経営企画で求められる学歴【難関大学卒以外に必要なスキル】

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経営企画職に就くためには、業務の難易度から一定のスキルや経験が必要になってきます。

一方で、経営企画職に学歴が必要になるかどうかについては、詳しい情報がありません。

そのような状況のため、今回は経営企画職に就くうえで学歴が必要なのか、また学歴問わず学んでおくと有利になる学問、さらには学問以外で有利になる要素について解説します。

【目次】

  1. 経営企画職で求められる学歴のデータ
  2. 学んでおくと経営企画職で有利となる学問は?
  3. 学問以外で経営企画職に有利な要素とは?
  4. 経営企画では学歴だけでなく人柄やスキルが重視される

経営企画職で求められる学歴のデータ

経営陣の参謀ともいえる経営企画部門は、経営の判断を行うための材料を揃えたり、経営陣からの指示を受けて速やかかつ的確に動いたりする必要があります。

そのため、思考力がベースとして備わっている、ある程度の学力を持つ人材が望ましいでしょう。

経営企画職の出身大学を集めたデータはありませんが、参考にできそうなデータがあります。

社長の出身大学や、上場企業の社長の出身大学、また実際に該当する方は少数ですが、起業家を輩出した海外の大学などから確認してみます。

社長の出身大学より

東京商工リサーチが発表した2022年版「全国社長の出身大学」調査というデータがあります。

同社が企業データベース約400万社の代表データから出身大学を抽出し、集計しています。

このデータによると、社長の出身大学の順位は以下の通りです。

1位 日本大学 20,609人
2位 慶応義塾大学 10,588人
3位 早稲田大学 10,407人
4位 明治大学 8,255人
5位 中央大学 7,506人

1位の日本大学は、2位の慶応義塾大学を倍近く引き離す人数で、社長の出身大学として日本で一番多い大学です。

2023年3月における日本大学の卒業生が16,378名(23年3月・日本大学ホームページより)、2位の慶応義塾大学は7,802名(23年3月・慶応義塾大学ホームページより)であることから、卒業生の数に比例している形で増加しているので、卒業生の数と社長の数に一定の相関関係がありそうです。

上場企業の社長の出身大学より

続いて同データより、経営企画部門を設置することが多い上場企業に限定した社長の出身大学についても確認します。

1位 慶応義塾大学 288人
2位 早稲田大学 227人
3位 東京大学 210人
4位 日本大学 103人
5位 京都大学 97人

上場、未上場企業を含めた全社長の出身大学で1位だった日本大学は、上場企業に限定すると4位となっており、逆に2位だった慶応義塾大学出身者が多くなっています。

上場企業においては、慶応義塾大学、早稲田大学、東京大学出身の社長が上位を占めることから、一般的に偏差値の高いと言われる高学歴の出身者が社長になる傾向があります。

新卒採用において、学歴を問わず実力や人柄を重視する企業も増えてきている中で、高学歴者を中心に採用する大企業もあるでしょう。

さらに上場ベンチャー企業においては、創業者が大企業を経験したあとに創業し、晴れて上場することも見られ、このような結果に繋がっていることが想定されます。

また、大企業の社長や役員候補にとって、経営企画職がキャリアパスの中に入ってくるケースも考えられ、経営企画職に高学歴の大学を卒業したメンバーが自然と揃うことも想定されそうです。

起業家を輩出した海外の出身大学と大学院より

日本の企業において、一定数は存在するもののまだまだ数は多くないと考えられますが、海外の大学も確認してみます。

米金融情報サービス企業のPitchBookにおけるデータベースをもとにした、最も多くの起業家を輩出した大学のランキングが発表されています。

このデータは、2012年1月1日〜2022年10月21日の間に、ファーストラウンドでの資金調達を受けたスタートアップの創業者の出身大学を集計したものです。

起業家を輩出した世界の大学ランキング(学部編)は以下の通りですが、大学、大学院ともに5位までは全て米国の大学でした。

1位 スタンフォード大学 1,427人
2位 カリフォルニア大学バークレー校 1,406人
3位 ハーバード大学 1,184人
4位 マサチューセッツ工科大学 1,065人
5位 ペンシルベニア大学 1,038人

また、大学院においては以下の通りです。

1位 スタンフォード大学 3,710人
2位 ハーバード大学 3,222人
3位 マサチューセッツ工科大学 2,459人
4位 コロンビア大学 1,586人
5位 カリフォルニア大学バークレー校 1,459人

こちらのデータは起業家を輩出しているデータのため、経営企画部門を経ずに直接起業されている方も多いと考えられます。

日本の大企業やベンチャー企業経営者、起業家にもこれらの大学出身者がいると考えられ、特に大企業では、将来の社長候補として経営企画部門にも在籍されている方がいらっしゃるかもしれません。

学んでおくと経営企画職で有利となる学問は?

必ずしも大学や大学院時代の学びだけが有効というわけではありませんが、次にご紹介する学問は、学んでおくと経営の勘所が早い段階から掴めるかもしれません。

経営企画職に既に就かれている方でリスキリングしたい方や、将来的に経営企画職を目指される学生の方においても意識しておくと有利になり得る学問についてご紹介します。

さらに学部でいえば、経営学部、経済学部、商学部、法学部、理工学部と、大学のどの学部で学んだ学問であっても経営企画部門で応用がきく可能性があります。

経営学

経営企画部門と直結するのは、まずは何といっても経営学の分野ではないでしょうか。

経営企画は経営に直結する業務が中心であるため、経営学で学んだことの多くが実業務でも応用できるといえます。

MBAで専門的に学習すれば、経営企画部門での活躍だけでは物足りず、起業したいぐらいのスキルをつけることも可能です。

先ほど社長の出身大学で名前が上がった大学でも、慶応義塾大学、京都大学、明治大学、早稲田大学、中央大学に経営大学院があります。

経営学の中でも、戦略論は全社の方向性をどのように掴んだらいいのかを、机上の学問を超えて実践で活用できる学問です。

また、経営分析ツールともいえる各種フレームワークは、思考をまとめる際にそのまま応用できますし、財務会計分野の学習経験はそのまま経営分析にも応用することができます。

組織についても理論を学習するため、現在の企業内組織が戦略に対してフィットしているのかなどは、感覚ではなく理論に裏付けされた考え方を経営企画部門として打ち出すことも可能になるでしょう。

さらに、実際の企業の事例を用いた実践的なケーススタディを学ぶことにより、企業を模擬的に経営する方法を学ぶことができます。

社会人経験がない新卒であれば最初は難しいですが、頭の中に入れた学問が即ビジネスの実践に応用できる、社会人にとっても非常に有益な学問であるといえます。

会計学

企業における財務会計分野の重要性もあり、近年では社会人に対して、会計学専門の会計大学院も主要大学で開校されています。

財務・会計実務とも直結する会計学ですが、大学院だけではなく、もちろん学部でも学ぶことが可能です。

また、大学や大学院によって細かなカリキュラムの違いは考えられますが、業務に必要となる財務会計や管理会計、監査、租税法、会計分野に関連する企業関連法なども学ぶことができます。

経営企画業務に直結する管理会計分野では、意思決定会計としての基礎や業績管理会計、原価計算など専門的に掘り下げて会計分野が学べるといえるでしょう。

さらには、財務会計や監査も体系的に学ぶことができるので、経営企画分野だけではなく、財務経理分野も幅広くカバーできるスキルを身に付けることができます。

経営学と同様に、社会人経験者にとっては普段の業務の専門性を磨くことができる実践的学問である反面、新卒にとっては、ある程度の業務経験を経てから、将来的に活かすことができる分野といえるでしょう。

データサイエンス

日本IBMによると、データサイエンスとは、数学や統計、特殊プログラミング、AIなどを対象分野の専門知識と組み合わせ、実用的洞察を明らかにすることと紹介されています。

また、こうした洞察は意思決定と戦略計画策定の指針として利用できるとも紹介されています。

そのため、データサイエンスは経営の分野において必要不可欠なテーマとなってきているのが実態です。

そして、このような数学や統計、データプログラミング、AIなど総合的に学べる環境が大学のカリキュラムにおいても充実してきています。

近年では、データサイエンスを専門的に学べる学部も登場しており、滋賀大学や横浜市立大学、武蔵野大学、中央大学にはデータサイエンス学部が設置されています。

その他、主要大学の理工学部を中心に、データサイエンスを学ぶことができるようになっており、大学生の段階から将来の意思決定や戦略策定のベースとなる分野を学ぶことも可能です。

経営企画部門は、定性的な論理的思考なども重宝されますが、定量的な会計数値を扱うことも非常に多いため、数字に強くアレルギーがないことは基本的なスキルであるといえます。

法律

会社法をはじめ、民法・商法・税法・労働基準法・独占禁止法・個人情報保護法など、一般的に企業に関連する法律は、コンプライアンスやコーポレートガバナンスと密接に関わってくる経営企画部門としては常に意識しておかなければなりません。

企業に関連する法律以外でも、不動産法や保険法など、業界に関連する数多くの法律系学問が存在する大学もあるため、学ぶ分野はさらに広がります。

法律を学習する中でどのような専門性を身に付けるかにより状況は異なりますが、各法律の独特な言い回しに関する知識は、就業してからでも重宝するでしょう。

学問以外で経営企画職に有利な要素とは?

経営企画職を目指すにあたって、これまでに紹介した学問を学んでいる人や、高学歴な人は採用側から注目されることもありますが、最近では大手企業でも出身大学を参考にしない企業も出てきています。

また、採用の際には次に紹介するような人的要素や、学問以外の要素も企業側として注目しているようですので、ご紹介します。

人柄の良さ

まず、企業で働く場合において一番大切なのは、スキルに先立つものとして、その人の人柄だと考えられています。

いくらスキルが高くても働く人の人柄が良くなければ、社内での雰囲気や一体感を阻害する要因となり、後述するコミュニケーションも上手く機能しない可能性もあるためです。

一緒に仕事をする仲間や、取引先からも良く思われた方が、円滑に業務を進められるでしょう。

したがって、人柄が良いということは経営企画職に限ったことではなく、企業をはじめ社会に出て働く場合において大前提ではないでしょうか。

コミュニケーション能力

さらに、コミュニケーション能力があるかどうかも大切な要素です。

経営企画職は、社長をはじめとした経営陣や部門長、さらには各部門のマネージャー、そしてメンバー層といった、社内のあらゆる立場の人と業務を進めていかなければならない立場といえます。

そのため、相手から課題を聞き出す能力や、相手に対して齟齬なく理解してもらうためにしっかりと伝える能力の双方が求められるでしょう。

人柄とともにコミュニケーション能力も、学生時代に学んできた学問や学歴で向上するものではありません。

相手に対して、常に敬意を払って接する姿勢が重要であるといえるでしょう。

逆に、学歴が高く知識が豊富である場合、いわゆる上から目線で指摘しがちになることもあります。

コミュニケーションを行う相手に対して、専門的な固有名詞を使うのではなく、かみ砕いた分かりやすい言葉で丁寧に伝えていくことも重要であるといえます。

分析力

人柄の良さやコミュニケーション能力という人的要素に対して、分析力については実務遂行スキルとして重要なものとなります。

一般的に分析とは、ある物事や事象、情報などにおいて、それらを構成している成分や要素、側面を明確にすることと言われています。

そして分析力とは、物事や情報の構成要素を明らかにして、具体的に考えをまとめていく能力やスキルといえるでしょう。

企業がおかれる環境下においては、定性的、定量的双方において、様々な情報や事象が取り巻いています。

定性的な面においては、企業を取り巻く事象がどのような状態になっているのか、細かく分析し明らかにすることで、分かりやすく可視化することが必要です。

定量的な面においても、対象となる数値が意味するところを深く分析したうえで、企業の状況を数値化して誰もが理解できるようにしていくことが求められるでしょう。

このように、企業の内部環境や外部環境を分析するのは、経営企画部門としての重要な役割であり、分析力がまさに発揮されると言っても過言ではありません。

また、分析力は普段の訓練や習慣で身に付けることも可能です。

具体的には、新たなインプットの増加による業務に寄与するアウトプットの習慣を身に付けることや、数値が意味する内容を常に意識すること、パズルやクイズなどの考えるゲームで洞察力を鍛えることなどが考えられます。

提案力・問題解決力

前述の通り、分析力が高まれば現状に対する深い分析ができ、インプットする情報量を増やすことでアウトプットとしての新たな発想が生まれてくることが期待できます。

新たな発想が生まれることにより、現状と違った考え方やより良い方法論、さらには競合他社にはない戦略的な発想などが生まれるかもしれません。

それを具現化して社内外に伝えていくことにより、企業として新たな考え方を構築していくことも可能となります。

これを繰り返せば、提案力や問題解決力としてスキルがついてくることとなりますが、これらは必ずしも学歴や知識から生まれるものではないでしょう。

経営企画職においては、全社を動かす提案力や問題解決能力が発揮されることとなり、企業における貢献も非常に大きくなることが期待できます。

実行力・リーダーシップ

分析し、企画・提案するだけでは企業として前に進みません。

経営企画職として、考えたことを具体的に全社で推進していく実行力やリーダーシップが必要になってきます。

実行力やリーダーシップを発揮するためには、既に紹介したコミュニケーション能力により、人に対して説得したり、人を動かしたりする必要も出てきます。

時には、自分自身の人柄に惹かれて協力しようという、社内からの賛同を得ることもできるかもしれません。

これらのスキルは大学や大学院で教わる学問や、学歴で必ずしも構築できるものではなく、普段から意識しながら、また社内における信頼の積み重ねにおいて身に付けていく必要があるでしょう。

経営企画では学歴だけでなく人柄やスキルが重視される

経営企画職は経営陣の参謀であり、会社の重要意思決定における情報収集や特命事項の実施などを行っていく重要な立ち位置といえます。

そのため、高学歴であって深い学習から得られる知識や高度なスキルを持ち、頭脳明晰であることが求められることも多いでしょう。

加えて、IBDに転職する場合は、基本的には中途で経験のある方が採用対象とはいえ、アナリストのポテンシャル採用を狙うなら、会計士を有していれば内定可能性が高まると考えられます。

一方で、学歴や学問の充実だけではなく、人柄、コミュニケーション能力といったその人の持ち味や分析力、リーダーシップなど、社会人経験を通じて学んだスキルも重要となり得るのです。

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>経営企画に関する記事

MBAを取得したら経営企画になれるのか?
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/mbaneeds

経営企画部の仕事は本当に「花形」なのか?【生の声】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_real

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今回の記事では、経営企画で求められる学歴と要素について解説しました。

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