「経営企画が現場部門から嫌われる」よくあるシーンとミッションを遂行するコツ

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経営企画は経営陣の参謀であり、社内異動でいわゆるエース級が集められることが多く、「花形」部門と一般的にいわれています。一方で、営業部門をはじめとした、現場部門とのコンフリクトが生じるといった、部門間コミュニケーションに苦労する場面もあります。経営陣と現場部門との間に入る調整部署である経営企画で、力を発揮して、ミッションを遂行するためにはどうしたらよいのか。経営企画ならではの立ち回り方について、解説したいと思います。

【目次】

  1. 経営企画に向いている人の特徴
  2. 経営企画が現場疑問から嫌われてしまうよくあるシーン
  3. 経営企画が「現場部門」を巻き込んで上手くミッションを達成するコツ
  4. 経営企画が「取締役」を巻き込んで上手くミッションを達成するコツ

経営企画に向いている人の特徴

まずは、経営企画に向いている人の特徴を挙げてみます。

◆部分よりも、全体像をつかむのが得意
全社の経営戦略の策定をはじめ、全社マターにかかわることが多く、部分最適ではなく、全体最適の視点が必要です。また、ある課題を見たときに、それが全体とどう関係しているのか、どう影響するのかなど、常に部分ではなく、全体をとらえる視点が求められます。

◆論理的思考力が強い
経営陣へレポーティングする機会が多く、課題を構造的に捉え、解決策をロジカルに整理する必要があります。説明する際にも、時間的な制約が多い経営陣に対して、簡潔に要点を伝えるためには強い論理的思考力が求められます。

◆数字を扱う業務に抵抗がない
定性データも扱いますが、やはり定量データの分析作業が多く、説明資料においても、定量データが多いため、業務において、数字に抵抗がないことが求められます。膨大な整理されていない数字のデータから、ある解を求めなければならない場面もたくさんあり、数字を使いこなせることは必須です。

◆コミュニケーション能力が高い
経営陣と現場部門の双方に対して、フラットに相手の立場や考えを理解して、臆せず積極的にコミュニケーションをとる姿勢が大切です。経営企画の全ての業務の起点が対話からはじまり、これらが不足していると、最終的なアウトプットが的外れになることもあります。

◆周囲巻き込み力がある
全社横断のプロジェクトの事務局を担ったり、全社予算編成をまとめたりと、経営企画が部門単体で業務を遂行することよりも、全社の部門が関与して、ミッションをなし遂げる場面が多くあります。そういう意味で、能動的に部門と関わり、巻き込んでいく力が求められます。

企業によって、経営企画に求められるミッションが異なることもあり、一律的な特徴はありませんが、上記が一般的に経営企画に向いている人の特徴と捉えてもらえればよいと思います。

経営企画が現場疑問から嫌われてしまうよくあるシーン

つぎに、経営企画がときには現場部門から疎まれることもあり、どういった場面でそうなるのか、実際に上場企業で、経営企画の管理職を長くされている方にお聞きしました。

◆現場を理解しようとする姿勢が見えず、コミュニケーション力に乏しく、現場に足を運ぶこともしない
◆論理的思考力が強く、ロジカルで押し通し、パッション(感情)がこもった対話が生まれない
◆エクセルのマクロを組んだフォーマットをはじめ、経営企画が満足するものではあるが、現場視点が欠落し、使いにくい資料を提示する
◆経営陣のサポート部署でもある経営企画という位置を盾に、「経営が言っているので」と他力で、押し通してくる

あくまで、一例ではありますが、これらをまとめると、現場の「理解度」が低いにもかかわらず、経営企画が経営陣の指示も含め、押し通してくるようなことが続くと、経営企画と現場部門との信頼関係が築けず、結果、経営企画のミッションも達成できないことになってしまうことがあるようです。

少し視点を変えると、経営陣と現場部門をつなぐ部署であることから、両者の利害を一致させるのが難しいとも言えます。
予算策定のケースを見てみましょう。

<売上予算>
経営陣:より高い売上目標を望む傾向
現場部門:未達成時の人事評価も懸念し、より保守的な売上目標を望む傾向

<経費予算>
経営陣:経費を適正化し、より高い利益目標を望む傾向
現場部門:採用費用や広告費用など売上に寄与する経費予算はなるべく確保し、少し余裕をもった利益目標を望む傾向

このような構図になるのが一般的で、経営陣と現場部門の調整部署でもある経営企画が間に入り、着地点を見出す必要があります。また、予算策定においてはエクセルを入力フォーマットとして使うことが多いのですが、複雑な関数を入れて、マクロを組んだフォーマットであれば、現場部門はそれだけで、「わかりにくい、入力しづらい」という理由で、ただでさえ、利害が一致しにくい予算策定がスムーズに進行しなくなることは、みなさんも容易に想像できると思います。

経営企画が「現場部門」を巻き込んで上手くミッションを達成するコツ

では、経営陣と現場部門をつなぐ部署ともいえる、経営企画で、どのようにすれば、関係性がスムーズになり、経営企画の本来のミッションが達成できるのでしょうか。

経営陣と現場部門との適切な距離感

経営企画という部署名に「経営」があることからもわかる通り、経営企画はどうしても経営サイドに寄りやすいものです。しかしミッション達成のためには、経営と現場のいずれにも、対等に寄り添うマインドが求められます。ロジカルに考え、俯瞰することは大切ですが、ハートをもって寄り添い、対話することもポイントです。経営陣も現場部門も立ち回り方は違っても、目指すゴールは同じです。持続的に成長し、企業価値が向上することを目指しているわけで、ゴールが違う方向にある企業はまずありません。したがって、相互理解をベースにした適切な距離感が大切といえます。

事業を理解しようとするスタンス

能動的に事業に関わるスタンスが非常に大切です。例えば、経営企画は経営陣に頻繁にレポーティングをしますが、このタスクだけを見れば、机上で数字を見て、資料を作成することはできます。ただ、机上だけでは、立体的な内容にはなりにくいです。
例えば、売上利益増減分析資料であれば、数字はもちろん必要ですが、現場に出向けば、顧客の状況や競合の状況がわかる場合もあります。これらの現場でしかつかめない情報があれば、整理をして分析資料に加えると、数字だけの平面的な情報ではなく、立体的な情報を整理して、経営陣にレポートすることができます。

コミュニケーション力

先述の予算策定のケースのように、経営陣と現場部門で利害がうまく一致しないことがあります。経営企画のメンバーは普段から経営陣と接する機会も多く、経営陣の考えや目指すべき方向の背景も含め、深く理解することができます。一方で、営業をはじめとした現場部門はそれほど、経営陣と深く対話する機会も少なく、経営陣の考えや目指すべき方向の背景の理解度は経営企画と大きなギャップがあります。経営企画はこれらを踏まえて、ときには経営陣の考え方を咀嚼して、現場部門にとってわかりやすく説明することが大切です。こういったコミュニケーション力が高い人が、結果として、経営陣の意向をくみ取り、現場部門にきちんと落とし込むことができ、経営企画のミッションを達成できるのです。

サービス精神

経営企画から現場部門への発信が多く、そのほとんどが数値に関連する内容で、どうしてもエクセルベースのフォーマットでやり取りをすることが多くなります。経営企画は業務の性質もあり、エクセルのエキスパートが多いですが、営業をはじめとした現場部門はお客様との対話がメインで、複雑なエクセルを業務で使用する機会は多くはありません。そのような背景を理解し、経営企画からエクセルフォーマットで、何か提出を依頼する場合は、現場部門が入力すべきところを色付けして一目でわかるようにしたり、入力の手間を極力、省くために、計算式を入れて、自動計算できるようにしたりするのがよいでしょう。ただし、計算式に複雑な関数を組み、入力値を誤った場合に、現場部門が「どうしてこうなったのかわからない」という状況に陥ることは避けるべきです。このように現場部門に寄り添って、「わかりやすい資料を作り、現場部門の手間を省くにはどうすればいいか」という視点を持ち、情報収集するといったサービス精神が大切です。

経営企画が「取締役」を巻き込んで上手くミッションを達成するコツ

営業をはじめとした現場部門との関わりにおいて、事業を能動的に理解し、ときには現場に出向いて、様々な形でコミュニケーションをとることが大切だと述べてきました。ここから、経営企画部門の管掌取締役と他部門の取締役との関係性についても少し考察してみたいと思います。

経営企画部門は企業によって、管掌する取締役は様々ですが、一般的に管理部門担当の取締役が管掌することが多いです。CFO(財務最高責任者)を据えている企業はCFOが管掌することもあるようです。多くの会社において、全社予算を編成する権限は経営企画に委ねているため、他部門の管掌取締役との関係構築が難しくなる場面もあります。

営業をはじめ、新規事業や研究開発を推進する場合、人件費はもちろんのこと、部門ミッション達成のために、様々な経費予算を策定します。部門ごとの事情で、部門予算は策定されているわけですが、経営企画は全社視点で、全社に予算を配分し、調整をします。ここで経営企画には、「売上についてはできるだけストレッチをかけ、利益を最大化するために、経費予算は適正化、場合によっては減額させたい」という意識が働きます。ときには、コンフリクトが生じることもあります。全社としては売上利益を最大化しないといけないことは理解しているものの、取締役にも管掌部門があり、どうしても、自分が担当している部門の経費予算であれば、できるだけ多く配分したいと思うものです。

このように経営企画を管掌している取締役とも経営企画のメンバーはうまく立ち回る必要があります。経営企画のミッションを達成するために必要とされる特徴は、上述の現場部門とのコミュニケーションで必要とされる特徴と大きく違いはありません。経営企画のメンバーはどういう場面において、他部門管掌の取締役とコンフリクトが起きるのかということはある程度想定ができるため、普段からのコミュニケーションはもちろんのこと、経営トップからの情報や現場部門の情報を正しく、かつ、詳細に伝えることも必要です。「こういった積み重ねで関係性を構築し、互いに信頼関係を築いていくことが大切だ」というマインドを持たなければなりません。経営トップからの指示で経営企画は動いているという一方通行の対話では、決してうまくいかず、結果として、経営企画のミッションを達成することも難しくなります。

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>経営企画に関する記事

経営企画部の仕事は本当に「花形」なのか?【生の声】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_real

コンサル出身で活躍できる経営企画(業務)、できない経営企画(業務)の違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consultant_to_corporateplanning

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今回の記事では、現場部門や現場部門を中心とした取締役との関係性づくりを通じ、経営企画としてミッションを達成するコツを述べてきました。財務や会計、マーケティングといったハードスキルは業務遂行上、必要ですが、全社部門を巻き込まないと、経営企画のミッションは達成できないのも事実です。そのため、コミュニケーション力を核に、現場を能動的に理解する姿勢、サービス精神をもって、ときには現場に寄り添うといったソフトスキルも非常に重視されます。ハードスキルに加え、高いソフトスキルも求められる部門なのです。社内からエース級の人材が集められ、経営企画の責任者を経て、上級役員や社長になるケースも多く、高い経営リテラシーに加え、ソフトスキルも鍛錬されているということも、これらの登用の背景にあるのかもしれません。

経営陣と現場部門の間に入る、まさに「調整部門」が経営企画であり、大変なことが多い分やりがいもあるのが醍醐味ではないでしょうか。

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