経営企画における情報収集業務とは【能力の高め方と実践方法】

経営企画職を志望する方は、今回のテーマである情報収集のスキルを、日頃から磨いておくことが必須であると言えます。

理由は、経営陣や主要な管理職と会議の際に討議したり、経営課題に対応したりする場合において、担当者として経営に関する幅広い引き出しを持っておき、必要な時に速やかに取り出せる状態にしておくことが非常に重要であるためです。

今回は経営企画職を目指される方を中心に、情報収集業務の重要性や、具体的な情報収集方法について、解説していきます。

【目次】

  1. 経営企画部における情報収集業務の重要性や果たすべき役割
  2. 経営企画部の情報収集業務の内容や業務に必要なスキル
  3. 経営企画志望者や経営企画職が情報収集スキルを強化する際に大切なこと
  4. 経営企画志望者や経営企画職が情報収集力を鍛えるための実践的な方法
  5. まとめ:経営企画業務における情報収集は効率的に行いつつ品質を担保することが重要

経営企画部における情報収集業務の重要性や果たすべき役割

まず、経営企画部における情報収集業務の重要性や、担当者が果たすべき役割について確認しておきます。

経営企画部における情報収集業務の重要性

経営企画部は、おもに経営面を中心とした幅広い情報を収集し、取捨選択して経営陣に有益な情報を提供していかなければならないという、経営面における重責を担います。

社長をはじめとしたCXOや経営陣は、常に非常に忙しいうえ、経営企画部門だけではなく、あらゆる部門の情報を収集し、自ら有効的な情報を瞬時に取捨選択して、経営の意思決定に活かしていく必要があります。

そのため、経営陣の身近にいる経営企画部においては、経営陣から要請された情報提供について、速やかに、正確なアウトプットを出していかなければならない立場にあると言えます。

情報収集業務を通じて果たすべき役割

経営企画部としては、自社が所属する市場や業界のトレンド、競合他社の動き、時には顧客のニーズなどに関する情報を、常に最新のものとして持っておくとともに、これらの情報を分析・評価して保有しておく必要があります。

新たな市場への進出や、新製品・サービスの提供を検討する場合において、経営企画部は、様々な情報提供を要請され、準備することとなります。

具体的には、海外に進出する場合であれば、経営陣が具体的かつ根拠に基づいた判断を行うために、現地の経済状況や政治的リスク、競合他社の戦略、規制環境などに関する情報を収集し、提供する必要があるでしょう。

また、新たな事業展開をする際には、そこにリスクは存在しないかというリスク管理も重要であり、経営企画部は全社のリスク管理にも責任を持つこととなります。

そのため、情報収集活動を通じて、外部環境の変化や市場の変動、法的な規制の変更など、組織に影響を与える可能性のあるリスク要素を把握する必要があります。

そして、リスクだけではなく、ビジネスチャンスも追求する必要があり、市場の新たな成長領域やテクノロジーの進歩などに関する情報を収集し、組織にとっての成長機会を見つけ出すことも大切な役割です。

例えば、競合他社の新製品や新規ビジネスモデルが出現した場合、経営企画部はその情報を迅速に収集し、競争力を維持するための対策を経営陣に提案する必要があります。

市場トレンドや顧客ニーズの変化に敏感な必要があり、場合によっては新たなビジネスチャンスを探し出す役割も担うこととなるでしょう。

経営企画部の情報収集の重要性を考える資料として、株式会社日本総合研究所が2016年4月に行った「経営企画部門の実態」という、874 社を対象としたアンケート調査結果があります。

そこでは、情報収集活動について、増益傾向の企業と減益傾向の企業によって、結果が顕著に出ていることが読み取れます。

企業の業績と絡め相対的に比較した結果、「非公開の業界情報を社外から取得している」とする割合の差が最も顕著となっており、増益傾向企業はこの傾向がより強い結果となっています。

したがって増益傾向企業は、社外から取得した非公開の情報を上手く活用して、増収へ導いているのかもしれません。

このアンケート結果から、情報収集の役割を十分に発揮し、増益企業に導いて行く重要な役割を果たすのが、まさに経営企画部と言えます。

経営企画部は組織の未来を見据え、意思決定の質を向上させるために欠かせない存在であり、情報収集はその役割を果たすために不可欠な要素です。

経営企画部の情報収集業務の内容や業務に必要なスキル

次に、経営企画部がどのような情報を収集しておく必要があるのか、またその収集の際に必要なスキルについて、確認しておきます。

情報収集業務の内容

経営企画部における情報収集は、組織や業界の現状、将来のトレンドに関する幅広い情報を収集することを目指していく必要があります。

具体的な業務内容としては、まずは、市場調査と競合分析が挙げられます。

新規市場や既存市場の調査、競合他社の戦略や製品に関する情報の収集を行うことで、市場の成長率や需要予測、競合他社の動向などを分析し、組織の戦略立案に活かすことができます。

また、テクノロジートレンドの追跡も必要となるでしょう。

新興技術やDXの動向を追い、組織にとって有益なテクノロジーの導入やイノベーション活動に関する情報を収集します。

そして、政治・経済情勢を監視することも、企業にとっては非常に重要です。

政治的な動向や経済指標の変動に関する情報を追跡し、組織の意思決定に影響を与える要因を予め分析しておき、経営陣に提示する必要性が出てくるでしょう。

情報収集に必要なスキルは分析力や問題解決能力

経営企画部の情報収集には、次に紹介するようなスキルと能力が求められます。

まずは情報収集能力として、幅広い情報源にアクセスし、必要な情報を迅速かつ効率的に収集する能力が必要となります。

情報収集手法やツールの選択、情報のフィルタリングと評価を行うスキルが重要です。

次に、分析力と問題解決能力が挙げられます。

収集した情報を分析し、組織の課題や市場参入への機会や可能性を明確に把握する能力が必要不可欠です。

これにより、複雑な社内外の経営情報を整理し、成功パターンや傾向を抽出・分析して、自社の現状と比較することによって問題解決に結びつけることが可能となります。

そして、判断力と意思決定能力も経営企画部やメンバーとして必要であると言えます。

収集した情報が、組織の戦略や方針を策定するために自社の状況とマッチしているかどうか見極める、的確な判断力が必要です。

情報の優先順位付けやリスク評価、意思決定の迅速さと正確さが、経営陣同様に経営企画部やメンバーにも求められてくると言っていいでしょう。

さらに、コミュニケーション能力も非常に重要です。

収集した情報や分析結果が相手に対して的確に伝わるように、報告や共有をする必要があります。

そのためには、関係者が望んでいることに配慮しながら、コミュニケーションを円滑に行うことや、上司やチームメンバーに対する協力要請や調整、プレゼンテーションスキルなども必要となるでしょう。

経営企画志望者や経営企画職が情報収集スキルを強化する際に大切なこと

経営企画志望者や経営企画職メンバーにとって、情報収集スキルを強化する際に大切なことはどういった点でしょうか。

膨大な情報を収集し、効率的に整理、活用することが求められるため、念頭に入れておいた方が良いことを確認しておきます。

情報収集目的の明確化

そもそも何のために情報収集を行うのかを明確化しておく必要があります。

どのような情報を拾い分析すべきなのか、上からの要請により随時その目的が変わってくると考えられるため、常に目的に立ち戻って情報収集業務を行っていくことが重要です。

経営陣や上司からどういうアウトプットを要求されているのか、的確に把握することにより、目的も明確になってくると考えられます。

また、くれぐれも情報を収集することや蓄積、分析することを目的にしないことも大切です。

収集した情報を、どのように分析して、アウトプットとして経営陣に対して提示し、計画や戦略などの意思決定に活かしてもらうかという点を意識しておく必要があるでしょう。

信ぴょう性の高い情報源の選択

経営企画部が収集する情報は、経営の意思決定に利用する情報であることから、信ぴょう性が高い情報である必要があります。

信ぴょう性が高い情報と言われるものは、一次情報です。その情報に関して関連性が高い企業や政府といった官公庁、専門家が出しているものです。

これらは時には有料情報であることも考えられますが、情報を購入したり、調査を通じて情報を入手したりすることも想定し、予め情報収集用予算を取っておくことが重要でしょう。購入が必要な情報を事前に絞っていくために、経営陣に提示するアウトプットのイメージを明確化することが大切です。

情報収集と情報整理の効率化

先ほど紹介した株式会社日本総合研究所のアンケート結果によると、減益傾向の企業が相対的に時間を費やしているのは「情報収集活動」や「定型的な資料作成」となっており、経営企画部の活動の力点の置き方と企業業績に一定の関係性がみられるようです。

情報収集や集計結果などの資料作成には多くの時間がかかることがあります。本来時間をかけるべき業務に手が回らず、成果を出せないといった事態にならないよう、タイムマネジメントを上手く行うことが重要です。

経営企画の他業務も並行して行う中で、情報収集や資料作成に使う時間を適切に配分することで、効率的に情報収集する方法を考える必要があるでしょう。

経営企画志望者や経営企画職が情報収集力を鍛えるための実践的な方法

最後に、経営企画を志望される方にとって、情報収集力を鍛えるための実践的な方法を紹介します。

定期と非定期に分けた情報収集とルーチン化

これまでに記載してきたとおり、経営企画部としては、政治や経済、そして世界の情報やカントリーリスクなど、おもに企業の外部環境に関する情報を収集する必要があります。

そのためには、情報収集手法の形を作り、日次・週次・月次などで定期的に収集するもの、または非定期的に随時収集するものなどを決めてルーチン化しておくことも大切です。
たとえば日次や週次として、競合企業のIRサイトやリリース情報、業界団体のレポートなどの収集があるでしょう。

また、月次として、毎月出されるマーケットレポートやトレンド予測、政府機関のレポート、経済ニュース、国際機関の報告書などが考えられます。

さらに、四半期ごとに、上場企業の場合は主要競合他社の財務報告書や業績発表、アナリストレポートなどを確認する必要もあるでしょう。

これらの収集と分析をルーチン化することにより、業界トレンドに対する情報感度を強化することができるうえ、自分自身でも市場動向や国の動きを途切れることなくキャッチアップしておくことができます。

ただし前述のとおり、情報収集を行うことだけを目的とせず、利用方法などのアウトプットを意識しながら行うことや、効率的に情報収集を行っていくことが重要です。

そして、情報は定期的に棚卸を行い、今後継続して収集することの要否も検討していく必要があります。

情報収集のためのツールの選定

自ら各競合サイトを回って情報を取りにいくよりも、定期的に配信や更新されるものについては、更新された段階で情報が入手できる仕組みを構築しておくことも効率化のひとつです。

とりわけソーシャルメディアを活用すれば、無料であっても収集する側にとって有益な情報を入手できます。

X(旧:Twitter)やFacebookなどで業界の専門家やリーダー、企業アカウントなどをフォローやリスト化することで、タイムリーに入手できるでしょう。

業界や専門領域に特化しているオンラインコミュニティへ参加すれば、他メンバーとの情報共有やディスカッションを通じて、有益な情報を手に入れることができるかもしれません。

また、気になるトピックスを中心に配信するニュース集約サービスを用いることで、特定のキーワードやトピックに関連する最新のニュースやウェブ上の情報をメールで受領できます。

自社や業界のキーワードを設定し、競合他社や市場動向に関する情報収集を自動化することも可能です。

さらに、企業における情報収集のテーマが明確であれば、媒体と有料契約を行うことにより、信頼度が高い有力な情報を入手することができます。

各新聞社が提供している有料情報や、市場情報を専門的に提供する企業との契約など、通常のWeb検索では出てこないような信頼性の高い情報に常に触れておくことも有益でしょう。

経営企画志望者個人としては、有料情報にアクセスするには金銭的な面でも限界があるので、良質な有料媒体を購入するための選別が必要となります。

一方企業として、または経営企画部としては、入手する情報手段における利用頻度や活用成果が出ているか、コストが無駄になっていないかなど、定期的な見直しが必要です。

外部環境分析を実際にやってみる

情報収集する段階ではイメージしにくいですが、情報収集の段階からどのようなアウトプットが可能かをイメージすることが大切です。

実際に与えられたミッションが「ある分野に関する情報収集」であったとしても、情報を収集して、その後どのような活用のされ方をするのか、経営陣が必要とする情報のアウトプットから逆算することで、質の高い情報を出していくことも可能となります。

経営陣が必要とする情報のアウトプットは、オンライン上で出ている情報そのままという訳にはいかないと考えられます。

そのため経営企画部の役割にもよりますが、経営企画部側で、ある程度の外部環境の分析結果が入ったものをアウトプットすることになるでしょう。

また、分析結果は経営の意思決定に直結する可能性が高いことから、情報源は非常に精度が高く、かつ信頼性や客観性が求められる情報となり得ます。

したがって、そのような情報を予め集めることができるような訓練が必要です。

また、外部環境分析を行う場合には、情報の信頼性や適時性を確認することで、信頼できる最新のものであるかどうかを見ておく必要があります。

そして、活用したデータが二次利用可能なものかという点も重要です。

企業内や個人利用の範囲内で分析する場合は問題ないものの、そのデータをIRやプレスリリースなどで対外的に開示する場合は、著作権侵害の問題も発生するため、状況に応じてデータの発行元に使用許可を得る必要が生じます。また許可を得たとしても、データを引用する場合は、必要性があるものだけに絞り、自社資料の本文とは明確に分けて記載するといったルールを守ることが重要です。

情報収集活動の継続と学習の習慣化

情報収集活動についてより効率的に進めていくためには、前述のとおりルーチン化するための時間枠を設け、継続的に作業していくことが重要です。

さらに、継続的に情報を入手し、質の良し悪しを判断していくことで、収集する情報の品質の向上にも期待できます。

とりわけ経営企画志望者にとって、どの業界でも活用可能な経営情報における得意分野を確立し、継続的に情報収集しておくことは重要です。

また、情報収集に対するスキルアップとして、専門書籍を活用したり、オンラインコースを利用したりして、情報収集に関する体系的な知識を取得しておくことも有効でしょう。

まとめ:経営企画業務における情報収集は効率的に行いつつ品質を担保することが重要

今回は経営企画職を志望する方にとって、身に付けておいた方がよい情報収集スキルについて紹介しました。

経営企画業務は、他にも経営に関する幅広い業務をこなす必要があることから、情報収集に割ける時間は限られてくるでしょう。

一方で、効率的に品質の高い情報を収集し、自ら分析のうえ経営陣に提供することで、経営の意思決定に寄与する重要な役割を果たしていることを強く意識する必要があるといえます。

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>経営企画へのキャリアに関する記事

経営企画部門におけるデータ分析の効果や業務で活用する上での課題
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporate_planning_dataanalysis

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今回の記事では、経営企画における情報収集のポイントをお伝えしました。

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