクトのたびに新しい領域の課題にチャレンジしながら解決策の提示に取り組んでいます。
自分の得意領域でない部分の知見が必要であれば、積極的にキャッチアップしていかなければならないのは、現役のコンサルタントでも変わらないのです。
知的好奇心や元々の問題解決能力が高く、ビジネスに対して意欲的な人材であれば、少なくともジュニアのうちはキャッチアップできると信じてポテンシャル採用を行なっています。
裏を返せば、厳しい選考を通じて「この人なら早期にキャッチアップしてくれる」とファームから信頼される人だけが、ポテンシャル採用を通過できるという意味でもあります。
コンサルタントのポテンシャル採用で内定を得られる役職や年齢は?
多くのコンサルファームは年功序列という概念がなく、その人のスキルや経験を踏まえてプロモーションしていきます。
コンサル未経験のポテンシャル採用として入社するのも、上位の役職になるほど難しいものに。ここからはポテンシャル採用のチャンスが大きい役職や年齢について紹介していきます。
アソシエイトクラスまではポテンシャル採用の余地は大きい
アソシエイトクラス(役職名はファームによって違いますが、ここでは下から二番目、マネージャーの下のポジションのイメージ)まではポテンシャル採用でコンサルファームに入社できる余地が比較的大きいポジションです。
ここまではコンサルファームでのジュニアの位置付けなので、現役のコンサルタントも、将来プロジェクトの主導的な立ち位置に立つためにスキルをつけている段階。
そのため、コンサル未経験者でも適応できるスキルがあれば、将来の成長を期待したポテンシャル採用で内定を得られる可能性は充分にあります。
マネージャークラスでも、その人のスキル・経験に応じてコンサル未経験者が採用される余地はあるものの、将来の成長性に期待した純粋な意味での「ポテンシャル採用」を狙いやすいポジションは、概ねアソシエイトクラスまでと言えます。
(もちろんファームの方針や、ビジネス、人材構成の状況によっても変わってきます)
マネージャー以上になると、未経験とはいえ、コンサルで即戦力になる、何らかの独自の強みを求められるようになるでしょう。
マネージャーアップの未経験者採用は純粋なポテンシャル採用ではない
マネージャー以上の求人では、アソシエイトクラスと比較するとポテンシャルのみで採用されるのは難しくなってきます。一般的な組織同様に、コンサルファームはピラミッド構造を持っているため、マネージャークラス以上であれば必要人員が相対的に少なくなり、その分、人材にこだわって採用するケースが多いのです。
その結果、まずは即戦力としてプロジェクトのマネジメントができる人を好んで採用します。
いうまでもなくコンサルファームでの経験の有無がより重要となります。コンサル未経験可だった場合も、何らかの「強み」を要求するケースが多いです。
近年で多いのはIT系の人材で、DXをはじめとしたIT案件であれば即戦力になるとの期待で、コンサル未経験のSEやSIer経験者などを採用する場合があります。
また、ファイナンスやM&Aなど、コンサル案件が多い領域における業務経験や深い知見がある場合も、コンサル未経験からマネージャー以上で採用される余地は充分にあるでしょう。
いずれの場合も「コンサルとしてのスキルは、ファーム入社後にキャッチアップしてくれれば良い」という考えはある一方で、それぞれの専門性を「即戦力」として活用することを期待して採用しています。
このようにマネージャークラスの場合は「将来の成長性に期待する」という意味での純粋なポテンシャル採用は減ってきます。
もしマネージャー以上でコンサル未経験での採用を狙う場合には、ポテンシャルのスキルだけではなく、コンサルタントとして直ちに役に立つ専門性についてまとめて、選考ではアピールしていく必要があるでしょう。
年齢で考えた時は20代までが一つのメド
コンサルファームの役職は実力や経験次第ではあるものの、おおよその年齢の目処はあります。
特に年齢が高くなると、将来成長したとしても、活躍できる期間が短くなるため、若い方がポテンシャル採用のチャンスが大きいのは、一般企業とあまり変わりません。
先ほど紹介した役職で言うと、20代後半〜30歳くらいにマネージャーに昇格するのが一つのキャリアのメドで、それを逸してしまうと昇進ペースとしては遅く、転職を考える人も増えてきます。
つまり、ポテンシャル採用のチャンスが大きいアソシエイト以下のほとんどは20代であり、30代はマネージャークラスでの転職を想定するファームが増えてきます。
以上をまとめると、年齢のメドを考えた時には、やはり20代が一つの目安となります。30代での未経験からの転職では、即戦力となるポイントをアピールするのが有効な手段でしょう。
次からは若手と30代それぞれのポテンシャル・未経験からの内定獲得に重要なスキルについて紹介していきます。
コンサルタントのポテンシャル採用で重視されるポイント(若手編)
20代までであれば、純粋なポテンシャル採用で内定を獲得できるチャンスはまだ充分にあります。ポテンシャル採用においては、ファームに身を置いて数年のうちに、一人前のコンサルタントに成長できると信頼されるかが重要です。
ここからポテンシャル採用で重要なスキルを紹介していきます。
一定程度の学歴があったほうが強いのは間違いない
確率的には高学歴の方が地頭や論理的思考力が強い人が多いと期待されがちです。実力主義のコンサルファームといえども、特に若手のうちは一定程度の学歴があったほうがポテンシャル採用には有利に働くと期待されます。
その意味では、旧帝大~MARCHクラスが一つの基準です。それ以下では内定を獲得できないということにはなりませんが、少なくとも学歴が不利に働くリスクがある点はおさえておきましょう。
ただし、ファームには高学歴なコンサルタントが多数在籍しているため、たとえ東大卒でも「学歴だけ」で内定を取れることはありません。あくまで、このあと紹介するスキルや経験を補完する役割を果たすだけであることを覚えておいてください。
問題解決能力が第一に重要
コンサルファームでは、問題解決能力がプロジェクトをうまく進めて付加価値を発揮する上での生命線となります。
問題解決能力とは具体的に次の3つです。
・問題を把握する能力
・解決策の候補を見つけ、一つに絞り出す能力
・解決策を実行して、改善を実現する能力
単に解決策を策定するのみならず、問題の把握から行う力が重要です。また解決策を「絵に描いた餅」にするのではなく、実行して改善や解決を実現する能力も求められます。
こうした一連の問題解決能力を備えていれば、コンサルプロジェクトの中で早期に独り立ちし、付加価値を発揮していくと期待され、選考においてプラスに評価されるでしょう。
問題解決能力の有無はポテンシャル重視の中途採用においてほぼ必ず見られるポイントなので、コンサルファームの中途採用を受ける時には、過去の課題解決のエピソードを自分が果たした役割や付加価値などとともにまとめておいてください。
社会人になってからの業務上での実績を紹介するのが有効です。その経験がコンサルファームでのビジネスに応用できることをアピールできればさらに良いでしょう。
知的好奇心や向上心もサポート材料に
コンサルタントはプロジェクトごとに新たな課題が発生し、それに対して有効な解決策を提示していかなければなりません。オーソドックスなプロジェクトにおいては、新しいプロジェクトが立ち上がると、まずは現状の把握や分析、課題の洗い出しから始まります。常に「よくわからないもの」を理解して、その上で解決策を考える作業に追われるわけです。
このような作業を、高いレベルで意欲的に取り組む上では、知らないものを知ろうとする知的好奇心が非常に重要に。早くキャッチアップし、また長期で活躍していけるかどうかを判断する上で、多くのファームが候補者の知的好奇心を重視しています。
また、向上心も重要です。コンサルタントになると、よくわからない領域について常に学習・研究し、アウトプットに繋げる能力が求められます。現状に満足せず常に自らの知識をブラッシュアップしようとする意欲的な人が好まれるのです。
基本的なビジネススキルも意外と見られる
アナリストやアソシエイトの仕事には、一般的な若手社員が行うような業務も多数存在します。議事録やメモ・資料の作成、クライアントの会議体などのアポイント調整、プロジェクトのタスク進捗管理など、基本的な作業はコンサルファームでもジュニアの仕事です。
特定のクライアントと相対しながらプロジェクトを進めていくため、プロジェクトにアサインされるとこうした基本的なタスクの分量が多くなる傾向にあります。「できて当たり前」に見えるタスクを、プロジェクトが円滑に進むように一切の間違いなく進めていける力は、若手のポテンシャル採用においては意外に評価されるポイントとなるでしょう。
30代以上のコンサルタント未経験者の採用を進める上でのポイント
30代以上となると、長期的な成長を期待するポテンシャル採用での内定獲得は難しくなります。ただし、工夫次第で未経験からコンサルに転職できる可能性は充分にあります。
ここからは30代の未経験コンサル転職を成功させるうえでのポイントを紹介していきます。
学歴やベーシックなスキルはあまり問われなくなる
30代の転職となると、改めて学歴について問われることは少なくなります。すでに卒業から5年以上経過している人がほとんどであり、学歴でその人の能力を判断するのが困難なためです。
ただし、このあと紹介するような条件を全て満たす人は必然的に高学歴な傾向が強いため、結局コンサルにチャレンジする人の層はMARCHレベル以上の大学卒業者が多いでしょう。
問題解決能力や知的好奇心などのようなベーシックなスキルについても、改めて問われることは少なくなります。それよりも、次に紹介するような実績や経験・より実務的なスキルの方がクローズアップされがちだからです。
ただし、30代の場合これらのスキルは「当然備わっているもの」として選考が進むため、学歴やベーシックなスキルがアピールポイントになることはありません。
一方で、ベーシックなスキルが備わっていないまま入社すると、入社後にうまくコンサルの仕事に順応できず苦労することになるでしょう。
所属企業名は大事だが参考程度
学歴と比べれば、直近の所属企業は多少評価ポイントになります。大手の難関企業であれば多少評価されやすくなるでしょう。
その中でもコンサルと相性が良いのは、最近ではSIerやWebビジネスを手掛けるIT関連の企業です。コンサルもITに知見のある人材を多数採用しているため、大手のITセクターの企業は評価されやすいでしょう。
総合商社や金融の法人をカウンターパーティとする業種・所属部署も、コンサル転職がしやすい部署です。プロジェクトベースの働き方や、法人の課題解決を担うなどの点がコンサルとの親和性が高いと期待されます。
なお、所属企業のステータスはあくまで「参考程度」です。たとえ小さなベンチャー企業に所属していても、その人が若くしてマネジメントを行なっていたら所属企業に関係なく評価される可能性は高くなります。
あくまで実績や専門性の方が、選考での重要な武器となるでしょう。
組織で果たした役割や実績が問われる
30代となると、社会人としてどのような経験値を積み、また付加価値を実現してきたかが重要となります。
高い実績や稀有な経験があり、またそれがコンサルビジネスに役立つものであれば、高く評価されるでしょう。
30代はたとえコンサル未経験でも、入社後すぐに活躍することが要求されます。その意味で30代以上の転職は、厳密な意味では「ポテンシャル採用」ではありません。
ただし、コンサルにすぐに役立つスキルや経験をアピールすれば未経験からでもチャレンジは充分可能です。
まず30代で求められるのは組織におけるマネジメントスキルで、日本の大手企業であれば主任・リーダーなどとして小さな規模のチーム運営や後輩の育成などの経験が求められます。
実は、ベンチャーなど小さな企業でも、部長などシニアなマネジメントについた経験があると高い評価を得られます。30代はマネージャー以上であるケースが多いため、プロジェクト推進ができる人、という観点から、マネジメント経験を重視するのです。
また、プロジェクトマネジメントや進捗管理を行なった経験なども高く評価されるでしょう。コンサルにおけるプロジェクト推進に適応できると期待できるためです。このように、コンサル未経験でも、コンサルで役立つスキルや経験を持っていて、マネージャー以上で素早く適応できる人が、30代の転職においては高く評価されます。
コンサル以外で培った専門性や強みも役立つ
多様な案件を扱うコンサルファームのプロジェクトは、コンサルとしての専門性だけで解決できるとは限らず、業界の専門知識や、ファイナンス・ITなど特定領域の専門スキルが必要な案件が多数あります。
大手のコンサルファームでは、多様なバックグラウンドを持つメンバーをコンサルタントとして雇うことで、さまざまな顧客の課題に対して有効な解決策を提示できる組織を構築しています。
そのため転職者に対しては、コンサルタントとしての適性に加えて、コンサル以外の特定領域の専門性の高さを期待しています。
30代まで順調にキャリアを築いていれば、経験やスキルから何かしらの専門性や強みを構築しているはずです。あとは、それがどのようにコンサルビジネスに役立つのか、どのように付加価値を発揮していくのか選考の場でアピールして「戦力になる」と思ってもらえることが大切です。
また、転職を実現したのちも、自分の強みを活かせるプロジェクトに参画し、早いうちに活躍できるように工夫していきましょう。
コンサルタントはポテンシャル採用・未経験での採用のチャンスが大きい
コンサルは慢性的な人材不足や、さまざまなバックグラウンドを持つ人材を求めるカルチャーであることから、20代の若手を中心にポテンシャル採用を積極的に行っています。
30代、マネージャークラスとなると成長のみに期待する純粋なポテンシャル採用は減ってきます。しかし、特定領域における専門性を活かした未経験での転職は充分可能です。自分のスキルや経験を棚卸して、コンサルで役立つ強みを整理してアピールしていってください。
コンサル業は転職難易度が高い一方で、未経験からでもチャレンジ余地の大きい業種でもあります。コンサルとしての経験がない人も、ぜひ転職のチャンスを追求してみてください。
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