はじめに
業界を問わず給与水準が比較的高く、経営陣との距離も近い職種として、経営企画職が挙げられます。
経営企画職は企業としても重要度の高い人気の職種ですが、今回は未経験者でも経営企画に転職が可能なのかどうかについて検証してみます。
【目次】
- 未経験でも経営企画に転職は可能か
- 未経験でも経営企画へ転職可能なおもな理由
- 未経験で経営企画に転職するために必要なスキル
- 未経験で経営企画に転職するために必要なキャリアは
- 未経験可の経営企画職求人例
- まとめ:未経験でも経営企画職に転職は可能
未経験でも経営企画に転職は可能か
経営企画未経験者が経営企画職に転職することは可能なのでしょうか。
ずばり結論ですが、これまでのキャリアの中で経営企画が未経験であっても、経営企画職への転職は十分可能といえます。
経営企画は、経営面だけのスキルや経験だけが必要であるという訳ではなく、全社的な観点で業務を見ていく必要があることから、むしろ経営に近い所だけではなく、現場で培ったスキルや経験も重宝されるためです。
ただ、経営企画といっても、組織編成や戦略により、企業において役割が異なることも考えられます。
具体的に次章以降で、一般的な経営企画業務への転職が可能なおもな理由を、細かく確認していきます。
未経験でも経営企画へ転職可能なおもな理由
これまで積んできたキャリアや年齢によっても大きく違ってくる可能性はあるかもしれませんが、特に採用難の今、未経験であっても経営企画職への転職の可能性は大いにあります。
さらに、これまでの経営企画業務の範囲から拡大し、経営という観点で幅広い役割が求められてきているのも事実です。
具体的に、未経験者が経営企画へ転職可能なおもな理由を紹介します。
必ずしも業務経験が必要ではないため
冒頭でも少し触れましたが、経営企画業務経験の必要性の有無が挙げられます。
経営企画職に初めて着任する方は、内部異動であっても、転職による外部からの入社であっても、前職は誰しもが未経験からの出発です。
最初から経験しているのは、新卒後初めての配属が経営企画室であったという方のみとなります。
内部での異動であっても転職であっても、これまで経験した業務や蓄積したスキル・強みが、経営面の幅広い分野を扱う経営企画でも非常に重要であり、今後あらゆる場面で活きてくるはずです。
特に雇用の流動性が激しくなっている現在においては、後述する求人例を見ても、多様な経験やスキルが経営企画に求められていることがわかります。
経験した部門の応用が効くため
経営企画以外の部門に就業していた方でも、必ず部門内で改善・改革に取り組んだことがあるかと思います。
経験上は部門内の改善であっても、その経験やスキルを全社的視点に広げていくことで、社内全体の改善・改革に寄与できることとなります。
部門的視点を全社的視点に変えるだけで、経営面の視点として応用できるため、どのような方にとっても可能性があるのではないでしょうか。
ほかにも、事業部門やセールス部門にて、外部との折衝を担当していた場合を考えてみましょう。
この場合、自社の部門内の製品・サービスと、協業する他社部門の製品・サービスを対象としたプロジェクト経験に限られるかもしれません。
しかしながら、全社視点で考えた企業対企業の取り組みは、部門ではなく経営企画で実施することが考えられます。
部門内の製品サービスを扱うか、企業全体の事業を扱うかの違いはあるものの、企業対企業の取り組みは、経営企画部門だけの業務ではなく、他部門でも実施していることでしょう。
ほかにも例を挙げると多くの可能性が考えられますが、このような部門での経験やノウハウが、経営企画でも活きてくることとなります。
ポテンシャル採用も比較的多いため
20〜30代の人に特に当てはまるかもしれませんが、新たに入社するメンバーとしてこれからキャリアを積んでいくにあたって、企業から今後の成長の伸びしろを見られるでしょう。
その場合、例えば経営企画部門での就業経験がない20代の方であっても、他部門での充実した経験や将来のキャリアプランが明確であれば、成長の可能性を見出してもらえることもあります。
また、優秀な若手社員の獲得については超売り手市場にあることから、どの業界、業種、さらに企業の規模を問わず苦戦している傾向にあります。
そのため、経験がなくても経営企画を志望する成長真っ只中の20〜30代にとっては、可能性は非常に高いと言えるかもしれません。
未経験で経営企画に転職するために必要なスキル
将来的に経営企画職に就きたい場合に、あらかじめどのようなスキル・マインドを備えていると面接や入社後に有利なのでしょうか。
全てを漏れなく備えている必要はありませんが、どれかが自分自身の強みになっているとアピールできるかもしれません。
具体的に持ち合わせておいた方が良いスキル・マインドを紹介します。
企業経営に興味がある
各キャリアを通じて経営企画職に転職できる可能性は、まさにここにあると言ってもいいかもしれません。
事業会社の社長職は、業界特性にもよりますが、セールスや開発、企画系など様々です。
これは会社の経営に携わる場合において、必ずしも経営関連職に携わってきた方が社長に就任するわけではないということです。
経営企画も、社長をはじめ経営陣の側近とも言える職種ですが、企業経営上、現場の知識やノウハウが必要とされることから、あらゆる経験が活きてくるでしょう。
経営企画関連のスキルがないところから経営企画職を目指すのであれば、まずは経営に興味があるかどうかは重要なポイントです。
論理的な思考を意識している
経営企画部門は、経営者が経営の意思決定をするための材料を準備したり、提案をしたりしなければなりません。
そのため、経験や勘といった定性的なものよりも、定性的なものであっても論理的に検討された考え方や、定量的なアウトプットが必要となります。
従って、日頃から具体的に考えることを習慣化することにより、論理的な考え方を常に意識しておくようなスキルを身に付けておくと、選考においても有利に働くでしょう。
経営企画の面接においても、採用担当以外に上長である経営企画責任者や、企業によっては社長がでてくることも考えられます。
そのような方々にとっては、論理的な考え方が習慣化されており、面接時に論理的に考えているかどうかは瞬時にわかります。
論理的思考力は特に経営企画特有のスキルではないものの、すぐに身に付くものでもないため、普段から意識しておくと良いでしょう。
数字に強い
先ほども経営陣とのコミュニケーションは、論理的で定量的である点に触れましたが、定量的な説明が必要になるということは、数字に強くなっておくことが重要です。
転職前の段階であらかじめ、細かな財務分析や経理数値が理解・分析できれば尚可ではありますが、これらは経営企画部門に入ると日々接することとなるので、わからないところはスキルアップすることで補えるでしょう。
それよりも、数字に違和感なく接することができたり、数字の意味するところが理解できるスキルは、経営企画特有のものでもなく、他部門でも必要なことなので、身に付けておくと良いといえます。
現場感覚を持っている
経営企画部門に所属した場合には経営陣と接することが多いため、トップマネジメントの意向ばかりに引っ張られてしまいます。
そのため、本来会社で起きていることや現場課題の把握が後回しになりがちであり、現場感覚が失われることもあります。
トップマネジメントの意向とともに、現場で起きている課題のキャッチアップができれば、経営陣に対する提案力も増すかもしれません。
さらに、現場とのコミュニケーションを円滑に進められるスキルがあれば、現場の課題を吸い上げやすくなるでしょう。
情報感度が高い
自社が所属する業界のトレンドや競合他社の動きなどを常に意識するような、情報を収集することは、経営企画部門だけではなく、営業部門や企画、開発部門でも一般的に必要とされることです。
特に経営面においては、市場動向を迅速にキャッチし、経営陣と共有することで次のうち手を早期に検討することができます。
そのため、どの職種についていても、日頃から所属する業界情報をキャッチアップすることで、情報感度を上げておくことが良いでしょう。
未経験で経営企画に転職するために必要なキャリアは
経営企画に転職するためには、どのようなキャリアを歩めば可能性が生まれるのでしょうか。
どの職種でも可能性はあると考えられますが、特に就業者が多いキャリアを例に確認していきます。
営業系キャリア
営業系キャリアにおいて培った顧客との折衝力や、顧客をその気にさせる巻き込み力は、経営陣に対するコミュニケーションや提案にて発揮されます。
さらに、営業面での売上高や粗利益などの指標、受注や需要予想などは、経営企画業務として、経営数値分析や業績予想として応用できるでしょう。
また、キャリアの中で営業戦略を練ってきた論理的な思考スキルは、経営戦略にも置き換えられるため、有用なスキルとして活かすことができます。
企画系キャリア
企画といっても、経験業界、扱ってきたサービスや商品、製品は様々なタイプに分かれるかと思いますが、根本的な考え方は同一であると言えます。
競合他社製品やサービスを分析したり、また顧客リサーチをしたうえで分析を行い、なんらかの企画の方向性を出すといったプロセスは、企業ごとに手法は違えど似ているところがあるかと思います。
また、このような思考プロセスは経営企画の中での競合他社分析や新たな経営手段をアウトプットする方法とも近いのではないでしょうか。
管理系キャリア
人事や経理、財務、総務などの管理系部門は、経営企画部門と同様にバックオフィスとして扱われることも多いでしょう。
各機能は互いに連携しながら、企業経営をサポートしていく役割です。
人事は戦略面に落とし込むと、組織戦略や人事戦略など、経営面とも被る分野です。
経理は、財務会計をおもに取り扱う分野ではありますが、経営企画が取り扱う管理会計とかなり密接な関係にあります。
財務においては、キャッシュフローや資金調達、金融機関や投資家との折衝など、経営企画と切っても切れない関係です。
したがって、管理系キャリアを持っている方であれば経営企画との接点も多いので、これまでの経験をすぐに経営企画業務につなげられる可能性が高いでしょう。
コンサルタント系キャリア
コンサルタントから経営企画への転職は、扱う対象が双方とも経営分野であるため、比較的イメージしやすい分野であるかもしれません。
コンサルタントにおいても経営分野以外を行っている可能性がありますが、ベースとなっている論理的思考や分析、フレームワークなどのスキルは、すでに業務上身に付いているともいえます。
思考したうえで顧客に提案して終えることが多いコンサルタントに対して、経営企画は思考したうえで経営陣への提案、そして提案後の業務は経営企画側に跳ね返ってきて、そのまま実施しなければならないこともあるため、その点の違いが考えられます。
未経験可の経営企画職求人例
最後に、未経験でも応募が可能な経営企画求人例を4つ紹介します。
各求人例は、経営企画に関連する業務に限定されない、幅広い経験を求めている傾向にあると言えます。
Webサービス系上場企業A社
募集ポジション:経営企画担当 仕事内容: ファイナンス業務として、 年収:400~700万円 業務経験: 歓迎スキルは以下のとおりです。 経営企画での募集ですが、財務面も業務として入っていることから、財務経験を積みたい方や、その経験者が望ましい求人であると言えます。 |
メーカー系上場子会社B社
募集ポジション:経営企画担当 仕事内容:これまでの経験を基に担当業務を決定 年収:380~450万円 業務経験:職種未経験歓迎・異業種からの転職歓迎とあり、財務分析や原価管理、経営状態分析などの知見がある方を歓迎しています。 必須スキルは以下のとおりです。 歓迎スキルは以下のとおりです。 メーカー系企業とあり、業務内容や歓迎スキルから考えても、製造や生産部門でのキャリアがある方も可能性がありそうです。 |
SI系上場子会社C社
募集ポジション:経営企画ポテンシャル採用 仕事内容: 年収:500~850万円 業務経験:業界、職種未経験歓迎として、以下のスキルを求めています。 必須スキルや条件は以下のとおりです。 歓迎スキルや条件は以下のとおりです。 IT業界での経験が必須ですが、営業企画や管理部門経験など、経営企画とは関係ない職種からでも経営企画にチャレンジできるポジションです。 業務の中には広報サポートもあり、分野的には経営企画にとらわれない、むしろ巻き込み力が求められる求人といえます。 |
ECサイト運営ベンチャーD社
募集ポジション:経営企画(リーダー候補/ポテンシャル採用/未経験可) 仕事内容:CEO直下にて全社のKPI管理/戦略企画をリードする重要な部署における、部門を横断したプランファイル(Excel)の作成から管理、各部門の戦略プロジェクトにも関与する業務です。 年収:600~799万円 業務経験:必須スキルは以下のいずれかの経験がある方です。 必須とされている管理会計実務は、経営企画以外でも、事業部門であれば取り扱うことも多いため、営業や事業管理経験者であれば可能性があるかもしれません。 ポテンシャルを重視している求人であるため、会社のカルチャーや業務内容に興味、関心があれば、チャレンジできる求人かと考えられます。 |
まとめ:未経験でも経営企画職に転職は可能
未経験で経営企画に転職するために必要なスキルやキャリアを紹介しました。
企業にとっては売り手市場でどの職種においても採用難が続いており、スキルやキャリアを積んだ方にとって有利な環境となっています。
そして、今回紹介したとおり、経営企画の未経験求人は業種、業界問わず出ています。
経営企画経験がない方でも、今回紹介したスキルやキャリアを意識することで、経営企画職への転職が近づくのではないでしょうか。
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