経営企画が役割を果たして仕事における目的を達成するために実行すべきこと

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経営企画部門の役割が、会社の経営に関する事項であることは明白ですが、企業方針や経営者の特徴、部門長の得意分野等により、違ってくることもあります。

今回は、経営企画の役割と仕事内容を確認しながら、目的を達成して利益を出すために行うべきこと、注意すべき点、組織の特徴等について解説します。

【目次】

  1. 経営企画のおもな役割・仕事の目的とは
  2. おもな経営企画組織の特徴
  3. 経営企画が役割を果たし目的を達成するために実行すべきこと
  4. 経営企画が役割を果たし目的を達成するために注意すべきこと
  5. 経営企画で目的達成に向けて役割を果たしていくために

経営企画のおもな役割・仕事の目的とは

経営企画としての役割・仕事の目的にはどのようなものがあるのか、確認していきます。

将来の方向性を見据える羅針盤

経済や市場動向の分析を通じて、企業がどのような道を進むべきか、将来予測をしながら経営陣に提言していく役割は、経営企画にとって最もやりがいのある業務といえるのではないでしょうか。

いわば、経営企画部門は企業にとっての羅針盤的な存在といえるでしょう。

具体的には、未来におけるリスクや機会を見極めるための各種手法やツールの開発を通じて、継続的に羅針盤機能を研ぎ澄ましていくことが期待されます。

行くべき道を的確に示すことは難しいですが、経営陣も納得するような材料を提示することが期待されます。

全社組織として成果を出すための調和や調整役

部門間における有機的な調和は、経営企画に期待される役割の一つといえるでしょう。

また、各組織がその組織の役割のみを果たしてしまうことを良しとし、企業として全体最適を求めない、セクショナリズムに対する排除も期待されるところです。

専門特化型組織のように経営企画部門は専門性を発揮しつつも、企業全体を見渡しながら横との連携に重きを置く、双方の視点も必要となってきます。

そして、各組織や事業体に対する進捗管理についても重要な役割といえるでしょう。

企業内の各組織や事業、またプロジェクトがいつまでに、なにを実行しなければならないのか、期日を設けながら全社の動きを把握していくことも、経営企画ならではの役割といえます。

企業成長を支えるための計画立案者

経営企画の主業務ともいえる成長のための中長期計画や、単年度計画、月次計画などの立案と実行は、経営企画の役割の中で欠かすことのできないものです。

企業規模によっては、他の部門には任せることができない、経営企画しか果たせない役割ともいえるでしょう。

ただ計画を立案するだけではなく、計画達成のための具体的なアクションプランやビジネスプランの作成、そして実行までも経営企画部門が担うことも、企業の考え方や経営企画に求める期待として、あるかもしれません。

意思決定のためのデータと情報提供機能

ビジネスインテリジェンスのための重要性の把握と、各種取り組みの実施も経営企画の役割として挙げられます。

ビジネスインテリジェンスとは、企業の中に眠っている膨大なデータを収集、分析、さらには報告用に使いやすいように加工することによって、企業の意思決定に活かす手法のことを指します。

こういった経営陣の意思決定をサポートするための、データ分析やアウトプットの提供が、将来的な企業成長に繋がるといっても過言ではありません。

これら全社に関する業務は、収益責任を担う事業部門や、コーポレートとしてのルーティン業務がある管理部門ではノウハウやリソース的にも難しいことから、経営企画が果たすべき役割として大きいといえます。

おもな経営企画組織の特徴

冒頭でも述べたとおり、経営企画部門の組織的位置づけは、企業の方針や経営者の特徴によって、それぞれ異なる場合があります。

企業によっては、少数精鋭部門である経営企画が経営に関すること全てを行うこともありますが、大企業においてはどのような役割を担っていくのか、明確になっていることもあるでしょう。

経営企画の役割を確認する前に、経営企画部門としてどのような組織の特徴があるのかを確認しておきます。

具体的な仕事内容と併せて確認していきましょう。

自発的な経営参謀型の組織

経営参謀型の組織に見られるおもな職務内容としては、中期経営計画、グループ全体の戦略や組織の変革など、重要案件を担当して、これらを自発的に立案して対応するパターンです。

この組織形態には、鮮度が高く経営陣や各部門長が欲しい情報を提供できる、情報発信力に強みがあります。さらに新しい試みに対しての動きにおいては、中心的な役割を果たしていく組織ともいえます。

経営陣から指摘されて動くのではなく、経営企画部門が主体的に全社関連組織との連携を行う、トップダウン型ではない企業においては、このようなタイプの組織が考えられます。

おもにベンチャー・スタートアップ企業に多い形態であり、経営企画部門長は実力があり、経営陣、各部門長からの信頼も厚いでしょう。

経営会議等の事務局型の組織

企業においては、取締役会や経営会議等、月数回経営陣が集まる会議があり、経営企画としても準備して動く必要があります。

さらに、会議の中で討議される重要案件を会議体で手掛けることから、関連部門へのチェックやまとめが中心となる動き方になってきます。

会議に参加する関連組織への働きかけによって、意見を集約するとともに、各部門のコーディネーター的な動きで力を発揮することとなるでしょう。

一方でこのようなタイプの企業は、各事業部門が強く、経営企画部門等の経営スタッフには余り権限がないことから、自然と取りまとめやチェックといった事務局的な動きとなるといえます。

経営陣の会議が比較的多い、大企業に見られる形態といえるかもしれません。

経営課題に対する専門特化型の組織

経営企画以外の経営スタッフとして、社長室等が経営課題の策定を行い、経営企画は全社の取りまとめを行うなど、各部門で役割を決めて専門特化するような動きが考えられます。
どの部門において、具体的な役割を担うかは調整を行いつつ実施するものの、経営スタッフの各部門においてはお互いに干渉せずに対応することが多くなります。

そのため、経営スタッフの各部門長は、各部門との業務の調整役となることが多いでしょう。

結果的に、部門間で対応業務や果たすべき役割は明確となるものの、セクショナリズムになりやすく、各部門においては管理的側面が出やすくなります。

ベンチャー・スタートアップにはセクショナリズムという概念は比較的少ないことから、歴史ある中規模企業や大企業に多い形態であると考えられます。

トップ支援型の組織

オーナー経営者や中興の祖と言われるような経営者がいる企業は、トップの意向や指示で動く場合も多いでしょう。

その際に経営者の意向や指示を、まず受け取るのが経営企画部門であることが一般的です。

経営企画部門が具体的にどのようにすべきかを検討し、経営者と擦り合わせをしながら各部門に落とし込むとともに、進捗等を追っていくこととなります。

経営陣の意向を上手く反映し全社に浸透させることが可能な、経営企画の実行力が要求されるうえ、意向通りに実行できれば、経営陣からの信頼も得られることとなります。

一方で、経営陣の意向から外れないように動くことから、自発的な経営参謀型組織のような、経営企画部門の独自性が発揮されないという特徴も挙げられます。

こちらの組織形態も、歴史ある中規模企業や大企業に多い形ではないでしょうか。

特命事項対応組織

トップ支援型組織よりもさらに限定された、トップの特命事項に対して動くことがミッションとなる組織が考えられます。

オーナー経営者であっても、ワンマン経営者や同族企業等、極秘事項で一部のコアメンバーにしか伝えられないような業務を行う場合には、このような閉鎖的な組織もあるでしょう。

経営陣の意向によっては、指示を受けた内容を実施して報告するだけのこともあることから、果たして経営企画でやるべき業務なのかといえるかもしれません。

規模の大小よりも、経営者の特徴によって編成される組織であるといえそうです。

経営企画が役割を果たし目的を達成するために実行すべきこと

経営企画部門が役割を果たすために実行すべきことにはどのような事があげられるのか、確認してみます。

内部資源と外部環境の定常的なモニタリングの実施

経営企画部門は企業内部における製品やサービス面の強み、人材力、資金状況など内部資源の把握を常に実施しておく必要があります。

対して、外部の環境変化についても、定常的に把握しておく必要があるといえるでしょう。

具体的には、競合他社や自社が所属する業界内の動向、マクロ的な視点からの市場トレンド、技術動向等を常にキャッチしておくことで、環境変化に柔軟に対応することが重要です。

それは、経営企画として羅針盤機能を発揮すべく、あるべき道筋を立てていく際に、現状の自社が置かれた立ち位置を速やかに把握して、時には戦略の微調整や方向転換を行う必要があるためです。

また、環境変化から、自社に影響を及ぼすリスク察知能力とリスクの評価を行うことも重要といえるでしょう。

コミュニケーションスキルとリーダーシップの強化

経営企画部門が、組織間における調和や調整役として役割を果たしていくためには、お互いの利害を把握しながら、双方に対する最適解を提示していく必要があります。

そのためには、双方の事情を十分に理解しておく必要があり、聞く力や質問する力などのコミュニケーションスキルが求められるといえます。

互いの情報を共有しつつ、異なるスキルや価値観を持つ各部門のメンバーと協力しながら、全社組織の一体感とともに、考え方や戦略の方向性がブレないようにまとめ上げていくことも重要です。

そのため、コミュニケーションスキルだけでなく、全社課題を推進していくリーダーシップも必要となってくるでしょう。

ビジョン策定力や戦略的思考の充実

経営企画部門が中心となって、全社の成長を支える計画を立案するためには、その立案の根拠とともに、企業としてのあるべき姿を描く必要も出てくる可能性があります。

計画立案の根拠には、計画を構成するKPIや打つべき施策など、戦略的な思考の積み重ねが必要となり、提案する経営陣や事業責任者の納得が得られるものでなければなりません。

対して、計画案として将来を提示するにしても、将来どのようになっていることが必要であるのか、計画とリンクしたビジョンが明確に描けるかどうかも時には必要になってくると考えられます。

ビジョンは必ずしも社長をはじめとした経営陣が描くものではなく、経営企画スタッフが計画とリンクしたビジョン案を提示したり、または経営陣とともに考えたりすることも、時には重要です。

データ分析力や洞察力の強化

意思決定のためのデータや情報の提供は経営企画の重要な役割の一つですが、そのデータは多面的な確度から分析されたものであり、アウトプットとしての情報は、経営企画部門の英知を集結させたものである必要があります。

それらを一朝一夕に作り上げることは難しいですが、継続的にスキル向上のための訓練や深い洞察を行いながら、経営陣が持つ課題をクリアし、要請に応えていくことが求められます。

そのためには、このアウトプットが、経営陣が求めている水準を満たしているか、多面的な確度からチェックしつつ、継続的に高レベルな水準に引き上げていくことも必要でしょう。

経営の一端を担っているという責任感

経営企画に求められる役割をそれぞれ果たしていくために、経営企画部門や各メンバーは、経営の一端を担っているという責任感を、自分事として持ちながら業務に臨むことも重要です。

経営企画が果たす役割を通じて出すアウトプットの中には、経営陣が企業として大きな意思決定をするために検討したり、事業責任者の新たな戦略に活用されたり等、経営に直結するものが多くを占めるからです。

また、責任感をもって臨めば、経営陣や事業責任者とのコミュニケーションもより真剣なものになるうえ、経営企画として検討した結果提示するアウトプットも、企業のために真剣に検討したものとして受け入れられることでしょう。

経営企画が役割を果たし目的を達成するために注意すべきこと

最後に、経営企画部門や各メンバーが、経営企画としての役割を果たすために注意すべき事項にはどのようなものがあるのか、確認しておきます。

経営企画部門自体の組織力の強化

少数精鋭である経営企画部門は、どのような役割を担うこととなってもリソース不足に陥りがちです。

そのため、部門長においては、経営企画部門内でリソースを適切に配分しながらメンバーの役割も明確にしつつ、育成と成長を支援していく必要があります。

これらによってメンバー一人として欠けることがないよう、継続的に組織力を強化することで、組織体で成果を出していくことが求められます。

メンバーの役割が細分化されることによって、くれぐれも個人プレーにならないように注意する必要があるでしょう。

役職に左右されない透明なコミュニケーション

社外のステークホルダーや、社内の各部門、さらには上下の役職ともコミュニケーションを継続的に取る必要がある経営企画部門には、コミュニケーションにおける透明性が求められます。

経営陣などの上位の役職者に対しては丁寧ではあるものの、他部門に対して権限を振りかざす強いコミュニケーションを取ってしまうと、社内でも問題になってしまう可能性があります。

コミュニケーションにおいてはハラスメントを含めて細心の注意を払い、相手と良好な関係を築いていけるように、常に注意する必要があるでしょう。

データに頼り過ぎないバランス感覚の醸成

意思決定のために、企業がもつ膨大なデータを分析して、高品質なアウトプットを経営陣等に提示することは、経営企画としても必要なことであると紹介しました。

一方で、定量的なデータに頼り過ぎることが時には課題視されることもあり、経営企画メンバーが洞察した結果や定性的な経験に基づくものなど、バランスのとれたアウトプットとして仕上げていくことも必要です。

蓄積されたデータを分析することは、過去の出来事を未来に活かすという点では有効ですが、未来が必ずしもデータ通りになるような保証はできないことも、頭に入れておく必要があるでしょう。

経営企画における倫理観の保持

経営企画部門やメンバーにおいては、組織全体の方向性や戦略に関わる業務が中心であることから、高い倫理観が求められます。

コンプライアンス上、冷静に見ると経営陣が誤った判断をしようとしている場合に、的確に指摘することができるかどうかは、原理原則を的確に判断できる倫理観が備わっていないと難しくなります。

メンバー層に対してはもちろんですが、経営陣などの上位の役職者に対しても、企業として望ましくないことに対して「ノー」と言える高い倫理観は、組織の透明性とともに企業の価値を高める点においても、備えておきたいスキルといえるでしょう。

経営企画で目的達成に向けて役割を果たしていくために

経営企画部門の組織的な位置づけや役割を中心に、役割を果たすために実行すべきことや、注意すべき点について紹介しました。

経営企画の役割として、今回挙げたもの以外にも考えられますが、最低限知っておきたい特徴が中心となっています。

経営企画メンバーの方やこれから目指される方にとって、今回の記事が経営企画で役割を果たしていくための参考になれば幸いです。

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経営企画部の業務に役立つ「資格」とは【おすすめの理由と実用方法・事例付き】
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今回の記事では、経営企画が役割を果たして、仕事における目的を達成するために実行すべきことについてお伝えしました。

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