経営企画職を将来のキャリアパスとして考えたい方にとって、日々専門的な経営スキルを身に付けていくことは不可欠でしょう。
着任してからも継続的に学んでいく必要はあるものの、入社企業が一定の即戦力を求めている場合は、足りない箇所は入社前から予め学習しておいた方が、良いスタートが切れるという点でもメリットはあります。
今回は、特に経営企画職を志望されている方向けのスキルアップの方法として、社内外の研修へ参加する効果やおもな内容、注意しておいた方がよい点などを中心に紹介します。
【目次】
- 経営企画職向け研修やセミナーで学ぶことによる効果は
- 経営企画向けに社内で提供される研修や社外で参加できる研修の種類
- 経営企画職向け研修のリサーチ方法
- 経営企画職向け研修やセミナー受講時の注意点
- 経営企画の研修参加時にはキャリアプランを明確に
経営企画職向け研修やセミナーで学ぶことによる効果は
経営企画職に必要なスキルやノウハウを学ぶことができるセミナーにおいて、次に紹介するような効果が期待できます。
戦略的思考や経営全体の理解の促進
経営企画職向けの研修においては、戦略的思考を養い、経営判断力を高めるための手法やフレームワークが学べるものもあります。
そのような研修を通じて、戦略的な視点で経営課題を分析し、解決策を提案する内容を学習することで、将来的な企業や組織の成長にも貢献できるかもしれません。
さらに、経営全体の概念やビジョン形成について学ぶ機会もあるでしょう。
経営の全体像を理解することで、組織の目標や戦略に合わせた具体的な計画を策定するスキルを学ぶことができ、将来的には経営参謀として活躍できるベースが身に付くこととなります。
ビジョンを理解し形成する力は、経営企画職に限らず、経営層をはじめ、経営企画職以外のマネジメント層全般にとっても重要なスキルといえます。
ビジョンをしっかりと理解しておかないと、自身の動きが経営方針とは違った動きになってしまい、会社としての一貫性が保たれないだけではなく、他部門への悪影響が大きく出てしまうためです。
とくに経営層のビジョンを理解しながら、社内の多方面に対して働きかける必要がある経営企画職にとっては、身に付けておくべき非常に重要なスキルでしょう。
参加者とのネットワーキングと知識共有の機会
経営企画職志望者や現職の参加者が多い社外の研修は、他の企業から参加している経営企画職と交流できます。
さらに、ビジネスの実践で活躍している講師との交流も可能となるでしょう。
研修に組み込まれているネットワーキングを通じて、他の経営企画担当者との情報共有やアイデアの交換ができるため、自身にとって新たな知識の吸収や視野の拡大ができるかもしれません。
また、機密情報を開示しない範囲内で、グループワークを通じたディスカッションもあることから、その場において自社の経営課題を相手に的確に伝えるための、コミュニケーション能力の育成も期待できます。
キャリアパスの構築と自己成長の機会
社内外の研修やセミナーに主体的に参加することで自己研鑽を行い、スキルを身に付けることにより、どのようなキャリアを描いていきたいのか、考える機会も増えるでしょう。
研修を通じて足りない箇所を補い、重要なところは強化して、経営企画に必要なスキルを充実させることで、今後の成長促進にも繋がっていきます。
当然、同じ時間を使うのであれば、会社からの要請であっても義務的な気持ちでの参加ではなく、主体的な参加の方がより効果的です。
結果的に、新たに経営企画職のポジションへの就任や、身に付けたスキルを活用することで昇進の機会に繋げていくことができます。
経営企画向けに社内で提供される研修や社外で参加できる研修の種類
経営企画職としては、普遍的な経営基礎スキルとともに、継続的に時代の流れに沿ったスキルも身に付けていく必要があります。
この章では、おもに社内で提供される研修内容や、社外で開催される研修の特徴について解説します。
社内で提供される経営企画職向け研修内容
社内の経営企画職向けにフォーカスされた研修内容としては、経営企画部門長に加え、経営企画室と関連する人事や財務部門が開催するものが想定されます。
とりわけ、企業の特徴を盛り込み、OJTとも連動する自社の意向を反映したものであることが多いでしょう。
具体的には、自社の経営戦略やビジョン、ミッション、カルチャーなどの特徴について、経営陣をはじめとして、経営企画部門や人事部門の責任者からレクチャーを受けることが考えられます。
また、OJTと連携して行われるものとしては、自社の経営計画の方針や計画立案方法、さらに、事業部門の責任者から、自社の事業戦略についてのレクチャーを受けることになるかもしれません。
そして、具体的な経営企画部門の業務内容や社内の役割などは、経営企画部門長やマネージャーからレクチャーを受けることになるでしょう。
一般的かつ基本的な経営戦略や中期経営計画などは、経営企画職のスキルを深める外部研修として、受講するケースが考えられます。
社外の講師を使って、企業独自にアレンジしたものも考えられますが、少数精鋭である経営企画職にフォーカスした研修は、企業としてのマスメリットを考えると、実施する企業は少数かもしれません。
どちらかといえば、マネージャーや中堅社員など、同レベルのスキルを持つ人材向けの階層別研修やテーマ別研修、または大企業の社員が多数在籍する職種を対象としたものが多くなるのではないでしょうか。
社外で開催される経営企画職向け研修内容
社外で学ぶ研修としては、あるテーマについて集中的に学びたい方が中心に集まる勉強会のような場が多くなります。
そのため、経営企画職が身に付けるべき普遍的なスキルや、経営企画入門者が受講する基礎的なもの、さらには、経営企画責任者が受講するより専門性の高い上級者向けのものなどが中心です。
参加者としては、企業が教育の一貫として受講を推奨したり、自己啓発として自発的に参加したりする方が中心となるでしょう。
研修内容の一例として、金融機関系の研修会社が開催するものを確認すると、経営全般の基本事項や経営計画においては、経営戦略の立案方法や中期経営計画、予算策定などのテーマ別研修が考えられます。
さらに管理会計にフォーカスしたものとして、KPI管理に限定したものや、CVP分析、財務分析などの事業採算性に関するもの、さらには予算実績管理にフォーカスしたものなどがあります。
財務会計や組織・人事の一般的・理論的な内容、さらにはコンプライアンス・リスクマネジメント、グループ会社管理や子会社管理、DX推進や新規事業、マーケティングに関するものも想定されます。
経営のトレンドとして、ダイバシティ、パーパス実現、ESG/SDGs、DX推進なども多く、今後の経営企画職は学んでいく必要があるかもしれません。
このように、経営企画職は経営全般について幅広く知っておく必要があるとともに、また仕事上、特に社内で求められる分野においては、より深い知見を貯めておく必要があります。
これらの普遍的なテーマや専門性が高いテーマにおいては、実質無料で受けられる社内研修では、習得できる知識が不十分かもしれません。
社外の研修機関による、専門家が講師となって実施する研修を有効活用する方がより効果的でしょう。
経営企画職向け研修のリサーチ方法
前章で紹介したような研修はどのように探すのが効果的でしょうか。
経営企画の研修を専門的に取り扱う企業や講座も複数あるため、そこから自分やメンバーにあう研修を探すことも考えられます。
また、先輩や上司が受講して良かった研修を部下や後輩が受けることも、実業務で共通言語が活用できて効果的といえます。
さらに、場所的・時間的な制約がないオンラインセミナーもありますので、それぞれのメリットやデメリットを含めて紹介します。
研修企業が実施する経営企画向け研修・セミナーを検討
まず一般的な方法として、「経営企画 研修」などのキーワードにより、Web検索を行い、研修テーマや講師、参加者の声などを参考にしながら検討するという手があります。
金融機関系列の企業や専門の研修企業が実施するものなどが出てくると思われます。
アカデミックな視点だけではなく、ビジネス経験がある講師による実践的なものも数多く開催されているはずです。
定番の研修においては、参加者アンケートなどから、継続的にビジネスにおける課題などのノウハウも溜まってきており、研修に反映されているものもあるでしょう。
このように、研修テーマに加え、講師の経歴や実施団体、参加者の声なども加味しながら、選んでいくことが重要です。
メリットとして、金融機関や研修企業が開催するものは、平日昼間を中心とした集合研修が多いことから、同じ境遇の参加者の間での知識の共有や、専門性の高い講師に対する具体的な質問などを行うことが可能です。
反面、研修時間が業務時間中であることが多く、また金額的にはやや割高であるため、企業単位でなければ受けるのは難しいのがデメリットです。
業務外で自己啓発として講座に参加
会社として研修費用や時間を準備しない場合や、会社が一定額は負担するものの、業務時間外の参加が必須の研修もあるでしょう。
その場合は、業務時間外の夜間や土日に開催しているビジネススクールなどの講座で学ぶことも考えられます。
自分が強みとしたい分野や、今は必要とはされていないものの今後必要になってくる分野、さらには複数回受講する必要がある分野など、平日の昼間に行う研修とはまた違った講座も見られます。
さらに、教育訓練給付制度対象の講座もあるため、講座が終了した段階で一定額の補助も期待できるでしょう。
特に大学が行っている単科講座においては、夜間や土日に首都圏で開催されているものもあり、業務後に通うことができる点もメリットです。
また、ビジネス経験がある大学教授をはじめとした、優秀な講師陣が揃っている点や、意識の高い優秀なビジネスマンが参加している点など、通常では得られないネットワークを確保できる可能性が高いです。
総合的に経営を学ぶという点において、まさに経営企画職を志望する方には適しているかもしれません。
反面、MBAが主催する単科講座の場合、費用が非常に高いため、費用対効果の見極めが重要でしょう。
さらに、1回で終了するものではない継続的なカリキュラムの場合は、課題が提示されます。期限までに提出しなければならず、自宅でも学習に時間を費やす必要があり、学業が生活の中心となってしまう可能性があります。
オンライン研修の活用
オンラインで開催する講座は比較的手軽に、リーズナブルな価格で集中して受講できます。
時間や場所を気にせずに受けられる点も魅力です。公私ともに忙しい経営企画職にとって、自宅からZoomやSkype等をインストールするだけで簡単に参加できるオンライン講座は、大きなメリットを享受できるでしょう。
そして、講座を繰り返し再生することで学習できるため、理解しにくい内容についても知識の定着が可能かもしれません。
また基本的な内容から、専門性の高いものまで、幅広く開かれた講座が多いのも特徴的です。
反面、リアルタイム開催でないものは、講師に対してその場で質疑応答ができないことや、参加者間でのワークショップのような講座がないことが挙げられます。
リアル参加のような参加者間での知識の共有ができないことから、参加者から刺激を受けたり学びを得たりすることは難しいかもしれません。
加えて、質問ができない講座の場合、苦手な分野は理解できないまま終わってしまうことも考えられます。
経営企画職向け研修やセミナー受講時の注意点
最後に、経営企画研修やセミナーを受講する際の注意点について、費用面や研修内容の観点から確認しておきます。
研修受講時における費用対効果の検討
費用についてはすでに触れていますが、どの研修やセミナー、講座を選んだとしても、一定の費用がかかります。
オンライン講座は他の講座に比べて安いのがメリットですが、リーズナブルだからこそサポート体制が手薄というデメリットも存在します。
また、大学のMBAに紐づくような講座については、講座単体で受講するというよりも、シリーズとなっており連続して受講しなければならないものもあるでしょう。
費用は高額である反面、課題をこなすことで得られる知識だけではなく、講師や仲間とのネットワークも確保できる可能性があります。
その中間的な位置づけである、半日〜数日の集合研修は、費用は一定程度掛かるうえ、講座を受講するだけではすぐには活かせないものもあります。
出席して満足するのではなく、受講したことを業務でどのように活かしていくか、具体的に考えていくことが重要になってくるでしょう。
研修・セミナーへの主体的な参加意識を持つ
経営企画系の研修に限らず、どの研修やセミナーにもいえることですが、同じ時間を使って参加するのであれば、主体的な参加意識を持って望む方が学びも多いでしょう。
とくに、企業からの派遣により研修に参加する場合、義務感により主体的な参加意識が出てこないことも考えられます。
また、参加した研修が、すでに自分自身で身につけた分野であったとしても、復習の意味で臨むなら意義があるはずです。逆に分からない分野であっても、積極的に質問してその場で理解し、内容を吸収していくことが重要です。
一方で、自主的かつ自費で参加される方は、限りある時間内の研修を通じて、研修内容を吸収する意識が非常に強い傾向があります。積み重ねの結果、受け身な受講生との差が大きく出てくるはずです。
研修終了後も継続的な自己研鑽が必要
経営企画の研修やセミナーの内容だけでは、経営企画職に必要なことがすべて網羅されているわけではありません。
また、研修内容が自社の業務にそのまま使えるというわけでもないでしょう。
そのため、受講した内容を業務に活かすためにも、不足している必要な知識は改めて補っていく必要があります。
場合によっては新たな講座を受講したり、自己啓発やOJTを通じて自ら肉付けしたりなど、継続的に学んでいかなければなりません。
経営企画職は、日々経営スキルを磨いていく必要がある職種のため、研修やセミナーに参加したことで満足せず、継続的に自己研鑽していくことが重要です。
経営企画の研修参加時にはキャリアプランを明確に
今後経営企画職を志望される方に対して、研修やセミナーの内容と種類、社内や社外で研修を受講する際の効果や注意点について紹介しました。
経営企画系の研修やセミナーは、内容や場所、方法などにより、それぞれ特徴が異なります。金額的にもリーズナブルなものから高額なものまで、充実しています。
将来のキャリアプランを見据えつつ、自分自身がどのようなキャリアを積んでいきたいか考え、その中で身に付けたいノウハウや、現時点において足りないスキルには何があるかを具体的にしていくことも重要です。
掛ける時間と費用、その効果として身に付けられるスキルをイメージしながら検討していきましょう。
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今回の記事では、経営企画職向けの研修・セミナーへの参加方法やポイントについてお伝えしました。
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