経営企画・財務・経理のキャリアの違いは?ステップアップに必要なこと

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バックオフィスとして位置づけられる職種といえば、経営企画や財務、経理の各職が挙げられます。

特に管理系の経験者でなければ、一般的には「管理業務の人」という印象が強い職種かもしれません。

各職種に共通しているのは「会社の数値を扱う」点ですが、厳密には全く違う角度から数値を扱うことがあるうえ、それぞれミッションが異なり、必要とされるスキルも変わってきます。

今回は、各職種の仕事内容や具体的に違っていること等、財務・経理職から経営企画職への転職を検討されている方が、押さえておいた方がよいことについて解説します。

【目次】

  1. 経営企画・財務・経理の仕事内容
  2. 経営企画・財務・経理の各職種間の違い
  3. 財務・経理職から経営企画職への転職を目指す場合に必要なこととは
  4. 財務・経理から経営企画へステップアップ・ポイントまとめ

経営企画・財務・経理の仕事内容

まず各職種における仕事内容や役割について確認していきます。

会社によっては、本来ならば経営企画の業務が財務部門で実施されているケースに加え、逆も考えられますので、仕事内容は一般的な区分として紹介します。

経営企画職の主な仕事内容

経営企画職の主な仕事内容で代表的なものとして、以下が挙げられます。

・予算策定(年次または四半期)
・業績評価指標の選定(年次または半期)
・予実分析や着地見込みの更新(月次)
・経営会議資料の作成や会議の運営(月次)

予算策定は年次予算として、月次予算を積み上げる形で作成します。

期初に年度の予算は策定しつつ、事業の進捗を確認しながら四半期や半期等のタイミングで定期的に見直しを図ることが一般的です。

上場企業であれば、予算の修正において、業績見通し修正の可能性も出てくるかもしれません。

また予算に対する達成度の観点で、全社の評価を出すために、各部門がどのような実績だったかを経営企画部門が客観的な視点で評価することがあります。

評価の期間は各企業の方針にもよりますが、年次または半期で行われることが多いでしょう。

毎月の業務には、予実分析や着地見込みの更新があります。

各事業部門から事業体ごとの着地見込みを吸い上げ、経営企画部門で集計して差異要因等をチェック。経営会議や取締役会に向けて準備する流れです。

経営企画部門としては、経営会議や取締役会から逆算したスケジュール管理や、数値の正確性・整合性、さらには自社事業を的確に把握し分析することが必要です。

さらに、経営陣や各部門のマネジメントクラスが参加する経営会議において、現在の会社の状況を議論する必要があります。

経営会議の準備やファシリテーションは経営企画部門の重要な役割となるでしょう。

その中で、予算や業績評価、予実分析、着地見込みといった一連の資料がこの場において提示され、議論の中で課題が明確化されることとなります。

経営会議の中で出てきた課題について取りまとめを行い、継続的に進捗管理を行っていくことも経営企画としての重要な役割です。

財務職の主な仕事内容

・資金調達(間接金融と直接金融)
・資金繰り管理
・資金運用
・入出金管理

まず資金調達についてですが、主に銀行借入を中心とした間接金融と、株式や社債発行を通じて、市場から直接調達する直接金融に区分されます。

上場企業や、未上場企業でも黒字化している企業では、銀行借入を行うことで資金調達することが多いでしょう。

一方で、スタートアップ企業や上場企業においても株式発行による資金調達を行う場合があります。

財務職としては間接金融、直接金融双方において必ず関わっていく必要があり、特にスタートアップ企業の場合はベンチャーキャピタル、上場企業の場合は証券会社とのやり取りが必要です。

また上場・未上場企業を問わず、銀行との関係を非常に密に構築しておく必要があるのも特徴です。

いざとなったら会社を金融面で支援してくれるのが銀行ですので、そこの窓口として財務部門が日頃から良好なコミュニケーションを取っておく必要があります。

とりわけ資金繰り管理においては、日々の資金の出入りの状況や、支払いにおいて自己の資金で手当てができるか、長期的な視点で見ていかなければなりません。

将来的に資金が不足すると予想される場合は、早い段階から前述の資金調達を検討する必要があり、そのアラートを上げていくのも財務部門の重要な役割です。

さらに、調達した資金や事業利益による余剰資金をどのように運用するかを検討するのも、低金利下にある現状においては重要な役割といえます。

そして、日々の支払いや入金の管理についても、財務職がしっかりと見ていく必要があるでしょう。

銀行のオンライン決済や小口現金の管理等、現預金を扱う業務は不正を防ぐためにも、経理部門と切り離して財務部門が行う必要があります。

経理職の主な仕事内容

経理職の主な仕事内容で代表的なものとして、以下が挙げられます。

・決算関連業務(月次、四半期、半期、年度と監査対応)
・記帳や仕訳
・税金や社会保険の算出
・買掛金や売掛金の管理

経理職におけるメイン業務は、決算に関する一連の業務でしょう。

上場企業や将来的な上場を見据えている企業においては、毎月の月次の決算に加え、四半期や半期、年度の決算業務があります。

とりわけ、上場企業と上場準備企業においては、監査法人による監査も行われるため、その対応は経理職の重要な業務に位置づけられます。

そして、経営企画や財務と分担し決算短信・有報・決算報告書等の作成を行っていく必要も出てくるでしょう。

また日々の仕事においては、経費や売上等の記帳や仕訳業務があります。

定期的に決まったタイミングで支払う税金や社会保険料がいくらになるのか試算して計上することや、買掛金、売掛金が残っていないかチェックすることにより、支払い、回収が適切に行われているか確認することも経理職としての重要な仕事です。

経営企画・財務・経理の各職種間の違い

それぞれの仕事内容について確認しましたが、仕事内容だけではなく、ミッションや目標、さらには職種におけるスタンスの違いも見られます。

具体的に各職種における違いについて、確認していきます。

経営企画・財務・経理の仕事内容の違い

仕事の内容については、前項で触れていますが、具体的な違いについても確認しておきます。

経営企画職は主に経営の意思決定に関する数値を扱うこととなります。

具体的には管理会計分野として、全社の損益分岐点分析や収益性分析、また事業部門ごとの損益計算書の集計や採算性分析等を行っていくことが多いでしょう。

財務職は、資金を中心とした将来の予想や過去の傾向分析、資金の調達と運用という専門性のある仕事が中心です。

そして経理職は財務会計分野として、決算や監査、さらには税務といった実績に対応していくことが多くなるでしょう。

各職種は会社の数値を扱う点において共通しているため、それぞれの役割は違うものの、連携しつつお互いの役割を尊重しながら業務を遂行する必要があります。

経営企画・財務・経理各職のミッションや目標の違い

会社の方針や戦略によって異なってくることもありますが、各職種において与えられるミッションや目標についても違いがあります。

具体的にそれぞれの職種において、どのようなミッションや目標が求められるのか、一般的な視点で確認します。

まず経営企画職や部門で求められることとして、予実管理の精度向上や業績予想のミスが少ないこと、社内全体の仕組みの導入等が求められるでしょう。

定量的な予算や実績管理、着地見込み等の定量的な側面以外でも、定性的な側面としての仕組みの導入や効率化、トップマネジメントからの信頼を勝ち得ることもミッションや目標として挙げられることが多いです。

次に、財務職や部門に求められることについてです。定量的な面としては、目標とする資金調達の実現や資金繰りの安定化のための資金増、さらに余剰資金においては資金運用実績等が挙げられます。

定性的な面では資金回収率の向上施策を打つことで、セールス部門や事業部門への働きかけと、フロー化の定着を担うこともあるでしょう。

とりわけ、資金調達においてスタートアップやベンチャー企業では、上場企業と違って非常にタフな局面が求められるため、財務部門や財務職だけではなく、担当役員であるCFO、さらにはCEOと連携しなければならないことも多々あります。

そして経理職や部門で求められることとして、定量的な面では決算期間の短縮や、ミスのない計上等が挙げられるでしょう。

定性的な面では、経理フローの見直しや各部門への定着を図るための浸透策の構築、上場企業においては開示フローの構築や、内部統制環境の整備、監査法人に対する円滑な対応とともにお墨付きを得る等ことが、経理側のミッションとして挙げられます。

経営企画・財務・経理各職のスタンスの違い

経営企画や財務職には攻めと守りのバランスが求められ、経理は守りの側面を求められることが多いことから、職種としてもそのような傾向が見られます。

経営企画職は、攻めの面としては経営陣から直接指示されて戦略面をともに遂行していかなければならないという重要な役割を果たすこともありますし、守りの面としてはコンプライアンスやガバナンスの全社的な遵守等をメインに担っていく役割もあるでしょう。

財務職は資金調達業務では攻めの側面が必要となりますし、資金繰りや将来の資金計画は保守的な考え方が必要となることから、守りの側面も重要です。

対して、経理職はミスのない対応が必要なため、繰り返しのチェックや二重チェック、監査に対する対応等、守りの側面が多くを占めることとなります。

次に、将来のことを考えるか、過去の振り返りが大切かの視点も考えられます。

財務職は今後の資金のことを考えていく必要があることから、将来のことを常に考えることが重要視されます。

対して経理職は、過去の実績や数値をもとに決算を精緻化することや監査対応を的確に行うこととなるため、どちらかといえば過去のことを考える必要があります。

経営企画職は、全社予算や中期経営計画を組み立てて行く必要があるため、将来のことを考えていくことが重要です。

しかしながら、過去の傾向や実績を踏まえて将来を考えたり、競合他社の実績を比較しながら自社の位置づけを考えたりする場面もあることから、過去のデータを重視することも求められるでしょう。

また財務・経理職は管理部門のスタッフ部門の位置づけであるのに対して、経営企画職は経営陣と密に会社運営を進めていく、経営スタッフの位置づけとして考えられます。

経理における決算の実施や、財務における資金状態等、個別の業務を重視するのか、経営企画における「会社全体にとって何が一番よい状態なのか」を考えた施策を実践していくか。

それぞれの職種においては、攻め、守りとともに、過去、未来の時間軸、そして部分最適か全体最適かでも異なる特徴が出てくるのです。

財務・経理職から経営企画職への転職を目指す場合に必要なこととは

それぞれの職種の特徴を見てきたところで、財務・経理職から経営企画職への転職を目指す場合に必要なことについて、確認してみます。

経営企画職に就いて何を成し遂げたいか、身に付けたいかの明確化

まず財務・経理職のキャリアを持たれている方が、経営企画職に就いて何を成し遂げたいか、就いた暁にはどのようなスキルを身に付けたいかを明確化しておくことが必要です。

財務・経理職において十分なキャリアを積まれた方は、バックボーンを活用して経営企画職でも十分に力を発揮されることが考えられます。

しかしながら、スキルはあるものの、経営企画職について何をやりたいのかを明確にしておかないと、将来的に上長になる、経営企画職の面接官にも響かないこととなります。

特に経営企画職への転職に限った話ではありませんが、何を成し遂げたいか、さらには何を身に付けたいか説明できることは内定の大前提となるでしょう。

現在の財務・経理職におけるスキルやノウハウの棚卸

経営企画職を次のキャリアとして目指される意欲的な方は、財務・経理職においても一定のスキルやノウハウを身に付けている方と考えられます。

これまでの財務・経理職において、どのようなスキルを身に付けてきて、特に自分自身は何が得意なのか、経営企画職となった場合にどのような業務で活用できるのか等、イメージを具体的に持っておくとよいでしょう。

一例ですが、財務・経理職で身に付けたスキルやノウハウの活用として、次のようなケースが考えられます。

資金調達経験が豊富な財務職であれば、経営企画職となっても金融機関とのコミュニケーションやネットワークの活用で活躍できるかもしれません。
企業価値算定のノウハウを持つ方なら、競合企業や買収対象企業の価値算定のこともスムーズに考えられるでしょう。

連結決算業務のスキルが豊富な経理職であれば、経営企画で取り扱う管理会計面における連結のロジックも、レクチャーなしでスムーズに理解できるはずです。

経理職であれば仕訳作業はチェックを含めほとんどの方が実施していると考えられますが、この場合においては、どのような費用が掛かったかを細かく確認することとなります。

この経験は、経営企画の管理会計分野における収益性分析を行う際の、費用の要因分析や差異分析をする場合に活用できるかもしれません。

経営企画職に就いた場合を想定したギャップの明確化

財務・経理職の方が経営企画職を目指す場合であっても、全てがすぐにできる訳ではありません。

一般的な経営企画業務や、求人で出ている経営企画業務を参考に、自分自身で現在足りないものは何なのかを把握しておくことも大切です。

職種が違う時点で経験していないことがあって当然ですが、できないことや経験したことがない業務を明確にしておき、今後新たに経験を積んでいきたいキャリアとつなげられれば、面接の際の評価が高まることが期待できます。

経営企画職を通じた将来のキャリアプランの具体化

さらに先の話になりますが、財務・経理職の方が経営企画職に就いたその先で何をやっていきたいのか、将来のキャリアプランを具体的にしておくと採用する側としても活躍のイメージが湧くかもしれません。

一次的なキャリアの通過点としての経営企画職なのか、それともキャリアのゴールとしての経営企画職なのかでも意味合いが変わってくるでしょう。

財務・経理職の方は、現在まで経営企画職に就いたことがない場合、中々イメージが持てないかもしれません。

一方で、長期的なキャリアプランが明確であればあるほど、活躍の場がイメージしやすいと考えられます。

経営企画職についてどのような業務があるのか、それを通じてどのようなスキルを身に付けられて、将来新たにどのような業務ができるようになるのか。
シミュレーションして、自分なりのイメージを持っておくとよいでしょう。

財務・経理から経営企画へステップアップ・ポイントまとめ

財務、経理、経営企画職のそれぞれの紹介と、各職の特性、財務・経理職に就いている方が経営企画職を目指す場合に考えておいた方がよいことを中心に紹介しました。

各職は会社の数値を扱うことが共通している一方で、職種ごとの考え方、ミッション、スタンス等に違いがあります。

財務・経理職で活かした経験は必ず経営企画職でも活きることとなりますので、経営企画職を将来のキャリアとして目指される場合は参考にしてみてください。

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>経営企画へのキャリアに関する記事

経理から経営企画にステップアップするために必要なスキルとキャッチアップ方法
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/accounting_to_corporateplanning

経営企画で必要な「管理会計」の知識とキャッチアップ方法
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_knowledge_of_management_accounting

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今回は、経営企画・財務・経理の違いと経営企画へのキャリアアップに必要な情報を解説しました。

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