経営企画の繁忙期と業務内容の違い・乗り越え方を解説

busy season

経営企画職は役割上、仕事が急に重なる繁忙期と、そうでない時期の差がある職種のひとつです。

管理系スタッフ部門の中では、経理職や労務職も業務上において時期的に繁閑の差があるかもしれません。

今回はとりわけ経営企画職において、繁忙期と通常期でどのような業務の違いがあるのか、また繁忙期における業務負担とその解消方法、乗り越え方について解説します。

【目次】

  1. 経営企画の繁忙期とは
  2. 経営企画における繁忙期と通常期の業務の違い
  3. 経営企画業務において過酷であると感じる可能性がある事は?
  4. 経営企画業務が過多の場合の解消方法や乗り越え方の工夫
  5. 経営企画の繁忙期には対話とスキル向上で仕事をうまくこなすことが大切

経営企画の繁忙期とは

経営企画における繁忙期は、各企業における方針や経営企画の役割にもよりますが、一般的には経営や事業の節目である月次や四半期、年次において業務のピークがくることが考えられます。

それぞれの時期において、具体的にどのようなイベントや業務があるのか確認します。

月次の繁忙期

経営企画の月次における繁忙期には、管理会計や財務会計における月次決算の集計、部門別や子会社別収益の予実差異分析、担当役員への資料提出や報告、場合によっては取締役会や経営会議への報告も業務として考えられます。

これらを段取り良く経理部門や各事業部門や子会社から情報を吸い上げ、集計することで、全社としての数値を固めていくことが求められます。

月初めの数営業日で経理部門が締めた決算を、意思決定のための資料に落とし込むためには、再集計作業や分析が必要になってくることが、どの会社の経営企画部門でも多いでしょう。

会社が企業グループで構成されている場合は、連結ベースでの予実差異分析も必要となり、さらには複数の事業をやっている企業においては事業セグメントごとの差異分析を行う必要もあり、幅広い分野においての業務対応が求められます。

さらに取締役会が毎月第何週目の何曜日の何時からなど、日時があらかじめ設定されていることが一般的なため、そこに向けて準備していかなければなりません。

また、経営企画部門に与えられる役割によっては、これらの定量的な作業や分析に加えて、会議体の段取りや定性的な分析資料なども準備することがあります。

四半期の繁忙期

上場企業や上場準備企業など決算を四半期開示しなければならない企業にとっては、月次の作業に加えて、三か月ごとに訪れる四半期で開示のための作業が加わってくることになります。

四半期においては、過去の実績に加えて今後の見通しや、場合によってはこれまで出していた年次業績見通しの修正も検討しなければならないこともあります。

そのためにはどのような見通しにするのかを予め想定しながら、これまでの月次の推移や四半期決算の着地見込みから、新たな見通しを作成する必要があります。

上場企業であれば、四半期決算や今後の見通しは取締役会の決議を経てリリースする必要があることから、取締役会のための段取りや、決議後に開示するための決算短信等も経理部門と連携しながら準備していく必要があります。

さらには、IRを通じて対外的に開示する場合、四半期開示資料も経営企画で準備や確認することも考えられ、決算対応とともに準備していく必要があるでしょう。

そして、説明会を開催する場合は、これらの資料に加えて、説明のためのシナリオや説明会における質疑応答のためのQ&Aの準備等も、経営企画の役割によっては想定されるところです。

年次の繁忙期

年次においては、これまでの月次、四半期の積み重ねですが、企業としての年次決算が必要となります。

年次決算においては、上場企業であれば監査法人からのレビューも年次のものが必要であり、経理部門が主に対応する場合であっても、経営企画部門は何らかの形でその状況を知っておく必要があります。

数値が固まれば、四半期決算で記載した内容を、年次ベースで開示していくとともに、翌年度はどのような見通しで全社の事業を進めていくのか、対外的にリリースすることも求められるでしょう。

また、未上場企業であっても、月次や四半期はさほど厳密に実施する必要がなかったとしても、年次の決算対応は期日通りに決算申告等が必要になります。

上場準備状態でN-3〜N-1であれば、年次決算を取りまとめ、予実差異を明らかにする必要があるうえ、来期はどのような見通しで業務を進行していくのか、予算を立案の上、まとめていく必要があるでしょう。

また上場もしておらず、上場準備の予定もない企業であっても、銀行借入がある場合はメインバンクに対してどのような1年間だったのか、今後どのような計画で事業を進めていくのかまとめることを求められます。会社業績を正確に伝えられるように、準備しておくことが大切です。

随時発生する繁忙期

月次、四半期、年次以外に時期は特定できないものの、必ず繁忙期となるイベントがあります。

年度や中期経営計画、予算の見直しタイミング、さらに経営上重要な事項が起こった場合の対応です。

年度の事業計画においては、毎年一定の時期に策定して対内的、または対外的に開示することがあると考えられます。

一方で、中期経営計画を開示するのは、必ずしも年度計画と同様の時期とは限らず、企業が決めた時期に開示することもあります。

さらには、事業計画や予算修正を行うタイミングとして、計画や予算に対して業績見通しと乖離がでそうな場合、上場企業であれば速やかに開示することもあるでしょう。

また、M&Aや資金調達、意図しない事故など、経営上重要な突発事項についても対応が必要となります。

このように、企業として予定はされているものであっても明確に時期を定めることができないイベントや、突発的なイベントが発生する場合には、急に経営企画部門が繁忙期となる可能性があります。

経営企画における繁忙期と通常期の業務の違い

前項の月次、四半期、年次の対応を見れば、経営企画部門は常に繁忙期であると捉えられるかもしれません。

しかしながら、それらの間は一定程度繁忙期ではない期間も考えられます。

繁忙期とそれ以外の通常期において、どのような業務上の違いがあるのか、確認します。

経営企画の繁忙期のおもな業務とは

月次や年次、四半期においてやるべきことについて紹介しましたが、期間の区切りにあたる決算に関連する業務が立て続けに出て来ることが想定されます。

前述した決算に関する一連の業務以外であれば、企業によっては総務部門や法務部門等が実施することも考えられますが、株主総会に関連する業務も毎年一定の時期に訪れることとなります。

上場企業であれば、一般の株主が出席することもあり、企業に対するさまざまな質問が寄せられるでしょう。

とりわけ、経営に関する質問については、経営企画が準備することが想定されますので、リハーサル等も含めて、総会開催前は一時的に立て込むことが想定されます。

また、月次の定時取締役会とは別に、経営会議が開催されている場合は、そのための準備も想定されるでしょう。

企業によっては、経営会議は取締役会での報告とは別に、経営課題を討議する場として設定されていることもあります。

そのため、経営企画部門が主体的に経営会議の事務局を担うことも多く、経営会議前においては各部門や子会社などからの課題の吸い上げ、さらに資料の準備や議題の設定等が考えられます。

さらに、企業によっては事務局だけではなく経営会議の参加メンバーとして、経営企画部門長やマネージャー、時にはそれ以外のメンバーも入っていることもあり、発言が求められることもあるでしょう。

経営陣をはじめとした主力メンバーが参加する貴重な場の中で、限りある時間内でいかに効率的に議論を進めて結論に導くことができるかも、経営企画部門における準備次第のため、相応に時間を割く必要があるといえます。

経営企画の通常期のおもな業務とは

これまで記載したとおり、繁忙期における経営企画の業務は、必ず実施しなければならない重要な業務が中心であるうえ、基本的に期日が設定されているのが特徴です。

対して、通常期の業務としては、繁忙期に差し掛かる準備のための業務や、経営企画部門内で完結する業務、さらに特に期限が切られておらず長期的な課題として設定されている業務などが想定されます。

繁忙期と繁忙期の間になすべきこととしては、この通常期において、繁忙期に手戻りなく、スムーズに業務をこなすための業務フローを整えたり、より意思決定の確度を上げるための調査や分析、さらには社長をはじめとした経営陣の特命事項への対応などが考えられるでしょう。

ただ、通常期に行う業務であっても、繁忙期に重なってくる可能性もあることから、部門全体やメンバーのリソースが確保できる段階で、先回りして実施しておくべきことが必要といえます。

経営企画業務において過酷であると感じる可能性がある事は?

経営企画業務において、過酷であると感じる可能性がある業務として、どのような事が考えられるか紹介します。

提出までの緊急性が高い

まず考えられる業務としては、提出期限に余裕がなく緊急性が高いものです。

とくに社長をはじめとする経営陣から経営企画への要請は、急を要するものが多く、なおかつ内容においても経営陣がスムーズに意思決定できる、質の高いものでなければなりません。

ルーティンでこなす通常業務以外の突発業務を短期間で行う必要性がある場合、リソースが逼迫することが一般的でしょう。

そうなった場合は、経営企画職として時間との戦いとなるため、比較的過酷な状況を強いられる可能性があるかもしれません。

自分自身に業務が寄りがちである

前述の提出までの緊急性が高い業務が、自分によく依頼されるという場合が想定されます。

経営企画部門としてお願いされやすい立場であったり、業務対応スキルが高かったり、経営陣や経営企画部門長からの信頼が厚いなどの理由であればまだ気持ち的には救われる点はあるかもしれません。

一方で、時間がかかる単純作業を中心とした業務や雑務をこなす必要がある場合は、メンタル的にも負担が掛かってくることが想定されます。

連日残業が続き、深夜に及ぶことがある

提出までの緊急性が高く、かつ自分自身がメイン担当となれば、ルーティン業務をこなしながら並行して緊急対応もしなければなりません。

その結果、連日残業が続き、深夜に及ぶことも想定されます。

緊急性が高いプロジェクトに参加するなど期間限定であればまだ許せる点もありますが、いつ終わるのか分からないような状態が継続的に続くとなると、体調やメンタル面も厳しくなってくることとなります。

また、最近では働き方改革の一貫として労働法制が厳しくなっている中で、会社から残業を減らすようにと指導されている状況と、やらなければならない業務の板挟みになってしまうことがあるかもしれません。

退社後もリモートワークを行う必要がある

連日残業を行うことと並行して、業務が終わらない、このままでは間に合わない場合は、自宅に戻ってリモートワークを継続することも考えられます。

緊急であれば休日も稼働を余儀なくされることもあり、休む暇もない状況となります。

一時的であれば致し方ない面はあるものの、毎週継続する場合は厳しさを増してくる状況になるかもしれません。

経営企画業務が過多の場合の解消方法や乗り越え方の工夫

繁忙期において業務が重複し、業務が過多になる可能性は、経営企画職である場合において誰にとっても十分想定されうるところです。

これらの解消方法や乗り越え方の工夫として、どのような考え方があるのか紹介します。

経営企画部門内での業務の負荷分散やリソース管理

まず考えられることとしては、経営企画部門内でメンバーに対して適切にリソースの配分が行われているかを確認する必要があります。

特定のメンバーに負荷がかかっているようであるなら、マネージャーや部門長はリソースを他のメンバーに配分する等の検討をする必要があります。

負荷が掛かっているメンバーは、そのメンバーにしかできない業務であることもあり、その場合は、他のメンバーに代替がきく業務がないか洗い出して、業務負荷を分散させる必要があります。

元担当者側と引き継ぐ側においてお互いに不満がたまる可能性もありますが、会社や部門として成果を出すためには業務をスムーズに処理することが必要不可欠であるとして、部門長やマネージャーが中心となって、業務の引継ぎを行うことも必要です。

また、慣れないメンバーが業務に時間が掛かってしまっていることもあるかもしれません。

場合によっては、時間がかかっている業務について確認や棚卸を行い、業務進捗をこまめに報告させるフローの整備等、メンバーの業務方法において方向感が誤らないような対応を随時していくことも必要です。

経営企画部門における課題の共有や振り返り

週次の部内の定例会議や日次の朝礼等を通じて、経営企画部門内で現状の課題や対策の共有を速やかに行うことが重要です。

特に重要な決算や経営会議、取締役会等、繁忙期に対応した業務の振り返りや残された課題に対する改善策については、次回に同じ過ちを犯さないようにする観点からも非常に重要です。

これによって、部門としてもメンバー毎の課題に対する今後の対応策を講じるとともに、重要な繁忙期業務においてはメンバー一人に業務を集中させず、また抱え込ませないような対処も必要となるでしょう。

経営企画部門全体と個人双方のスキルの向上

組織や個人がスキルアップすることによって、業務過多になった場合に上手く乗り越える方法も身に付いてくると考えられます。

経営企画部門としてレベルが上がれば、部門としてのパフォーマンスにも優れ、全社における成果も出やすくなります。

そのためには、経営企画メンバー個々のスキルアップも不可欠となります。

経験豊富で経営企画スキルが充実しているメンバーもいれば、他部署からの異動や新卒で新たに配属されたメンバーなど、必ずしも全員スキルが充実している状態ではないことが一般的です。

研修などを通じた個々のメンバーのスキル向上によって、組織としてのレベルを上げていけば、メンバー個人・組織双方における問題解決能力も向上し、リソースを上手く調整する方法や、業務過多であっても乗り切る方法が身に付くと考えられます。

個人目標設定と成果の計測や評価への反映

それでも特定のメンバーの業務が過多になりやすい場合は、過多を解消する方法ではなく乗り越え方に近い方法ですが、過多になった状況でどのような成果を出していくかを、個人目標に入れ込んでいくことも考えられます。

目標に対する半年や年間の成果・貢献度を計測して、人事評価に活かしていくことが望まれます。

経営企画部門長やマネージャーにとっては悩ましい点ではあるものの、業務スキルに長けていて成果を出すメンバーに仕事が集中することは、ある意味やむを得ないことかもしれません。

その観点に立って、部門長やマネージャーは「仕事の報酬は仕事である」という考え方を持ちつつ、面談を通じてメンバーへの説得と理解を求めたうえで、お互いに認識のズレがないように目標を立て成果を計測して、人事評価として活かしていくことも一つの手でしょう。

経営企画の繁忙期には対話とスキル向上で仕事をうまくこなすことが大切

多くの企業において、経営企画部門の役割は似たり寄ったりですが、繁忙期や通常期に訪れるルーティンワークをこなしながら、社長をはじめとする経営陣からの要請に応えていく必要があります。

業務過多になった場合において、経営企画部門のメンバーであれば、部門長やマネージャーとも対話してリソースの調整をお願いしつつも、乗り越えていくことも視野にいれながら、自分自身のスキルをより磨きあげていくこともまた重要といえるでしょう。

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今回は経営企画における繁忙期のタイミングや、通常期との違い、過酷と感じる可能性がある事項、さらには業務過多の解消方法や乗り越え方の工夫について紹介しました。

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